Rのつく財団入り口

ITエンジニア関連の様々な話題を書いているはずのブログです。

【感想】わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門

絵で学ぶジット、じゃなくてギット

 漫画で読めるシリーズでネット上でも評判が高かった読んでみました。CVSSubversionと来て今や世の中一般でバージョン管理システムデファクトになったGitの入門書です。以前はCode IQに連載されていたものですね。

codeiq.jp

 技術系の本でも時々ある、女の子たちが学んでいく図式の、ビジュアルで分かりやすく学べる本です。女の子が出てくる漫画といっても露骨な萌えやエロには走っていない親しみやすい絵柄なので安心して手に取れます。
 コミットとステージングの違いとか、幾つかある重要カタカナ用語とか、ビジュアルありで見るとだいぶ納得できますね。操作もコマンドベースでなくてSourceTreeというGUIツールでやってキャプチャ画像も多いので、さらに分かりやすいです。
GIT解説本は良書もたくさんありますが、非エンジニアの人でもすいすい読めてイメージが湧く最初の一冊にはちょうど良いのではないでしょうか。僕も1日でサクッと読めました。

わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門

わかばちゃんと学ぶ Git使い方入門

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【感想】TECHNICAL MASTER はじめてのASP.NET Webフォームアプリ開発 C# 対応版

最新のASP.NET Web Forms 丸ごと解説本

 ちょいと仕事の案件で必要になったので最近の本を一冊体系的に読んでおこうと思って揃えた本。
Microsoft.NET Frameworkを使った世界の中で、Webアプリの見た目周りを取り仕切る基盤技術 ASP.NET。HTTP回りの事をあまり気にせずともWindowsフォーム開発と同じように開発できるようにしようという基本理念で作られた技術がこのWeb Forms(複数形のsが付く。日本語だと「Webフォーム」)。長らくASP.NETイコールWeb Formsでしたが、最近はASP.NET MVCという別の技術も登場しています。
 本書は2015年刊行、ASP.NET4.6対応、例に登場するIDEVisual Studio 2015 ommunity版です。

 ASP.NETはずいぶん昔にやったきりでなんとなく理解したままでいたのですが、今回この本を読んで体系的に理解し直せてだいぶすっきりしました。
 C#や他の言語でWebアプリの開発経験ありの人にはオススメです。サーバコントロールの種類からaspxファイルでの書き方全部、検証コントロール、最近MSが提唱しているDBアクセスの仕組みのEntity Frameworkとの繋げ方、付属している認証の仕組みのASP.NET Identity、中でjQueryが動いているASP.NET AJAX……などなど、最近のWeb状況に合わせてWebフォームのことがまるっと一通り全部書いてあります。帯に「基本に忠実だから安心。長く使える定番教科書。」とある通りの本です。
 兄弟シリーズにVisual Basic対応版もありますが、まあ今どきお客さんの特定要件が制限がなければC#でしょう。

TECHNICAL MASTERはじめてのASP.NET Webフォームアプリ開発C#対応版

TECHNICAL MASTERはじめてのASP.NET Webフォームアプリ開発C#対応版

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【感想】ZERO BUGS シリコンバレープログラマの教え

バグやコーディングにまつわる四方山話

『SOFT SKILLSソフトウェア開発者の人生マニュアル』と同じところで似た装丁で出ている本。バグのない良いコードを書くにはどうしたらよいのか?というテーマを中心に、コーディング周辺の話題を様々な立場のエンジニアやプログラマーが贈る、エッセイ集です。
 『達人プログラマー』や『プログラマが知るべき97のこと』などに若干似ているし被る内容もあります。時代・言語を問わず普遍的なコーディングの原理・原則回りの話になればそうなるでしょう。しかしこちらの方が啓蒙というより純粋な読み物の色が強く、エッセイとして気楽に読めます。ちなみにバグといっても現役開発者の人が読んで怖くなるような話は出てきません。(笑)

 各エッセイは2ページ程度で短く、文中に実際のコードなどは出てこず、翻訳も日本語として不自然な所がないので割とすらすら読めます。LinuxとかFreeBSDとか専門的な言語など若干昔の話題もあれば、ユニットテストエクストリーム・プログラミングなど比較的新しい話題もあり。若い頃の小さな失敗の話やスケールの大きい宇宙開発の大きな話もあります。プログラムがパンチカードに記録されていた頃の話などおいおいどれだけ大昔だよ!という話も。
 話は時系列にまったく並んでおらず、ごった煮的に様々な話が入っているのが逆に面白い。各エッセイに添えられている格言やセリフ的なものもなかなか味わいがあります。

ZERO BUGS シリコンバレープログラマの教え

ZERO BUGS シリコンバレープログラマの教え

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【感想】ソフトウェアアーキテクトが知るべき97のこと

アーキテクト版のきのこ本

プログラマが知るべき97のこと』のアーキテクト版。こちらも世界で活動し、様々なシステムを作り上げたり複雑さと格闘したりしてきたベテランのアーキテクトたちの知見が詰まったエッセイ集です。

アーキテクトってなんやねん?

 日本語でもシステムアーキテクトITアーキテクト・ソフトウェアアーキテクトなど似たような名前と意味でなんとなく使われている上級技術者っぽいけど謎なこの職種。
 そもそもアーキテクトってなんやねん?という話ですが、この本には明確な定義はないですが前書きに、ビジネスサイドの人よりは技術に詳しく、プログラマよりはビジネスサイドのことが分かっている両者の中間あたりに位置するような人だ、とおおまかに書いてあります。

ソフトウェアアーキテクトが知るべき97のこと

ソフトウェアアーキテクトが知るべき97のこと

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【感想】プログラマが知るべき97のこと

きのこ本

「~知るべ"き"97"のこ"と」 から通称「きのこ本」とか「97きのこ」とか呼ばれる、世界のスーパープログラマたちによるエッセイ集。こちらも良著としてよくおすすめ本に名が上がりますね。

 強い論調で決めつけるのではなく、どのエッセイも柔らかい口調で書いてあるのが読みやすい。人によっては自分の過去の手痛い失敗談を元にした話などもあり、こういうスーパーハイレベルの人でも自分たちと同じようなことをやらかしてきたんだなあとちょっと安心できます。(笑)

 まえがきにも書いてありますが、97人意見も様々、コンテキストも様々で中には相反するような意見もあります。
僕も読んでいて「うんうんその通り」「いいこと書いてあるな」もあれば、コード回りなどで幸いにして既に実践していることもあれば、そして「自動化してなくてすみません」「IDEに頼ってすみません」もあり、中には「うーん2010年代にはこの考え方はもう古いのでは?」というような話も勿論ありました。
 これはその通りで、ソフトウェア開発に万能の解決武器たる銀の弾丸がないように、その中から読者一人一人が自分にあった答えを探したり、自分なりに考えていくことに意味があるのでしょう。

プログラマが知るべき97のこと

プログラマが知るべき97のこと

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【感想】エンタープライズアプリケーションアーキテクチャパターン

難解なアーキテクチャ設計のバイブル本

 ややこしいですが原題はPatterns of Enterprise Application Architecture、通称PoEAA, PofEAAと略されるアーキテクチャ設計系のバイブル。設計やリファクタリング本で有名なかのマーチン・ファウラーさんの本です。6000円ぐらいして紙だと分厚い本ですが、電子書籍でやっとこさ読了しました。いやー長かった。

エンタープライズ アプリケーションアーキテクチャパターン (Object Oriented SELECTION)

エンタープライズ アプリケーションアーキテクチャパターン (Object Oriented SELECTION)

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【感想】SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

 エンジニア向けの仕事・生き方・ライフスタイルの啓蒙の書では最近話題になったジョン・ソンメズさんの本。エンジニア向けの啓蒙というよりエンジニア向けの総合ビジネス書、サバイバル本的なになっています。内容は多岐に渡り、スキルアップなどお馴染みの内容からから転職時の自分の売り込み方や謎の不動産推し、恋愛や筋肉のつけ方までに渡っています。1行1行のコーディングテクニックのような話はなくもっと粒度が大きめ、章の中の話が1ブログエントリぐらいの長さなので気軽に読めます。作者さんの技術的なメイン領域が最初は.NET系というのも珍しい気がします。

 前書きや日本語版あとがきにあるように、こうした啓蒙本は読む人にマッチするところもマッチしないところもあるし、国による文化の違いもあるんですね。そこを含めて読者が色々と考えるところにも意味があるのだと思います。

 僕個人も「第3部 学ぶことを学ぼう」の学習方法やスキルアップの心構えとか「第4部 生産性を高めよう」の集中の仕方とかは非常に参考になったのですが、がらりと内容が変わってくる「第5部 お金に強くなろう」の不動産推しなどはマンション経営はアヤしい勧誘電話ぐらいしか縁がないし、肥満も縁がないから無理して走り込むこともないよな……とフィットしない話もありました。日米では法律なども違うし、日本人の読者にはそぐわない話もあると思います。(いかにもアメリカっぽくて読み物として読むには面白い話もあるのですが。)

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

SOFT SKILLS ソフトウェア開発者の人生マニュアル

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