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【アニメ】『攻殻機動隊 SAC_2045』シーズン2を完走したので感想と考察を走り書きする日記【持続可能戦争】

あの攻殻が...3Dになって帰ってきた!(眼鏡っ娘もいるでよ)

 あの『攻殻機動隊』の新シリーズがNetflix独占配信で帰ってきた! 話題になったのが2020年。そしてシーズン2が2022年5月から配信開始されました。
 自分も過去の映像作品をすべて観ているぐらいにはファンの端くれなので、Netflixでシーズン2を集中して観てみました。このエモーションを外部記憶装置に残しておくようゴーストが囁くので(ノルマ達成)、感想や考察を適当に書いていこうと思います。以下一部微妙にネタバレありです。

www.ghostintheshell-sac2045.jp

全般

 2020年4月に公開されて話題になったシーズン1が1話約30分、全12話で6時間。6時間も持続できんわという方は2011年11月に公開された総集編の映画版『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』を観て情報の並列化(ノルマ達成)を行うとよいでしょう。銀行強盗の話とか個別の面白い話を除外し、主要プロットだけを揃えてしっかり2時間の枠に収めています。映画の中の新カットはシーズン2のもので、「なあ旦那、生きてるってだけでこんなにも世界は美しいのか……(♪Don't Break Me Down~)」とかあのへんです。


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攻殻機動隊 SAC_2045 シーズン2 / Netflix公式より

背景
  • 思えばシーズン1にネガティブな反応が多かったのは、予告編にまず映るのが戦争ごっこに向いてそうなだだっ広い荒野(そしてバトーさんの脳筋台詞)、その後も廃墟になりかけの街など、いかにもゲーム内のステージみたいな場所が多かったからではないでしょうか。シーズン2の舞台はほぼ日本国内なので、前よりは違和感が減ったように見えます。
  • 意図しているのかは分かりませんが、シーン背景をモブの人が歩いている場面が前より多くなっているような気がします。
  • 序盤のハイウェイでの銃撃戦とか後半のドームっぽい場所も3Dの奥行き感があって良いです。
オープニング
  • 素子少佐がビルの屋上から自由落下する、あの攻殻の象徴的ともいえるシーンが流れるOPテーマ『Secret Ceremony』と一緒に流れます。そこから上下感覚がぐにょーんと反転しながら続くのがよいですね。
エンディング
  • 今回のキャラクターデザインを手がけたロシアのイリヤ・クブシノブさんデザインの、主要キャラ陣の一枚絵が流れていく形式。日本発のアニメなのに日本ぽくない、海外発の作品みたいな不思議な感じがして面白いです。
  • みんなビシッとしたりエクササイズしたり伸びをしたりドレスアップしたりステキポーズをしています。でもメインは素子、バトー、トグサ、江崎プリンの4人だけで残りはモブ扱いですね... (´·ω·`)ショボーン


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主要キャラクター

草薙素子“少佐"
  • ハイレグレオタード風のコスチュームで日本の一般家庭に聞き込みに行ってしまうシーンがシュールすぎるとシーズン1で話題になりましたが、シーズン2も基本コスチュームは同じ。まあ聞き込みに行ったりしないのであまり違和感はないですね。というかまあ衣装がおセクシーなこのへんは士郎正宗さんの原作から続く流れなので...
  • 銃はいつもの架空メーカー・セブロのブルパップライフル、C-40というそうですがこのへんを構えていることが多いです。SAC_2045は敵の装甲が固いので、あまり効いていないように見えることが多いのが悲スィです。
  • キャラデザ一新でさらに若返ってしまったと話題の少佐ですが、さすがに2シーズン続けて見ているとだんだん見慣れてきた感はあります。まあ中身は脳以外は完全義体ですしね。『攻殻機動隊 ARISE』シリーズが陸軍501機関所属の若さゆえの暴走や直情的な部分がまだある若い頃、『S.A.C.』『S.A.C.2nd Gig』『S.A.C. SSS』が公安9課所属でもう人間として完成した頃で作中の西暦2030年~2034年。SAC_2045はその11年後ですから、実年齢はもう(銃殺)
  • でも3Dになっても声が完全に少佐なので少佐だった!

↓大昔の映画の頃

↓『ARISE』のまだ若い頃

『S.A.C. 2nd GIG』の頃

今。↓

バトー
  • 元レンジャー隊員で目が義眼、ガタイがよくて外見もパワー系で分かりやすいバトーさんは他の攻殻作品と同様、メインの役どころです。
  • SAC_2045のシーズン1の予告編で戦闘用ジープから「戦争ごっこを楽しもうぜぇ~!」とか脳筋なセリフを言ってヒャッハーしていたのが、このへんがどうも間違ったイメージを与えていそうですね。確かに肉体戦メインだけど電脳戦もできるし単なる脳筋キャラじゃあないんですよね。そういう奥深いところが攻殻なんですよ。分かれよ!(突然の叫び)
  • こちらも義体なので外見は変わらず。3Dだと顔のしわが不自然で気になります。
  • でも声が完全にバトーさんなのでバトーさんだった!(こればっか)
  • 体が大きいので戦闘シーンやタチコマと一緒にいるシーンはやっぱり絵になりますね。
  • 長年コンビを組んできた少佐という人がいながら今回は江崎プリンちゃんという童顔メガネっ子の後輩もできて、しかもかなり慕われています。バトーさんあんたって人は...
  • そして、今回も目を奪われることに定評のあるバトーさん...(´_`。)グスン

↓押井版の続編『イノセンス』の時だとやたら博学なバトーさん

『S.A.C.』の頃のバトーさん。髪がオールバック、長くして後ろで結んでいる時も。

3Dになったバトーさん

トグサ
  • 元刑事で体の義体化率も低く、愛銃はリボルバー式のマテバ、妻子あり、と普通の人。現実世界の読者に近い立ち位置で公安9課を支えてきたトグサさん。攻殻のヒロイン枠です。(なお異論は認めるw)
  • 主要登場人物の中ではほぼ一人、家で奥さんと会話をしたり小さな子供2人が出てきたりマイホームパパ的な描写があります。『S.A.C. SSS』が西暦2034年で少佐不在の中で新生公安9課を率い、義体化率を上げて仕事と家庭と折り合いをつけつつ進もうとしていた...というところでした。
  • そんなナイスなトグサさんですが、SAC_2045では何はともあれ離婚してしまったという衝撃がファンの間を駆け抜けていました。これはサスティナブル・ウォー確実案件ですわ...
  • そして3Dになってこちらも若返ってしまい、なんかジャッキー・チェン風味のアジア系の男優みたいなイケメンおぢさんになっています。スーツを着ていることが多かったですが今回は黒のジャケット。
  • 生身の人間ぽい描写が多いので、SSSで義体化率が上がったという設定は抹消された?ような気もします。
  • 他の年長男性キャラに比べると顔のしわとか造形はまだ自然で違和感はあまりない感じ。しかし途中で西暦2030年頃の公安9課入りの前のとある事件を思い出す、現実なのか虚構なのか分からない夢のようなシーンで15年前の自分を傍観者の視点で見つめるシーンがあります。ここだと年の差がわからないですね。
  • 3Dモデリングでメカ類ではなく人間キャラクターを表現する際は、パーツや色で特徴を表せる美少女とか美人は得意ですが年齢を表すのが難しいな...というのを10年ぐらい前に感じていたのですが、この作品を観て2022年現在もやっぱりそうなんだなあと思いました。まあ予算等の要素もあると思いますが。

『S.A.C.』の頃、マテバを構えるありし日のトグサさん

若返ってしまった3Dトグサさん

  • そして生まれ変わったトグサさん、シーズン1だと格闘ソフトをダウンロードして「アチョー!」とか言っちゃう新属性が追加されていてファンの怒りを買っていました。これは単独捜査が得意なキャラクターなので戦闘能力を上げたのだとか、海外展開向けに分かりやすくしたのだという説があります。
  • このトグサ拳法、シーズン2ではなくなってクリーンなトグサさんが帰ってきました。バトーの目の前で消失してシーズン1終了で行方不明という衝撃の終わり方から、シーズンの2の途中から復活してかなり重要な役どころです。
  • 彼が登場するあたりから話が急にエモくなったり難解になったり現実と虚構が混じるようになります。電話かけちゃって「なあ旦那、生きてるってだけでこんなにも世界は美しいのか……(♪Don't Break Me Down~)」とかセリフもエモエモです。
  • ちなみにご家族はシーズン1冒頭の警備会社のシーンの1カットで机の上に写真が映っており、無事なのが分かります。奥さんが健在、奥さん似の娘さんが高校生で『S.A.C. SSS』の11年後で計算も合い、その下はやんちゃな弟が中学生というところかな。
  • そして離婚の原因ですが家庭内不和ではなくて、職業柄家族に危険が及ぶ可能性があるので家族で話し合った結果こうなったということらしく、チョット安心。
     分かりそう..なのですが、それって一時的に別居して家族のセキュリティ強化したりするだけでもよくない?という気もします。公安9課が再結成したから離婚したわけでもないし、シーズン1冒頭のくすぶってる(ように見える)頃からもう離婚してるんですよね。
  • そしてこれまでもいろんな重要パーソンと関わったり子供を人質に取られたり災難が続いてきたトグサさん、少佐たちと再合流した後もエヴァっぽいエモシーンを演出したり突然パルクールに入門したり、(自粛)+眼鏡の女の人と戦ったり災難が本作でも続きます。でもなんか嬉々としてやってるようにも見えますね。ほんとはこちらがやりたかったのでしょうか。
  • そして独身貴族に戻ったのをいいことに、エンディングではホストっぽい黒スーツをキメてキリっとしちゃったり独り身をエンジョイしています。JKになった年頃の娘さんがこんなハッスルしてるパパを観たらどう思うのでしょうか。トグサさん......そういうとこやぞ!

江崎プリン
  • さあ時代が変わればニューフェイスも登場するもの。最初はタチコマのメンテ役から公安9課にフレッシュな新メンバーが颯爽と登場してきました。
  • 飛び級でMITを出た天才で童顔メガネっ子でピンク髪、全面萌え挙動、しかも能力が完全に被っているのでイシカワおぢさんやボーマさんの出番を奪いがち、さらにバトーさんのプロファイルをすべて知っている熱心過ぎるファン、全世界の硬派な攻殻ファンと全国津々浦々のバトーさんファンが発狂しそうな属性がてんこ盛りのプリンちゃんです。
  • 攻殻機動隊シリーズの登場人物は年齢層が高いし男性が多く、さらに年を取る(はず)のSAC_2045なら、通常の群像劇的な考えであればここで若い女性キャラクターを追加投入してバランスをとるのはまったくもって自然な流れでしょう。
     だがしか~し。少佐は見た目は美人でもメスゴリラ強いサイボーグなので萌えられないし義体性能を生かしたジャンプの後に地面が沈んだりするあの重量感とかメカニック感とかそういうところを堪能するもの。タチコマとかトグサさんの子供とか少佐の愛人たちとか2nd GIGのヒロイン枠の茅葺総理とかそういう細かいところで萌えや癒しを楽しむ。それが正しい嗜み方だと全国の訓練された攻殻ファンは知っています。そんなめんどくさいファンたちをイラっとさせる属性がプリンちゃんには揃っていました。世界観を壊しかねない突き抜けたキャラをここでぶっこんできやがったぜ...
  • ほんとに彼女はわざと炎上を狙ってやってるのではないかと思うぐらい属性を各種取り揃えてるんですね。Googleで「江崎プリン」と入れると「かわいい」に混じって「いらない」「うざい」までサジェッションが出るぐらいでカワイソス...。全世界の硬派な攻殻ファンに怒りのサスティナブル・ウォーを引き起こしてきました。

動きがアニメアニメしているプリンたそ (シーズン1初登場時だったはず)

  • 本作SAC_2045の主要キャラクターはモーションキャプチャーを取り入れて動いているので、仕草がだいたいリアルの人間寄りなのですが、このプリンちゃんだけが「眼鏡をクイッと直す」「人差し指をピッと立てて説明」「手を腰に当ててドヤっ」「驚くときに両手がオーバーアクション」などなど仕草が正しいアニメキャラで非常に萌えキャラっぽい挙動をするんですね。
     一人だけ別次元なので出演する作品を間違えた異世界からの迷い人なんじゃないかという気さえしてきます。シーズン1の頃は中身はタチコマなんじゃないか説もありました。モーションキャプチャーの中の人もさぞかし頑張ったことと思います。
  • ちなみにデザインが童顔で天才少女設定なのでロリキャラっぽい扱いをされることもありますが、作中では23歳のれっきとした成人女性ですね。中学卒業後、フィクションの天才キャラの背景によく使われるアメリカMITに入学して博士号取得して卒業、そのあと理由があって帝都大学に入り直してまた卒業し公安9課入りとなっています。シーズン1の自己紹介シーンでも映像で示されています。このプロファイルがちゃんと伏線になっていてシーズン2でもまた使われることに...

プリンたその自己紹介シーン

  • そんなプリンたそはシーズン2でも病的熱烈なバトーさん推しを続けていますが、念願の合同調査もあってルンルンです。二人で豪華ホテルの部屋を調査してあのバトーさんに「今度一緒に泊まりませんか?」とか男女逆だったら完全アウトなセクハラ台詞まで平気で言っちゃいます。さすがプリンたそ、皆にできないことを平然とやってのける、なんて恐ろしい子...!
  • そんな持続可能戦争の原因を引き起こしてきた彼女ですが、シーズン2では彼女の生い立ちが判明するエピソードがあって目からオイル必死です。そして実は超重要キャラクターだったのが判明します。さすが攻殻や...ただの萌えキャラじゃなかったんや...信じていたぜ....
  • なお英語だと食べ物のプリンはPuddingですが、彼女の名前の英語表記は Purin Esaki (たまにEzakiとなっている場合も)で、微妙に違っています。英語圏の方からするとこのPurinという名前はどういう印象になるのでしょうね。
  • このプリンというふざけたネーミングの由来も作中で明かされて目から(以下略)なのですが、もうちょっと他に何かなかったのかという気もします。アンパンマンとかしょくぱんまんと似たようなレベルやぞ...

サイトー
  • 元傭兵の凄腕スナイパーでパカっと開く左目に「鷹の目」が仕込まれているサイトーさん。『ARISE』の時は髪が頭頂部だけのモヒカンスタイル、『S.A.C.』で髪が生えてきて、SAC_2045ではシーズン1の冒頭から少佐率いる傭兵部隊“GHOST”の一員としてヒャッハーしています。このGHOSTというネーミングが直球過ぎて攻殻ファンには割と不評でした。
     その後公安9課に合流、シーズン2でもそのまま狙撃手メインで、脇役ですが活動します。サイトーさん用の野戦仕様のタチコマと一緒にいること多し。

若い頃と思われる漫画版↓

『S.A.C.』の頃のサイトーさん

  • 元から年齢不詳(面々の中では若め?)なのですが、2045年になって3Dになってもそんなには変わってないですね。『S.A.C.』ではサイボーグにしたのは左目と左腕だけ、『SSS』で心肺機能強化、総合してトグサに次いで義体化率が低いという設定でしたが、このへんSAC_2045だとどうなっているのか不明です。
  • 『S.A.C.』では敵におこになった素子少佐の「サイトォ!! そいつをよこせェー!!」の名シーンがありましたがSAC_2045でもシーズン1で「サイトー!撃てぇぇー!」でノルマを達成
     そこからのバスローブおぢさんへのヘッドショットなど大事なところでキメてきましたが、シーズン2の戦績は熱光学明細で視えない相手へのティルトローター機上からの高難度スナイプ成功、高地に陣取っての状況把握、こちらも見えないSEALs重義体化部隊への狙撃など脇役ながら地道に活躍。
  • SAC_2045はおおむね敵の装甲が固かったり踊りながら銃弾を避ける変な人などが多いので、ズドンと重く響くサイトーさんの狙撃が決まるとやっぱり対物ライフルだと効き目あるんだな...と安心できます。
  • 現実世界の軍のスナイパーは常に脇を固める観測手のスポッターと一緒に行動するそうですが、SAC_2045でもそばに控えるタチコマがいざという時に盾になって守ったりポッドにサイトーさんを格納して急いで逃げたり、地味に活躍しています。2045年になると狙撃ポイント自体をミサイルや重火器で狙われたらシュッとタチコマで逃げるという新スキルを会得しているようです。しかしあれミサイル接近が分かってから狙撃姿勢を解いてタチコマの中に逃げ込む時間的な余裕あるんでしょうか。さすがだぜサイトーさん...!

3Dのサイトーさん

イシカワ
  • 年齢不詳だけど公安9課で最年長らしかったイシカワおぢさんも、シーズン1から傭兵部隊“GHOST”の一員としてヒャッハーしています。シーズン2でもメンバーの一員として活動。
  • 『S.A.C.』から約15年なのでさらに年を取ってるはずなのですが、3Dイシカワさんもほとんど年を取ってないですね。義体化が進んだのでしょうか。顔のしわがちょっと不自然で、年長キャラは3Dに向かないのかなーと思います。
  • そして電脳戦や情報収集の超エキスパートとして歴代の作品でも活躍してきたイシカワさんですが、本作ではプリンちゃんが能力がほとんど被っている上にヒロイン力が強いので、おぢさんはだいぶお株を奪われています。
  • 目のところにあてがうあの謎の装置をガチャッと降ろしていつものネットサーフィン...じゃなかったいろいろ調べ物をして「とてつもない技術が使われたAIだ」とかふわっとした説明台詞をなんとなく言ったりしてるのですが、ピンク髪のあざとい萌え萌え眼鏡っ子に比べると画面が圧倒的地味......イシカワさん...(´_`。)グスン
  • 戦闘時はイシカワさんだけメイン武器がオートショットガンのようですね。
  • シーズン2の細かいチョンボとしては、公安9課でパズとの会話が盛り上がっちゃって2人で画面をのぞき込んでキャッキャウフフしている間に、背後でドアロックを突破したゴニョゴニョの脱出を許しちゃったりするシーンがあります。
     この作品の主な登場人物って基本とても優秀な設定なので、不在の隙に逃げられたとかもうちょっと描き方なかったのかなと思います。SAC_2045を通してこういう「もう少し何とかならなかったのか...」というのが時々あるんですよね。

前日譚の『ARISE』の頃のイシカワさん。この頃から変わっていない。

3Dになったイシカワさん。この頃も(ry

ボーマ
  • 身長2mで実は一番の巨漢のボーマさん。両目の義眼はバトーと同じような形の円形になってる作品も多いのですが、SAC_2045だとより未来っぽい形状になっています。この人も元から年齢不詳ですが3Dになってもあまり変わっていません。脳以外は完全に義体なので年も関係ないのでしょうか。
  • シーズン1では途中まで一切登場せず死亡説が心配されていました。公安9課再結成の際、特に詳しい説明もなく空気のように何となく加わり、なんとなくいました。
  • そしてシーズン2でもバックアップに回ることが多く、得意の爆弾関連を取り扱うシチュエーションなども起こらないのでだいたい空気です...(´_`。)グスン
  • そんなボーマさんですがラストに向かって加速するシーズン2の後半では、9課面々全員が出動して見せ場の多いアクションシーンへ。危険なダイブに挑むプリンたその実体を守ってくれたり頑張ります。その結果が......(´_`。)グスン

『S.A.C.』の頃のありし日のボーマさんとパズさん

3Dになったボーマさん。この頃も(ry

パズ
  • 3Dでなんか顔が変わってしまったパズさん、こちらもシーズン1冒頭の傭兵部隊“GHOST”には加わっておらず死亡説が心配されていました。公安9課再結成の際、ボーマと一緒に特に詳しい説明もなく空気のように(以下略)してシーズン2に至っています。
  • オールラウンダーでだいたいできてナイフコンバットが得意、荒事や内偵、裏の世界での聞き込みが得意という設定でした。シーズン2でも台詞は少なめですが容疑者の護送車の運転手をしたり激しい銃撃戦をしたり、ボーマさんよりは空気を脱して存在感を見せています。
  • 確か女性にモテて同じ女とは二度寝ない主義を貫くというすけこまし設定でしたが、人類が初めて遭遇するポスト・ヒューマンとの戦い(ジョン・スミス声で)が本格化するシーズン2では、そんなことをしている余裕はありませぬ。
     踊りながら銃弾を避ける変な眼鏡女史とかなり至近距離で撃ち合って拳銃まで取り出してヤバいところまで行ったりしてるので、女がらみの災難に遭いやすいというところで現行踏襲しているのかも?

3Dパズさん (スーツがヤ○ザっぽいのは同じ)

タチコマ
  • 攻殻シリーズ最強の萌えキャラ癒しキャラといったらタチコマ!異論は認める!
  • 攻殻機動隊全編を通して活躍する思考戦車のタチコマ及び類似シリーズですが、SAC_2045だとさらに小型化に成功しているという設定ぽいですね。前から機体後部のポッドが開いて人間が入れる設定でしたが、本作だと上だけがパカっと開いて人が入るのでなく、魔改造されると横側も含めて全体が開いて人間が入るような感じになっています。バトーさんとかボーマさんとかガタイの大きい人は入るのがキツそうです。

前日譚『ARISE』の頃の先代ロジコマ先輩(まだ大きい)

『SAC』の頃のタチコマのメンテシーン

SAC_2045の9課でのタチコマ。やっぱり小さくなってる。

↓こちらの記事の1/24スケールのプラモが揃った写真が、大きさの対比がとても分かりやすいです。 blog.livedoor.jp

  • よく見ると形状も差異があって、公安9課に残った面々がオリジナルでポッドも大まかに四角形。シーズン1の前半で少佐たちが傭兵部隊“GHOST”を結成してヒャッハーしたのについていった面々は魔改造されて強化。ポッドもサイボーグが入りやすいように流線形、ポッドの下に追加の車輪もついたりと強化されています。
  • この追加車輪、シーズン1の大型ドローン「ヘルファイア」との戦いでは道路を疾走するときに使っていましたが、シーズン2ではあまり出てこない気がします。主にオフロード用なのかな?

  • そしてサイトーさん専用のタチコマはカラーリングもカーキ色っぽい野戦仕様で、スティンガーミサイルを装備したり大型ライフルを運んだりとよりミリタリーっぽい見た目で、ここはシーズン2も同じ。
  • 3Dアニメは発展途中なのか、3Dになると人物が一部(かなり?)アレな本作ですが、3Dとメカ作画は相性がいいのでタチコマはもう2Dの頃と変わらず大活躍です。ハイウェイを疾走したり、後半の大きなドーム的な場所などなど、もうタチコマ陣は縦横無尽に3次元機動を魅せてくれます。このへん3Dならではですね。
  • 戦闘でも面々の盾になって銃撃を防いだり、擲弾を打ち込んだり腕の部分に仕込まれたチェーンガンでガンガン撃ちまくったり活躍します。装甲が固い相手と撃ちあう時はちゃんと気合の声を上げるのがかわいい。

  • 笑いを取る場面としては、とある人の育ての親のお宅に手土産持参で3機が伺うシーンがあるのですが、古い日本風の家の縁側のある畳の間で丸い机を囲んで話を伺う場面があってかなりシュールでした。1機が庭で待機、2機が部屋の中にお邪魔しているのですが、どんなに小型化しても一般的な日本家屋だとドアや戸を抜けるのがかなり厳しい気が...庭からお邪魔したのでしょうか。

  • こういう時は靴を脱いで上がるのがジャパンの礼儀。こういう時は3Dタチコマはタイヤがどこかに消えてマニピュレーターの足で歩く仕様のようです。
  • なおシーズン1のラストでの突然のトグサさん消失のシーン、その場にいたバトーさんは義眼をハックされたとすれば一応説明がつきますが、タチコマたちがトグサを放置してそのまま見送ってしまっている(ように見える)職務怠慢ぶりが硬派な視聴者のサスティナブル・ウォーの一因となっていました。シーズン2でもところどころそういうシーンがあります。
    • プリンたそまさかの米帝スパイ疑惑、じゃあスパイの証拠を見つければいいんですね!とタチコマたちが嬉々として調査を始めようとする。(あれだけプリンに普段から世話になってるのに薄情じゃない?という気も)
    • 調査能力に優れたトグサさん、タチコマ運転中も遠くの車中の新生プリンたそっぽい人影にいち早く気付くのだが、タチコマは一笑に付している。(人工知能なんだから画像解析して真っ先に気づいてよ!)
    • アップルシード風味の見えない重武装義体化部隊が接近!いよいよ本気のアクションシーン!なのだが追われるタチコマがなかなか気づかない。(思考戦車って戦闘行動中は全方位索敵ぐらい常時してるのでは?)
  • こういう、ストーリーのためにキャラクターが愚かな行動を取らされているように見えるシーンが所々あります。機体のダウンサイジングに伴うデメリットとしてポンコツ度が上がってしまったのではと勝手に思っています。

荒巻大輔
  • 公安9課をびしっと締めるのはやはりこの人、いろんな名言を残してきた課長(でいいのかな)の荒巻さんも続投します。

前日譚『ARISE』の映画『新劇場版』の荒巻さん。まだ髪が黒いのに注目。

『S.A.C.』時代の荒巻さん。ここで髪が白くなる。

3Dになった荒巻さん。髪のプラスチック感...

  • 『S.A.C.』シリーズの2030-2034年でもうかなりのお年でしたが2045年、本当に大丈夫なのかという感じですがよくわからないですね。シーズン1序盤では杖をついて歩くシーンがあり老いの描写なのかと思いきや、戦闘機に乗ってハッスルしながら満を持して登場したりしていて謎です。
  • 義体化はせずほぼ生身、作品によって電脳化している/していないの設定が微妙に異なるのですが、総理や9課面々とオンラインで通話しているのでSAC_2045では最小限の電脳化はしている設定のようです。
  • 「これがわしの最後の仕事になるかもしれん」と死亡フラグっぽい発言があったり、ああもう終わりなんだ...という気がしてきます。シーズン1で声を演じた中の人の阪 脩さんはなんともう91歳、シーズン2では中博史さんに交代していますからねえ。


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  • 世界のタケシ氏がこの手の映画に出た作品としては、古い作品で恐縮ですが『マトリックス』がヒットする前の若き日のキアヌ・リーブスと共演した『JM』がB級ながら記憶に残っています。稀代のSF作家のウィリアム・ギブスンの短編『記憶屋ジョニィ』の映画化!
    『JM』の中のたけし氏は日本語が下手な部下を率いた悪のヤクザなんだけど溺愛する娘がいて、最期は主人公をちょっとだけ助けて死ぬという美味しい悪役。黒コートに片手に日本刀、もう一方の手にはシルバーのリボルバー拳銃という印象的なスタイルで登場します。
    『ゴースト・イン・ザ・シェル』の荒巻がリボルバーであっさり敵を撃破するアクションシーン、この『JM』へのオマージュなのかなあと思ったりしています。


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スタン (スタンダード)
  • シーズン1でスティーブ・ジョブス似のバスローブおぢさん捕獲作戦に傭兵として参戦の三枚目、そして作戦が終わると素子に疑似記憶をかまされ、ほんとFPSゲームの1章だけのお助けNPCキャラのように颯爽と退場していったスタン。お前結局なんだったんだ!と多くの攻殻ファンを呆然とさせサスティナブル・ウォーの(以下略)になっていましたが、シーズン2で待望の再登場を果たします。やったぜ!
  • この人は色黒に短髪の若めのお調子者の兵士、いかにもハリウッドのアクション映画の主人公チームの脇役とか、FPS系のゲームで勝手に動いて銃を撃って支援してくれるNPCとかにいそうな造形をしていますね。このへんやはりNetflix世界展開を踏まえて分かりやすいキャラ造形にしたのかなという感じがします。声の津田健次郎さんはいろんな作品に出てくるので区別しやすいですね。
  • そして再登場するのは良いのですが、だいたい情報をペラペラ喋ったり軽くあしらわれたり、終始笑いを取っていく役です...(´·ω·`)ショボーン
  • しかし最後のゴニョゴニョのシーンが現実なら彼にとってはイイ終わり方のはず!
  • そして、作中の誰からも名前を「おもしろ」としか呼んでもらえないスタンさん...(´·ω·`)ショボーン

一見だとかっこよさげに見えるおもしろさん

ジョン・スミス
  • 日本語にしたら山田太郎、『S.A.C.』に出てきたCIAの二人組からも続くアメリカ政府機関の悪い人=名前が変」という攻殻の伝統を受け継いでいるスミスさん。所属はアメリ米帝2045年も健在なことになっている国家安全保障局(NSA)となっています。
  • ブラックスーツに髪はオールバック、眼鏡をサングラスにすると映画『マトリックス』のエージェント・スミスと激似、直球です。ネトフリで初めて攻殻を見る世界のキッズにもわかりやすい! ダメ押しで自分では荒事をしないのに指ぬきの黒手袋をしているのが更に厨二っぽくて良い...同盟国日本の総理大臣の前でもこのファッションスタイルですからね...フヒヒ...
  • 登場時は悪役感マンマンで高圧的でキリッ(`・ω・´)
    →計画が崩れてくると前髪が乱れて眼鏡もずり落ちて弱気に
    →別のシーンで復活するとキリッ(`・ω・´)
     のループがとてもナイスだったのですが、シーズン2でもこのループを続けてくれます。
  • そして度重なる悪行が祟って、シーズン2ではついにモニョモニョの憂き目に...

手袋がポイントのジョン・スミスさん(シーズン1より)

総理大臣の人
  • 2050年の日本復興に向けて真剣であることを行動で示した金髪日系人の総理大臣、シーズン1でもボクシングの人と分かり合あってシーズン2でも荒巻さんと信頼を深めあい、アメリカと日本の間の板挟みに悩みながら総理大臣しています。
  • シーズン1の総理官邸のシーンで1カット、壁にかかっている肖像画で『S.A.C. 2nd GIG』のヒロイン枠だった日本初の女性総理の茅葺総理が映っているので、その次の期で総理になったのがこの人だとわかりますね。
  • ところでこの方はフルネームが「久利須・大友・帝都(クリス・オートモ・テイト)」。作中で荒巻さんがたびたび「帝都総理」と呼びかけるので、日本が日本帝国とかそういう悪の国になっちゃったのかと毎回空耳します。帝都を守るのは公安9課じゃなくて帝国華撃団、じゃなかったこの苗字はもう少し何とかならなかったのか...
シマムラタカシ
  • どことなく『S.A.C.』の笑い男事件の超A級ハッカーのアオイタカシを彷彿とさせるタカシくん、シーズン1でもトグサさんを巻き込んで最重要キーパーソンでしたが、シーズン2でも物語の中核として登場します。
  • ポスト・ヒューマンになってからは厨二度がパワーアップ。黒のロングコートを靡かせながら高いところから下を見下ろす、サイコキネシス的な何かで鉄板乱舞攻撃(に見える何か)、少佐やバトーさんでさえ両手で1丁構えているライフルを片手づつ二丁持ち、など数々のスタイリッシュ厨ニPLAYを見せてくれます。さすがリアル中2から人間を辞めただけのことはある!
  • 終盤の超難解シーン、彼の肉声と電脳上の声が別々に聞こえてくる場面があってこれは上手い描写だなと思いました。環境によるようですが僕が観た時はNetflixが日本語字幕を下に出してくれて、この台詞が音声と微妙に違うんですね。これがダブルシンクか...!
  • そして実は声を演じているのが超大物の林原めぐみさんなんですね。全然分かりませんでした。声の力ってすごい...
    スタイリッシュ高い所PLAYを見せてくれるタカシくん
敵な人々
  • 本作SAC_2045で登場した新たな敵、新人類ポスト・ヒューマンは以下の人々がいました。
    • 元軍人の初のポスト・ヒューマンで地下施設で保護されていたおじさん。脳が欠損しているのに頭が良くて精密な紙飛行機運動を披露してくれる。
      警備ロボを使った脱出計画を企て、戦闘サイボーグの本気を見せたバトーさんが警棒で撲殺。
    • 奥さんを外に放置して豪華な家で優雅に暮らしていたCEOの眼鏡のおじさん。(自粛)+バスローブという独特のスタイルで素子少佐の射撃をすべて避けてバスローブをヒラヒラさせるマニアックな技を披露。
      攻殻シリーズのノルマともいえる対パワードスーツ戦を達成した後、電脳戦で罠を仕掛けようとしたところでサイトーさんの長距離狙撃のヘッドショットで撃破。
    • 悪い人を撲殺して回っていたボクサーの人。上半身裸だがいちおう服を着ている。帝都総理の本気のジャパン愛を見て分かりあい、突然ボクシングに目覚めた少佐とのファイトで分かりあい、友情をはぐくむ
      でも空気を読まないジョン・スミスさんがどこかに拉致していってしまい放置
  • そして残りのポストヒューマンとしてはミズカネスズカが立ちはだかります。眼鏡っ子祭り継続でひっつめた黒髪に赤い眼鏡、服装も一見おセクシーOL風で日本だと人気が出そうなのですが、動きがひたすらに非人間的なので怖いです。(笑)

2人とも!後ろ後ろ!

  • ポスト・ヒューマンは超高度な演算能力で銃弾の軌道を全て予測して見切ってしまうという設定で、彼女も踊りながらすべて避けてしまうのですが、これだけフルオートで撃ってると当たってるんじゃない?という気もします。ネットの考察に網で捕獲すればよいのではないかというのがあり、確かに...と思いました。
  • そして彼女がモニョモニョして米国海軍の原潜を乗っ取るという大胆な企てを実行するのですが、ここでも(自粛)+眼鏡という刺激的なスタイルで登場します。
     ここからあまり経っていない別シーンでも新生ゴニョゴニョ女史がまた(自粛)+眼鏡というスタイルを繰り返すので、エッこれポスト・ヒューマンのノルマかなんかなの?とハラハラしてきます。とりあえず義体を扱っているらしいあのなんとかインダストリー社は服を常備してくれ...

  • ジョン・スミスさん配下の一般兵士としてはシーズン1では、現実にもいる特殊部隊デルタフォースということになっている義体化部隊が出てきました。この人たちは比較的軽装で、脚のあたりが膨らんでるのがサイボーグっぽかったです。

  • シーズン2では対人戦としてはハイテンションなカーチェイスしながらの銃撃戦の後、音だけ聞こえて大物感たっぷりの見えない飛行機から降下してくる見えない兵士との戦いがあります。ここは得体の知れない相手の不気味感があってよかったです。
  • 敵味方双方ですが、作中世界で実現されている熱光学迷彩は3DのCGと相性がいいですね。うまく言えないんですが、見えないんだけどそこを動いてる感がCGだとわかりやすい。
  • もうひとつ後半には、海から侵入してくるSEALs所属ということになっている重武装義体部隊が登場します。この人たちは完全義体ということになっているけどサイズ的にはなんかパワードスーツ的な感じですね。足の車輪でローラースケートしたり、肩のところのマニピュレーターでオートで動く銃が自律的に狙撃したり後ろに向けて撃ってくれたりギミック感満載です。そして悪です。この戦いが後半の山場! どことなく『メタルギアソリッド』感もあります。
  • この部隊が一列にシャーっと走っていくところとかランドメイトぽくて、どことなく『アップルシード』シリーズを彷彿とさせました。まあ監督のおひとりの荒牧伸志さんの監督作品なので似る訳ですが。
     あ~世界初のフル3Dライブアニメ映画『APPLESEED』が2004年でしたね懐かしい...音楽がめちゃ豪華やった...ブンブンサテライツのテーマ曲が脳内に響いてしまうやないか...


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  • ところでこの米帝の敵部隊、装備が潤沢で公安9課はかなり劣勢に回り苦戦します。9課再結成の時に費用が想定の10倍だと帝都総理が難色を示していましたが、公安9課ってもう装備が旧式なのか!?
その他の登場人物
  • シーズン1でも現実と虚構が混じってきて難解になってくるシマムラタカシくんの回想シーン周りで登場した、悪徳中学教師の毒牙に掛かってしまった可哀想な同級生の女の子も再登場してトグサさんを助けてくれます。またまたメガネっ娘祭りです。
  • しかし彼女が登場する桜に屋台のシーン、すぐそばにいる関西弁女子高生たちが存在に気づいていない描写があります。彼女だけベンチに礼儀正しく座っていて違和感も強調されています。
     とするとネットの考察の通り、彼女の存在自体がしまむー君の想像の中にしかいない虚構である可能性も...あのシーンも突然どどーんと広がる桜とか武器を持ったまま屋台を練り歩いているNな人々とか、どことなく非現実感を強調しているような...うーん謎ですね。
  • そしてこのメガネっ娘さん、アニメ文法でいうと真面目な学級委員とか図書委員的なアトモスフィアでしたが突然運動系にチェンジしたのか、謎のパルクールを披露してくれます。特に意味のなかったパルクールはアニメ映画『バブル』でもう十分なんや...

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・ゴニョゴニョさんに協力してくれるN志望の若者が、車に載せてあげたのに報われずにカワイソス...と思いました。それにつけても彼は服の好みがとてもマニアックです。これが終盤のビジュアルに繋がるとは...モブ君GJ。

シーズン2の公式キービジュ+イラストより

考察とか

アメリカってどうなってんねん問題
  • 分かりにくいのですが攻殻機動隊の世界年表では一度大戦が起こって日本の東京も壊滅して首都移転済み、アメリカも3つに分裂しているんですよね。
  • の3つになっています。この3つの国の中の米帝が日本と同盟国で日米安保条約も継続、主な政府機関もここの下、覇権主義帝国主義で悪っぽい国となっています。
  • SAC_2045でハッスルしているジョン・スミスさんはNSA(アメリカ国家安全保障局)の人ということなのでこの米帝配下。正規軍にも要請が効くでしょうから、シーズン1のデルタ義体部隊、シーズン2のSEALs重装義体部隊、ヘリとかステルス輸送機とか装備諸々、だいたいこの米帝から来た悪な人たちという理解で観れば大丈夫でしょう。
  • なのですがシーズン2でも作中人物がみな割と「アメリカ」と呼んでいるので余計分かりにくいんですよね...(笑) 後半になると「米帝」という呼び方が多くなってきます。

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オマージュ
  • 他にもいろいろあるかと思いますが、シーズン2中盤からトグサさんが復活するあたりからだんだん話が難解になって夢と虚構、現実が曖昧になっていきます。ノスタルジックな電車で心象風景を描くあたりがシン・エヴァっぽい。
  • 水没した東京都心のビル群が水の上にモニュメントのように立っている辺りも、これで水が赤かったらもろにエヴァですね。やはり流行りものは互いに影響しあうのでしょうか。
  • 攻殻世界では東京復興計画が進んでいて帝都総理も後押ししていますが、建設中の大きいドームがあるあたりは伝説の『AKIRA』ぽくもあります。

ジョージ・オーウェルの『1984
  • 有名なディストピアSF小説。作中たびたび引用されている元ネタのメイン。作中のシーズン1で空挺部隊のおじさんが紙の本をタカシくんに上げています。僕も原作をちゃんとは読んでいないのですが、SAC_2045を見るにあたってはWikipediaをチェックするぐらいで十分かと思います。
  • シンクポル:タカシくんが作ったプログラム。元の『1984』では、政府に歯向かった考えを持っちゃった人を全員逮捕する思想警察Thought Pliceの作中言語での名前。
  • 101号室:Nになろうとしている人たちが騒いでいるワード。元の『1984』では政府に捕まると後送られる恐怖の拷問・洗脳室のこと。シーンの雰囲気で分かります。
  • ビッグ・ブラザー:Nになろうとしている人たちが讃えているボス。元の『1984』では政府の一番エライ人で非実在の疑いあり。"BIG BROTHER IS WATCHING YOU"。ほかにアメリカとかアメリNSAとか監視をしてそうな巨大な悪の組織や政府を指すときもあります。
  • 「戦争は平和である 自由は屈従である 無知は力である」:ハックされたタチコマが言うのだったかの謎ワード。これは元の『1984』に出てくる党のスローガン。

ja.wikipedia.org

  • 攻殻機動隊』と似た系統の近未来SFアニメの良作としては『PSYCHO-PASS』シリーズももろに未来の監視社会の元ネタがこれなので、そういう意味では使い古されたネタでもあります。
     せっかくの新しい攻殻作品なのだからなんかもうちょっと新しい引用ネタはなかったのか、というのがWebの感想では多いですね。

Nって結局なんやねん問題
  • これも様々な考察がネットにありましたが、エピソードのタイトルにもなっているし作中でも複数回台詞で発声され、ノスタルジア(Nostalgia)のNが妥当でしょうか。
  • インド系の宗教での輪廻から解放された状態を表す涅槃(ニルヴァーナNirvana)のNという説もありました。これも作中で台詞で2回ほど言っています。
  • ほか、中立のNeutralのN、ヌルのNullのNという説もありました。まあ結局複数に意味が取れていろいろ考えさせるようにしてあるものでしょうか。ネットにいろいろな考察があって面白いです。ネットは広大だわ...(ノルマ達成)
  • ところでNになりたい人たちが集まってるところでトグサさんたちが見つかった時に異分子として騒ぎ立てられてしまう、「Nぽ(えぬぽ)」が僕はわかりませんでした。
     NullPinterExceptionの「ぬるぽ」→「ガッ」はさすがに今どき安直ですよね。ネットの考察だと「Nぽい人」とか、生活保護の「ナマポ」と関連付ける考察もありました。これがほんとに分からないんですよね...実は大して意味がないワードというオチなのかも?
ラスト結局どうなってんねん問題
  • シーズン2から加速する攻殻らしい難解さ。最後のモニョモニョは結局ハッシャされたのかされていないのか等々、視聴者の間でも様々な考察がなされてきました。
  • 一番最後は一応話に着地点がついた終わり方をするので、そこは真実だと考えるのが妥当ですよね...とするとやはり、それまでのシーンには未来のありえた可能性やある人物にとっての真実など、現実には発生していないシーンも入っており視聴者を幻惑していると考えた方がよいでしょうか。
  • これから観る方はラストに向かって加速していく流れ、登場人物の左手にモニョコニョが出てくるあたりから先には現実と非現実が混ざっていると思って楽しむのをオヌヌメします。もっと範囲を広く言うと、行方不明だったトグサさんが再登場する頃から先はあちこち怪しいと思った方がいいかもしれません。
  • 電脳をハックされた人の偽映像を映したりはしてきたものの、大々的に非現実シーンを出してきたりする演出はこれまでの攻殻作品ではあまりなかった気がします。「ディカプリオたまがコマを回して回り続けたらまだ夢の階層の中」「ハンス・ジマーの曲が逆再生される」「時間逆行世界ではガスマスク必要」「人や車が後ろ向きに進んでいる」とかそういうヒントがないんですよね。(あってもこれらの作品は難解なのですが!w)

まとめ:なんだかんだ言って攻殻の新作! みんな観るよね!

 評価された作品ほど続編には期待値が高まってハードルが高まってしまうものです。思えば難解な押井守版映画よりエンタメの方向に舵を切った『S.A.C.』シリーズも登場時は色々言われたし、前日譚の『攻殻機動隊ARISE』も出たときはキャラデザが違うとかあれこれ叩かれていました。
 この『SAC_2045』も突然の3D化、なんかプレステ2みたいでしょぼいと言われたCG、作中架空設定の「ネット」がもう現実のインターネットと同一視されたりしたことでの未来感の減退、突き抜けた新キャラのプリンちゃんなどマイナス要因が多く、登場時はネガティブ寄りな反応がサスティナブルに続いていた気がします。
 確かにもうちょっと何とかなったのでは思うところもあちこちあるのですが(笑)、シーズン2でだいぶ攻殻らしさが復活してきました。電脳を自閉モードにして拒絶しないで、往年のファンの方も観てみてはいかがでしょうか。Netflixに入っていれば実質タダみたいなものですしね。というかまあ――SFファンだったら攻殻はふつう必須で観るよね?観るでしょ?(虚空に向かって同意を求める)

 思えば僕が士郎正宗さんの原作の漫画を手に取ったのは、大学でサークルの先輩に勧められた頃だったでしょうか。まだインターネットが一般化されていない時代だったのにこれだけ未来を予見していて細かい書き込みが多くてこの作品なんか他と違う!と衝撃が走ったのを覚えています。90年代の当時はちょうどサイバーパンクSFがブームになったり、日本のインターネッツの夜明けが訪れようとしていた頃でした。
 そもそも僕がエンジニアを志してIT業界に飛び込んだ理由の根源にある所のひとつは、攻殻機動隊とか一連のSF作品に痺れてこんな未来に少しでも近づける領域に行こう...と思ったからでした。それから現実世界で約25年、作中世界でもそれぐらい経ちながら、形を変えながら様々な作品で創られ続けてきた。これも不思議なものです。

 しかしラストはこれまでの攻殻作品を意識したような一応決着がついた終わり方をするので、これでストーリーはシーズン2で終了し、シーズン3はもうないのでしょうね。というか攻殻作品がこれからまた新しいシリーズが出るかどうかも怪しいですね。
 そう考えると寂しくもなってきます。これまでのシリーズで盛り上がってきた頃が懐かスィ....
(はっ!)もしかしてノスタルジーに浸る視聴者の我々も既にN化されているのではないでしょうか。これが最初から狙いだったのか...我々の電脳は既に侵入されている...!?

シーズン2のキービジュアル。これなんかかっこいい。