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【Azure】実務なしから突破するAzure認定資格『AZ-900: Azure Fundamentals』の合格記録

AWSの次はAzureの資格に挑戦するよ

 Azure認定資格の一番入門編、正式名称『Microsift Certified: Azure Fundamentals』に夏の暑い日に合格してきました。
 まあ一番簡単な資格なので準備すれば受かってふつうではあるのですが、これから挑戦する方や未来の自分向けに、今回も情報を残して振り返っておこうと思います。

Azureなのでなんとなく夏の青空をアイキャッチに使ってみるテスト

Azureの資格の分類: 全18個あるよ

 AWS認定にあるCLF, SAA, DOP, SOA, SAP, DOPみたいな資格の3文字略称はなくて、Azure認定資格ではAzure FundamentalsはAzure Fundamentalsのまま。(先頭にMicrosoftを付けることもあり、正式にはMicrosoft Certified: から始めます)  そして合格に必要な試験にアルファベット2文字+ハイフン+数字3桁コード体系がついていて、アルファベット2文字はAzureのAZ人工知能のArtificial Intelligenceを略してAI、DB系はData Processingを略してDP
 Azure Fundamentals資格取得に必要な試験の名前がAZ-900で、ワードとしてAzure Fundamentalsは長いので、みんな試験の名前≒資格の名前でAZ-900と呼んでいる...という感じになります。この試験のコード体系は認定資格名の後に添えられることもあれば、先頭につけてコロンの後に認定資格名を続けて『AZ-900: Azure Fundamentals』のように呼ぶこともあります。
 AWS認定も例えば『ソリューションアーキテクト - アソシエイト(SAA)』を受けに行くとシステム的な試験の名前でSAA-C01とかSAA-C02とかコードが出てきますが、これらはコードとしては存在するけど資格の呼び方には使いませんね。
 Azureはこれと違って、「受かった~」とか「認定X冠だ~」とか「改訂が入ったぞ~」という会話にAZ-900やAZ-104やAZ-204などのコード体系がそのまま出てくる形になります。

 そして認定資格の体系がなかなか分かりにくいのですが、zennに書かれたこの方の記事がとても分かりやすいので必見。リンク先にある公式のPDFの表も分かりやすいです。

zenn.dev

PDFの表→Become Microsoft Certifed

というかこの表を公式サイトの先頭にまず載っけて理解の助けにさせてほしいのですが、Microsoft Learn公式の認定資格情報のページが分かりにくいんですよね...昔からのMSの伝統というかなんというか...笑

learn.microsoft.com

 この記事でも簡単に概説しますと以下の分類になります。

ファンダメンタルズ(Fundamentals)レベル

 一番の基礎レベル。

  • 有名なのがこの『AZ-900: Azure Fundamentals』で、AWS認定の『クラウドラクティショナー』に相当
  • 『AI-900: Azure AI Fundamentals』 AIの基礎知識
  • 『DP-900: Azure Data Fundamentals』 データの取り扱い基礎で、アソシエイト級の機械学習に繋がるDBの話

 計3個

役割別の Role-based が2つに分かれていて、中級のアソシエイト(Associate)レベル

 AWS認定のアソシエイトレベルとほぼ同等。有名なのは

  • 構築や運用の『AZ-104: Azure Administrator Associate』 AWS認定のSAA薄め+SOA相当
  • 開発の『AZ-204: Azure Developper Associate』 AWS認定のSOADVA相当

 の2つで、この2つでAWS認定のアソシエイトレベル3資格をカバー。AZ-104はAWS認定のSAA部分は薄いらしい。
 以下がインフラ系とネットワーク。

  • 『AZ-500: Azure Security Engineer Asociate』 AWS認定の専門知識のSCS相当、セキュリティ周り
  • 『AZ-700: Azure Network Engineer Associate』 AWS認定の専門知識のANS相当、ネットワーク周り
  • 『AZ-800(実技),AZ-801: Windows Server Hybrid Administrator Associate』

 以下がデータサイエンティスト、データエンジニア、AI系の資格。

  • 『AI-102: Azure AI Engineer Associate』 AI-900の上位資格、AIの話
  • 『DP-100: Azure Data Scientist Associate』 DP-900の上位資格、機械学習でデータサイエンティスト向け。AWS認定の 専門知識のMLS相当か
  • 『DP-203: Azure Data Engineer Associate』 データエンジニア向け資格 AWS認定の専門知識のDASの領域?
  • 『DP-500: Azure Enterprise Data Analyst Associate』 AWS認定の専門知識のDASの領域?
  • 『DP-300: Azure Database Administrator Associate』 DB系サービスの話、AWS認定の専門知識のDBS

全部で10個。AZ-801でとれるWindows Serverの資格を除くとすべて資格の名前は「Azure なんとか Associate」になっている。AWS認定のアソシエイトレベル+専門知識に該当する領域。AWSよりデータ系、AI系の資格が多い。

役割別の Role-based が2つに分かれていて、上級のエキスパート(Expert)レベル

 AWS認定のプロフェッショナルレベルとほぼ同等で、持っているとかなりのつよつよエンジニアのあかし。AWS認定と同じく2つある。

  • 設計の『AZ-305: Azure Solutions Architect Expert』 AZ-104の上位資格で、そのままAWS認定のSAP相当
  • 開発・運用が合体して『AZ-400: Azure DevOps Engineer Expert』 アソシエイトの2つの上位資格で、そのままAWS認定のDOP相当

 Role-basedな資格はアソシエイト10個+エキスパート2個で計12個

特定領域特化のSpecialty

 AWS認定の専門知識(Specialty)の一部と同等。

  • 『AZ-120: Azure for SAP Workloads Specialty』 SAPを扱う資格。AWS認定の専門知識のSAP on AWS相当。
  • 『AZ-140: Azure Virtual Desktop Specialty』 Azure管理の資格。
  • 『DP-420: Azure Cosmos DB Developer Specialty』 AWSのDynamoDBに相当するNoSQL、Cosmos DBを専門に取り扱う資格。

 以前は他にもサポートエンジニアの資格とIoTの資格があって計5個だったようですが、現在は計3個

 合計すると(ファンダメンタルズ資格3個)+(役割別がアソシエイト10+エキスパート2で計12個)+スペシャルティが3個=総計18個
2023年現在でAWS認定資格が全12個あるのと比べるとより多く、より細分化されています。

 なおMicrosoftの認定資格はよく統廃合されたりして変化が激しいのが有名で、ここもちょいちょい改訂が入るAWS認定と同じですね。
 僕も前にDynamic 365の簡単な資格で『Microsoft Dynamics CRM 2013 (MB2-700)』というのを取るだけって資格数カウントに入れているのですが、これが今の『Dynamics 365 Fundamentals (CRM) (MB-910)』に該当するのかな...?

領域別の分類(追記)

追記:
 この記事で最初僕は資格数が計21個のはず?と書いていたのですが、計18個が最新情報でしたので修正しました。
 そして公式が用意しているMicrosoft Learnを見ていくと、PDFの資格情報の図があるので紹介します。

全部英語ですが上記資料の図がわかりやすいですね。Azure認定を構成するのは3領域あってこれが軸になっているようです。

  • Manage hybrid cloud infrastructure: ハイブリッドなクラウドインフラを管理する
  • Support with data and anaytics: データとデータアナリティクスでサポートする
  • Innovate with best-in-class apps: 業界最高クラスのアプリケーションで革新をもたらす

重複しますが、この3領域で属する資格名を再度書き出すと以下になります。

■3領域軸すべてを横断する基本
  • 『AZ-900: Microsoft Azure Fundamentals』 AWS認定のCLF相当。すべての基本
クラウドインフラ管理の領域
  • 『AZ-104: Azure Administrator Associate』 AWS認定のSAA薄め+SOA相当
  • 『AZ-500: Azure Security Engineer Asociate』
  • 『AZ-700: Azure Network Engineer Associate』
  • 『AZ-800,AZ-801: Windows Server Hybrid Administrator Associate』
  • 『AZ-140: Azure Virtual Desktop Specialty』
  • 『AZ-120: Azure for SAP Workloads Specialty』
■データとデータアナリティクスの領域
  • 『DP-100: Azure Data Scientist Associate』 機械学習 DP-900の上位
  • 『DP-203: Azure Data Engineer Associate』 データエンジニア用
  • 『DP-300: Azure Database Administrator Associate』 DB系サービスの話
  • 『DP-500: Azure Enterprise Data Analyst Associate』 データアナリティクス
■アプリの領域
  • 『AZ-204: Azure Developer Associate』 AWS認定のSOA+DVA相当
クラウドインフラ領域+アプリ領域の横断
  • 『AZ-305: Azure Solutions Architect Expert』 AZ-104の上位 AWS認定のSAP相当
  • 『AZ-400: Azure DevOps Engineer Expert』 AZ-104とAZ-204の上位 AWS認定のDOP相当
■データとデータアナリティクス領域+アプリ領域の横断
  • 『DP-900: Azure Data Fundamentals』 データの取り扱い基礎でDBの話
  • 『AI-900: Azure AI Fundamentals』 AIの基礎
  • 『AI-102: Azure AI Engineer Associate』 AI-900の上位
  • 『DP-420: Azure Cosmos DB Developer Specialty』 NoSQLの話

 試験のコード体系の先頭についている2文字を使う資格が、以下できれいに分類できます。なるほどなるほど。

  • AZ, Azure: クラウドインフラ領域とアプリ領域、Azure全体
  • DP, Data Processing: データとデータアナリティクス領域
  • AI, Artificial Intelligence: データとデータアナリティクス領域+アプリ領域の横断の部分

アプリケーション設計・開発に関わる資格がAWS認定だとアソシエイトレベルのSAA+DVA+SOAですがAzureだとアプリ開発はAZ-204ひとつに集約、残りはインフラ領域のAZ-104に振り分けられています。
AWS認定だと機械学習、データアナリティクス、DBの高度な話は全て専門知識にまとめられていますが、Azure認定だとほとんどアソシエイトレベルに入っており資格の数も多いです。

 ここから、西暦2000年代にEC2やS3から始まって最初はIaaSベースから始まったAWSは、まずは既存アプリもAWS上に移行して新アプリも最初からAWSベースで設計がヨシ。クラウドだから使えるサービスを活用して機能を分散させたりクラウドのお作法があったりより良い設計のソリューション、アーキテクチャがあって、認定資格でも段階的に学べるよ!! そして応用的な領域として後からビッグデータ機械学習も加わって資格も専門知識領域に後付けで加わったよ!という感じ。

 一方Azureは2010年代に最初からPaaSベースから始まっています。資格体系もいち早く更新、クラウドインフラとアプリ開発も勿論あるけど、データサイエンティストとデータエンジニア用の機械学習やデータアナリティクスの資格を強化、データ領域とアプリ領域の中間地点にAIを配置してここもいち早く資格設立。みんな中級のアソシエイトレベルの資格にしてこのエリアのエンジニア育成を手厚くやっていくよ!という感じにも読み取れます。
 やはりエリア的に図の下のほう、「データとデータアナリティクスの領域」と「データとデータアナリティクス領域+アプリ領域の横断(AIがここ)」のエリアに特に注力、かねてからOpenAI社と協業して蓄えてきた力をここに投入して世界的なシェアを獲っていく狙いがあるのでしょうか。
 同資料の図の後にある、これを目指す人にはこの資格があります...も道が3つあって、

  • IT pros(ITのプロフェッショナル)向けに8資格: クラウドインフラ/セキュリティ/ネットワーク/サーバー管理/設計
  • developers(開発者)向けに4資格: 開発/AI/Cosmos DB
  • data and AI pros(データとAIのプロフェッショナル)向けに6資格: DB全般/CosmosDB/AI/データエンジニア/機械学習のデータサイエンティスト/データアナリティクス

と、3つある道のひとつが「データとAIのプロフェッショナル」になっています。やはり現在のAzureの中で強く推しているのが見て取れます。

AZ-900: Azure Fundamentals 合格記録

挑戦への経緯

きっかけ

 2022年早春の頑張りでAWS認定の最難関のSAPを突破した後CLFも獲って認定8冠達成。しかしワタクシ仕事でクラウド専門の事業部に所属していないこともあり、せっかく獲っても仕事で十分には活かせない宝の持ち腐れともいえる状態が続いていました。
 実務で使った経験というと...社内のハッカソンイベントでサーバーレスアーキテクチャのサービスを組んだのが2日、さる案件でAWS版のアーキテクチャ図を描いて実績を上げたのが1回。あとは講師をしている勉強会で話したり個別の質問に有識者として答えたぐらい。ベンダー資格とは別に存在している社内の認定制度ではAWS認定で合格基準を満たして2つほど認定されています。
 社内のクラウドコミュニティで認定12冠達成!などと頑張っている方の書き込みを見ると、何ともいえない歯がゆい感じもしています。社内で異動する手段もあるにはあるし、より安直で最速の解決方法としては転職があるのですが、昔のように身軽ではないのよねというところです。

 一方、社内で違う部門とか同じ部門で面識のない人とか新人諸氏とかいろんな人と話したり自己紹介する機会もあり、そういうシーンではセルフブランディングとして資格はそれなりに役立っています。
 普段の仕事の他にAWS認定にも注力して既に認定8冠達成です。(ドヤ!) 人生で獲った資格は全部数えると28個です。(ドヤ!!) プログラミング言語はもう主要なものはだいたいかじって制覇済みです。(ドヤ!!!) GitHub垢も持っているしブログも6年継続してるし、社外と縁を保って、社外でも通用する人間になることを継続的な目標に掲げて活動してます! 和製英語システムエンジニアじゃなくてあくまでソフトエンジニアとして自分の足で開発の一線に立つのが信条です! エンジニア系の好きな名言は名著『Team Geek』にある謙虚,尊敬,信頼のHRTの三原則です!(ドヤヤヤヤ~~~w)
 という感じでちょっと話せば、だいたい「なんか尖ってる人がキタ~!」というカンジで割とインパクトを出すことができます。(笑)

 まあこのへんは年齢と共に技術へのフォーカスを失ってしまう人の多いジャパニーズトラディショナルビッグカンパニィの弱点でもあります。Teamsの社内コミュニティを見て回ってると優秀な人も各所にちゃんとかなりの数いるんだけどなぁ...。
 なんか技術にいろいろ詳しい人ということで、部門内で相談を受けたり人に教えたりする機会も出てきました。

 という感じの最近ですが時は2023年、ChatGPTが大旋風を巻き起こしている年であります。社内でもセミナーを覗いたりMicrosoftの方自らが話してくれるイベントを聴講したりしてきました。ChatGPTをカスタマイズしたやつが社内でも一般で使えるようになりましたし、Azureのサービスとして提供されているAzure OpenAI Serviceを使った案件の話も身近で耳にするようになってきました。所属事業部でもAWSよりはMS技術に注力するような動きも出てきました。僕が前に参加した社内のハッカソンイベントも、今年はAzure OpenAI Service縛りのテーマで参加者を募っています。

 世は生成AI時代。ChatGPTブームに便乗したなんか薄そうな本も本屋に行くといろいろ並んでいます。AWSにも以前からAI関係のサービスは各種揃っていて、勿論これまでにも使われていますが、対話型生成AIで単体でAzure OpenAI Serviceに相当して同等に戦えるようなサービスや機能がAWSにあるかというと、恐らく若干遅れを取っている現状でしょう。このへん流石はMicrosoftです。
 プライベートでも機械学習の簡単な本は読んだりChatGPTの本も読んだり情報を集め始めています。同じ生成AIの分野では画像生成AIについてはStable Diffusionに入門済み、それなりに深いところまで達して既にAI術師としてデビウしています。(キリッ...)
 ということで生成AI技術がエンジニアの仕事により大きな影響を及ぼすであろうこれから、仕事の方でもAI関係でより面白そうな案件に触れる可能性を少しでも増やすべく、Azureを体系的に学んでまずは一番簡単な資格から獲ってみようということで、このAzure Fundamentalsにチャレンジすることにしました。

書いている人のAzure Fundamentals歴

 AWS認定の一番簡単な『クラウドラクティショナー(CLF)』資格は受験対象に「AWS クラウドに6ヶ月間触れている」と一応書いてあるけど未経験の人もふつうにチャレンジする状況でした。一方この『Azure Fundamentals』資格は、特に触った実務経験期間の前提は見当たりませんね。

Azureの実務経験とよく使う興味のあるサービス

 実務経験はなし。基本は開発屋なので興味のあるサービスはコンピューティングサービス全般、サーバーレスアーキテクチャ周りとかマイクロサービスとかあのへん、そしてAI周辺ですね。
 面白いことにAzureはだいたいAWSのサービスに対応したサービスがあるので学びやすいのですが、対応するものがあったりなかったりカバー範囲が微妙に違ったりします。まだ完全に理解しきっていないサービスはもうちょっと深く知りたい気もしています。

AZ-900: Azure Fundamentals 合格記録

やったこと

基本方針の策定

 駆け出しのころの反省から新しい分野はまず体系的に学ぶようにしていますが、Azureの概観の本→次にAZ-900にフォーカスして進めるようにしました。どうなるかわからないので準備期限は1週間とか2週間とかも特に定めずに始めました。

スタプラで学習記録を可視化する

 かれこれ長く使っている学習アプリのStudyplusをを継続して、時間の計測にも使いました。達成報告を行う機能があって、AZ-900合格を報告したところけっこうな「いいね」が付きました。皆さんありがとうございます。

www.studyplus.jp

 スタプラにも学習記録をSNS連携でTwitterに放流する機能があるのですが、2023年7月頃からうまく動かなくなり、7月いっぱいで連携機能自体が停止しました。ツイートにも流れていくと学習した感が出て重宝してきたのですが、いざなくなるとけっこう不便です。Twitter改めX、いよいよ先行きが不安になってきましたね。イーロンさん余計なことばかりしおって...。

 ちなみに気が付いたらフォロワー数がもうすぐ2000人達成となりました。ITエンジニア関係の方はほとんどの場合フォローバックしておりますので(他ジャンルでも同様です)、記念にフォローしていただけると幸いです! (ダイレクトなお願い)

twitter.com

ネット上の合格エントリは...適当に

 ぐぐれば出てきますがそんなには調査しませんでした。まあ恐らくAWS認定のCLF試験と同じぐらいの難易度なんだろうなというのは分かりますし、実際そのぐらいだったという記事も多かったです。
 Azure認定資格の体系は分かりずらいので、上述のようにあらかじめ見ておくことをお勧めします。公式よりもトレケノートやUdemyの記事などなどのほうが一覧性があって分かりやすいです。

AZ-900: Azure Fundamentals 合格記録

学習の流れ

公式のデジタルトレーニング...は省略

 読んだ本にもMicrosoft Learnが紹介されていましたが、恐らくAZ-900レベルだとさっさと試験問題の学習に移った方がよいだろうと思って省略しました。

本:『全体像と用語がよくわかる! Microsoft Azure入門ガイド』

 Azureの数少ない全体の概観が掴める本。2022/1刊行で十分新しいです。内容はAWSだと4-5冊ある全体を概説した位置づけの本と同じ、カラーで図も多くわかりやすかったです。入門するならまずはこれからで間違いないでしょう。Azureの商業書籍はAWSに比べるとほんと少ないですね...

本:Microsoft認定資格試験テキスト AZ-900:Microsoft Azure Fundamentals』

 通称“青本”。資格対策の本としてはもう1冊、『(模擬問題付き)徹底攻略 Microsoft Azure Fundamentals教科書[AZ-900]対応』通称“黒本”もあります。黒本は2021/5刊行、この青本は2021/12で若干新しいのでこちらにしました。

 さすがに定番の資格対策本、各章にわたってまんべんなく書いてあります。しっかりやっておけば大丈夫でしょう。各章の最後には問題数7~14の章末問題、最後の第13章には40問の模擬試験付き。
 自分は1回目で章末問題は正答70%~高くて100%。特に点数が低かったのはネットワークサービスの60%や管理ツールの50%でした。(ギエ~) すでにAAWSでクラウドの概念やアーキテクチャを分かってる方にはスラスラ読めるところも多いと思います。
 最後の模擬試験は正答73%。奇しくもAWS認定のCLF本の模擬試験を解いてみたときの正答72%と同じぐらい。本の問題全部で集計すると正答78%。この時点で本番試験の合格基準70%をいちおう超えているわけですが...油断は禁物、学習を続けることにします。
 本書には問題の作成に当たって本番試験でも通じるものを工夫した...などとも言及されていますが、この本1冊だけで大丈夫かというとやや怪しいですね。若干簡単めの問題もあるので、他の学習リソースも組み合わせたほうが安全かと思います。このへんはAWS認定とまったく同じですね。

 なおこのエントリを書いている間に知ったのですが、この青本は改訂2版がMicrosoft認定資格試験テキスト AZ-900:Microsoft Azure Fundamentals 改訂第2版 (Microsoft認定資格試験テキスト)』として2023/8/29に出ます。これからチャレンジされる方はこちらをどうぞ。

 とはいえ認定試験のアップデートへの追随は商業書籍よりもUdemyなどオンライン学習リソースのほうが速いので、そちらで間に合うかなという気もします。

Udemyで学ぶ

 定番のUdemy。会社で契約しているUdemy Businessで無料でやれる講座の範囲内で間に合いました。皆さんたぶんやられてるであろう、評価の高いベストセラーの日本語版の模擬試験講座が2つあります。

講座内では模擬試験1~6ですが最後の模擬試験6が2回分で総計7回分、70問の問題*7回で490問から学ぶことができます。解説も詳しくてお勧めです。 2日に分けてやった1回目の正答率は低くて60~74%、平均して68%。合格ラインぎりぎりというところ。AWS認定の問題も1回目はこれぐらいでした。 復習して2回目は80~90%に上昇、平均して安全圏の86%に到達。試験前日~当日に3回目もやって平均88%で僅かに上昇。十分と判断して本番に臨みました。

 定番講座としてはもうひとつ、60問*5回+旧試験範囲で68問1回分が学べる講座があります。こちらもやろうかとは思っていたのですが、結局やらずに間に合ってしまいました。

 2つの講座のうちどちらかをやっておけば試験対策には十分かと思います。

タイムマネジメントは...意識しない

なおAZ-900試験の本番試験は35~40問、合格ライン70%、試験時間は45分。Udemyをやった結果1回分の模擬試験で15~25分だったので時間は十分でした。
 AWS認定でも最難関の『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル(SAP)』は3H弱の時間管理が超重要ですが、入門レベルの『クラウドラクティショナー(CLF)』は特に気にしなくて大丈夫でした。このへんはAzure認定資格でも同じで、AZ-900試験については時間は余裕で行けると思います。

MS公式サンプル、模試

 このへんも探すと出てきそうですがスキップしちゃいました。

「大丈夫、なんとかなるって」(by五条悟)となるのこと

 難関試験の場合は前日の金曜は仕事で午後半休をとったりして万全を期したこともありましたが、今回は大丈夫そうなのでそれもなし。
 ちょうど前日に会社の部内のオンライン自己紹介イベントがあったので、資格の29個目に何を隠そう明日チャレンジしてきます!と部内の人に宣言してコミットメントをキメてから臨むことにしました。
 前日は余裕があったのでふつうにアニメとか観てましたね。夏アニメ定番の『呪術廻戦』2期の夏油傑が闇落ちするあの重要回を試験前に見られました。これがこうして『劇場版 呪術廻戦 0』にちゃんと繋がってアニメとコミックの本編に至るわけね...積み重ねのある重要キャラクターの過去話って良いですよね...

jujutsukaisen.jp

AZ-900: Azure Fundamentals 合格記録

暑い真夏に試験会場へ行くのこと

テストセンターへ

 Azure認定資格でも自宅でのオンライン受験は何かとトラブルを見聞きするので、安全を考えて今回もテストセンター受験です。AWS認定と同じくピアソンVUEで予約できるので、勝手を知っている新宿「西新宿テストセンター」にしました。新宿西口にあるDaiwa西新宿ビル8Fです。ここは枠が多いのでお勧めです。
 最初は土曜の朝一番の9時台を考えていたのですが、そのうち埋まってしまったので11:30開始の回でした。朝は家で復習してから本番です。
 とりあえず8月の都心はやっぱり暑い! コロナが5類になってからマスクしない人も増えていましたね。

試験本番!

 準備してきたので本番はさすがにスムーズに進みます。最後まで行って復習して、制限の45分を待たずに余裕で終了。
試験問題そのものについては秘密保持契約に触れるので書けませんが、Udemyでやったのと似たような問題がけっこう出た印象です。あとは試験システムの画面が面白かったので書いておきませう。

  • AWS認定は受け始めたころ、なんとなく昔のJava言語のServlet/JSP時代のWeb画面みたいな古さシンプルさがあってその後改善されていったのですが、Azure認定資格の画面はなんか綺麗!
  • フォントはメイリオ系だったでしょうか、くっきり見えます。あれブラウザの画面でなくてデスクトップ用の何かのような....NETでやっているのでしょうか、UI構築に何の技術を使っているのか微妙に気になります。
  • カラフルな原色のタイルも使ってあって、なんかいかにもリニューアル後のMicrosoftブランドっぽいスッキリ感がありました。
  • 文章中の空欄に埋める言葉を選択する問題、AWS認定だと問題文と別の場所にあるラジオボタンからふつうに選んでいましたが、Azure認定資格だと問題文のテキストに続いて埋め込まれたリストボックスからプルダウンで選択できます。
  • 左の方に回答のキーワード群があって、ぐにょっとドラッグ&ドロップして問題文と正しく紐づける形態の問題があったり。ピタッと貼りついて動きもスムーズです。これもAWS認定の試験にはないUI。
  • 問題によっては下の方にカラフルなAzureサービスのアイコンが色付きで出てきたりします。
  • 色覚に問題がある方向けに、画面の下の方から選ぶとハイコントラストな文字と背景色が選べたり。
  • 各問題文ごとに、下の方から選ぶと英文も表示可能。AWS認定は2019~2020年頃は不自然な日本語訳がけっこうあって楽しかったのですが、2023年現在のAzure認定では不自然な日本語文はほとんどなく、英文への切り替えはほぼ不要でした。

 という感じで試験システムのUIが綺麗だったのが印象に残りました。

すぐ分かる試験結果

 AWS認定も試験直後に結果が分かっていましたが、2023年現在、確か最近仕組みが変わって5営業日以内のメールと認定アカウントのページで確認できるようになっていました。
 Azure認定資格は今も試験直後に分かるようになっていて予定通り合格です。試験の受付でペーパーももらえて、試験範囲のコンテンツ領域ごとの「要努力」「普通」「優秀」の分布も分かるようになっています。自分は全部「普通」の上の方でした。

 ペーパーに書いてある「マイクロソフト認定プロフェッショナル(MCP)メンバーサイト」というのが今はMicrosoft Learnのサイトと統合されていますが、反映まで7営業日以内となります。僕の場合は試験の同日にすぐメールが来て反映されていました。

learn.microsoft.com

 なおAWS認定はCredlyという認定バッジを貯めておけるサイトと連動していますが、Azure及びMicrosoftの認定資格群はMicrosoft Learnの中で完結するようになったので、Credlyとの連携はもうしてないそうです。

AZ-900: Azure Fundamentals 合格記録

試験まとめ

得点:850点

 合格ラインが700点なので余裕をもって合格できました。
 AWS認定だとSAA:836点、DVA:845点、SOA:801点、DOP:902点、SCS:875点、DBS:804点、SAP:785点、CLF:882点と来たので、だいたい同じような感じですね。
 Udemyで安定して8割を超えられれば本番試験でもだいたい同じぐらいの数字が出せる...という体感がありましたが、Azure認定資格でもおおむね同じ印象です。

費用:2.3万(実質1.4万円)

 本を2冊買って約5000円はこのブログの収益のアマギフ券で払って実質117円。
 Udemyの講座2つで4000円は会社のUdemy Businessでやったので0円。
 試験は自分のクレカで申し込んで13,750円、実質ほぼこの受験料だけでした。
 後で請求すれば会社の費用で払えるのでいつかやっておこう...でも手続きがめんどくさくて忘れちゃうんですよね...  AWS認定の『クラウドラクティショナー』は税込み12,100円なので、若干高めですね。

学習期間と時間:2週間~、約30H
  • 『全体像と用語がよくわかる! Microsoft Azure入門ガイド』読書に4.5H
  • 青本Microsoft認定資格試験テキスト AZ-900:Microsoft Azure Fundamentals』学習に11H
  • Udemy『【6万人が受講】AZ-900 Microsoft Azure Fundamentals模擬試験問題集(7回分490問)』学習に16H

1冊目の本は完全に試験対策かというと微妙なので半分ぐらいにすると、総計30H前後。1冊目の本も入れると期間的には3.5週間、青本からだけにすると2週間になりました。 ちなみに自分の場合のAWS認定の学習時間と比較すると以下になります。Azureという新しい世界だったのでCLF資格よりは時間がかかりましたね。

  • アソシエイトレベルのSAA/SVA/SOA:70~80H
  • 専門知識のSCS,DBS:40~50H
  • プロフェッショナルレベルのDOP:80~90H
  • プロフェッショナルレベルのSAP:~120H
  • SAPの1週間後に獲ったCLF:10H

 まあこの辺はその方のスキルセットや経験、環境によって大きく差が出ますから、時間は人と比べないでやっていくとよいでしょう。

『AZ-900: Azure Fundamentals』資格試験所感:やはり何事も基礎から体系的に!

 新しい物事を体系的に学ぶ際は、基礎から積み上げて順々に学んでいくのが大事だなというのはよく感じるのですがAzureも同様。初めてこの世界に入門する人のために資格も入門書もよくできています。
 普段から仕事で使っている方なら飛ばしてアソシエイトレベルから行くのもありかもしれませんが、まずはこのAZ-900からが正道でしょう。同じファンダメンタルズ(Fundamentals)レベルにもデータ処理の資格、AIの資格が2つありますがそこではAzure自体の基本情報は省かれているそうです。
 この記事の「領域別の分類(追記)」のところで述べた領域の図でも全部が重なる位置に配置されており、ますますこのAZ-900が一番最初の入り口、すべての基本だというのが分かります。

 ちなみに少しでもAWSを知っていると差分を学べばよいので割と楽です。

  • クラウドコンピューティングの概念、いくつかある利点、プライベート/パブリック/ハイブリッドクラウドの話などはまったく同じ。
  • といいつつAzureには資本的支出(CapEx)と運用支出(OpEx)という新しいワードが出てくる。
  • アーキテクチャの話もアメリカ中心に世界にリージョンがあり、特別なリージョンもあり、リージョンの中にデータセンターが集まったAZがある...という構成も同じ。
  • ちなみにAWSだと「アヴェイラビリティゾーン」や「AZ」と普通に英語のまま発音するが、Azureだと「可用性ゾーン」という一部日本語のワードがある。
  • AWSの日本では先に東京リージョン、後から大阪リージョンが追加されたが、Azureだと最初の方から東京と大阪両方にある。
  • 単に「ゾーン」と言うと、AzureではAZではなくリージョンの分類でそういう概念がある。
  • AWSの最初のサービスはEC2とS3でIaaSでスタート。(厳密にはSQSが一番古い) でもAzureは2010年代に入ってからの登場なので、PaaSが中心。
  • まずはAWSアカウント/Azureアカウントを作って始めるのは同じだが、Azureにはアカウントの下に「サブスクリプション」という支払い単位の概念がある。
  • Azureはストレージ系サービスに「ストレージアカウント」という概念がある。

 などなど、まったく同じ点もあれば微妙に違う点もあります。AzureはPaaS源流だというのも面白いですね。
 基本のコンピューティングサービス回りについても同様で...

  • 基本の仮想マシンAWSのEC2 → そのまんまAzureのAzure Virtual Machines 略してVMをよく使う。
  • VMを配置するネットワークはAWSVPC → Azureの仮想ネットワーク、Azure Virtual Network (略してVNet)。
  • RDB系はAWSのRDS, Aurora → AzureだとSQL Serverクラウド強化版にフォーカス、Azure SQL Database でPostgresとMySQLはあるがOracleがない。
  • NoSQLはAWSのDynamoDB → Azureだと簡単なものはストレージサービスのAzure Table Storage、本格的になるとCosmos DBへ。
  • オブジェクト単位のデータ保存はAmazon S3 → Azure Storageの中のAzure Blob Storage がだいたいカバー。長期保存用のS3 Glacierに相当する「アーカイブアクセス層」という概念もあって、だいたい同じ使い方をする。
  • サーバーレス御用達のSQSに該当するAzureキューもあるが、ストレージサービスの範囲の中にある。
  • FaaSはAWS Lambda→Azure Functions がそのまんま該当。
  • でも手軽にアプリをデプロイできる Azure App Service はAWSには完全に相当するサービスはない (EC2をフルマネージドにしたPaaSのようなアプローチ?まだ自分の理解が足りないです...)
  • クラウドインフラ自動作成はAWSならCloudFormationでYAMLで書くが、AzureはARMテンプレートという機能で、JSONで書く。
  • AWSのサービス名は先頭がAmazonAWSで始まるが、Azureの場合は先頭はみんなAzureで分かりやすい。
  • AWSのサービス名は3文字略称でEと言ったらElasticのEだったりするが、Azureのサービス群は3文字略称がない。

という感じで1対1でAzureにも対応する概念があったり、なかったり、グルーピングが違ったりカバー範囲が違ったりと様々です。このへんの違いも面白いですね。

今後の展望

 ということでAzureの世界も入り口は突破しました。今後の流れとしては順当なのは中級のアソシエイトレベルに進んで

  • 構築や運用の『AZ-104: Azure Administrator Associate』
  • 開発の『AZ-204: Azure Developper Associate』

に進むのが妥当でしょうか。2つあるうちのAZ-104は商業本も出ているし情報も豊富なのですが、実務のチャンスの前に資格だけ頑張って取ってしまうと後の更新が大変そうな気もするのでちょっと様子見です。それよりは...

  • このAZ-900と同じく同じく基礎ファンタメンタルズレベルの『AI-900: Azure AI Fundamentals』
  • 上位のアソシエイトレベルにも『AI-102: Azure AI Engineer Associate』

というAI周りの資格が2つあるのが気になっています。後からできたのかマイナーで日本語の商業本もまだ出ていないのですが、前に社内で参加したセミナーでも講師のMicrosoftの方がこれらの資格をプッシュしていました。AI-900の方はUdemyに講座があるのも発見しました。この記事の「領域別の分類(追記)」で書いたように推されている領域でもあり面白そうなので、深堀りしてみようかなと思っています。

learn.microsoft.com learn.microsoft.com

AZ-900: Azure Fundamentals 合格記録

おまけ:これまでの受験記録だよ

当ブログの資格試験の合格エントリシリーズは以下を記録しています。

iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com

AWS認定対策本のまとめ記事もちょいちょい更新していたのですが、あっ最近けっこう新刊出てきたのにメンテしてないですね...

iwasiman.hatenablog.com

おまけ2:このエントリのアイキャッチ画像

 元の絵は画像生成AIのStable Diffusionで生成し、かつ手を加えて制作物としたAIイラストです。イラストSNSの「ちちぷい」さんで定期的に出てくる投稿企画、「#夏休み」お題に参加しての記念投稿でした。
 ファンタジー世界の女性騎士キャラクターがいつもの鎧を脱いで、お忍びでお出かけという感じのシチュエーションです。かわいいキャラの画風が得意な機械学習モデルを使っているので成人キャラクターでもかわいい成分多めになっています。イラストSNSのpixivさんへのリンクはこちら。

#騎士 騎士の夏休み - iwasimanのイラスト - pixiv

Positiveなほうの以下の呪文とSeed値を用いて同一キャラクターを召喚し、別ツールで不要部分削除、画像ソフトでピクセル直接編集で手直し、別生成のエンブレムやタイトル文字を配置して創作物として完成させています。

absurdres, absolutely resolution, highres, texture, (masterpiece: 1.5), (best quality ), cinematic lighting, outdoor, summer sky, green plains, BREAK
1lady, standing, 25yo, (beautiful detailed silver hair), long hair, wavy hair, wind, french braid, light blue eye, (highly detailed beautiful face and eyes), eyes in highlight, peaceful smile, violet hair ornament, (finger to mouth), summer dress, looking away,

 定型の品質向上系プロンプト、状況設定にoutdoor, green plainsに加えてsummer skyのプロンプトを加えることで、Azureな夏空の情景を召喚することができました。
 今後またAzureの資格の合格エントリを書く機会があったら、またAzureな美しい空の絵でも添えることにいたしましょう。

 それでは、AWSの雲海の王国と並んで名高いAzureの紺碧の空の王国に挑戦する方々に、風のご加護のありますように....(`・ω・́)ゝビシッ