これから挑戦する方へ
AWS認定のSAA突破の振り返りをする合格エントリのシリーズ3つめの最後です。1つめ、2つめの記事にアクセス&ブクマありがとうございました。
さして実務で使ってない人間が何言うとんねんという話ですが、ここではAWS未経験もしくは経験が浅い方で、かつこの『ソリューションアーキテクト- アソシエイト』(SAA)試験に挑戦する方向けに思ったことを書き記しておこうと思います。
学習の題材
自分にあった学習方法を選ぶ
これはAWS Summitでも語られていました。僕はまずは参考書から始めましたが、人によっては動画で学ぶと頭に入る方、文章でなく絵で学ぶと分かる方、ハンズオンで実際に手を動かすと覚える方、ググって公式の資料で覚える方、問題演習で覚える方、集合トレーニングが向いている方、果てはすごい人の発表を聴くとテンションが上って覚えたり、自分でLTすると覚えたりする剛の者もいらっしゃるかもしれません。
自分がやりやすい方法を選ぶとよいでしょう。また、学習メディアは複数用意した方が安心です。
参考書
世の中には技術書いろいろありますが、基本的に資格関係の本というのはその道の詳しい人が書いているので、大きい外れはないかと思います。書店で実際に手に取ったりサンプルをダウンロードしてパラ見したりして、やりやすいものを選ぶとよいでしょう。当ブログでまとめた記事はこちらです。
またSAA試験は範囲も多岐に渡り、様々な小ネタのような知識もあります。例えば、
- ストレージサービスのS3でワークロードが増えた時のパフォーマンス改善方法として、キー名にランダムなプレフィックスを付けると良い。
https://aws.amazon.com/jp/premiumsupport/knowledge-center/s3-bucket-performance-improve/aws.amazon.com
恥ずかしながら僕はこれを思いっきり見落としていて問題演習の中で気づきました。けっこう出る問題です。この話は参考書だと書いてある本と書いていない本があります。このように本によって少しづつ違いがあるので、念のため本は2冊やるとさらに安全かと思います。可用性を考慮したAWSアーキテクチャの基本、マルチAZ構成ならぬマルチ参考書構成でいきましょう。
公式のホワイトペーパーやブラックベルト
これら公式資料を中心に学ぶ方法も、他をベースに学習しながら適宜参照する方法もあります。
aws.amazon.com aws.amazon.com aws.amazon.com
公式トレーニング
自分が受けたのは会社の費用で出せたお高い集合トレーニングですが、他にも無料のもの、動画のもの、いろいろあります。
下の「AWSOME DAY」のように、公式提供のイベントの中で学べるもの、さらにオンラインでも学べるものもあります。
ネット上の問題集
「Amazon AWS 資格取得のための演習問題集(完全無料、オリジナル)」は合格エントリでもよく見かけます。新しい問題から適宜遡ると吉。「AWS まぎらわしい用語一覧」なども整理に役立ちます。
こちらもよく見る「AWS WEB問題集で学習しよう」。自分は4200円のプラチナプランをやってみました。
「【模擬テスト問題50問】AWSソリューションアーキテクト サンプル問題集[改訂版試験対応]」。会員登録するとSAAの問題を解くことができます。
SES企業のSTRA株式会社さんサイト。「AWSエンジニア向け試験対策問題集」というコンテンツで1ページ1問+解説でSAAの問題があります。9問*55ページ=495問?
そして2019年現在で最近の合格エントリで時々名前が出てくるのが、英語の学習サイト「WHIZLABS」。
クラウド関係のコースを見るとAWS認定はCLF(クラウドプラクティショナー)、SAA/DVA/SOA/、プロフェッショナル級もあり、いずれも無料で20問、有料コースで19.95ドルで620問ほど学べるようです。(65問形式の模試が455問+セクションごとのテスト165問=620問。でもトップページだと705問とある)
このWHIZLABSは良かったという情報が多いので、英語でもいける方、Google翻訳の助けがあればいける方は試してみてはいかがでしょうか。そしてぜひ具合を合格エントリで展開してください。
Udemy
Udemyは以前は他にも日本語のコースがあったようですが、現在は定番が以下2つ。定価だと1万2000円、3600円と高いので、受講を考えている方は定期的に見に行ってセールになったら即座に買うとよいでしょう。買った後の有効期限はないので安心です。
これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座(初心者向け21時間完全コース)
AWS 認定ソリューションアーキテクト アソシエイト模擬試験問題集(5回分325問)
実体験から言って、上の2つのコースで模擬試験でコンスタントに80%以上が取れるようになれば本番でもまず安心かと思います。他にも「aws certified solutions architect associate」などで検索すると英語のコースもいくつかあります。評価の件数が多い=受講者が多い、そして評価の★が高いものを選びましょう。
学習の進め方
実際に手を動かして学ぶ
まあ当たり前ですね。これはAWS公式のミニセッションでも、参考書でも、講師の方もみな口を揃えて言っています。ITエンジニアとして何か新しい事柄を学ぶ際の基本ですね。
僕は順番が逆で資格を得ることを実務のチャンスに繋げるという形だったこともあり、集合トレーニング以外でまったく実践できていなかったので自戒として書いておきます……。
会社のリソースを活用する
これは各社ベンダー資格にありがちですが、AWSも公式トレーニングや受験料、かなりお高いです。比較的規模のある会社にお勤めの方は、こういうシーンで会社から補助が出たりすることもあると思います。
こういう時こそ会社のリソースを有効活用する時です。承認が下りそうなら、どんどん会社のお金や教育などなどリソースを使いましょう。
各分野をまんべんなく学ぶ
IT系資格の基本、『基本情報技術者試験』や『応用情報技術者試験』は特に午前I問題、ものすごく範囲が広いんだけど6割取れれば通るので、分からなかったり暗記がめんどいところはすっ飛ばすして省略するというテクニックがあります。
まあやる方はいないと思いますが、AWS認定のSAA試験ではこの省略は絶対やらない方がいいです。設問にシチュエーションが設定され、これを解くベストなソリューションは次のサービスのどれを使うものか……のような、アーキテクチャ設計原則とベストプラクティスに基づいた回答を問われる総合的な問題がけっこう出ます。EC2+ELB+RDSのよくある構成は分かるけどLambdaやSQSはまったく知らん、みたいな極端な態勢でいると本番ですみやかに死ねるかと思います。
また問題は選択肢を消去法で選んでいくことが多いので、設問と直接関係ないサービスだけどこれとこれは明らかに違うから外せる……というように、広く知っておくとそれだけ正解を絞りやすくなります。
合格エントリを参考にしつつ、かかった日数や時間は気にしすぎない
僕も各所の合格エントリを見まくって多数の有益な情報を得ることができましたが、特に初心者にお伝えしたいのがこの話。
AWS認定の合格エントリにはかかった期間や時間がよく華々しく添えられています。資格合格や就職に転職、人間何かしら努力が報われたら人に認めてほしいものです。Qiitaに投稿して「X週間でAWS認定に合格(ドヤッ!)」とか、「難しかった?」「簡単だったよ(ドヤァ..」みたいにやりたくなるのが人情というものです。かくいうこのエントリも未経験から突破したことを少々ドヤっています。(笑)
僕も学習中はいろんなエントリを拝見するにつれ「聖書の天地創造ですら7日なのに3日で受かっとる……この人は神か……」とか「なんで新卒や2年目でこんな軽々と受かっとるんや……連邦軍のモビルスーツクラウド時代の若手エンジニアは化け物か?」とか「40時間で受かっとる……ワイはもうその2倍かかっとるのに……」みたいな、雲の向こうの天上界に手が届かず地上界で地面に這いつくばる人みたいなお気持ちになりそうでしたが、気にしないことにして準備を進めました。
合格できるだけの実力があり、予定通り合格したから書かれた合格エントリもありますが、中には危ない状態でたまたま受かったからこそ書かれた合格エントリ、もし落ちたら書かれなかったエントリもあることでしょう。華々しい合格エントリの中では書かれていなくても、実際は書いた人はインフラやクラウドや開発やいろんな知見があって、スタートライン時のスペックが読む側とはそもそも違っていることもあります。
実際、非常に数は少ないですが、チャレンジが不合格に終わったことを正直に書いた不合格体験記も存在します。(こういうのは勇気が必要であり、偉いと思います。)
という訳で挑戦する方は日数や時間についてはあまり気にせず、自分のペースで前に進んでいくことをオススメします。ベンダー資格はいつでも受験できますし、資格なんてどれだけ時間がかかろうが受かってしまえばこっちのもんです。当エントリでも、3.5か月約80Hもかかってしまったことを正直に書き残しておきます。
また、世の中には資格不要論を唱える人とか資格ないけど俺はSUGEE的な主張をするような人が時折湧いてくることもあります。Twitterで時々ポップアップしますね。だいたいAWS認定のようなモダンな資格でなく伝統的な資格が槍玉に上げられることが多いです。まあそういうのもエラスティックな柔軟なココロをもって、そっとしておきませう。
模擬試験の話
問題演習のすすめ
本や動画などを漫然と流していると、「ふーん、AWSってどのサービスもすごいね」的な浅い理解で終わってしまうことがあります。(実例:自分)
こういうスタンスでいると実際の問題を前にした時、たとえば設問で処理した情報をどこかに保管したいという問題が出た時……「ふむCloudFrontは明らかに違うから除外だな。あれ……待てよ、S3もEFSもEBSもこれ全部保存できるじゃないか? というかストレージじゃなくてもいいならRDSもDynamoDBもElastiCacheもRedShiftも全部保存できる気がしてきたぞ。やばいどういう時に使い分けるんだ?」的な感じになって脳内にアラームが鳴り響くことがあります。(実例:自分)
という訳で未経験者や入門者の方は特に、各種学習メディアに加えて実際に近い問題演習を早めに取り入れ、パターンを学びながら足りない知識を埋めていくことをおすすめします。
公式模試を必ず受ける
これは多くの合格エントリで語られていてその通りですね。手軽に受けられるので全問スクショの準備を整えて臨むとよいでしょう。
SAA試験は2000円+消費税です。何度でも受けられるので、理論的にはソシャゲの有料ガチャの如くお金をかけるほど合格率は上がっていくことになります。
なお、あまり期間を空けずに再受験すると同じ問題が出てしまうことがあるという情報があります。
模擬問題の難易度比較
よく合格エントリに「本番は参考書の模試や公式模試に比べて桁違いに難しいので注意!」「2段以上難しいので注意!」などの記録があります。
おそらくこれらは、合格できるレベルの実力を持った方があまり問題演習せずに本番に挑戦し、難しいと感じたけど実力で乗り越えて受かってそのあとこう感じた、というパターンから来るのではないでしょうか。
というのは自分はUdemyの模試セットまで学んだあとに本番に臨みましたが、確かに分からない問題も出たのですが難易度は桁違いというほどでもなく1段難しいぐらい、という印象を持ったからです。雑ですが以下のように感じました。
Udemyの模試5回セット>UdemyのこれだけでOK!≒SAA試験本番≒有料のAWS WEB問題集>公式模試≒参考書の模試
- Udemyの模試5回セット:本試験で特に難しい問題、レアな問題も揃えているため
- UdemyのこれだけでOK!の模試:本番に近い感触
- 有料のAWS WEB問題集:さかのぼっていくと古い問題もあるが、数も多く本番に近い
- 公式模試:頻出パターンの比較的易しい定番問題が多め
- 参考書の模試:本の内容のまとめの意味もあり、比較的標準的な問題が多いため
※なおこれは完全に肌感覚に基づいた主観的なものです。あまり信用せず、ご自分でお確かめください。
SAA模擬問題のコスト
有料のものについて集計してみます。消費税は増税前、Udemyはセール時に買った金額とします。
対象 | 問題数 | 価格[円] | 1問あたりのコスト |
---|---|---|---|
模試1回分がついた参考書 | 65 | 2500とする | 38.5円 |
公式模試 | 25 | 2160 | 86.4円 |
「AWS WEB問題集で学習しよう」の有料分最新 | 147 | 4200 | 28.6円 |
Udemyの「これだけでOK!」の模試3回 | 195 | 1320 | 6.8円 |
Udemyの模試5回セット | 325 | 1440 | 4.4円 |
やってないけどWHIZLABS | 620 | 約2000円とする | 3.2円 |
数字だけ見るとUdemy、WHIZLABSはかなりコストがよいことになりますね。
当日の話
テストセンターの話
- ひとつ前のエントリ(【AWS】AWS認定『ソリューションアーキテクト- アソシエイト』(SAA)に未経験から合格した話:学習の流れ - Rのつく財団入り口)に書いたとおりで明確な答えは不明ですが、ピアソンVUE経由の受験会場だとあまり監視が厳しくないようです。
- 試験の入室前のチェックは厳しくて腕時計やスマホも全部預けます。髪留めや大きい装身具もNGのようなので女性は注意。
- こういうPCが並んだ会場にありがちな話ですが、夏場は冷房がガンガンに効いていてかなり冷えます。僕は9月に受けましたが、もし服装がTシャツ1枚や半袖シャツだったら支障をきたしていたかもと思います。これも女性は特に注意。
日本語の不自由さに慣れる
たぶんAWS認定を目指した方が一度は見たと思う、11冠制覇の方のQiita記事にもこの話があります。
そう、こういう感じの不自由な日本語がけっこう出てきます。AWS認定では問題文の直接公開は禁止されていますが、これはローカリゼーションの話だからたぶんだいじょぶだよな……と思いつつ、参考までに僕が本番中に覚えている不自由さの例を挙げてみます。
- とても不自然な文脈で複数回出てくる「経路」。原文を見ると
Route, Routing
が直訳されていたり。 - VPCのセキュリティグループで重要な「インバウンド」「アウトバウンド」が、まったく違う変な日本語に訳されていたり。
- AWSのサービス名や機能のアルファベット綴りはアッパーキャメルケースかスペース区切り大文字始まりが基本だが、これが崩れて
GLACIER
と書かれていたりする。JAVASCRIPT
とかRUBY
とか書かれてるとエンジニアがイラっとするやつ。 - AWSのサービス名や機能を表すセンテンスが、一般的な英語の動詞や名詞と混合している。たとえば原文の選択肢が
CloudTrail trail
でたぶん「CloudTrailによる追跡」と言いたいところ、「ClodTrailトレイル」という謎翻訳。 Elastic, Elasticity
が「弾力性」と直訳されていてぼよーんとしている。合ってはいるんですが、日本語の文脈によっては「伸縮性」「拡張性」「柔軟性」あたりがベターな時もあったり。
試験中の画面で英文も見られるので適宜切り替えるとよいでしょう。技術英語というのは余計な修飾がないので、小説や映画に比べると分かりやすいです。英語が苦手という方も単語さえ分かればなんとかなったりするので、困ったら原文を見てみましょう。
問題の解き方
すぐ解ける問題を逃さない
学習していくとだんだん、設問の状況によって答えが1択ですぐ解ける問題というのが分かってきます。
例:「モバイル」なアプリケーションをAWSを使って開発しており、認証はFacebookやTwitterなど「SNSと連携」させたい。(→ID連携、技術要素としてOpen ID ConnectやSAML2.0) この仕組みを「なるべく手間を掛けずに」開発したい。適したサービスは?
→答えは Amazon Cognito 1択。
こうした、知ってさえいれば解ける問題を逃さないようにしましょう。
回答が分岐する問題のパターンを掴む
たとえば様々なオプションや用途がありよく使われるオブジェクトストレージのS3。SAA試験でも試験範囲ですが、これのオプション選択を問われる問題はよく出ます。これもパターンがあります。
- データのアクセス頻度が一定時間後に変わる(XXヶ月後など)なら、そこでオプションを変える。
- データを「即座に参照」したいなら、標準的なS3標準 (S3 Standard)。取り出しにお金はかからない。
- データにに高頻度と低頻度が両方混じっているなら、賢く判別してくれる S3 Intelligent-Tiering。
- 「即座に参照したい」かつ「アクセスすることが少ない」ならS3標準-低頻度アクセス(S3 Standard-IA)。ここから取り出しにお金がかかるようになる。
- 上のIAの条件を満たし、かつデータの重要性が低くて消えてもよくコスト優先なら(ログなど)、S3 1ゾーン-低頻度アクセス(S3 One Zonne-IA)。保存先がシングルAZのみでさらに安くなる。
- データを「めったに使うことがなく」、必要になった際に「10時間以内」「翌日」など時間が掛かってもよいなら、S3 Galcier。氷河の底に深く保存して安くなり、標準だと取得には数時間掛かる。
- 上のGlacierの条件を満たし、かつ必要になったら「数分以内に」など急ぐ場合は、S3 Glacierの迅速読取りオプション。250MB以内なら1-5分で取得できる。問題では具体的な分でなく数分などが多い。
- S3標準+低頻度アクセスか、Glacier+迅速読取りか迷ったら、「費用対効果が高い方法」などとコストの指示があればたいていGlacier+迅速読取り。データが250MBを超える大きいものだったらS3標準+低頻度。
- やこしいがS3 Glacierの条件で取得が「翌日」などとあり、アクセス頻度がさらに低い場合はS3 Glacier Deep Archiveというのもある。取得には12時間かかる。要件でコンプライアンス対応やログなど、決まりだから保存しているが実際は使わない...というような形式的なデータに多い。条件を満たす選択肢がGlacierとGlacier Deep Archiveと両方あったらDeep Archiveを選ぶ。
- 処理中の一時的な中間ファイルを保存したりする用途には、低冗長化ストレージのS3 RRSというのもある。AWS公式が非推奨しておりレアめなサービス。問題に出ることもレア。
普段からS3をばりばり使っている方には感覚で分かる話なのかもしれませんが、経験が浅い方の場合は問題を多くやってパターンを掴んでいきましょう。
ソリューションを問われる設問は問題文の状況を把握する
複数の分野の知識、複数のサービスの知識が問われる問題。エンジニアとして複数のプロジェクトで様々な開発経験のある方はこういう時強いでしょうし、僕もシステムアーキテクトの資格経験がある程度は役に立ったかなと思います。
こうした問題は、当たり前ですがヒントや情報はすべて問題文の中にあります。これらを整理していきましょう。
- まず解決策を当てはめたい対象は何か。
- アプリケーションかWebアプリケーションか
- モバイルか
- 静的サイトか
- 集計バッチのような処理か
- 新規アプリか、オンプレ環境からの移行か…など対象によって答えが違うこともある。
- レスポンスが返ってくる速さや処理終了までの時間など、速度を上げてパフォーマンスを確保したい。
- これもコストは幾らでも掛かってもいいからとにかく速くしたい場合、ある程度コストを抑えつつ改善したい現実的なケースもある。(後者が多い印象)
- 書き込みか読み込みかでも分岐する。読み込み性能であればRDSならリードレプリカの追加、ElastiCacheやCloudFrontなどキャッシュの導入のパターンもある。
- 世界中からアクセスされるグローバルなサイトだったりするとRoute53が出てきたり。
- 可用性を上げてアプリを落ちなくしたい。
- AWS側の障害時を言っているならマルチAZ構成、負荷が高くなるならELBでバランシングなど。
- 人気投票サイトで特定の期間だけ負荷が集中するのが分かっている→Auto Scalingのスケジュール、もよく出る。
- データがどんどん増えても大丈夫にしたい。
- フルマネージドなサービスに切り替える
- RDSならAuroraにしてAuto Scaling
- 格納後SQLクエリを発行しないデータ、ユーザ情報の保存などならDynamoDB導入など。
- 掛かるコストを安くしてコスト最適化をしたい。
- セキュリティを確保したい。CloudWatch系の各種監視、Trusted Advisorなど各種。
- データを暗号化して保存したい。各サービスによって暗号化のオプションがあったりする。
- 信頼性を上げたい。
- 障害をそもそも避けたいならマルチAZ構成やリージョンをまたぐ
- RDSのプライマリ/スタンバイ構成
- S3で分散して保存
- 障害から迅速に復旧したいならEC2のスナップショットなどなど。
- オペレーショナル・エクセレンスで運用を楽にしたい。
この系統の問題も色々あるのですが、一番の早道は、やはり問題演習を沢山やってパターンを徐々に理解していくことかなあと思います。
AWSが万能でないことも知る
適当に学んでいくと「AWSってSUGEEEE!」という短絡的な理解になりがちです。(実例:自分)
実際各社クラウドプラットフォームは凄いのですが、できないこともあります。間違いやすいことは参考書にもよく書いてあります。
- ELBでロードバランシングすると大量アクセスも余裕である。対象のEC2インスタンスにヘルスチェックをして脱落したインスタンスにはアクセスが飛ばないようにもしてくれる…が、脱落したインスタンスを自動で復活させたり面倒を見てくれるわけではない。
- Auto Scalingを使うと貯められるデータは無限大、従来のRDBでのデータ量増加の悩みも完全解決。さあAWSならではのRDSに移行しよう…と見せかけて、オートスケールするのはRDSの中ではAuroraだけである。
なおAutoScalingの話は2018年改訂版のSAA試験の中ではAuroraだけで正しいのですが、実際のサービスは2019年1月に他のRDSでもスケールするように進歩してきています。2020年3月予定のSAA試験改訂後のSAA-C02
試験だと取り込まれるかもしれませんね。
AWS最強理論を応用してみる (※ネタです)
最後にネタ。各所の合格エントリを拝見すると「AWSは最強だぜヒャッハー!と思いながらやるといいよ!」的な話が時々出てきます。そう思いながら学んだほうがモチベーションが上がること、その立場で考えると解ける問題があることが理由です。
確かにこれは当たっていますので深く洞察してみませう。さァ、Amazonといえば黙示録の時代に世界を支配せしGAFA四騎士が一騎、世界の見習い騎士エンジニアが羨む至高の頂点のひとつ。
AWSはこの物流を司る巨人の騎士Amazonの栄華を支える第一の軍団の主。雲の果てより出ずるオウトメイテッドかつフルマネージドな機械仕掛けの天使の軍勢を率い、エラスティックかつオートスケールドな雲海の無限の力を振るうクラウドレギオンの主、すなわち人界の空の半分を支配せし雲海の軍団の将なり。
そして暁の光をもちて定命の人の子の職人を豆の木から雲界へ誘い、認定者の憩いの場にて神の叡智を授け、天界の高みへと導く虚空の王。ゆえにAWSは最強なのであります。(以下、中二モード突入)
- AWSは最強である。ゆえに膝を屈することはなく、その歩みは止まらない。サービスを一旦止めて何か手間のかかることをして復旧する選択肢はたいてい間違いで、止めずにサービスを続行させる方法、負荷分散などで障害を未然に防ぐ方法がある。(例外はディザスタリカバリで別地点でとにかく速く復旧させたい場合で、EC2を一旦止めてスナップショットを取るなど)
- AWSは最強である。ゆえに他の騎士の手を借りることはない。他の雲海軍に救いを求めるなどもってのほかである。選択肢で他のサードパーティ製ライブラリを使う、開発者が手動でスクリプトを作って動かす…などはたいてい間違いで、普通はAWSのサービスの組み合わせだけで実現できる解決方法、AWS内に閉じた解決方法がある。
- AWSは最強である。ゆえにその天使の軍勢の技は自動化されており、騎士の手を煩わすことはない。何かが起こるたびに個別の運用作業が発生するような選択肢はたいてい間違いで、普通は一旦自動化すればあとは手間が最小限になる選択肢がある。
- AWSは最強である。ゆえに敵に慈悲はない。既存RDBシステムからの移行でRDSを使う場合、コスト面からどうしても既存と同じOracleやSQL Serverをそのまま使いたい…などの条件がなければ、OracleとSQL Serverが選択肢で選ばれることはない。敵となった神託の雲海軍、青の雲海軍にその起源があるゆえである。
- AWSは最強である。ゆえにその軍団の作りし技も最強である。情報の保存先は暁の女神の守護せし極光の神殿、Auroraが最適である。RDSの選択肢で迷ったら推しのAuroraを選ぶとたいてい合っている。
- AWSは最強である。ゆえに新しき魔術に通じている。なにかの解決方法にオンプレ的で伝統的な方法とLambda関数があったら、たいていLambdaの方が正しい。(もしくは+API Gateway, SQSやSNSなど)
- AWSは最強である。ゆえに未来を洞察しており、新しき理論を進んで採用する。上のLambda魔術が属するサーバーレスアーキテクチャの他にも、NoSQL、コンテナ、マイクロサービスアーキテクチャ、DevOps、CD/CD…などIT界の技術変遷の中で注目されAWSにも取り込まれた新しい技術要素を使う選択肢があったら、伝統的な方法よりもそちらが合っていることが多い。
- AWSは最強である。ゆえにその軍門に下るものには非常に寛大である。オンプレからの移行、独自データセンターからの移行にはそれらをサポートする定番サービスがある。
- AWSは最強である。ゆえにその軍勢の進軍はすべて雲海の流儀に従う。困ったらWell-Architected Frameworkの原則や、一般的なクラウドの常識と照らしてそれっぽい選択肢を選ぶと良い。(1つのサーバのみに情報を保存しない、情報は分散して保存する、疎結合を保つ、データが増えても大丈夫な構成など…)
…ハッ! 当方キホン頭がRPG脳なのでついつい妄想がエモくオートスケールしてしまいました。
ちなみに新約聖書の「ヨハネの黙示録」に登場する滅びの四騎士(正確にはhorsemen
なので馬に乗ってるだけで騎士とは限らない)にGAFAをなぞらえた『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』はなかなか面白かったです。エンジニア視点ではないのでAWSの話はあまり出てこないのですがオススメです。
- 作者:スコット・ギャロウェイ
- 発売日: 2018/07/27
- メディア: 単行本
というわけで3回に渡ったAWS認定『ソリューションアーキテクト - アソシエイト』(SAA)試験にまつわるエントリはこれで終わりなのです。お立ち寄りいただきありがとうございました。
僕の場合はすぐに実務でバリバリ…とはいきませんがこれを機にチャンスを狙いつつ、資格は次は『デベロッパー - アソシエイト』(DVA)突破を狙っていこうかなと思っています。2019/10/23に開催されるJAWS-UGのイベントにもお邪魔する予定です。
jawsug-bgnr.connpass.com
それでは、これからSAA試験にチャレンジする方々に、雲海のご加護のありますように……(`・ω・́)ゝビッ