『ひと夏の経験値』
- 作者: 秋口ぎぐる,濱元隆輔
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/08
- メディア: 文庫
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主人公たちが遊んでいるのは明言されてはいませんが、定番ファンタジーとして恐らくソード・ワールドでしょう。作中の問題の姫プレイヤー&取り巻きはロードス。ギア・アンティークやブルーフォレストやボードゲーム類の名も出てきます。例会の先輩ゲーマーたちはトラベラーや未訳の洋ゲーなど通好みのタイトルを遊んでいますし、メタルヘッドの名も出てきます。
作中では携帯電話はまだ普及しておらず、メンバーへの連絡は公衆電話から相手の家、親御さんを通してです。ファンタジー作品で名が挙がるのは指輪物語やエルリック、ドラゴンランスやルナル・サーガも出てきます。
インターネットからの情報収集はまだ影も形もなく、高校生の主人公たちが技量向上の目標にしているのは例会の同じサークルでヘビーなゲームを遊んでいる大学生や社会人の先輩ゲーマーで、セッション後のシナリオダメ出しにガクブルしながらも尊敬しているといった感じです。
舞台設定は90年代前半(恐らく92〜93年頃?)でしょう。ソードワールドはやはりいつも定番、角川でGURPSルナルや妖魔が流行る頃かちょっと前か、SF系ではシャドウランやトーキョーN◎VAが注目されるようになるしばらく前あたりでしょうか。SNEのお膝元なので舞台はやはり大阪、梅田近辺になっています。
この小説、ミクシィのコミュニティ『女がTRPGやって何が悪い。』などを見ると、女性ゲーマーから反感が多いようです。作中でぶりっ子して取り巻きの男どもの中心にいる姫プレイヤーと清純派のヒロインの女の子の類型化された造形が、同性からすると不快な面があるようです。
といってもああいう姫プレイヤー的存在は現実世界にもいることはいたんですけどね。(時々雑誌や書籍で取り上げられたりしていた記憶があります。)
では自分の場合はどうなのかというと。濡れたカラーイラストはおいといてジツは本作、連載中からけっこう面白く読んでいました。
僕は高校生以前のリアル中坊(正確に言えば小坊の時からですが!www)からすでにTRPGを遊んでましたが、何というか妙に懐かしく共感してしまう所があります。やっぱりある程度上の世代でないと分からない感触が本作にはあるのでしょう。
TRPGをやり始めた頃の新鮮さというか。若気の至りの頃のテレ恥ずかしさというか甘酸っぱくほろ苦い思ひ出というか。 (*ノノ)キャッ
がきんちょの頃の自分がもしこの作品の主人公と同じ立場だったら、主人公と同じようにGMをめちゃくちゃ頑張って女の子の笑顔に満足してそれで終わってしまいそうな気がします。男って単純ですね! なっはっはっは! (ノ∀`)