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【感想】『はじめる技術 つづける技術』で活動を楽しく続けよう@ #技術書典 6

はじめる技術 つづける技術

 約2週間遅れで物理本を入手した技術書典6の感想を書いていくシリーズです。
楽しいことをキーワードに語り合っていくPodcastaozora.fm』でもおなじみのFORTEさんの新刊、『はじめる技術 つづける技術』。43ページぐらいで気軽に読める親しみやすい本です。何かを始めたり続けたりするにあたり工夫や事例、辛さやそれを克服し、共有して楽しんでいく方法を解説した本となっています。
 同人誌といえば大事なのは表紙。本書もaozora Projectらしい青空を背景に、楽しく続ける世界へ手で招いている女の子を配してキャッチーな感じになっています。よく見るとちゃんと桜が待ってますね。絵柄的には今風というよりちょっと懐かしい感じでしょうか。裏表紙を見るとちびキャラ版でジャンプしています。

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 著者紹介を見ると表紙イラスト担当はryoiさんとなっていて、FORTEさんと同じでやはりアイコンがガンダムです。おお…やはりガンダムの人同士は惹かれ合うのか!

第1章 筆者が新しく始めて、継続して取り組めていること

 まずは著者であるFORTEさん自身の話から。2018年7月頃から新しく始めたことが合計13個列挙されています! この時点で既になかなかできることじゃないですね。
 そしてアウトプットを始めて続けたことで反応が来るようになり、目に見える成果が残り、知り合いもぐんと増えてLTや執筆などチャンスも増大、Twitterもフォロワーが900人ぐらい増えたとのこと。その秘訣は…と続いていきます。

第2章 はじめる技術 つづける技術

 何かを始めようとして苦戦する人は、自分に合っていない方法を選んで苦労してしまう事が多いから自分に合った考え方、方法を見つけて色々試していくのが大事だよという話。
 そして深刻にならないのが大事だよと本書では一貫して伝えています。このへん、かの名著『アジャイルサムライ』の著者ジョナサン・ラスマセン氏の「もっとうまくソフトウェアを届けるやり方を探し求め、分かちあい、見出していこう(でもあんまり深刻に受け止めすぎないで。楽しみながらやっていこう)」を座右の銘的なものにしているFORTEさんらしいスタンスですね。

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

アジャイルサムライ−達人開発者への道−

  • 作者:Jonathan Rasmusson
  • 発売日: 2011/07/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 同書は僕も会社の机にいつも置いてます。明確なアジャイル開発をしてなくても心構えとか色々学べる本です。

第3章 何かを始める技術

 何かを始めるにあたって、まずは知ることから。始めるかどうかの判断は早いほど得をするという話では、適した環境を選ぶチャンスが増えたり判断回数が増えたり準備ができるからと論じています。

 ITエンジニア界隈で活動を始めた方はたぶんTwitterでエンジニア関連をフォローしていったりすると思いますが、Twitterで自分と同じ属性の人が何をやっているか見る」という方法は面白いですね。実際の事例としてはこうしてPodcastを知ったのでその後自分でも始めた話(スクリーンショットはaozora.fm第12回のみずりゅさん回!)、ファンタジーTRPG好きとしてはガタッとなってしまう石のイベントの話、包丁を自作する話が載っています。
 『aozora.fm』を聴いていていつも驚かされるのがFORTEさんの趣味系のカバー範囲の圧倒的な広さなのですが、やはりその原動力はこのへんから来ているのかなあと思いました。
 そしてどうしても何かを始めらないのであれば、始めないことを選んでいるのは他でもない、あなただ。自分の選択でそう選んでいることを意識するのだ…というのはなかなか深いです。

 他人と比較して萎縮してしまう話は、ネットには凄いように見える人だらけだがみんな初めての時はあったはずだから気にしないこと、SNSで人を知るのは大事だが自分で選択しようという話を論じています。FORTEさん自身が他人から影響を受けて始めたこととしてはLTが出てきて、トキワの森LT大会での資料が載っています。

connpass.com

 余談ですがここで「ネットは広い」じゃなくて「ネットは広大」と書いてるあたり、これは攻殻ネタですよね!(ガタッ

 そして過去の失敗や未来に縛られてしまいがちなことに関しては、現在に集中すること、そして行動することで小さな成功をループして回し、成功体験を積み重ねていくとポジティブになっていけるよという話をしています。このへんはソフトウェア設計における分割統治法で複雑さに立ち向かう方法や、目標を細分化してセイチョウしたり挫折を防いだりする方法など、いろんな他の本とも繋がっていくのが面白いです。
 いつだって何かを始めても良いのだという話に出てくる「始めたときがあなたにとっての最速」も何気に名言ですね。

 始めてから途中で折れないコツとしては、まず仲間を作って分かち合うとよいという話。そして一人でやる工夫としては、まずスモールスタートで小さな成功体験や小さな失敗体験から始めるとよいと論じています。このへんは新事業の始め方とも通じるものがあります。

 怠惰な種族である人間がよく陥る、やる気がでない問題については、本書ではまず「無理しない」という解法を勧めています。このへんもハードルが高くなくて親しみやすいです。

第4章 何かを続ける技術

 続いては無事何かを始めることができたら、続けるに当たって出てくる各種問題について。

 何かを続け始めるといずれ出てくるモチベーションが上がらない問題については、本書では厳しく対処するのではなく、やる気がでないときはまず休もう、続けることはそれ自体が既に大変だと述べています。自分で選択することが大事だという話がここでも出てきますね。
 そしてFORTEさん自身のテクとしては体調を考慮して、起きるなど低いハードルすら超えられないときはまず休む…などとても現実的な事例を上げています。この記事を書いている僕も連休中はなんか疲れて昼寝したりダラッと過ごしたりした日もありましたが(笑)、人間には休息も必要なんですよね。

 ブログやQiitaの技術記事なりを始めると出てくる、リアクションがない問題。リアクションの少なさをバネにしてくそっ!と前に進める人はそれでよいが、その気持だけ先走って休みづらくなる問題がある。そして多い心が折れてしまう人は、周りからの評価を気にしすぎないこと。感情の制御より行動の制御のほうが楽である…とあるのですが、このへんも何気に深い言葉です。
 アウトプットにはタイミングの問題もあるという話も出てきて、確かにブログ記事などは投稿時期や時間、話題になったトレンドとのマッチ具合などで変動することもあります。FORTEさんの実例としては続けているゲーム実況動画で、生きがいコメントという反応をもらったのが嬉しくてその後も続いた…という話が出てきます。
 僕自身もインターネット黎明期に個人サイト運営時代に反応があったことが嬉しくてその後もずっと続いたという似たような経験があるのですが、やっぱりリアクションやフィードバックが来るのは誰でも嬉しいものですよね。今後も続けていこうと思いました。(キリッ)

 効果や成長が実感できない場合の話については、FORTEさんが実は苦手だった英語の勉強方法を各種試した話を例にとり、色々なやり方を試すことも大事だと論じています。人によって必要な時間やフィットする方法も違ってくるということですね。

 やっている内容が正しいのか不安になってくる問題については誰かに相談するか、それでも不安だったら正面から向き合うこと、そして悩みが原因で動くのをやめないことが重要だと述べています。ここでの実例として上がっているのが、FORTEさんが仕事の進め方に悩んでいたらアジャイルに出会い、見える世界が変わっていったという話…出た!これはしがないラジオのsp.51で語られているあの話ですぞ!

shiganai.org shiganai.org

第5章 まとめ

 はじめる技術とつづける技術の纏めの章。

  • まず知ることが大事で、楽しく自分に合った方法を探していろいろ試そう
  • 結果だけでなく過程にも目を向けて、楽しさや成功体験など得られたものを思い返しながら続けよう
  • 自分を客観的に見て判断しよう
  • それを始め、続けてきた原動力は何だったのか自分を見つめ直そう
  • そして人と分かち合うことで楽しくやっていこう!

という感じでまとまっています。

まとめ:何かを始め、続けていくためのFORTEさん流の方法を紹介する本

 こういう話は商業の自己啓発本なんかだと意識が高すぎて読んでて疲れてしまったりするのですが、本書はあくまで無理なく語りかける感じでくるのでゆったりと読めます。何気に深い言葉もあちこちに登場します。Podcast『aozora.fm』のリスナー勢には、FORTEさんの声で脳内再生余裕だという思わぬ特典もあります。(笑)
 前述のジョナサン・ラスマセン氏の「もっとうまくソフトウェアを届けるやり方を探し求め、分かちあい、見出していこう(でもあんまり深刻に受け止めすぎないで。楽しみながらやっていこう)」がモットーにある方らしい、根底には常に「楽しくやる」が流れている読みやすい本です。
ブログなり同人誌なりPodcastなり何かを始めようとする方は、手軽に読めますし他の本と合わせて読んではいかがでしょうか。

 『セイチョウ・ジャーニー』や『挫折論への招待』、『エンジニアの成長を応援する本』あたりと通じるところもありますし、自分は未読なのですが『継続的にアウトプットする技術』とも関連していそうです。こうした題材が似通った本を読み比べるのも面白いと思います。
 

 めちゃくちゃ余談ですが僕のこのブログはリブート後あと2ヶ月ほどで2年になります。厳密な運営ルールみたいのは定めていないのですが、おおまかな方針はなんとなく定まっていて以前に時々書いたりしていました。

iwasiman.hatenablog.com iwasiman.hatenablog.com

  • 毎日・毎週必ず更新!とか高すぎる目標を立てると疲れるし苦痛になるから立てない
  • 人に届くのは嬉しいが、アクセス数やスターやはてブとか気にしすぎない
  • 無理なく楽しくやれる範囲でコツコツ続ける

などなどなのですが、改めて思い返すとこの『はじめる技術 つづける技術』に書いてある技術にだいたい似通ってるんですね。ということで #はじめる技術つづける技術 的にもグッドな手法をなんとなく採用していたのだと勝手に納得することにします。w
 そんなことを思いながら、旅行先の海の見えるお宿で読み終えた本でした。

リンク集

 電子版はboothにて500円で入手できます。 fortegp05.booth.pm

ちなみに「つづける」を漢字にして『はじめる技術 続ける技術』でぐぐると、アスリートの人が書いた別の本が引っかかるので注意しませう。

はじめる技術 続ける技術 一流アスリートに学ぶ成功法則

はじめる技術 続ける技術 一流アスリートに学ぶ成功法則

技術書典6直前の盛り上がりに向けて、FORTEさんのブログでもいろいろ記事が上がっています。
本をこのテーマで書こうとしたきっかけ。 fortegp05.hatenablog.com

本自体の紹介。 fortegp05.hatenablog.com

合計4名の方にレビューを受けてクォリティを上げた話。 fortegp05.hatenablog.com

入稿周りの話。 fortegp05.hatenablog.com

そして満を持して当日、技術書典参加レポート。 fortegp05.hatenablog.com

なお最新記事では、おやかたさんの次なる同人誌『ワンストップPodcast』のアンケートを募集開始しています!

fortegp05.hatenablog.com

レビュアーとして参加したみずりゅさんの記事。 mzryuka.hatenablog.jp

本書表紙の赤い髪の女の子、裏表紙のちびキャラで見ると毛先はオレンジ色で両脇をリボンで結んでいるのがわかります。
おお…確かにこの全身像だと、なろう系ラノベ/アニメの『盾の勇者の成り上がり』のヒロインのラフタリアにちょっと感じが似てるかも! と、aozora.fmほぼ公式パーソナリティっぽいみずりゅさんが収録中に言っていた細かいネタを拾ってみますw shieldhero-anime.jp

私的には転職LT#4でご挨拶できた、ごまなつさんによる感想。

gomana2.hatenablog.jp

「ソフトスキル・エンジニアリングスキル」という表現を使い、プログラミングとかバリバリ技術系のスキル以外を扱った技術書典6の本一覧を上げたQiita記事。本書も載っています! そしてこのリスト自体も充実。こういう色々なジャンルの本が出るのも技術書典ならではですね。 qiita.com

Podcast『aozora.fm』は更新頻度も高くいろんなゲストが登場しています。このエントリ執筆時だと最新回29.はSIerでWebっぽい開発をしているナカーマのAizackさんが遂に登場! 現場をカイゼンしていく話や会社でモブプロのイベントをやろうとしている話など、熱量に満ちた回です。

fortegp05.github.io

 そして28.は『エンジニアの登壇を応援する会』でおなじみ ariakiさんの回。新しい知を求めていく話や技術書典の本の話、最後は格ゲーの話も聞けます。技術書典開始後1時間で900部が頒布完了した薄くない薄い本、Tech Do Book #1は僕も電子版で拝見しました。なんと無料です。 fortegp05.github.io

techdo.mediado.jp booth.pm

 そして技術書典6直前のちょっとばたばたした時期だったのですが、何を隠そうワタクシも24.にゲスト出演しとります。がっつりとキャリアの話やWeb系とSIerの話をしたしがないラジオの時とは趣を変えて、こちらでは趣味の話メインでした。TRPGの話なんかだったらネタはもう無限に出てきそうなのでまたやりたいですね。
はっ。そういえばお礼を兼ねたaozora.fm出演記を書こうと思ってまだ書けてなかった!

fortegp05.github.io