wdpress!
ソフトウェアエンジニア向け雑誌としてはよく話題に出る『WEB+DB PRESS』。『Software Design』誌と並んでまずススメされる雑誌として定番ですね。偶数月24日発売予定、2022/10/22の秋の最新号は第一特集が今熱いRust言語、そしてElixir言語も遂に特集!ということで買ってしばらく前に読んでみました。以下読んだときの読書メモです。
- サバンナ先生のテスト講座。Googleでsmall, medium, large, それ以上と規模による大まかな区別の概念が出てきたというのが面白い。
- SFと開発を結びつけた話があって良きです。昔読んだサイバーパンクものの「スノウ・クラッシュ」があって懐かしい〜!となりました。エッあの作品にメタバース出てきてたの?全然覚えてない...
特集1 Rust入門
- そして第一特集は待望のRust言語。この特集を執筆された方が携わった"歯車本”含め2冊読んでいただけあって、概念周りは割と理解できたし新たな発見もありました。
- 3章では
Actix Web
をフレームワークに用いたWebアプリの実例があって濃密です。DBとの接続周りのORMにはdiesel
を使っています。本書の例はシンプルなのでrepository.rs
ファイルにまとめた構造体+関数で済むかと思いますが、本格的に対象テーブルが増えて行ったとき関数やファイルの構成はどうするのかな?という疑問が湧きました。最近RustとWebアプリの本も出ていたので後で読んで調べてみよう。 - そして後半
WASM
の章。フロントのJSでやっている負荷のかかる一部の計算を関数レベルでRustに置き換えるようなスタイルが使いどころかと思っていたら、ReactやVue.jsに相当するフロントエンドフレームワークの部分をもRust実装に置き換えようという野心的なプロジェクトまであるんですねえ。これはビッグな夢です。DOM操作とかどうやっているのでしょうか。 - そんな、WASMを利用してSPA用フレームワークを作ってしまおうという野心的なプロジェクトの
Yew
で画面実装例もあります。 RustなのにReactっぽいコードを書いてる! なんかすごい。まだまだ実験中的な感じですがこんな考え方もあるんですねえ。 - 最近本も2冊出たし、やはりRustの機運が世の中的にどんどん高まってきているのか...?
特集2 はじめてのElixir
- 満を持してついに雑誌で特集された
Elixir
。扉絵の女性が錬金術師ならぬ化学者スタイルで、分かっておられます。 Erlang
の直系で誕生は2011年、けっこう若い(Go言語よりも後)モダンな言語なんですね。- やはり構文なんかも他の言語と比べると独特な感じですが、これから盛り上がっていくでしょうか。
特集3 実装して学ぶ HTTP/3
- ネットワーク系の基本の復習もあってありがたい。特集の例ではコードで実際にWebサーバーを実装していきますが、今後HTTP3の使われ方としてはどうなっていくのでしょうね。
- 最後に
BayServer
の話でNginx
とUnicorn
の話が出てきて、普段使ってないのでこのあたりの差ががよく分かってませんでしたw
通常連載
- Book Reviewに今読んでいるボブおじさんの『Clean Craftmanship』がありました!
- アクセシビリティツリーがChromeのDevToolの機能で見られるというのを初めて知りました。
- SREで障害との向き合い方の話。手順づくりと実際を想定したトレーニングが大事。
- Goに入りては...で文字列連結にもいくつか種類があって、
strings.Builder
が速くて便利という話。 - Pythonで形態素解析で日本語を分解する話。
- PHPで非同期処理の話。PHPでやるのはけっこう難しそうだなあという印象。
- Rubyでコマンドラインツールを作る話。
- Javaでも
GraalVM
を使うとJVMなしのネイティブイメージが作れる話。 - Perl Hacker:
AWS Lambda
でもランタイムは未提供だけど実はPerlが使える話。
ところどころパラ読み拾い読みでも、定期的に雑誌を見るといろいろ学びになるなあと思いました。
そして次号Vol.132は2022/12/24発売、なんと特集1は「脱オブジェクト指向への道」だそうです。
関数型プログラミングのアプローチからするとどういうコードがより良いのか...とかの話かと思いますが、これはめっさ気になる。こういう話が雑誌の特集に出るような時代にもうなっているのだなあと思いました。