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【AWS】実務2日から突破するAWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』(SAP)の合格記録

実務2日から始めるAWS認定7冠め突破作戦

 自分的に最大目標であったAWS認定のプロフェッショナルレベルの最難関資格、『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』(AWS Certifed Solutions Architect - Professional: SAP)に、2022年3月に合格することができました。
刺激をくれたり祝ってくれた皆様ありがとうございます。今回も過去の先人の合格エントリにもかなり助けられました。最近認定を目指している方同士のフォロワー繋がりが増えたりもしたので、これから挑戦する方と未来の自分向けに、情報を残しておこうと思います。

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

例によって資格の名前が長いので、以下公式の3文字略称を使います。

~入門者向けの基礎コース(Foundational)

~中級者向けのアソシエイト(Associate)3兄弟~

  • 設計の『ソリューションアーキテクト - アソシエイト』(Solutions Architect - Associate: SAA)
  • 開発の『デベロッパー - アソシエイト』(Developer - Associate: DVA)
  • 運用の『SysOps アドミニストレーター - アソシエイト』(SysOps Administrator - Associate: SOA)

~上級者向けのプロフェッショナル(Professional)級~

~特化した専門知識(Specialty)

  • セキュリティに特化した『セキュリティ - 専門知識』(Security - Specialty: SCS)
  • DBの『データベース - 専門知識』(Database - Specialty: DBS)
  • 機械学習 - 専門知識』(Machine Learning - Specialty: MLS)
  • 『データアナリティクス - 専門知識』(Data Analytics - Specialty: DAS)
  • 特に難しいといわれる『高度なネットワーキング - 専門知識』(Advanced Networking - Specialty: ANS)
  • なお2022年正式追加予定が『SAP on AWS - 専門知識』(SAP on AWS - Specialty: PAS)

 基礎コースを表すFoundationalは資格名のCloud Practitionerには入りませんが、3文字略語では末尾に付けられてCLFとなります。
 アソシエイトレベル、プロフェッショナルレベル、専門知識を表す末尾の単語は区切りの半角スペース+半角ハイフン+半角スペースは省略されたり、スペースや中黒点や横棒などで代用されることもあります。
 以前は専門知識に6つめ『Alexaスキルビルダー - 専門知識』という資格もあり、よく本などには書いてあるのですが、2021/3/22に廃止。現在はAWS認定は全11種類、全部獲っても認定11冠。そして資格の略称SAPじゃなくてERPパッケージのSAPの資格『SAP on AWS』がもうすぐ加わるので、正式追加後は、正式追加後は全12種類に戻ります。

AWS認定の図

参考:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム | AWS

 自分的なこれまでの突破作戦の順番を図に示すと以下になります。なんかなんかあちこち行ったり来たりしとるな...笑

@iwasimanの受験パスの図

挑戦への経緯

きっかけ

 AWS認定で一番難しく一番価値が高いのもSAP。実務経験なしのエアプ勢ですがどこまで行けるか試してきた突破作戦も2021年後半のDOP,SCS,DBSと順調に進んできました。
 よく言われるようにAWS認定プロフェッショナルレベルと専門知識の資格は互いに範囲がある程度被っており、あまり間を空けずに続けて受験するのがよいと言われています。自分もそれは感じました。
 実務なしとはいえ書籍は定期的に読んだり知識も深まってきた今、この流れなら最難関のSAPもやればイケちゃうはず...!?(※注:フラグ)とロックオン完了。2021年秋に出た本の2冊目も揃え、2022年の年明けから本格的にこの最大目標をターゲットにした作戦を始めることにしました。

書いている人のソリューションなアーキテクト歴

 エンジニア歴ウン年のマネージャーにならないマンです。これまでの合格記録にスキルセット類は書いてみたりしてきました。

iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com

 顧客と話すのがメインではありませんが新規の案件では技術の選定をしたりすることもありますし、情報処理試験の『システムアーキテクト』資格も保有、アーキテクティングに関する書籍類も定期的に読んでいます。様々な技術やモノを組み合わせて全体を組み立てたり構造を考えるのは好きです。実案件で何回か動いているWebフレームワークを自分で作ったこともあります。
へーしゃでは明確な職位があるわけではないですが、英語のSoftware Architectとたぶん近い位置にいるでしょう。

 という感じで、AWS的には様々なサービスやビルディングブロックを組み合わせて望まれているソリューションをアーキテクティングしていくSAP資格的なロールにも興味があります。どちらかいうと自分のロールは本質的にはDOP資格(=DevOpsエンジニア)のほうが近いのですけどね。

AWSの実務経験とよく使う興味のあるサービス

 これまでの合格エントリに書いたように、基本は開発屋なので興味のあるサービスはサーバーレスアーキテクチャ周り、API GatewayやLambda関数周りですね。

 DOP、SCS、DBSの時と仕事の方は変化なし。SAPの想定している保有スキルは「AWS でのクラウドアーキテクチャの設計とデプロイにおいて 2 年以上の実践的な経験を持つ個人」ですが、実務経験は会社のハッカソンで触った2日だけです! いい加減そろそろ!実務で使いたい!(逆ギレ)
 またSAP試験ガイドにある「エンタープライズの複数のアプリケーションやプロジェクトのアーキテクチャ設計に対し、ベストプラクティスガイダンスを提供する能力」は、こちらは今までの経験の中である程度は満たしていそうです。

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

やったこと

基本方針の策定

 2021年12月のDBS合格後は年末年始を挟んだのでついカッとなってKindleでコミックを大量に読んだりしていましたが、2022年の年明けから本格的に開始することにしました。

  • 学習時間は週末も含め、これまでと同じように1日1Hではなく2H~から
  • 最初に情報を集め、基本はこれまで通り問題演習を中心に学習を組み立てて、分からないところを各種情報リソースで調べていくスタイルでいく
  • プロフェッショナルレベルのDOP資格が約5週間で獲れたので、もっと難しいであろうSAPは2~3か月ぐらい、春までのゆるい目標で行く
  • ハンズオンやチュートリアルなど実機でもいろいろ触れば理想ですが、稼働ほぼ100%で実務をやりつつ子育てもしつつでは時間がないので、今回も学習による資格突破をメインに
  • ツール類としては、スクショを撮る機会が減ったので前に試したイケてるサービスのNotionは特に使わず。今まで通りGoogle Spreadsheetでデータを管理して進行。

seleck.cc

スタプラで学習記録を可視化する

 今回も時間の計測、成果を出してる感、モチベーションを維持するため、学習管理アプリのStudyplus(スタプラ)を継続して使っています。日々の勉強や受験勉強を頑張っている中高生や大学生の皆さん、様々な分野を目指している皆さん、ITエンジニア志望や既にエンジニアでスキルアップに励んでいる皆さんなどもおり、かなり刺激になります。

www.studyplus.jp

ネット上のSAP合格エントリを参考にする

 koiwaclubの「みんなの合格記録」をすべて見たりQiitaで検索して10ページ目ぐらいまで見たり、情報を収集しました。貴重な記録を残してくれた先人の皆さん、今回もありがとうございました。
 書いている方の来歴(エンジニア歴とAWS歴)、学習期間と学習時間、学習に使った題材、サンプルや模試の点数、本番の点数や時間配分、よく出る分野や受験戦略、その他お役立ち情報...などをポイントとして見て回りました。さすがに最難関のSAP、情報の分布の幅が広いですね。

  • 学習期間も分布が広し。短くて1,2,3週間~2,3か月、中には半年ぐらいという記録も。
  • 学習時間もばらつきが広く、強い人で数十Hレベル~100H台、中には200H台の記録も。
  • きちんと準備して1回で受かる方の方が多いですが、2,3回目でやっと受かったという記録が時々出てくるようになります。
  • 来歴も様々でAWS歴が十分にある方、数年の方。中には僕と同じようにAWS実務未経験から受かっている方もちらほらあり、資格の突破自体は未経験からでも可能なのが分かります。
  • 受験者数が多いであろうCLFやSAAは情弱なエンジニア志望者層を狙ったようなアフィリエイトっぽい薄い記事も時折見かけますが、さすがにSAPとなると本物のエンジニアの受験記録ばかりで安心して読めます。
  • 受験の順番のパスもCLF→SAA→SAPの王道あり、アソシエイトレベル3連覇の後に受ける方もおり様々。苦労してSAPを獲る→そのあとのDOPや専門知識群が楽になった、というパスがどちらか言うと多いような。僕のようにDOP→専門知識→最後にSAPのパスは比較的少なめのようです。
  • DOP,DBS,SCS,ANS, 他のプロフェッショナルレベルと専門知識の資格が役に立ったという声は多し。
  • SAP商業本の緑ラインの「試験特性から~」の問題集本、ゴールド本の2冊はどちらも評価高し。ゴールド本は2022年秋に出たばかりなので、1冊目の問題集本のほうが合格エントリでの合格エントリでの登場頻度が高いです。
  • 総じてkoiwaclubのWEB問題集が高評価、Udemyの日本語版の模試講座の評価は若干低め。Udemyの英語版模試講座やWhizlabsの問題集や英語のブログなど、学習リソースも様々。
  • 総じて皆さん資格の難易度的にはSAPを最上位に掲げる方がほとんど。最高峰に揺ぎなし...!
  • 専門知識の試験だと試験時間180分が見直しした後でも余ったという余裕の声が多く出ますが、SAPだとほぼ皆無。
  • 時間管理超重要、体調管理重要、見直し重要、困ったら英語の原文を見る(約束)
  • koiwaclubの合格記録を日時で遡っていくと、日本語の不自由さについては最近のものだと見ないのですが、昔に戻っていくと目立つようになります。2020年後半~2021年前半あたりで一度日本語の改定が入っているように推察されます。

 総合して最難関なのは不動ですが、今までと同じように準備して学習していけば突破はできるだろう、と感触を得て準備を進めました。

学習時間の確保に立ち向かう

 こちらもこれまでと同じです。ほぼ全面リモートワーク(テレワーク)で時間の調整はしやすかったです。アソシエイト級を三連戦した頃は子供が2歳で時間のやりくりに苦労したのですが、今は4歳、独り遊びもできるようになって子育てエンジニアとしてはだいぶ楽になりました。ありがたやありがたや。
 本番試験直前は、仕事のディザスタリカバリもとい続きは来週に回して金曜は午後休を取って頭を完全に切り替え、余裕をもって試験試験準備→土曜の朝いちに受験 というコースが自分的には鉄板化。今回も同じ手で行きました。

コロナの脅威に立ち向かう

 2022年開始、年末年始のゆるみでまた感染者が増えてきた頃。僕の会社でも子供の通っている保育園でも陽性の人が出たりしていましたが、まあ外出したぐらいで感染するわけでもないでしょう。
 不具合やマシントラブル、ネットワークトラブルをよく聞くオンライン受験は見送り、最重要の試験なのでこれまでと同じ東京新宿のテストセンターで受けることにしました。

計画変動に立ち向かう

 こちらのリリースノート記事で書いていますが、今回は2月頭に健康維持のために健康診断に行ったらそこで体調を崩すという謎の動きをしてしまい、1週間弱ほど準備を中断するというハプニングがありました。ダウンしている間は頭だけがぐるぐるして「試験どうしよう~」と悶々としたりはしていました。
 完全復活後は平常運転に戻ったわけですが、やっぱりこういう資格試験の準備中はなるべく中断せず進められられたほうがよいですね。

iwasiman.hatenablog.com

 もうひとつ、時事ネタ的にはちょうどロシアのウクライナ侵攻が始まってネットはかなり騒ぎになって荒れていました。もちろん人類世界の平和を願うものではありますが、こういう時だけ変に平和主義者を気取ったり必要以上に善人ぶるのもアレです。こういう時こそ普段通りに活動し、自分にとって優先度の高い大事なことにフォーカスすべきでしょう。
 荒涼としたTwitterのそっち方面やらは見ないように意図的にシャットダウンし、準備を進めてきました。

モチベーションを保つ工夫をする

 自分へのご褒美を考えるとキモチが保てます。

  • 俺...この資格に受かったら...Twitterのプロフやポートフォリオサービス系で「AWS認定7冠」と書いてドヤるんだ...(器が小さいw)
  • 俺...この資格に受かったら...ファミマのウマ娘コラボで買っておいた『やる気UPスイーツ』を食べるんだ...(望みが小さいw)

www.family.co.jp

  • 俺...この資格に受かったら...Findyさんの抽選で当たったビールを飲むんだ...
  • 俺...この資格に受かったら...前回と同じパスタ屋でランチして帰るんだ...
  • 俺...この資格に受かったら...ブログに合格エントリを書くんだ...(このエントリです)
  • 俺...この資格に受かったら...【AWS】日本語で読めるAWS認定の資格対策本まとめ (2022年6月更新) - Rのつく財団入り口の記事を最新化するんだ...
  • 俺...この資格に受かったら...2022年度のデスク強化計画の続きを考えるんだ...
  • 俺...この資格に受かったら...年末の受験のお土産に物理で買った『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』を読むんだ...
  • 俺...この資格に受かったら...『AWSコンテナ設計・構築[本格]入門』を読んでコンテナがもう少しわかるようになるんだ...
  • 俺...この資格に受かったら...オライリー本の新刊『ソフトウェアアーキテクチャの基礎』も楽しみなんだ...

  • 俺...この資格に受かったら...戸棚に隠してあるホワイトデーのお菓子を子供氏と奥様氏に渡すんだ...(※死亡フラグ)

 などなど考えながら計画を進めました。

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

学習の流れ

公式のデジタルトレーニングを受ける

 合格記録に出てくることも多いExam Readiness: AWS Certified Solutions Architect - Professional (Japanese) を本と並行して見に行きました。

 「はじめに」から始まって各ドメインをすべて、各セクションごとに練習問題が数問と丁寧な解説で計19問。解説のコンテンツはすべて日本語化されています。
 
 公式の教材によく出てくる味のあるおじさん、Blaine Sundrudさんが問題の解き方の戦略を含めて解説してくれます。動画の音声は英語ですが日本語字幕もついています。時々動画の中の日本語と、静的コンテンツの日本語が微妙に合ってない時があるのですが、まあまあ許容範囲です。

LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/blaine-sundrud-6389a15

 紹介では実施に4H。自分はもっと掛かったのですが最初にやるとよいでしょう。練習問題の正答率は63%だったのですが、意外と他の資格(DOPやDBS)と被っている問題も出てきたりして雰囲気が掴めました。問題文のどこに着目し、回答の選択肢をどう除外し正解を選んでいくのかの解説が重要です。Blaineおじさんの優しい応援が挑戦者の恐れる心に染み渡たるのだぜ...

余談ですがBlaineさんの英語の発音でへえーと思ったところは以下。""はアクセントのところです。

  • ElastiCache: 「エ"ラース"ティキャッシュ」
  • Redis: 「レ"ディー"ス」
  • Memcached: 「メムキャッシュド」
  • Kinesis: どちらかいうと「キ」でなく「ク」っぽく「ク"ネ"シス」
  • FIFO: 「ファイフォー」
  • asynchronous: 非同期のこれは「アシンクロノース」「エイシンクロノース」両方。
  • MySQL:「マイシークォー」
  • Oracle: 「オラクォー」
  • Aurora: 「オゥ"ロゥー"ラ」
  • DAX: DynamoDBのオプションDynamoDB Acceleratorは「"ダーッ"クス」
  • AMI: 公式でも「エイエムアイ」
  • Multi: 英語だとマルチでなく「モータィ」
  • Mobile: 英語だとモバイルでなく「モーボー」
  • IAM: 公式でも「アイエイエム」「アイアム」と両方使うようです
  • Cognito: 「コグニートー」
  • CodeDeploy: 「コード"デ"プロイ」
  • CodeCommit: 「コード"コ"ミット」と大文字部分にアクセント
  • Lambda: 「"ラ(レ)"ムダ」
  • Snowmobile: 「スノウモビーオー」
  • Kibana: 「キ"バー"ナ」
  • Athena: 「アッ"スィ"ーナ」
  • Direct Connect: 略称は英語だと実はDXで「ディーエックス」。日本でバズワードと化しているDX(デジタル・トランスフォーメーション)と混乱しそうですね...

 その後、動画もAWSJの日本人の講師の方が出てくる完全日本語版のExam Readinessも提供が始まりました。英語が苦手な方はこちらでしょうか。

本を2冊:『AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』

 2021年11月にSAPの本2冊目として話題になった山下光洋さんのゴールド本、AWS認定資格試験テキスト&問題集 AWS認定ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』をやりました。黄金の帯はAWS認定の王者の証...!

 1章で学習の進め方やアウトプットのお勧め、AWS全体の各サービス総覧を流した後2章から、各ドメインについて詳細に解説していきます。
 
 2021年秋時点のAWS最新情報が反映されており、CloudWatchイベントはもうEventBridge、移行に関する"6つのR"(The 6 R's)はもう仮想マシンへのRelocateを入れた"7つのR"になっています。水色を入れた多色刷りでフォントも見やすく、構成図やスクショなど図表も豊富です。作者さんがアメリカの現地イベントでSnowballの実物を持っている写真やOutpostsの写真なんかも入っていて楽しいです。

 各章の最後には練習問題が十数問、合計81問ほどがついていますがどれも問題文が短く、これは学校の授業の小テストのようなものだと思ったほうがよいでしょう。自分の場合は「2章 組織の複雑さに対応する設計」が一番弱く、他の資格とかなり被っているところは正答100%だったりばらつきがありました。

 そして最後の7章は75問揃った模擬試験。この設問のシチュエーションがなかなか面白く、かつ問題もよく考えられています。コロナ禍でリモートワークを導入し始めた会社とか、ドヤ顔できるイケてるWebサービスを見つけてAPIに繋ぐ問題、新たにCFnを学ぶのをイヤがるPythonエンジニアがいる会社、入社したけどドキュメントがない会社...などなど、現実にありそうな(?)様々なシチュエーションが用意されています。解説の方もぶっちゃけた話をしていたり細かいところが面白いのでお勧めです。
 自分はこの段階からタイムマネジメントを意識して20問30分の目安を達成、この模擬試験は1時間51分で達成。1周目で正答率は56%でした。まあいつもこんなものですね。解説を読んでしっかり復習するようにしました。

本を2冊:『AWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説』

 そして2020年6月に初のSAP本として話題になったリックテレコムAWS認定ソリューションアーキテクト-プロフェッショナル ~試験特性から導き出した演習問題と詳細解説』も読解。

 こちらはタイトルにある通り完全に問題集の本となっています。
 
 第2章にSAP範囲の主要サービス一覧のサマリもありますが解説が薄いので、その用途なら上のゴールド本がベターでしょう。

「3章 試験で問われるシナリオの特性」は5つのドメインごとに実際の試験で出そうなパターンを整理し、このシチュエーションのシナリオならこのサービスというのがまとめてあってお役立ち。

そしてメインは4章から、5つのドメインごとに実際の試験に出てきそうな代表的で典型的な長文問題を10~18問取り上げ、詳細に解説しています。
 自分の場合はここもばらつきがあって、「4章 組織の複雑さに対応する」は理解不足を感じたり、次の「5章 新しいSLの設計」はDOP試験の常識で8割は取れたりとばらつきがありました。

 そして最後の9章はこちらも75問揃った完全な模擬試験。自分はこちらもタイムマネジメントしつつ20問30分目安達成、見直しなしで1時間40分で達成。正答率はあまり上がらず60%でした。こちらもしっかり復習しました。

 本書は各章の題材の問題+最後の模試で計145問、本番試験約2回分相当の問題と解説をじっくり学ぶことができます。表紙にある通り、合格力を養成することができるでしょう。
 無理やり難を上げると、基本的に問題集なので各ドメインの代表的な問題を出しつつ、そこで題材になるサービスや機能も解説で一緒に述べる形式になっています。ですので問題によって構成図があったりなかったり、サービスの解説が深かったり浅かったり、若干ばらつきがあります。そういう意味では上のゴールド本の方が一覧性はあるかと思います。

 また理解が深まっていくと、問題の中でこの選択肢の表現は不正確では? とかこの一文からその解釈が本当に導けるの?とか、若干気になるところもたまーにありました。
 これは本書だけでなくkoiwaclubの問題やUdemyなどでも同じで、SAP試験は国語力が問われる長文問題なので学習リソースごとに問題の解釈が違ったりすることが若干あるんですね。このへんは様々なタイプの問題に触れつつ、自力で何とか乗り越えていくしかないのかなあと思います。

 ということで僕は本は2冊ともやったのですが、どちらが良いかと言われたら「お好きに」もしくは「両方」が答えでしょう。両方やる場合は僕と同じように、まずゴールド本で最新のAWS情報と試験範囲のサービス知識を網羅して模試を実施→次に試験特性本でさらに問題演習をガッツリ、の順番がお勧めです。
 またSAP資格を受ける方は皆さん複数の学習リソースを使うかと思いますが、完全にこの2冊だけで受かるかというとそれは怪しいので他も併用した方がよいでしょう。

 

 この段階での感想としては、SAP試験はもちろん範囲も広く未知の機能とか細かな話も多岐に渡るのですが、完全に名前から未知のサービスというものはそれほど登場せず。また予想以上に他の資格で学んだ範囲と被っており、その知識の延長で解ける問題もあるのが分かりました。
最難関ということで身構えていたのですが、これなら何とかなりそうな気がしてきたぞ...?(※注:死亡フラグ)

公式のクラスルームトレーニングを...やらない

 公式が提供しているものが『Advanced Architecting on AWS』、3日間で20万ぐらいするお高いやつですね。会社の教育でもやっていたのですが直近のスケジュールが未定、3日フルで仕事を抜けるのは厳しいしオンラインだと効果が薄いのでは...と考え、例によって見送りました。

公式Black Beltやホワイトペーパーなどのリソースは...その都度

 SAPの合格エントリでも、Black Beltを精読したりした後比較的シュッと合格までいってしまう(ように見える)AWS強者の方もおり、まじか~と毎回思います。
 自分の場合はそうもいかないので、例によってまずは問題ベースでたくさんやって間違えてそこから他の情報リソースに飛ぶ、繰り返しの反復学習で学んでいきました。
 後から思い返すと、最後にWell-Architected Frameworkのドキュメントを改めてを改めて見に行ったりしても良かったかなと思います。(でも量がすごいんですよね...)

AWS WEB問題集で学習しよう』で学ぶ

aws.koiwaclub.com

 通称小岩、もしくはkoiwaやkoiwaclubで知られる学習プラットフォーム。こちらも合格エントリでよく登場し、特にSAP試験では評価が高いです。本番の問題より若干難しいと言われています。
 AWS認定のプロフェッショナルレベル(SAP,DOP)と専門知識には3ヵ月間有効な有料会員のプロフェッショナルプラン5480円(税込み6028円)が必要になります。

 7問1セットの問題がSAPについてはこのエントリ執筆時点で#1~#64で十分な量。計448問で本番試験約6回分の問題リソースがあることになります。このkoiwaclubの合格記録がなかなか役に立つのですが、後半の#30~から先が本番試験と類似度が高い良問が多いとのこと。ここを何周も周回したあと合格したという記録も多いです。

 自分も後半を中心に、Google Spreadsheetで管理しつつ問題をやった後は解説からじっくり学んだり、他の情報リソースに飛んだりしていきました。
 後半#30~の1周目が正答53%。復習して知識が蓄えられて2周目が正答73%。
 そこで#1~の前半もやったら正答56%。前半の方は最初の方の問題で時々見たことのないワードが出てきたり、マネージドな「NATゲートウェイ」が普通の現在ではもう使わないであろう「NATインスタンス」が問題に登場したり、問題の古さを若干感じます。このへんもだんだん新しくなるにつれ現在のSAP資格らしい問題になってきます。
 最後に後半の3周目を回すも...正答74%で1%しか上昇せず。しかも同じ問題を何度も間違ったりしていました。ぐぬぬぬ...

 このkoiwaclubも解説はしっかりしているのですが、他の学習リソースと若干解釈が違ったりするところはあります。覚えているところでは#48だったかな、CloudWatch Logs となっているけど全部CloudTrailの間違いでは?という問題がありました。

 試しに自分の過去のSpreadsheetの記録の記録を見てみたのですが、同じkoiwaclubの問題でもDOP試験の時は1周目から72%、2周目はもう8割行って本試験モードも89%と絶好調だったんですね。僕自身のロールが開発者でSAPよりDOPに近いというのもありますが、それにしてもSAPの問題は難しい~~!

Udemyで学ぶ

 専門知識の資格になるとUdemyの日本語講座がまだなかったりしますが、SAPにはもう揃っており、合格エントリにもよく登場します。

 なお定番の上記講座ですがkoiwaclubに比べると本番の問題との類似度がやや低い、問題が本番より難しくマニアック、などのいまいちという声が割と多いです。Udemy上の評価の星も現在現在4.0止まりですね。
 実際にやったところ、他の学習リソースと同じような考え方で解ける良問もあるのですが、中には完全に初めて見るワード、エッこんな細かいコマンドやパラメータまで出るの?というような問題、エッこの一文からこの選択肢を導くという解釈はハードモード過ぎない?というような問題もちらほらありました。

 僕は「プロフェッショナル模擬試験①」をやって正答率47%で完全に死亡。復習した後でその後の続きは放置してしまいました。会社が契約しているUdemy Businessで無料でやれたからというのもあります。
 もちろんこのUdemy講座をメインに合格できたという方も多いですし、どちらか言うとkoiwaclub中心の方がベター、ぐらいでしょうか。

 なお余談ですがUdemyの企業向けサービスは Udemy for Business で略してUFBだったのですが、いつの間にかUdemy Businessに名前が変わったようです。

 各所の合格エントリを見ると、Udemyでは日本語版よりも下の英語版の模試講座を推している方も複数見つかります。評価も4.4~4.6でより高いですね。

他、評価が高い英語の定番講座というと、大体いつも同じ講師の方々がアイキャッチに映っているこのあたり。

 英語が得意な方、翻訳する時間の余裕のある方は英語版でやるのもアリでしょうか。

タイムマネジメントは...超意識

 専門知識の試験本番では各所の合格エントリで時間が余ったという声をよく見かけますが、SAP試験は時間との戦いです。自分的には「20問を約30分」ベースを保てるよう常に意識しました。

他の学習リソース

 僕は結局やらなかったのですが、以下のような英語の学習リソースを使ったという方もお見掛けします。

AWS公式サンプル

 計10問の問題と回答が公式から入手できます。僕はスキップしてしまいました。

AWS公式模試

 おなじみクラスメソッドさんのブログに詳しいですが、2021年秋から公式模試が無料になりました。この公式模試もいちいちお金を払って申し込む手順が面倒だったのですが、だいぶ楽になりましたね。

dev.classmethod.jp dev.classmethod.jp

 僕はAWS Skill Builderに会社経由のAWS Partner Network(APN)でログインできるので、一番最初のBenchPrepへの登録が手間だった以外はすんなりいけました。
 各資格の模試が揃っており、UIは特に不都合なし。SAPの問題は20問固定、問題も選択肢ともランダムに入れ替わったりはしない形式です。公式Exam Readinessのコンテンツのコンテンツと同じような感じですね。翻訳された日本語もおかしいところは特にありませんでした。
 クラスメソッドさんのブログにスクショがありますが1問ごとに正解不正解が分かり、各選択肢の下に解説が現れて学ぶことができます。以前は解説もなかったのでだいぶ改善されましたね。

 学習の仕上げのころに実施して20問中正答75%、まずまずという感じになってきました。出題されるのはSAP資格の中でいかにも定番っぽい代表的な問題、あるいは定番からちょっと捻ったような問題が中心でした。

仕上げで万全なデリシャスタンバイは...ならず\(^o^)/

 作戦途中の体調不良から復活した後、子育て外出イベントがあったり並行して進行中の仕事の方もいろいろあったりしながら、約2ヵ月後に仕上げの段階へ。
 公式模試も75%でまずまず、読んだ本2冊の問題も再読するとスラスラ読めるようになってきました。

 全体的には、僕はネットワーク系が苦手なのでドメイン的にはやはり「組織の複雑さに対応する設計」が弱し。AWS SSOやCognitoを使った認証、AWS OrganizationとSCPの使い方、VPCVPNやDirect Connectなどネットワーク系の高度な使い方のあたりが特に苦戦しました。
 一方「新しいソリューションの設計」「移行計画」をはじめ他のドメインは、DOP,DBS,SCSあるいはアソシエイトのDVA,SOAなど他の資格と被っているところもあり、比較的スムーズに進んだ気がします。

 koiwaclubのWEB問題集で用意されている「AWS認定本試験モード」でランダム75問を最後にやったところ、1時間30分で75問進んでタイムマネジメントは良好。しかし75%の750点で合格ラインのところ、おそらく1問だけ足りずに728点で不合格という残念な結果に。万全なデリシャスタンバイならず\(^o^)/

 気を取り直して試験前日はこれまでと同じく仕事は午後半休を取得、Blue-Greenデプロイで思考の向く先を完全に切り替え、土曜の受験当日にパーティGO!することにしました。

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

試験会場へパーティーGO!するのこと

テストセンターへ

 いつもと同じように早起き。この日は夜明けの明けの明星が綺麗でした...! 家族もまだ寝ているので、朝は優雅にクラシック音楽を掛けながらしっかり朝食を摂るなど。
 この日は空も晴れ渡っていて家の周りの空も新宿のビル街の空も澄んでいました。約2ヵ月の準備の末の本番の日、勝利の予感がしてきたお! テンションの上がる音楽を聴いて高揚感を保って試験に挑みました。

 いつもと同じピアソンVUEの新宿「西新宿テストセンター」の朝一番の9時で受験です。3月上旬ですと室内の空調は暑くも寒くもなく普通でしたね。
 また合格エントリを見ると長時間の試験にカフェインが効くという話も時折見かけます。今回は試しに眠眠打破を試験前に飲んでカフェイン130mgを注入してみました。

https://minmin.tv/index.htmminmin.tv

試験本番!

 端末のディスプレイは27インチ、文字の縦横比が横のほうが伸びた状態で横いっぱいに表示され相変わらず見づらいです。
 開始後にいきなりまったく未知の問題が出てきたりするのですがめげずに進行。今回は渡された物理のボードに不明な問題や怪しい問題の番号を書いていったのですが、やはり1~75問の中で前半に集中していました。前半に難しい問題が配置されているのが分かります。記録したのが計17問ぐらいありました。

 20問を30分目安に解けるよう訓練してきたのですが、本番では長文問題の読解に時間がかかり、30分ごとにこれがだんだん超過してしまいました。画面右上の時間をチラ見しながら進んで...75問終了したのが開始後2時間10分。2時間以内の目標は達成できませんでしたが、タイムマネジメントはおおむね成功したといえるでしょう。

 3月は日本的には期末だから試験を受ける人も多いのか、秋や冬に比べるとテストセンターも割と賑わっていました。試験の3時間は長く、自分より後から部屋に入ってきて先に退出する人が出てきます。朝に隣の席の女性のお腹が鳴る音がうっかり聞こえてしまって何事もなくスルーしたのですが、11時ぐらいになると今度は自分のお腹が鳴りだしてギョエーとなったりしました。

 75問終了後にそこから最初に戻って見直し開始。問題文を見直すと罠に引っかかっていた問題も中にはありました。見直して見直して...確か68問ぐらいまで行ったところで3時間経過の時間切れ。最後はもう中断して残り秒数を心の中で一緒にカウントして、なんかNEW YEARのカウントダウンを祝う人みたいになってきました。
 その後はアンケートに答えてしばらく待って...合格が小さく表示です。AWS認定突破作戦の最大目標がついに達成。心の中でガッツポーズです。

 今回が都合7回目のAWS認定受験でしたが、見直し中に時間切れになったのは今回が初めてでした。いやはや、さすがにSAP試験は難しいです!
 各所の合格記録にあるように、Udemyの日本語模試講座よりはkoiwaclubの問題の方が本番とは似ていた気がします。

 専門知識のSCS,DBSは時間に余裕があることもあり試験中に眠気に襲われたことがあったのですが、今回は幸いまったくなし。3時間フルで頭が冴えた状態を継続することができました。眠眠打破のカフェイン注入も効いたのかもしれません。(というかまあ、それぐらい目の前の問題を解くのと見直しで精一杯だったということなんですが!笑)

またまた合格エビデンスなしの合格ですわ

 スコアレポート類は5営業日以内にメールで来ることになっているので、休日受験だとペーパーをもらうだけです。
 その後は西新宿のコクーンタワー地下の大きな本屋で新刊の『要点整理から攻略する『AWS認定 高度なネットワーキング-専門知識』』の実物を確認したり。この日はオライリー本の新刊はまだ出ていませんでしたね。

 家の冷蔵庫にとっておいてあった「メジロマックイーンのやる気UPスイーツ」がウマウマで脳に糖分が補充されたのですわ...!
 そして認定アカウントと連動しているCredlyで、合格バッジはその週末のうちに見られるようになりました。バッジを囲む6角形のカラーは青緑のパステルグリーン系、これこそプロフェッショナルレベルの証ですわ!

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

試験まとめ

得点:過去最低点更新の785!/(^o^)\

 後で届いたスコアレポートは785点。SAA:836点、DVA:845点、SOA:801点、DOP:902点、SCS:875点、DBS:804点だったので今回が過去最低点を更新してしまいました。
 実務エアプ勢とはいえそれなりに準備を整え学習を続けてきたので800点台ぐらいは行くかと思っていたのですが、750点が合格ラインなのでけっこうギリギリです。さすがにSAPは最難関!
 3年後にSAP再認定を受ける際はもう実務をバリバリ経験して、もっと余裕のある点数で合格したいものです。

ワースト記録更新の785点...ぐぬぬですわ...

 なおスコアレポートでは学習の段階で苦戦したドメイン「組織の複雑さに対応する設計」は本番ではパスして、代わりに「コスト管理」が改善が必要と診断されました。現実はそんなもんですね。学習中はコスト問題にはそんなには苦戦した記憶がないので、何か長文の引っ掛け問題の罠にハマったりしたのでしょうか。
 cost effectiveな提案ができない人になってしまったので、これではエスアイヤ~失格ですね。わははは。

コスト意識が低いのですわ...

費用:3.6万(実質1.1万円)

 今回はkoiwaclubでミスをして、プロフェッショナルプラン6028円を更新しようとして間違ってベーシックプラン4928円を買ってしまうというのをやらかしていました。これが合わせて1.1万。
 Udemyの問題集が2400円、本2冊が6千円、公式模試は無料、本試験受験料は半額バウチャーを使って16500円、ふつうにやると合計3.6万。
 このうちUdemyの模試講座は会社のUdemy Businessで済ませたので0円、本2冊は今回ブログ収入ではなく会社の福利厚生のもので申請してみて0円、受験料も会社の費用で申請が通ったので0円。実質合計1.1万円でした。

SAP認定の証明書なのですわ!

学習期間と時間:8週間、120H前後で最長

 2022年1月に開始、受験が3月始めで約8.5週間。体調を崩して途中ダウンした期間を適宜引いて約8週間となりました。専門知識の資格群に3週間、プロフェッショナルレベルのDOP資格に5週間だったので今回が一番掛かっていますね。

 学習時間は1月が50H+2月が40H+3月が11H=101H。誤差としてもうちょい足して110~120H、期間が長かったので120H前後。専門知識の資格が40~50H、プロフェッショナルレベルのDOPにかかった80~90Hよりも長く、最も時間が掛かりました。

 最難関のSAP資格になると学習期間、時間とも人によってかなりばらつきがあります。数十Hで受かる方もいれば、100Hを超えている僕よりもっと長く100H台の後半まで行く方もあります。その方のスキルセットやどれだけ時間をかけられるかなどに影響されるでしょう。会社のコミュニティでもこの話題を見ていて思ったのですが、比較的若くて独身など、集中して時間を注ぎ込める方のほうが学習時間の総合計は短くて済んでいる傾向があります。

 ということで時間を記録される方は他の人とはあまり比べないで、自分がこれまで受けた他の資格と比べて相対的にどうかの目安に使うと良いと思います。人間は相対見積もりの方が得意だとアジャイル界隈でも言われておる...

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』試験所感

SAP試験の難易度

 人によって違い、またその人のスキルセットや得意分野によっても異なりますが、一般的にはだいたい難易度の順は以下だと言われています。

ソリューションアーキテクト- プロフェッショナル(SAP)
 >高度なネットワーキング - 専門知識(ANS)
 >DevOpsエンジニア - プロフェッショナル(DOP)
 ≧同位かその下で、ANSを除く専門知識の資格群

  • 問題文と選択肢が長い問題の出る頻度がDOPよりもさらに高い。(もちろん短い問題もある。)
  • DOP、専門知識群と同様に設問のシチュエーションで求められているポイントを読み取る能力がかなり求められ、それによって正解の選択肢が変動する。
  • 正解を導くための問題の中のパラメーター数が一番多い。技術力だけでなく国語力が求められる。
  • 設問数もプロフェッショナルレベルの75、時間が余って余裕だったという話をほとんど聞かない
  • デプロイ系の割合が多いDOPに比べると資格の範囲がネットワーク、開発、コスト、移行、改善とAWS全体に渡る広範な理解が必要になる。
  • しかし登場するAWSサービス群は他の資格と被りは多く、他の資格の知識も助けになる。

 以上の理由から、やはりSAPが最難関で確実かな~と思います。実際難しかった!

 なおネット上では難易度2位だという情報の多い『高度なネットワーキング - 専門知識』(ANS) ですが、最近実際に受けた人の記録を概観したのですがそれほどでもないという声をけっこう見かけます。実は3位のDOPと同等ぐらいなのかもしれません。

所感:アーキテクティングに唯一の正解がないことが分かる最上位資格

 エンジニアリングに関する設計やアーキテクティング関係の良著を読んでいると、大体どこでも出てくるのが現実世界に唯一の正解や最強の銀の弾丸なんてなく、答えは複数あること。その状況下で最も良いと思われる答えを選択したり試したり、考えたり振り返りながら進むしかない...ということ。
 すべてにおいて最強のプログラム言語やフレームワーク、ツール、アーキテクチャやデザインのパターン、設計技法、開発技法なんてそもそも存在しないわけですね。

 SAP試験を通して改めて、突き詰めるとこれなんだなあというのを感じました。もちろんクラウドデザインパターンに沿った定石やAWSでのベストプラクティスなど手掛かりはいろいろありますが、その上で問題に設定された豊富なシチュエーションによって何を優先させるかが変わり、正解が変動していきます。
 現実ではこのパラメーターが無限にある中で、顧客や自分たちが置かれている状況の中で最適な解法を選択して組み立てていく。これがプロフェッショナルクラスのソリューションアーキテクトなわけですね。

 さて本番の問題の情報の直接公開は禁じられていますので、学習過程の模擬試験類で出てきたなどを中心に、個人的に思ったことなどを書き連ねてみます。

問題のパラメーター数が一番多い

 問題をプログラムの1つの関数やメソッドに例えると、その問題の中に配置された様々なワード、引数やパラメーターに相当するもので正解が変動していきます。とにかくSAPはこのパラメーター数が一番多いのが厄介ですね。

  • 高可用性を重視して落ちないシステムにしたい
  • コストを安くしたい
  • セキュリティを重要視したい
  • 速度低下を防ぎたい
  • 移行の諸問題(X日以内に移行したい、週明けまで移行したい、インターネット回線が遅い、既存のアプリをそのまま移行したい...)
  • 顧客特有の要望(今のIPをそのまま使いたい、メンバーに新技術を学ばせる時間コストが無い、コンプライアンス要件が厳しい...)
  • などなどなど。及びそれらの複合。

 もっとも75問全部がそうではなく、短い問題、正しく学んでいれば正解がすぐ導ける問題もあります。

 特定ジャンルの小説や漫画、ドラマや映画などを沢山摂取しているとストーリー、登場人物の設定付け、シチュエーションなどにだんだん共通するパターンが見えてきたりすることがあるかと思います。
 SAPの長文問題も同じで、沢山の問題に触れていると似たようなシチュエーション、似たようなキーワードはけっこう登場します。これを繰り返すと初見で出くわした際にも読む速度をだんだん上げていけるかと思います。

他の資格と観点の違いから正解が変わることがある

 ここがへえーと思ったのですが、専門知識の分野の似たような問題とは観点の違いから正解の選択肢が変わることもあります。

★SCS試験ではAWSのセキュリティ対策での基本は、攻撃は入り口でシャットアウトしつつ多層防御。WAFやShieldを使ってCloudFrontやELB、Route53、API Gatewayなど入り口付近でしっかりガードし、VPC内まで飛んできた通信をネットワークACLでIP単位でブロックするのは根本的なセキュリティ対策にはならない...という話が出てきます。悪意ある通信はIPが変わることもあるしまあそうですね。
 しかしSAP試験ですと、よくわからんIPから変なリクエストが飛んできてる!急いでとりあえずなんとかしてくれとお客さんから頼まれた!→ネットワークACLの設定でとりあえずIPをブロックするのが正解だった、なんてパターンもあります。

★DynamoDBで計算済みのプロビジョニング済みキャパシティモードを使用中の場合。急にアクセスが増えたりした場合にキャパシティモードを自動で増減してくれるDynamoDB Auto Scalingという機能があります。しかしこのAuto Scaling、ワークロードの変動が数分ぐらい続かないと認識しないのであまりに急な変動には対処しきれず、その際はオンデマンドキャパシティモードの方が優秀なんですね。DBS試験だというこういう長所短所まで含んだ深い問題まで出ます。
 しかしSAP試験ですと、そこまで深堀りはされないので選択肢にあったらその対策で正解、ということもあります。

★Webアプリケーションの構成ではDVA資格はサーバーレス全推しでしたが、上位のDOP資格になると設問のシチュエーションで構成が決まっていることもあるため、普通のEC2構成もサーバーレスも両方ある...という傾向がありました。
 SAP資格もDOPと基本的には同様で、設問によって変動します。とはいえ世界中から大量アクセスがあるサイトでニュースを表示させたりゲームをダウンロードさせたり投票を受け付けたり...という高負荷状況では、究極的にはCloudFront+S3静的サイト+後ろにAPI Gatewayなどのサーバーレスパターンが多かったです。

★サーバーレスアーキテクチャーでよく出るSQSですが、SAP問題のシチュエーションでも大量リクエストからの処理を平準化したり様々な場面で活躍します。
しかし設問の課題を解決するアーキテクチャ上でSQSが必須ではない場合、コストが掛かるから追加するのはアウト、という解釈の問題も出たりします。

 基本は専門知識の資格ほど深くは問われない設問の状況が優先、という感じでした。

スクリプトやLambdaの処理は比較的少ない

 アソシエイト級の3試験ですと、お手製のスクリプト計でわざわざ手間のかかる仕組みを作るような解法はだいたい間違い、しかしプロフェッショナル級のDOP試験では高度な仕組みを実現するのにけっこう活躍していました。
 そして専門知識の資格では比較的登場回数は低かったのですが、SAP資格でもだいたい同じぐらいでした。まあ目的全体を大きなレベルで解決するソリューションを考える場合は、小手先の職人技よりAWSのサービスや機能を正しく使ったり連携させる方がより正しい、ということでしょうか。
 Lambda関数を間に挟んでサービス同士で高度な連携をしたりするパターンが登場する割合は、

DOP>SAP≒専門分野(その中ではSCS>DBS)>>アソシエイト級3資格

という感じでした。やはりこのへんはどちらか言うとソリューションアーキテクトよりはDevOpsエンジニアの仕事の範疇なわけですね。

不自由な日本語に慣れる

 もうAWS認定のお約束ですね。

  • 「専有ホスト」「専有インスタンス」(もしかしたら"占有"だったかも)という表現が出てきて、んん?と英語版を確認するとDedicated host, Dedicated Instanceで重要ワードだった。
  • EC2にデプロイしているWebアプリケーションで利用者が遅いと言ってくるよくあるシチュエーションで、「~とユーザーがコンプレインしています」という謎表現。
  • 他にも"てにをは"が若干おかしい文章などはありましたが受験には問題なし。
  • なおEventBridgeは本番の試験では、EventBridge(CloudWatch Events)という表現でした。

 合格エントリ群から推察して2020年後半~2021年前半あたりで日本語が改善されているようですが、2022年3月時点PeasonVUE経由の受験では、受験に支障をきたすほどの激しい日本語問題はありませんでした。
 私的には「ユーザーがコンプレインしています」という謎表現が面白くて受験中に受けてしまいました。なんて意識の高い表現なんだ...外資系かよ!→Amazon Web Services, Incはシアトル本拠の外資系企業でした。本当にありがとうございます!

SAP資格に出てくる言語やフレームワークやツール

 デベロップメントが主範囲のエンジニアとしてはこのへんについ目が行くのですが、問題のシチュエーションでソリューション全体が出てくることの多いSAP試験では、あまり細かな技術的なワードはDOP試験ほどは出てこないことが多かったです。

  • DBの移行の問題でごくたまにIBM製のDB2が出てきたり。
  • 運用の可視化でFluentdやKibanaはよく出てきますね。
  • WebサーバーではJava専用のサーブレットコンテナ、TomcatJavaとセットで出てきたりします。Java+Tomcatのレガシーなアプリケーションをなるべく手間とコストを掛けずにそのまま移行だけしたい→そんな時はElastic Beanstalkの出番ですよ、など。
  • Javaはじめ様々な技術で作られた独立した大量のアプリケーションをRefactoringするほどでなく移行したい→それぞれEC2に乗せるとお高いので、そんな時はECSを使ってコンテナの中に封じるとオトクですよ、など。
SAP資格に至るまでの受験のパス
  • 王道がCLF→SAA→SAP、ここでSAPが辛いが乗り越えると後がだいぶ楽。
  • もうひとつ王道がSAA/DVA/SOAとアソシエイトレベルを制覇してから→SAP→DOP。逆の→DOP→SAPは比較的少ない模様。
  • あるいは専門知識の資格を途中に適宜入れる。セキュリティ(SCS)、データベース(DBS)、高度なネットワーキング(ANS)はSAP試験でも助けになる。一方、データアナリティクス(DAS)、機械学習(MLS)は資格自体が他と独立している面が強い。

 合格エントリでも様々です。ここはその方のスキルセットによってどうぞお好みで、というところでしょうか。
僕のように先にDOP→専門知識→最後にSAP のパスを経るのは比較的少ないようですが、先に獲っておいたDOPや専門知識の資格にもだいぶ助けられました。
 物事の複雑さを分割によって対処する...というアーキテクティングの技と同様、SAP試験の難易度を他の資格で分割して先に対処してから挑む、という順番は受験戦略として十分アリだと思います。

AWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』突破作戦

おわりに

 というわけで今回もガンダムではなく量産機から作戦開始、最大目標の戦艦2隻め撃破に成功しました。
 Udemy講座の講師の方々、読んだ商業本の著者陣の方々、様々な形でインターネット上に有益な情報や貴重な受験情報を発信してくれたAWS勢の先人の方々、面識があってもなくても様々な形で僕が刺激を受けたり勝手に凄いと思っているクラウド勢の先人の方々、TwitterやStudyplusで応援してくれたりお祝いしてくれた皆様に感謝します。

 大したことは呟いていない僕のTwitterアカウントですが、この合格ツイート報告はなんと60件もいいねが付きました。ありがたやありがたや。
 僕もこういう良い知らせには割と気軽にいいねをつけるスタイルなのですが、こうした、エンジニア同士なら見知らぬ相手でも頑張った結果や吉報にはお祝いをする善い習慣はこれからも守って行かなければなあと思います。

 思い返すと本格的にAWS入門を始めたのが2019年夏、実務のチャンスに恵まれなかったのでいろんな本を読んだり資格が先行していきましたが今、最大目標突破に成功。だいぶ体系的な理解が進んだなあという気持ちです。試験が終わった後の帰り道は晴れ晴れとした気持ちでしたね。

 それではこれからAWS認定『ソリューションアーキテクト - プロフェッショナル』資格に挑戦する皆さんに、雲海と国語力の神のご加護のありますように......(`・ω・́)ゝビシッ

 

 

 それにつけても残念なのは本番試験の点数がいまいち低かったこと、あとは苦戦したネットワーク関係が本番では突破しましたがやっぱり理解が不完全な気がすること。
 帰りに本屋で実物をチラ見した『要点整理から攻略する『AWS認定 高度なネットワーキング-専門知識』』を見ると、このへんがしっかり解説されていそうです。

この紫本を読むとネットワークのニガテ意識が払拭できるかも...CLF試験は次週受けて認定8冠予定なので、その後『高度なネットワーキング』(ANS)の資格も獲っちゃえば晴れて認定9冠達成ですね......(ジュルリ
 ハッ! これはAWS認定の沼だ! 逃げr

 

 

気を取り直して、当ブログのAWS認定の合格エントリシリーズは以下を記録しています。

iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com

認定対策本のまとめ記事も新刊が出るたび整理しています。

iwasiman.hatenablog.com