Rのつく財団入り口

ITエンジニア関連の様々な話題を書いているはずのブログです。

TRPGシーンにおけるデジタルデータ閲覧方法 【1:データ種類編】

 さてTRPGはアナログ全盛なゲームですが、デジタルな進化の続く21世紀の現代社会の中、ネットを活用した活動も盛んになってきました。
 TRPGセッションの場でも、何らかの形で電子データを活用する機会は増えてきたと思います。今回はセッション前でなく主に実際のセッションの場で、電子データを取り扱う扱う方法などなどにまつわる四方山話を述べていこうと思います。
 まず、TRPGシーンで取り扱うデータについて。

シナリオをtxtやWord形式にする

 今の時代、シナリオは手書きでなく電子データのテキストで記述する形式がより増えてきたでしょう。ネット上で公開されているシナリオも本質はテキストですね。
 筆者は自作シナリオの場合はテキストをWordで整形し、A4縦2段組に印刷したものを使っています。A4かB4か、縦か横かなどの細かな差異はありますが、多くの人が取る方法は印刷した紙ではないでしょうか。
 実際のマスタリングではシナリオは上から下へ順へ順番には進んでくれず、後のほうのデータを参照したり途中の情報項目を参照したり、シーンの描写で前に戻ったり、あちこちを行ったり来たりしながらたびたび参照することになります。
単語レベルでの純粋な検索ならばtxt/Word/PDFなどの電子ファイルの方が格段に速いですが、総合した取り回しは数枚〜数十枚の紙の束の方が扱いやすいでしょう。ちょっとした書き込みも紙の方がすぐできますし、電子データならばなるべく大きい画面で見る必要が出てきます。小さな画面をたびたび覗き込むより、どちらかの手に紙があった方が、身振り手振りを交えたロールプレイもやりやすいでしょう。
 というわけで、セッション中のシナリオ本体の参照についてはやっぱりまだ紙なのかなあと思います。

シナリオをPDFにする

 同人誌であれば元データがPDFの場合もあり、ネットで一般公開されているシナリオでもPDF形式が以前より見かけるようになりました。シナリオの前情報として、トレーラーやハンドアウト類一式をB5もしくはA4の大きさのPDFでネット公開する形もあります。
 綺麗にレイアウトされた最終版ならばPDFの方が綺麗ですし、逆に細かな誤字などの修正などはテキストデータよりは手間が掛かることになります。
 2009年冬現在、筆者の周囲の知り合いで同人誌を宣伝を兼ねて載せてみると……

  • サークル【時間管理局】さんの新刊シナリオブック『Bloody Avalon
  • サークル【dicehead】さんの新刊 (近々サイトにも情報掲載? PDFかは不明)


このようにプレアクト類をPDF公開にしているものもあります。

Excelの表

 Excelのマクロや計算機能を使ったデータ計算はTRPGと相性がよく、キャラクター作成補助などの機能を備えたExcelはファンサイドで公開されているものもよく見かけます。筆者もN◎VA-Dのキャラメイクで経験点計算ができるシートを重宝しています。
 ただこれらはどちらかいうとセッションの場ではなく、セッション前の準備段階で役立つものですね。データの多いゲームは特殊技能や装備などを一覧表にまとめると、現場でかなり役立つかもしれません。普段からノートPCを持ち歩いてセッションをしている方なら、手製の表を駆使している方もいるでしょう。
 筆者は『トーキョーN◎VA』のRL(マスター)をする際、いつも手製のExcelのキャスト管理シートを使っています。名前、ハンドルから始まってスタイル能力値特殊技能社会技能主なコネ、大方の装備と戦闘中での主な動き方や達成値上昇、大体のダメージ、そして大事な設定概要。4-5人分の欄がA41枚に収まるシートのテンプレートを作っていつも活用しています。
 これをセッション前に準備しておくと本番でかなり役立ちます。情報をあらかじめ把握、あるいはその場で参照し、キャストの特徴や設定に合わせた対応をしたりゲスト(NPC)が合わせた反応を返してきたり。ゲーム用語として成立してきたいわゆる「設定を拾う」というやつですね。
 ただこれも作成時はExcelなんですが、本番で見る時はべつにExcelである必要はないんですね。実際A4紙1枚なので、セッションの場では印刷していつも目の前に置いています。w
 というわけで、ノートPC以外では、Excelの活用はテキストに比べるとやや敷居が高くなるでしょうか。

画像

 1枚の絵は百万の言葉より多くを語る……とは海外RPGの画集に添えられていた言葉ですが、絵心があれば自分で書いた絵、そのキャラクターの外見やイメージのモデルとなる実在/架空の人物の絵、セッションのある場面のイメージを伝える写真なども、セッションの場では役立ちます。GIF/JPG/PNG/BMPなど、画像はバイナリなのでテキストに比べると容量は大きめになります。
 筆者は比較的珍しい宇宙を舞台にしたシナリオをマスターする際、宇宙コロニーや低軌道上から見た地球の写真などをセットでイメージ画像として用意したことがありますが、イメージが湧くと非常に好評でした。
 しかしこれも全員に伝える必要があるため、元データはWikipedia様やGoogleイメージ検索から拝借してきたデジタル画像でも、セッションの場では紙に印刷でした。w
 個人で参照したり楽しんだりするなら、携帯やスマートフォンからWebアクセスしてその場で検索して閲覧したり、端末内に保存することは比較的簡単にできます。問題はセッション参加者全員で共有する場合ですね。小さい端末だと各員に回さないと画像が見られません。部屋にプロジェクターがあってセッション中ずっと写真やキャライラストなどが写っていれば……さぞかし臨場感が増すでしょうが、日本のTRPGシーンだとちょっと難しいかもしれません。

音楽

 携帯音楽プレイヤーの普及に伴い、音楽データも以前より手軽に扱えるようになってきました。フォーマットは今なら主にはmp3などでしょうか。
 筆者もいつも、iPodが機能として備えているプレイリストの形でシナリオ内の各シーン毎に曲を揃え、活用しています。音楽は場面に特定の雰囲気や感情を想起させたい時に有効で、うまく嵌まると絶大な効果を発揮します。

 このプレイリストがない点でSONYウォークマンは以前は負けていたんですが、最近の製品だと作れるようになったみたいですね。

 セッションの場で扱う場合は特別な作業はいらないでしょう。大抵のデバイスは母艦のPC上でソフトウェアを動かし、CDからインポートしたり買ったりした音楽ファイルを、用意してある仕組みでデバイス上に転送する仕組みになっています。これに従えば普通に利用できます。他にもmp3類を整理して再生できるソフト類はいろいろあるでしょう。


テキスト形式のセッション情報メモ

 どちらか言うとセッションそのものの話題ですが、筆者はセッションひとつひとつにプレーンテキストファイルを用意し、セッションに関わる情報を格納しています。BBSでセッション前の準備(プレアクトやプレプレアクトと呼ばれるもの)をしたならそのコピー、シナリオのトレーラー&ハンドアウトに付加情報。参加するキャラクターの情報がネット上のWebコンテンツ/blogやSNS/Web上のシステムに存在しているなら、そのテキストコピーとURL。
 セッション前にプレイヤーがPCの設定案やショートストーリーや演出案などをblogやSNSの記事として上げていたら、そのURLと長くなければ内容もコピー。何度も改変が入るシナリオでその都度トレーラー&ハンドアウトが別々のblog/SNS記事として上がるなら、それも格納。
 ここで、情報にはURLを併記しておくのが後から使う時のポイントです。
 他にもいろいろ使えます。シナリオを構成する要素が実在の作品なり神話伝承なりをモチーフにしていたりネーミングを使っていて、それを事前にググったりしてちょっと調べておいたなら、その情報もURLなりメモなりをこのファイルの中に残しておくとよいのです。プレイヤーキャラクターの設定などについても同じです。
 こうした情報を、いかにも前から知っていたような顔をしてセッション中にさりげなく活かすと、いんてりぢぇんとでスタイリッシュなTRPGゲーマーたる演出ができるわけですよ。うーんCOOL&SWEET。わははは。w


 ほか、シナリオを個別セッションに合わせて改造する場合。チューンとかアレンジと呼ばれるものですね。これもシナリオ本編ではなく、セッションごとの情報メモの方に記述します。セッション中は両方を参照すればよいので、シナリオ本編を改版しなくて済みます。
 例えば……

「チューンで決めること:ゲストの熊田青一の病弱な娘の名前をつける」「回想シーン:みこなぎはミルク。クマさんが用意してくれる」
「忘れずに全員に社会:軌道をあげる」「ゲストデータ夜警化」「フィグたんのシーンには攻殻2ndGIGの音楽を流す」「ギャグとしてウォーカー防衛隊にはバトー顔の仲間を混ぜる」「ユニコたんのセットアップ行動に注意」「テクノウィッチはエニグマがツェノンするのでクライマックスは盛り上がりそう」「小鳥遊和人がスナイパーした瞬間は描写で盛り上げる」
「PC4がウサコックぴょんなのでOPでやられるウォーカー部隊には死人がいないのを強調、いい話にする」「レグルスたんと忠鷹はガチで似合う」「部長の精神攻撃は瀬良修斗の消沈相殺を狙う」「出会いのシーン、最初雪音は相手が子供のウーリン少年で気付かず待ちぼうけ。開始前にチェック、身長は何センチかな」

 とかですね。これ全部実際の例ですね。わははは。


 例えばセッション当日の朝に、携帯できるデバイスでこのセッション情報が参照できれば、電車の中などでもこれからプレイヤー参加するセッションのトレーラーを読み直して気持ちを高めたり、登場人物や固有名詞の名を把握して記憶に努めることも出来るわけです。筆者はこうしたセッションに対する意気込みを見せることは、ゲームマスターへの礼儀だと考えています。
自分のキャラ自慢はしておいてNPCには「そいつ何て名前だっけ?」じゃあ、人をおだてるのが上手いGM諸氏は顔では笑っていても心では殺意満々でしょう。w


 また、セッション終了後にもこうした集合情報は役に立ちます。例えばプレイ記録を何らかの形で残す際も、まとめて情報があると非常に楽です。また、何か別の機会にマスターをする際などにも……もう時間がない、マスター側から推奨のキャラクターを提示した方がよい、そうだあのセッションの時のあのキャラがいいだろう、早速Webから探すと……Webサーバーが死んでる!/キャストDBのデータがぶっとんでる!/この人のSNSの記事は日常雑事が多すぎて探すのが大変!……などという時も、こうした過去セッションのバックアップ情報があれば、多少データが古かったりしても役に立つのです。


 こうして残しておいた情報は、筆者の場合はもう数年分あってかなりの量の情報資産になっています。ファイル名は日時を入れ、半角英数字しか使わないようにしています。例えば pre_20091121Astraia4th.txt といった具合です。情報リテラシーが高い方は、例えばこういう日本語を入れないネーミングルールを使う人は多いかもしれません。

 ではデータの種類の話はこれぐらいにして、主に……上のようなセッション情報(数十KB)、シナリオ(筆者は200KB前後)のようなプレーンテキスト情報を、各種デジタルデバイスで使う方法を主に探索していきましょう。今までもいろいろ試してみました。


以下、全4編で続いていきます