Rのつく財団入り口

元はTRPG系のWebサイトの入り口だったブログです。最近のIT本の感想など。

 ラグランジュ点とニューロエイジの軌道宇宙の図

 mixiの記事を転載してみます。ここはおまけの記事です。
夏発進に向けていよいよ形になってきた、RI財団のひよこスタジオで作成中のシナリオ『アストライアの涙』は宇宙を舞台にしています。
 D時代の公式サプリ『ストレイライト』でいろいろ語られているように見えてけっこう謎の多いニューロエイジの軌道。
 実アクトで参加者の理解を助けるために図にしてみました。


【画像 ラグランジュ点と軌道宇宙の図(小さくしています)】
 プレページのカット画像&プレイ時の印刷参照資料&FLASH素材向けに、図を書いてみました。主な英文フォントはシナリオロゴと合わせて使っている Futura 系のですが、こういう学術系の図だとシンプルに綺麗に映えますね。よしよし。
 ExcelPowerPointのように各種矢印や点線が簡単に出せるとよりよいのですが、僕が使ってるのはAdobeに合併される前の古いFireworksなので実はイカす矢印が描けないんですねー。なははは。

地球低軌道(LEO: Low Earth Orbit) 350km〜1,400km

 一般的に人工衛星や宇宙ステーション、スペースシャトルが浮いているのはこの高さです。現実でも人工衛星でかなりひしめきあっているそうですね。(ひしめくといっても自動車の混雑などとは違いますが) 地上を撮影した際の解像度が良好なため、軍事偵察衛星の類もこの高さです。
 ニューロエイジでも、+4の性能に負けてたくさんのキャストが打ち上げたスプートニクや使用済みスプートニク、巨大企業や国家が動かしている偵察衛星や軍事衛星や各種衛星がかなりたくさん浮かんでいることでしょう。
 この高さだと地球は眼下の海のように美しく見えます。恐らく、サーディク家のルオド・ルオディ、フェスラー家、千早家の軌道御3家や軌道千早のセンターラピッズ、イワサキの本社コロニーもこのへんの高さではないかと思います。地上との行き来も静止軌道に比べるとコストが掛かりませんし、これぐらい足元に大きく地球が見えれば天上人の偉い気分になれますからね。
 多くのユーザーは意識していませんが、クライマックス戦闘で軌道に行ったり、軌道から悪な人が降りてきたり、軌道で宇宙戦艦とか宙間ウォーカーなどとバトルしたりする軌道が関係するシナリオは、だいたいこのLEO付近になるのでしょう。

静止軌道 (地球についてはGEO: Geostationary Earth Orbit) 3万6千km

 地球の周囲を円軌道で回る衛星となるのに必要な第一宇宙速度が秒速7.9km。この速度で真東に向かい、地球の自転周期と同じ周期で移動、高度を上げていくと……やがて引力と遠心力が釣り合い、地上から見ると止まって見える静止軌道に到達します。
 赤道上空であれば、地上から止まって見える高さ。地球はサッカーボールぐらいの大きさでしか見えません。現実でも通信衛星気象衛星に使われています。正確には35,800kmです。
 ニューロエイジではかの軌道エレベーターの上にあるオーストラリア首都ヴァラスキャルヴがあります。ここから3万6千km、カーボンナノチューブのワイヤが重力井戸の底の赤道直下のAXYZまで続いているんですねえ。うーんロマンだ。SFなイマジネーションが溢れてきます。
 オフィシャル設定ではそこまで言及されていませんが、旧グランドX時代に投稿されて採用されたファンサイドの「キャンベラAXYZ設定委員会」のオリジナル設定では、日本で手に入る唯一の本格資料とも言われる『軌道エレベーター 宇宙へ架ける橋』の科学的な記述に従い、軌道エレベーターの材料がカーボンナノチューブであることやより細かい設定もなされていました。

 スペースシャトルの十分な推力を持ったオービターの速度で概算すると実は2-3時間でこの静止軌道まで到達できます。軌道エレベーターの昇降機が現実のエレベータと原理的には変わらないものだとすると、エレベータで上まで行くのは数日掛かってしまうそうですね。あるいは材料であるカーボンナノチューブ超伝導体にすることができて、中に電気を通すことが出来れば、エレベータはそこからエネルギーを貰ってより高速で移動できるでしょう。
 ちなみに軌道エレベーターの科学的な理屈では、終着点は巨大都市のど真ん中に置くよりも海上の浮上フロートなどに置くのが柔軟性があってよいようです。このへんは各作品での絵的な映え方も関係してきますね。(ガンダム00世界の軌道エレベータも、終着点は海上と陸地と両方あったような?)
 投稿されたオリジナル版のキャンベラAXYZ設定では、軌道エレベーターの終着点はキャンベラAXYZ中心から10km地点の郊外、互いに100m離れたカーボンナノチューブのワイヤ10本の集合体となっていました。


 国際警察ケルビムが打ち上げた“四面のソロネ”もこの静止軌道上を周回しているようです。
 日本本国上空にある軌道衛星アマテラスは、大昔のサプリメントには「軌道高度」や「衛星軌道」などとはっきりしない書き方しかされていないのですが、24時間いつでも赤道直下の眼下の富士山に電力を送る役目がある以上、この静止軌道上と考えられます。マイクロウェーブでなくて目に見えるピンク色のエネルギー流が地上に向かっているという光景はもはやレトロフューチャー的です。このアマテラスもよく名前は出てくる割に実体は謎で、太陽電池によるエネルギー発電衛星のようにも、武力を持った軌道要塞のようにも描かれています。
 赤道上の静止軌道を宇宙船で航行すれば、ヴァラスキャルヴからキャンベラAXYZに向かう軌道エレベータの線と、アマテラスから日本に向かうエネルギー流の線が両方同時に見えることもありそうですね。うーんロマンだ。


 ヴァラスキャルヴの綴りが分からず調べたところ、北欧の言葉をアルファベットで表す時は Valaskjalf (最後のaの上に点つき) が一番原語に近いようです。
 ちなみにGoogleで「ヴァラスキャルヴ」で検索したら最初の10件以内に我が財団のプレイレポとシナリオのプレページが出ましたよ。ブラヴォ。オーディンの館を表すこの言葉は、北欧神話語源の単語でもそれほどメジャーではないからですね。

静止軌道の先 4万6千700km

 公式設定ではヴァラスキャルヴの先に外側の錘のフリズスキャルヴがありますが、ほとんどの人は記憶していないしシナリオ類でもほとんど出てこないのではないでしょうか。
 科学的には4万6千700km地点は意味のある地点です。地球の重力は距離の2乗に反比例。地球の自転による遠心力は距離に比例。地球からの距離がどんどん離れていくと遠心力の方が大きくなり、静止軌道の3万5800kmを越え、もう1万1千kmほど外側の46,700km……ここまで来ると、遠心力が第三宇宙速度(太陽系を脱出できる速度)と同じになります。
 つまり軌道エレベーターの先端がこれ以上高く、その先端で宇宙船が航海の準備を停泊していると、ロケットエンジン噴射などの運動エネルギーを発生させる必要がなく、軌道エレベーターから離れるだけで推力を得て他の惑星や太陽系の外まで飛んで行けるんですねー。オリンピック選手がぐるぐる回している砲丸投げの砲丸に取り付いて、そこから手を離したら遠くまで飛んでいけそうな理屈と同じです。
 上で触れたキャンベラAXYZのオリジナル版の設定ではこれも言及されており、4万8千km地点のフリズスキャルヴには宇宙船の発着施設があることになっています。
 オフィシャルの『ストレイライト』の図だと、比率から見てどうもフリズスキャルヴはもっと先にあるように見えますね。

ラグランジュ・ポイント L1 地球から約32万km前後

 天体力学において2つの物体の間の特定位置に配置すると余計な力がいらずに周回を続けられる位置、ラグランジュ点。地球と月の引力の関係が安定する領域です。最新の科学では必ずしもラグランジュ点に宇宙コロニーを配置する必要はないそうですが、フィクションでもよくこの領域に宇宙コロニーは建造されています。かのガンダムシリーズでも、本家の宇宙世紀シリーズではコロニーはラグランジュ点にあってよく破壊されます。
 ニューロエイジのチャイローン・ジャンクションは、地球-月間のラグランジュ点L1に存在すると設定されています。
 月面からL1の距離は56,230km。地球と月の間の距離は36万〜40万km(平均が38万km)ですから、地球からL1地点の距離は約32万kmになります。
 N◎VAのキャストもプレイヤーもチャイローンチャイローンと気軽に言いますが、なんと地上から30万km超えてます。軌道エレベータの終着地点の10倍、光の速度でももはや1秒掛かります。シリンダー型コロニーの空に見える地球も相当小さく見えるはずです。いちおう観光コロニーとなっていますが、科学的に見るとかなり遠いところにあるんですねー。
 チャイローンはタイ語なので正確には「チャイ・ローン」かもしれないしコロニー名として名詞に付けて使う際に語形変化があるかもしれませんが、アルファベットで書く場合は Cai Roon もしくは Cai-Roon が近いようです。
 またまたGoogleで「チャイローン」で探したら財団のプレイレポ&プレページのほかに、みこなぎのお人の「那岐に66の質問」のページが出てきました。さすがみこなぎですね。わははは。

 なお、静止軌道の高さが1万kmちょっとで軌道エレベータも建造しやすい火星に比べると、月の静止軌道の高さは地球の3万6千kmより大幅に高い8万km。月面から軌道エレベータを建造するなら、5万6千km地点のこのL1地点を目的地にするのがよいとされています。なんと、地球側の軌道エレベーターをL1地点まで伸ばしてすれ違わせて物資をやりとりするというアイデアまであるそうですね。科学者というのはすごいことを思いつくものです。

月、ラグランジュ・ポイントL3,L4,L5 約36万〜40万km(平均38万km)

 地球〜月間の距離は近地点36万〜遠地点40万で変動します。ラグランジュ・ポイントも同様です。かのゾヲン先生が囚われている月の裏側は相当遠いです。もはやタイムラグ1秒以上。僕もシナリオのゲストに出す時、通信画面で「未熟なり太陽系の科学力!」とか適当に言わせてますが、あのポーズも1秒以上掛かって地球にやっと届くんですねえー。うーんロマンだ。
 地球の赤道上の円周が約4万km。なんとその10倍です。ルールブック記載のニューロエイジの世界地図を、かっちょいいヴィークルや空を飛べるウォーカーでN◎VAから北米-ブラジル-ミトラス-AXYZを経て赤道上の世界一周の大冒険をしたら4万km。その約10倍。うーんロマンです。

 しなりお『アストライアの涙』では、最終的にこの約38万km地点、L5地点にあった実験コロニー群を目的地として宇宙への航海に旅立ってしまいます。
 幸いなことにN◎VAルールには燃料の概念がないので、距離を気にしなくて済みます。
 うーん素晴しい。燃料は、貴方の夢と浪漫だ! (*´ω`)b


おわり