Rのつく財団入り口

ITエンジニア関連の様々な話題を書いているはずのブログです。

チハヤブル『死が二人をわかつまで』第二陣

mixiのN◎VA界隈で流行となったマーダー・インクvsサロン・ドルファンのシナリオネタ話題。
これが実際のシナリオとして形になったのは、以下の3つである。

  • 鉄鎖さんの『Blood & Darkness』
  • チャクラ厨さんの『Dance with Devils
  • chihayaさんのチハヤブル、じゃなかったチハヤランブル、じゃなかった『死が二人をわかつまで』


 これは、深淵の戦場にての大激闘となった『死が二人をわかつまで』第二陣の記録である。
 ちなみに誤記を多数見かけるが、シナリオ名称の正式記述は「ふたりを」「2人を」でもなく「二人を」、「分かつ」ではなく「わかつ」である。
 ヤングガンガン連載のロマンティック・ハードアクション漫画『死がふたりを分かつまで』はN◎VAっぽい作品として割と知られているが、このシナリオとは名前が似ているが関係ないのだ。w


 と言う訳で、滅多にない形式のシナリオなので記念にもう少し詳細に記録を残しました。プレイヤーvsプレイヤーのバーサスシナリオでイベントもランダム、ストーリーは(以下略)なので、未プレイで読んでも影響はありません。
 セッション妖怪ランブル入道にとり憑かれて第三陣以降の勝者を目指す方にも有益な情報あるいはミスディレクションが得られるでしょう。ちなみにトレーラー&ハンドアウトはWebコンテンツとしてはまだ上がっていないようです。
 アクト本編までを時系列順に追っていきます。


チハヤブル参戦決定!

 参加メンバーが確定したのは4/29。休日でおでかけ中でしたが判明してから準備が始まります。
 最初に行ったのはモチベーション・コントロールです。第一陣の記録はぱっと見だと既に理解不能な領域に達しています。w
 ここまでやらんとあかんのかと一見では心が折れそうになりましたが、気を取り直して気持ちを高めました。これは人に言わなければ分からない情報なので黙っていればすみます。

チーム分け決定!

  • ハイランダーチーム、じゃなかったマーダー・インク・チーム:つねひらさん、ライドさん
  • サロン・ドルファン・チーム:八軒さん、ぼく

 ここに来るまでにキャスト2人分の基本的な案は考えておきました。つね&ライドんは嗜好を考えると流行りのマーダー・インクが好きそうだし何となくこうなるんではないかなあと思っていたらその通りに。西方でも噂の八軒さんと初同卓でチハヤブルとなりますた。dkdkです。これは……恋? ('∀`)ノ
 以降、マーダー・インク・チームを時々MIチームと略します。Mission Impossible みたいでスタイリッシュだぜ。


 (両方とも友人の友人まで公開になっています) 公開範囲の限定設定が楽なのでやりとりのベースはmixiに。質問用とは分けてチーム内の情報はチーム内のみの記事で完全遮断し、事前検討が始まります。
 重要な情報が得られるのはやはり第一陣の参加者(はたはたさん闇司さんAmistyさんNATRONさん)の記録。全員の全記事にリンクを張り、重要記事には印をつけ、内容を精読して理解しました。
 検討した戦術は上の記事に書いてある通りですが、ハヤブサ二天の超絶アタッカーと魔女の叫びで達成値操作系も妨害できる完全キャンセラーのコンビ。いかなる相手のブランチ戦術にも一番幅広く対応できる<ミストレス:ゴッデス>満タン戦術で武装し、これを全力で隠蔽する。無駄な神業は1発もなく神業バッチになっても相討ちで勝てるようにする。というものです。
 ここで検討した我々の戦術は基本的に間違いはないはずです。ただこの時点ではアクト中得られる経験点は合計1000exp、ブランチは双方4Lvで2ndブランチもありだろうという前提でいました。合計200expに減ったのでだいぶ変わってきましたね。また、僕も2ndブランチは常に30expいるのかと思っていました。(違うスタイルであれば10expでいいんですね。最新エラッタで変わっています)
 八軒さんもしばらく考えた後、やはり双方ミストレスで行く戦術で合意。互いにキャストを作り始めます。

情報を攪乱する

 連休開始。5/2は僕は勇者の国卒業生のCactus卿にRLをしてもらっていましたが、思えばこの日もポストポストアクトの食事を辞して先に帰ったな。 (´▽`;)ハハハハ
 伝説の奇術師ハリー・フーディーニ曰く「マジックのカギはミスディレクションである」。と、映画『ソードフィッシュ』の中でトラちゃんも語っています。サントラのそんな一節を思い出しながら、せっかくの機会なのでミスディレクションのキャスト案をmixiに上げました。

 冷静によく考えれば分かるはずです。ランブルモードでダブルアタッカーという戦術は危険すぎるし、アタッカー役にカブトワリという選択肢はまずない。その上で上げた記事でしたが……いやあ意外に効果がありました。
 ライドん先生は恐れて記事内容を見ずにリターン。つねひら先生は内容を見た後に、もしこのキャストで来た場合を考えざるを得なくなったとのこと。チハーヤ先生の近辺では食事会でこの記事が嘘か否かの話題で会議が開かれた(うそw)とのこと。siganeさんもアクト後に「カブトワリやったんですか?」と聞いてきましたからね。いやあ面白い。
 嘘の確率が高くても、そこにその情報が存在する以上、相手は何らかの形で対応せざるを得なくなる。おぉなんだか情報戦っぽくなってきましたねー。
 闇の十三騎士、超☆カッコイイ竜のガンスリンガーのゼルギウスはひよこPの脳内設定で本番前にどっか行っちゃいました。 (-人-)ナムナム
 第三陣以降の皆さんもやってみましょう。カタナ◎のキャスト案を5人ぐらい上げて嘘と真実を混ぜるとそれっぽいよ!

ひよこ偵察衛星が偵察を行う

 ついでに財団のひよこ衛星が八軒さんのmixi記事過去約1年分を俯瞰。並びによくコメントを付けている勇者だごンさんを始めとする方々の書き込みから以下の事実が推測できます。――「八軒さんはお姉さんが好き過ぎて生きるのが辛い」。ヽ(゚∀。)ノ
 それとなくジャブを振ってみたところ、御本人からお姉さんならテンションアップ間違いなしと力強いマヂレスが返って参りました。w
 というわけで。キャストBだからBで始まるフランス系の名前にしていたブランディーヌ(Blandine)は、当初は最近読んだラノベに出てきた女の子と今考えてるしなりおのゲスト案のイメェヂを流用し、キャストAを愛する低血圧な痛い少女にする予定でしたが路線変更。病んだおねいさんになりますた。なんとなく、最近読んだBoAリプレイ『剣十字の騎士』後編に出てくるオリアーニャもといオリアーナみたいな感じにしようと思っていまちた。
 これで八軒さんの当日のテンションUPを達成したので作戦成功と言えるでしょう! (´ω`*)

前日

 この5/3の会→ライドオフ→ライド乙で、chihayaさんから「基本的な質問が多いことから察するにMIチームは両名ともランブル未経験らしい」という情報を入手。これでサロンチームの勝率が幾らか高まります。
 この日の『こんなにも青い空の下で』卓は大成功しましたが、その後2次会の食事を辞して僕は帰りました。残ったtakaさんきたみちさん横嶋さんらはほりの皇子ご一行と合流したようですね。
 ちなみに後で分かりましたが、この日僕が帰ったという事実がMIチームにも伝わったとのこと。つね&ライドん組は「どうしよう今日いわしさんもう帰ったらしいよ」「こっちも打ち合わせしなきゃ!」「まだアクト中だ」「ですよねー」という、いかにもハイランダーチームなやりとりになったそーです。なははは。
 フフフ引っかかったな。これもミスディレクションなのだよ……(´ー`)y-~~~
 というのは嘘。こっちはほとんど準備が済んでいるので楽なもんです。帰って作戦会議をしていたかというと、もうほとんど何もしていません。
 八軒さんが考えたキャストデータは2案、<■ハヤブサ><■二天一流>1スートのアタッカーのA案と、経験点がより少なくて済む<■ハヤブサ><※二刀流>で対応スートを2スートにした安定版のB案。双方B案で合意しました。

当日の迎撃戦の会の日

 サロンチームは準備が済んでいるので当日も楽です。録画しておいたアニメを朝見てから来ましたからね。昼食も王子で見つけたオサレなパスタ屋でゆっくり食べて来ましたよ。なははは。
 ライドん卿は僕の姿を確認するも、警戒して声を掛けずにいたそうであります。w
 『エコーズの係累』卓、アルシャード高Lvの辛いもといからい『偉業の旅路』卓、ジニアさんご一行卓も揃って会が開催、自己紹介諸々。
 ここでも、ハイランダーチームは直前15分前までテンパって相談諸々をしてぎりぎりだったという情報が入手できました。
 cihayaさん、ライドさん、つねひらさん3名の台詞ひとことに、挙動ひとつひとつに、ヒントが隠されていないか? 情報が漏れてこないか? と注意して待つアクト前。もうこの張り詰めたテンションがビンビンだぜぇ〜 ヽ(゚∀。)ノ
 ここまでの展開で留意したのは基本的なことで、自陣営の情報をできるだけ出さずに相手陣営の情報をできるだけ得ることです。

アクト開始!

 かくして本番。アクト中のランダム要素がなければ、事前により綿密に準備を行い、戦術策定やキャスト連携をより考えたチームの方が勝つでしょう。この時点までの観察では、準備はサロン・ドルファン・チームの方がスムーズに行われており、勝率が幾分高いのが分かります。セッション妖怪ランブル入道もなんのそのです。
 しかーし。アクト中にはイベントによるボーナス神業、ボーナスカード取得のランダム要素が強くまだまだ分からないのです。しかもキャストへのボーナスがExp1000だったため、キャスト性能が高すぎる第一陣にはボーナスカードがほとんど影響しませんでしたが、ボーナスExp200の第二陣にはかなり効くことに……!
 ちなみにアクト開始時、公式のアクトシートにはキャストは自分のスタイルまで書きますが、今回アクトシートを両チーム別にして相手陣営は分からないという按配に。前代未聞だ!


 深淵の戦場に現れし闇の戦士たちの名は以下の通り。


〜マーダー・インク・チーム〜

ウィスナー・ピースメーカー

【25/男 レッガー◎●, カゲ, カタナ 自前ブランチなし リサーチでレッガー:ハイエナを取得】
 演者:ライドさん
 死亡した先代のトリスタンの名を受け継ぎ、新たなトリスタンとなったカーライル円卓騎士団の若き騎士。その忠誠はドン・クーゲルではなくアーサー・カーライルに向けられ、その剣の捧げられる先は殺人企業マーダー・インクではなくカーライル・シンジケートである。ランブル一陣に出てきたミスターピッグ(PL:闇司)、ラッシュバイ(PL:はたはた)の2名はこのウィスナーの部下であったという。
 いにしえの悲劇の騎士トリスタンにも劣らぬ神速必中の速剣の使い手。《不可知》からの最速攻撃、続く<■ハヤブサ><■二天一流>の一部組み合わなかったコンボにより闇の怪物たちを切り裂く。平和を打ち立てるまで、彼の剣は止まらぬのだ。
 そして若き騎士ウィスナーは、彼を一心に慕う少女ステラではなく、殺人企業の赤いドレスの少女に心乱されていた。

ステラ・アルドア

【12/女 マネキン◎, ハイランダー, エグゼク マネキン:ビューティ,エグゼク:プレジデント】
 演者:つねひらさん
 流れる銀髪に青い目、ゴシックロリータのドレスがよく似合う小さな少女。コケティッシュな微笑が可愛らしい少女だが、大きなジェラルミンケースを常に携え、その中に幼い彼女がマーダー・インク最精鋭の戦士である秘密が隠されている。リサーチ中に蓄積した報酬点をもってトループを大量召喚、サポートを受けた高性能の<■魔女の叫び>をもって闇の怪物たちを退ける。
 叶わぬ想いと知りつつもトリスタンに恋心を抱いており、恋路の邪魔となる赤いドレスの少女を疎ましく思っている。Rのつく組織のいわしメモにはヤンデレと記された。


〜サロン・ドルファン・チーム〜

“血風 -ブラッドブリンガー-”“二本角の”王仁丸(おにまる)

【外見27/実年齢532/男性 カタナ◎, アヤカシ, ミストレス ミストレス:ゴッデス3Lv】
 演者:八軒さん
 サロンに集う異形の戦士たちの最精鋭。身長187の偉丈夫にして二本の角を持つ、東洋起源の鬼一族の精悍な戦士。古の日本の酒天童子の時代より転生を繰り返して生きている。人間の赤ん坊に転生し力を制御できず暴れていたところを女大公に拾われ、以後サロンに仕えることとなった。
 二本の角のスラッシャー、及び入手した天塵刀を振るう剛力無双の戦士。完全にスートを揃えた<■ハヤブサ><※二刀流>から差分2倍の大ダメージにより、昼の世界の軟弱な戦士たちを血祭りに上げる。そしてその本質がミストレスでブランチ打消し能力を持つことを秘中の秘とする夜の戦士。

“夜の申し子”ブランディー

【外見20代/女性 マネキン◎, ハイランダー, ミストレス● ミストレス:ゴッデス3Lv ハイランダー:エンジェル1Lv】
 サロンに満ちる夜の霊気を纏い、常に日傘をさして現れる王仁丸の姉。赤みを帯びた瞳に波打つ黒髪、古風な黒いドレスをまとったフランス系の妙齢の女性。かつて命を救われた王仁丸に昔死んだ弟の面影を見、実の弟のように病的に愛している。ビール工房のつねひらメモにはヤンデレと記された。
 <■封印記憶:自動防御>の大量プロットから<■魔女の叫び>、夜の力そのものを操って人間たちを退ける。こちらも本質がミストレスであることを秘中の秘とする。
 萌えっ子美少女からおねいさんキャラに路線変更、既に王仁丸の中の人のテンションを75%アップさせている。


 プレアクトの段階で卓を飛び交っていた謎キーワードは以下の通り。

  • 「トリスタン使っていいですか」
  • 「今日の俺は生きるのが辛い」
  • 「今日の俺は脳内緋さんを降臨させる!」
  • 「生えてる」「生えてない」
  • 「ウホッ! お姉さん!」
  • 「キャストの3人に1人はコネがさなえさん」
  • 「日向荘も大変だな」
  • エラッタ嫁」
  • 「FAQ嫁」
  • 「25歳→13歳モド子はロリ」
  • 「25歳→12歳(以下略」
  • 「尽くす女ステラ」「双方ヤンデレ




『死が二人をわかつまで』

 サロン・ドルファンの大広間に集うアヤカシたちは人間たちの恐怖に騒然としていた。神聖不可侵のテリトリーを侵された事態を重く見た女大公アルドラは、二人の戦士を派遣することを宣言する。
 恭しく頭を下げたのは2名であった。片や、強靭な角を供えた赤毛の大男、屈強な鬼一族の戦士。片や、波打つ黒髪に黒いドレスをまとった貴婦人。


ブランディーヌ「まあ、アルドラ様。それではわたくしと王仁丸の二人に、大公殿下の最初の剣となる栄誉をお与えくださるのですね」
王仁丸「心得た!」
アルドラ大公「我らの力が最も高まる新月の夜まで、あと七夜。その夜に決着をつけましょう――」



 一方、人間世界に悪名高い殺人結社マーダー・インク。彼らもまた、超常の敵に殺された部下の映像を元に騒然としていた。円卓騎士キース・シュナイダーが説明する元で、居並ぶ面々は夜の世界の敵を認知する。そして、二人の戦士をもって異形の化け物たちを屠ることを。


ウィスナー「ようやくそこまで分かったのか。今さらだな。だが忘れるな、俺はお前に仕えてるんじゃない」


 あくまで忠誠はカーライル・シンジケートに向けられていることを強調する若き騎士トリスタン。だが魔弾の男クーゲルは笑い、それでも構わないことを告げる。
 ウィスナーは居並ぶ一同を見渡した。彼の心をかき乱すのはその中のただ1人――そう、南海岸の空気をまとい、魔人たちの間で赤い壁の花の如く佇む、赤いドレスの可憐な少女であった。
 そんなウィスナーの様子が気に入らないのか、少女ステラは話を聞くでもなくぷいとそっぽを向いていた。自分で編んだ銀髪の三つ編みをしきりにいじり、ウィスナーが振り向いてくれるのを待っている。

舞台裏一同「つねひらの萌え演出キター!( ´∀`)σ)Д`)」

闇の支配者と闇の執行人

 本作には、キャストがいい気になることだけが目的のシーンがある。面白がってMIチームの二人がカーライルの死に役を演じる有様だった。

ギャング「ヒィ!銃が効かねえ! なんなんだこいつは! ヾ(;゚;Д;゚;)ノ゙」
ギャング「ダ、ダメだ! こいつらは化け物だぁ! (((Д;;)))」
剣士「ならば拙者が……ぬん!」
一同「マーダー・インクなのにサムライキター!( ´∀`)σ)Д`)」


 だがサムライの剣も古き鬼一族の戦士王仁丸には通じない。一撃で首を跳ね飛ばし、周囲を血に染める殺戮の宴を開くと、“血風”の戦士は雄叫びを上げた。ペルソナがカタナであることはこの時点で堂々と明かしている。
 王仁丸が荒い息を吐いていると、月光をバックに傘をくるりと回しながら、彼の姉がやってきた。


ブランディーヌ「あらあら王仁丸、気が早いこと。本当の楽しみは七日後の新月の夜なのよ。力を取っておきなさいな」


 マシンガンのフルオートも夜の霊気で退ける不思議な貴婦人は、自分より背が高い弟に小指を差し出した。


ブランディーヌ「あなたは、この世界でたった一人のわたくしの弟なのよ。あなたとなら最後まで戦うわ。約束して。共に最後まで一緒に、二人で戦いましょう。――“死が二人をわかつまで”」
王仁丸「ああ――“死が二人をわかつまで”」



獣人「ヒィ! なんでニンゲンのくせに、あいつらはあんなに強いんだ! ヾ(;゚;Д;゚;)ノ゙」
吸血鬼「よ、よもやアルドラ様は我らを捨て駒になさったとでもいうのか?! (((Д;;)))」


 人外の存在たちの背後からひょいと現れたのは、小さな銀髪の少女だった。強力な精神戦と大きなジェラルミンケースの中から現れる仕掛けの数々で、アヤカシたちを次々と血祭りに上げていく。


ステラ「つまらないわ。みんな同じで、賢くないし。それともあなた、長生きしてたんだっけ?」


 殺戮の宴が終わったとき、やってきたのは円卓騎士であった。


ウィスナー「楽しいか、ステラ」
ステラ「つまらないわ。だって――ダンスの相手が、貴方じゃないもん」


 そして二人は、互いの絆を確かめ合う……

リサーチフェイズ

 七日後の新月の晩に向け、数々のイベントが起こるリサーチ。双方チームとも最優先したのはゲストから力を得ること、まずはExp200の確保である。

★夏の夜の如く甘美にして猛毒の(ピー)を飲み干す王仁丸。ダメージはなんと(ピー)点。

サロンチーム「(ピー)枚でここまで来たか……!」
ウィスナーの中の人「総帥が驚愕した!」

やむなく王仁丸は(ピー)消費で最も大きな助力を大公より得る……

★カジノ・フリーダムへ赴くMIチーム。

ウィスナーの中の人「(D世代) フリーダムってどこですか」

リアルポーカーでめでたくルールブレイカーとなった二人は、JJから助力を……

★アヤカシ界でもっともスタイリッシュな速さを誇るアヤカシSSSの噛ませ犬代表の恩◎豹吾。夜のハイウェイでの勝負はなんと……(ピー)に記された(ピー)を(ピー)していくという驚愕イベント。
 chihaya:21個 八軒:17個 いわしまん:13個(てへ)
 なんとサロンチームはイベント失敗!

ブランディーヌ「恩◎さん、あなたの速さについていけなかったみたい。ごきげんよう。スタイリッシュな夜を」
恩◎豹吾「誰も俺のスタイリッシュについてこれないようだな。じゃあな!(ブロロロ〜ン)」

★円卓騎士ランスロット、キースの元を訪れるMIチーム。ここで《不可触》を使い彼らの判定が隠蔽される。

ステラ「いけるの、ウィスナー」
ウィスナー「大丈夫だ。俺は前のトリスタンみたいなヘマはしない」
一同「その台詞は死にフラグだぁ〜!( ´∀`)σ)Д`)」


 よもやこれが後の伏線になろうとは。さすがは撃墜王ライドん卿である……w

★星の都カムイST☆Rにいるはずの魔王マ◎クの元を訪れるサロンチーム。なんと、魂を捧げる(=アクト後にキャストシートをRL提出、永久喪失)と引き換えに助力を得られるというイベントまであった!
 第一陣のレギュレーションはさらに恐ろしく、手持ちキャストの魂を捧げるとその経験点の分が得られるというものであった。第一陣の記録を精査すると確認できる「怪盗ホープダイヤ永久退場」の謎はここにあったのである。第二陣も続いていれば大変なことになっていたであろう。
 オデも……デス・ロードの魂を捧げたらここで約500点……ハァハァ(*´д`*)

 そんな感じで7イベント終了。新月の夜は近付く……



 舞台裏判定は存在せず、舞台裏は得たボーナスの割り振りやボーナス経験点の成長に使います。
 確かにこの作業に頭脳の活動は一杯一杯なので、相手チームに気を配ったり観察する余裕はほぼないでしょう。
 なおここに来るまでに、人には言いませんでしたが僕もミスを犯しています。

  • “ガルーダ”をうっかりリサーチ中に使ってしまった。(てへ) あれは使い捨てなので取っておかなければならない。
  • 売買判定+報酬点で買ったMP12やスリーアクションの分が、最後に残り報酬点を合計した時に何点か引き忘れていたような……(しかしこれはカード入手には影響しない範囲だったので、勝敗には影響を与えていないでしょう)

 かくしてリサーチフェイズ終了。ここでどちらのチームに分があるかは、かなり予測ができる。

  • サロンチームはイベントで1回失敗しており、リサーチ中の1行動分遅れている。その分ボーナスも遅れている。
  • ステラ・アルドアの中の人のカード引きの運があまりに良く、「もうX枚引く」「敵陣から1枚奪う」などを引きまくってかなりMIチーム側のカードが充実した状態に。サロンチームは最重要札「アクションランク常時+3」「交渉に常時+10」を失ったのがかなり辛い。現状、白兵は双方+10、交渉はマーダー・インク・チームのみ+10+10で+20。これがかなり痛い!


 時間管理局の分析でも、これはマーダー・インク側かなり有利と出た状態であった。いよいよ舞台は佳境に……!
 ちなみにボーナス経験点200点の割り振りは、双方ともほぼ同じであった。

  • マーダー・インク:ウィスナーに95、ステラに105
  • サロン・ドルファン:王仁丸に94、ブランディーヌに106

クライマックス

 ……いつも抱えているジェラルミンケースの中から取り出していつの間にか着替えたのか、ステラ・アルドアは目も覚めるような青いドレスをまとっていた。円卓騎士トリスタンの脳裏から、赤いドレスの魅惑的な少女の幻影を奪い去るほどに鮮やかな、青。


ステラ「あなたには、あの赤い服ではなく、もうこの青い服しか見えなくなるぐらいのダンスを踊ってあげるわ」
ウィスナー「そんなことはないさ。俺はずっとお前のことを見ていた……」

中の人一同「萌え演出キター! (*ω*)!!!ガハッ」


 愛の絆を確かめ合う二人(25歳男&12歳少女。キャッ)は、闇の深奥に秘せられた夜の種族のサロンへ。

 アヤカシとシンジケートの人間たちの死屍累々の死体を乗り越え、サロンの一番奥、豪華な絨毯が二人を導く大広間のドアを開く。
 死の匂いの満ちる戦場で、正面で待っていたのは二人の男女だった。大きな刃を構えた赤毛の巨漢、堂々たる巨躯の鬼族の戦士。その傍らには黒いドレスの女性が、右手には日傘、左手には小さな銃を持って佇んでいる。二人は真正面で待ち構えていた。


ブランディーヌ「ようこそ、大公殿下のサロンへ。わたくしたちは逃げも隠れもしないわ。さあ、いらっしゃいな」


 ……待ち構えるサロン・ドルファン・チームは、王仁丸、ブランディーネとも最前列のそれぞれ別エンゲージ。
 対するマーダー・インク・チームは、敵から1距離離れた前衛に騎士ウィスナー。その1距離後ろの後衛にステラ。そしてステラが呼んだ大量のカゲムシャ/ミストレス/タタラトループが横に別エンゲージで控えている。
添付の画像を参考にしていただきたい。この初期配置での戦闘開始となった……!

セットアップフェイズ:運命のアクセスカード

 全てを決するアクセスカードのセットアップ行動順。完全ランダムのこの引きが勝敗を決する。命運を決するその順番は……

  • MI:少女ステラ→MI:円卓騎士ウィスナー→サロン:鬼の戦士王仁丸→サロン:ブランディー


 奇しくもRLの右から反時計回りの席順であった。
サロンチームから呪詛の声が漏れる。この4枚のカードの組み合わせは4の階乗で4*3*2=24通り。サロンチームではこの組み合わせの事前検討もしていたが、本場で出たこの順番はその中での最悪の4パターンのうちの1つ。確率1/6で出る、敵に完全に先手を取られるパターンだったのである……!
 プロット前に《不可知》を有効にすると幾つかバグる状況がある(<※連撃>など)ため、双方がまずプロット。リサーチフェイズ中にブレインリブートで調整を繰り返したプロット札は双方とも万全であった。
 人間世界のアンダーワールドに名を馳せる殺人企業か、人知を超えた闇の深奥のサロンか。深淵の戦いがいま始まる!

決戦開始!

セットアップ:カード1

 円卓騎士トリスタン、抜剣の構え!と見せかけて中の人はティルヴィングで増えた分のプロットを忘れたことに気付いて再プロット。
 気を取り直して開始である。既に大量トループ召喚済みのステラは行動なし。

セットアップ:カード2

 先手を取ったウィスナー・ピースメイカーは抜剣。そして何よりも速い……《不可知》からの奇襲!
 <白兵><※死点撃ち><※旋風撃>、バージナルステルスやスプートニク諸々で達成値を上げ、ボーナスカード込みで最終達成値は48。
 回避手段はない。サロンチームはやむなく、ボーナスで得た分の《天罰》を《チャイ》相当で回避、打ち消しあって終了。
 この《不可知》攻撃を行うタイミングがもっと後であれば、勝敗は違ったものになっていたやもしれない。

ウィスナー「この勝負、もらった!」


 そして円卓騎士トリスタンの名を受け継いだウィスナーの手番は続く。プロット札から<■ハヤブサ><※死点撃ち>、達成値50。青いドレスのステラが従えるトループがブーストして58。
 ここで1つミスがあった。開始前15分までぎりぎりで急いで書いたシートのミスで、<■二天一流>のスートが合っていなかったのだ。合っており2撃目も成立させることができれば、勝敗は相討ちになっていたかもしれない。

 話を戻して達成値58の物理攻撃成立である。目標は王仁丸の横にいるブランディーヌ、1距離前進して至近に。カード効果でAR3のブランディーヌは万全の<■魔女の叫び>でトループの達成値上昇は全て消せるが、本体の達成値50の白兵攻撃キャンセルが達成値が届かない。交渉ボーナスのカードが既にMIチームに渡っていたのだ。
 かくして……達成値58の剣による神速必勝の剣が走る! 勝てぬとあらば、神業タイムである。

……トリスタンの名に違わぬ見事な剣。若き騎士の剣が黒衣の女性を見事に斬ろうとしたとき、その左手が無造作に動いた。


ブランディーヌ「まあ、なんて見事な剣さばきなんでしょう、騎士トリスタン。
 でも駄目。あなたはここで死ぬの」


 その手に握られていたのは闇の世界の秘術や聖母殿の呪文が記された訳でもない、何の変哲もない安価なオートピストルであった。
(<■封印記憶:自動防御>の追加プロット後の札調整用の“コンバットアシスト”をつけた千早MP12。射程は近距離、神業攻撃にも使用可能。ちなみにリサーチ中に売買でもしもこの銃を買い忘れた場合、サロンチームは負けている)


 夜の世界にスタイリッシュな黒豹の風を吹かす恩◎豹吾にもらった《クーデグラ》、略してオンダデグラが通常判定成立直前に火を噴く。
 “魅せる戦い”が重要である通常のN◎VAの戦闘であれば、こうした神業攻撃は撃って打ち消してで終わる。だがここはランブルである。この勝敗を決める一撃を何としても通すべく、あるいは止めるべく、ブレカナやALG系もかくやの神業バッチが始まる!

ジェ◎ク・ジョンソンより受け継ぎし《チャイ》で打ち消し
王仁丸の気合の《ファイト!》→ブランディーヌの《天罰》でさらに打ち消し

ステラ自身の《プリーズ》→《ジェイクチャイ》再びで打ち消し
→夜の剣クロ◎ツェルより賜りし《ファイト!》→ブランディーヌの《天罰》でさらに打ち消し

マーダー・インクの赤いドレスのモ◎子姫より受けた《プリーズ》→《ジェイクチャイ》みたびで打ち消し
ブランディーヌ自身の《天罰》で打ち消し

聖家族ミレ◎ナのアットホームな《ファイト!》→《ジェイクチャイ》4度目
ブランディーヌ本人の《プリーズ》→古の魔王マ◎クの愉快な《天罰》で打ち消し

熟考の末ステラが自分の《天罰》で打ち消し


 かくして大量の神業を互いに消費した後、スタイリッシュな風に乗るはずだった致死の弾丸は届かず。達成値58のハヤブサ攻撃が成立する。
 回避手段のないブランディーヌは死亡決定。なけなしの<自我><交渉><■魔女の叫び>、もう死ぬのでスプートニクとトップロードも使って最後の抵抗を試みるべく達成値36。

 だがそこで、愛する騎士の剣を見つめていた青いドレスのコケティッシュな少女が微笑んだ。


ステラの中の人「そこに<マネキン:ビューティ>4Lv!」
ブランディーヌの中の人「では<ミストレス:ゴッデス>で打ち消し!」
ステラの中のつね「ですよね〜。やっぱその戦術で来ますよね〜( ´∀`)σ)Д`)」


 かくして攻撃成立、ボーナスカードも入って斬48点アーマー無視ダメージ。ランブル環境で防御は当然考えていない。ブランディーヌは死亡、同時に最後の《ファイト!》で王仁丸の《死の舞踏》を増加。残ったブランチは時間管理局の裁定で死後も使えることになった。

ブランディーヌ「王仁丸。お願い。貴方だけは最後まで戦って――」


 深淵の戦いの最初の死者はアヤカシ側より出ることとなった……
 情勢にも変化が出る。前進して夜の申し子を仕留めたウィスナーは、王仁丸からも攻撃が届く位置に入っているのだ。


 ここでウィスナーは続く《死の舞踏》で弟分の鬼を狙う。これは王仁丸が自身の《霧散》で防御。二人は同一エンゲージに入る。

王仁丸「貴様、よくもォォォォ!」


 姉を殺された怒りから人間の戦士に突進する王仁丸。その角で剛力無比の《死の舞踏》。この攻撃は……果たして……


MIチーム「これは……通すしかない!」
サロンチーム「なんと、これが通るか!」


 レッガー、カゲ、カタナの攻撃役、ボーナス神業も尽きていたウィスナー・ピースメイカーには、既に回避手段が切れていたのである。鬼族の戦士による憤怒の一撃で、若き騎士トリスタンは命を絶たれることになった。

 最後の瞬間、振り返った彼の目にちらついたのは、赤いドレスではなく、青いドレスの幻影。


ウィスナー「すまない、ステラ。お前とは、最後まで踊れなかった……」

セットアップ:カード3

 双方死者1名。しかし自分の手番で殺る気満々の鬼一族の戦士に対し、MIチームは秘策を残しているとはいえ愛する騎士を失った可憐な少女である。闇の深淵の戦いや如何に――!


 プロット札も万全の王仁丸は<運動><白兵><■ハヤブサ><※二刀流><※修羅><※血脈:鬼の一族>。天塵刀による剛力無双の本気の一撃は人間の娘にも容赦しない。達成値は53。

ブランディーヌ「そうよ王仁丸。戦って。わたくしたちがアルドラ様の最初の剣なのだから……」


 瀕死の姉が弟に手を伸ばす。時間管理局の裁定によりこれは死後もアリとなって残していた<ハイランダー:エンジェル>でA、達成値を11点ブーストして最終達成値64。
 ボーナスカードはMIチーム有利とはいえ、残ったステラの手数は少なかった。自力でプロットから<■魔女の叫び>で出るのは39、トループ軍団がブーストしても届かない。
 ステラを動かすビール魔人は一旦は投了を宣言、負けを認めて戦場から去る演出をしようともした。だがっ。時間管理局の裁定によりこれは不可となった。チハヤランブルの闇の戦場にあっては、勝負は最後まで行うのが慣わしだったのである。

 熟考の末、青いドレスの美少女ステラは常に傍らにあるジェラルミンケースを開いた。そこには……


ステラの中の人「《買収》でタケミカヅチを買います」


サロンチーム中の人一同「最後の1枚はエグゼクだったか! それは思いつかなかった……!」
「さすがだぜつねひら!ヽ(´▽`)ノ」


 スタイル秘策を隠蔽するロールプレイよりも強力なアドバンテージが、MIチームには与えられていた。リサーチフェイズ中にレッガーの《不可触》を使うと、宣言が必要な判定を声に出さず、RLへの筆談と指示語によるコミュニケーションのみで成立させられるのである。
 サロン・ドルファン・チームは如何に知覚力を研ぎ澄ましていようとも、この不可触効果によりステラのスタイルの最後の1枚が判別できなかった。ステラはリサーチ中は<※足長おじさん><※予算獲得>等で報酬点をブーストし、クライマックス前の大量強化トループ召喚に成功していたのである。
 ビール工房へのヒアリングによると、前日に思いついたこのスタイル案が面白くてつい採用してしまったとのこと。サロンチームのブランディーヌと完全に同じく、最後の1枚をミストレスにしていれば、勝敗の行方はまた違っていただろう。


 そして、ステラが従えている健在のカゲムシャトループがここで思いついて行動。<※デコイ>で達成値18。目標値は人外の域に達している攻撃達成値ではなく制御値でよいのである。クレバーな戦術であった。
 この思わぬ絡め手により王仁丸の剣の先はデコイ・カゲムシャに変更。達成値64の差分2倍攻撃である。計算するまでもなくトループは消し飛んでしまった。バトルフィールド上から弾き飛ばすことで、我々はこれを表現するものである。

セットアップ:カード3再び

 だが、鬼一族の無双の戦士の攻撃は容赦なく2回目が続く。王仁丸はスラッシャー相当の角をオートアクションで準備、マイナーでJJF/ガルーダ/魔性発現、同じく<白兵><■ハヤブサ><※二刀流><※修羅><※血脈:鬼の一族>。
 その一刀はその名の如く血風となって走り、カードはAを出して最終達成値57が成立!


 冗談レベルに強いタケミカヅチを装備したステラは手札リアクション。<交渉><■魔女の叫び>で45。タタラトループの<※アドバイス>で+4など諸々入り、最終達成値は1点差の56!

ステラの中の人「無理とは思うけど<エグゼク:プレジデント>で達成値をさらに上げます」
王仁丸の中の人「では<ミストレス:ゴッデス>で打ち消し! (σ・∀・)σ」
ステラの中のつね「ですよね〜。やっぱ完璧ゴッデス戦術で来ますよね〜( ´∀`)σ)Д`)」


 攻撃は成立した。差分1の2倍で最終ダメージ20点。冗談のように強いタケミカヅチの防御力で凌げば痛くもかゆくもない。
 だが、この攻撃成立により王仁丸とステラは同一エンゲージに入った。そして王仁丸には、死んだ姉が残した最後の《ファイト!》→《死の舞踏》が残っていた……

 ……血風の一閃に巻き込まれたジェラルミンケースの蓋が開くと、中にはステラと同じ姿をした青いドレスの女の子の人形が大量に入っていた。秘策が続けば盾となったかもしれない人形たちは、鬼族の戦士に振るわれた強靭な刃の前にただ切り裂かれ、吹き飛ばされた。その主もまた同じ運命を辿った。


王仁丸「どちらが化け物か、分かったな」
ステラ「あはは、あたしも化け物(フリークス)だよ。最後に、ひとつだけ願いが……」
王仁丸「言ってみろ」
ステラ「その切っ先を向けて、一息に斬って。最後だけは、トリスタンと一緒に死にたい――」
王仁丸「心得た」


 血風となって走った角の刃は、可憐な少女の首を一撃で斬り落とした。跳ね飛ばされたその小さな体は、赤く染まった青を纏ったその体は、志半ばで倒れた若き騎士の亡骸の方へ……


 闇の戦場にただ1人立つ王仁丸は強烈な破壊衝動への雄叫びを、勝利の咆哮を上げた。
 その後、ドラッグ“ハートウォーミング”の副作用で昏睡。その巨体はどうと倒れ、禁忌の戦場における秘せられた決闘は終了したのである。


 ……時に現実時間で18:20。戦闘には1時間20分が消費されていた。


エンディングフェイズ

 敗者たるマーダー・インク・チームにはペナルティが与えられる。なんとレコードシートの経験点チェック「アクトに最後まで参加した」が付かないのである。

 ……妖精大公とシーン背景で死闘を繰り広げていたのであろう、大きなアサルトライフルを抱えてダンスを踊っていた赤いドレスの少女が、二人の亡骸を認めてやってきた。


モードレッド「……そう。ウィスナー、ステラ、二人とも死んじゃったんだ。これじゃあ、連れて帰れないね」

 折り重なるように倒れている二人を認めると、壁の花は呟いた。

モードレッド「先に地獄に行っていて。ボクも、もう少ししたら行くから――」



 戦いの穢れが清められ、元の姿を取り戻したサロン・ドルファン。椅子に腰掛ける少女大公と居並ぶアヤカシたちの祝福の元、堂々たる体躯の鬼の戦士は頭を垂れていた。


アルドラ大公「よくやってくれました、王仁丸」
王仁丸「例えこの身が砕けようとも、戦いに赴くのが我が務めです」
アルドラ大公「でも犠牲は大きいわ。御姉様のブランディーヌを失ったのね……」
王仁丸「はい。もう生まれ変わるしかないでしょう……」


 褒美の言葉を賜っていると、玉座の横から進み出てきた人物がいる。捉えどころのない黒髪の紳士の姿をしたそれは、誰あろう、カムイST☆Rの聖天使城にいるはずの旧き魔王マラクであった。


マラク「王仁丸。そろそろ時間なのだが」
王仁丸「はい、御主人様」


 大いなる戦いに打ち勝つ助力を賜る引き換えに、自らの魂を悪魔に差し出すことを、王仁丸は了承していたのである。
 王仁丸は残っているもう一方の角を自ら折った。転生を繰り返し、人間の赤ん坊に生まれ変わったときに力を制御できず、王仁丸はアルドラに賜った角で力の制御ができるようになっていたのだ。


王仁丸「これをお返しします、アルドラ様」
アルドラ「王仁丸。また会えるかしら」
王仁丸「いつか会えるでしょう。我らアヤカシに時間は関係ありませんから」



 カムイSTARの奈落、常命の人間には立ち入れぬ瘴気立ち込める闇の中。その外縁部をとぼとぼと歩く影がいた。寂しそうな目で奈落中央部を見つめるその影は、ブランディーヌの魂であった。
 奈落中央にそびえる聖天使城には煌々と明かりが漏れる。あの中で、未来永劫仕えることになった弟の魂は、魔王に使役されるのだ。


ブランディーヌ「ああ、可哀想な王仁丸。私はどうなってもいいの。あなたにだけは生きていて欲しかったのに」


 彼女は手を伸ばした。だが強い瘴気に阻まれ、その手は魔王の城に届くはずもない。


ブランディーヌ「運命は変えられないのね。死が二人をわかつまで。この約束が果たされた今、もう、あなたと会うことはできないのね――」


 悲しげに首を振ると、黒衣の貴婦人の魂は、冥府へと孤独に、とぼとぼと歩いていくのであった。



 闇の戦士たちが集った深淵の戦場跡。
 互いに首を取られた円卓騎士ウィスナーと少女ステラの首のない死体は、折り重なるように倒れている。
 死してなお、二人の手は互いに触れ合っていたという。



 かくて勝負はサロン・ドルファンより出でし剣の勝利となり、この戦場に集った闇の戦士たちは全員が命を落とした。
 あらゆる闇の神々よ、彼らの魂の安らかならんことを。



『死が二人をわかつまで』第二陣
-完-

レギュレーションに関する感想

★アクト中に与えられる経験点。各チームExp1000だった前回に比べると今回は各チームExp200とかなり大人しくなりましたが、これはこれぐらいで丁度いいと思います。100点で分配した場合ブランチ1Lvが手持ちリソースの10%を占めるので、1Lvにするか4Lv取るか、2ndブランチを取るかなどかなり思案のしどころになって丁度よい按配です。奥義に25exp取られるのも大きいですしね。


★第一陣はエニグマ無限召喚によるバックアップやアドバイスしまくりの戦術が使えたために、達成値240などのもはや意味不明な領域まで達しています。エニグマ禁止は正解でしょう。
 第二陣でもトループは初期性能のものが作れますが、Exp100だと特技に回す分他を削ることになるので、このあたりが丁度良いかと。第二陣で出たデコイ・オクトパスならぬデコイ・カゲムシャのアイデアは面白いですね。


★アウトフィッツは本の形で出た公式サプリ限定、GF誌など追加分は不可という裁定になりましたが、これはPL側としてもアウトフィッツ対策を考える幅がだいぶ狭まって助かりました。特にGF誌追加アウトフィッツは強力なものが多いので、これを禁止にするのは正解でしょう。
 最近のものだとGF誌の聖母殿特集に出てきた“聖母勅令(イディクト・オブ・アイス)”なんかは強いですね。これを2つ持っていればAR2のハヤブサアタッカーを封じられます。


★準備期間。今回は4/29PMに卓分けが決定し4/30夜にチーム分けがなされ、アクトが5/4。準備は両サイド実質5/1〜5/3の3日。僕も幸い連休中だったのでそれなりに準備しましたが、これが仕事が忙しかったりする平日だとまた違ってくると思います。アクト前日では短すぎるし、やはり与えられる猶予はこのぐらい、3日〜1週間弱程度が適切かなと思います。同時に準備期間はRLが質問攻めに合う期間でもありますね。
 第一陣は準備期間2週間でしたがこれはお互い大変でしょう。相手チームを殺ることをずっと考えて2週間過ごすなんてテンションを維持できないですね。心の健康に悪い。w


★リサーチ中に得られるカードは幾分調整の余地ありでしょう。第二陣ではリサーチ後半にMIチームに集中的に出た「敵陣のカードの好きなものを1枚奪える」「カードをさらに2枚引ける」(3枚もあったかな?)などがかなり強く、バランスを一瞬で覆す可能性があります。


★N◎VAルールではキャストは死んでも神業は使えるのが一般的です。キャストが死んでもブランチは使えるか、はレギュレーションに書いた方がよいと思いました。第二陣では、[タイミング:常時]やExp30以内のアウトフィッツをその場で得られる...などのブランチを除いた、使用回数とタイミングが存在するブランチは使える、という感じの裁定でした。第二陣でも勝敗には影響していませんが、ブランディーヌが死んでから1回使っています。


★リサーチフェイズ中に両陣営の味方オフィシャルゲストから得た神業の数が、クライマックスの戦いではかなり重要になってきます。
 キャストサイドの《ファイト!》《プリーズ》並びに《天罰》等からのコピーで、ゲストの神業を増やしてもう一度使えるかも、レギュレーションで明記した方がよいと思いました。


★敵勢力のブランチ予想も戦術ではかなり重要になってきます。<カリスマ:クレリック>など特定のブランチを禁止にするのも面白そうですね。いっそ<ミストレス:ゴッデス>を禁止にするとブランチ百花繚乱で大変なことに……! ヽ(゚∀。)ノ


★N◎VA-Dに慣れた人であれば、最速が<■ハヤブサ>奇襲か<■灰色の脳細胞>からの人使い/盾の乙女などであることは知っており、ほぼ必ずその手で来るはずです。第二陣も両陣営がそうでした。自然とスタイル構成も決まってきます。
 キャスト陣営にバラエティを持たせるなら特定の特技、奥義を禁止にするのも面白そうですね。上の2つが外されると最速のタイミングが後のイニシアチブフェイズにずれ、<エグゼク:コンダクター>や<ミストレス:トーチ>、<※ロケットスタート>などが意味を持ってきます。ようやく恩田豹吾の出番ですよ! ( ´∀`)σ)Д`)


★という感じでレギュレーションを変えれば色々な遊び方ができると思います。いっそ『クリスマスサバイバルナイト』のように最後は夢オチにしてキャラクターロストはないことにして、各サークル/プレイグループのお互いの顔キャストで対戦したりして遊ぶのも、「時間が余った時の2本目」的なスタイルで面白そうです。


第二陣に関する感想

★ふだん使わないランブル脳を使うのでけっこう疲れますね。全員がかなり燃え尽きていました。皆さん乙でした。


★各チームも互いにそれぞれの絆を表現していたし、こうして記録に残すと分かりますが、絵面(だけ)でも、第二陣はなかなかエレガントになった気がします。気がするだけ?w


★運動で言うと普段使わない筋肉を使うようなもの、マラソン選手が短距離走をやるようなものです。N◎VAでは「敵を倒す戦闘」と「周りに魅せる戦闘」は明らかに違い、多くのアクトは後者なんですね。普段から前者の戦い方をしているスタイルの人もいると思いますが、僕は明らかに後者です。
 特に人をおだてて持ち上げるのが上手いRL経験の豊富な人ほど、ふだんと違う考え方をする必要に迫られると思います。
 ショープロレスとフルコンタクトK-1の違いというか、皇帝の前で披露する少林寺拳法奥義と古代ローマのコロシアムでの殺し合いの違いというか、とにかく普段と違うことをやるので刺激になります。


Win-Winの関係が成り立つ通常のTRPGに比べ、こういう「対戦」の要素が伴うイベントは、勝敗の他にも殺伐としてきたりギスギスしてきたり、迷惑を被ったり不快感を受けたり終わった後に時間の無駄だったと思ってしまったりするとアレだったりデリケートな部分をも含んでいるのですが。
 第一陣も同じだったでしょうが、第二陣はこのへんが実に清々しい終わり方でした。アクト後はいつものように互いの良い点を出し合ったり、ライドん先生はいつもの如く「今日は楽しかった!」「負けたけど参考になりました!」といつもの調子のキラキラぶりだったり。ビール魔人つねひらの演じるステラたんは萌えだという話になったり、総帥の情報戦はすげえという話になったり、おねいさん共闘に八軒さんのテンションUP度はなんと本人談75%だったり、いつもの楽しいポストアクトと同じでした。
 戦場跡を1枚写真に撮り、全員が全員と握手して非常に後味のよい終わり方で終了したのがよかったですね。


★面白いのがこのチハーヤさんの記事。RLサイドから見て、チハヤブルのPLに特に重要なのはモチベーションの高さと、その場で場を面白くする能力だったということ。なるほどー。さて第三陣は、いかなる猛者が集まることになるや?


 かくしてチハヤランブルは終了であります。
 実は2005年に行われたカゲムシャSSS『アルティメットランブル』大会、ダークフォース・ガールズ(はたはた/IB/chihaya/いわしまん)vs秘密結社ワイルド・ゴート(tatuya/侵入者/らぎ/天色在人)の対決でも我らがダークフォース・ガールズが僅差で勝ち、アタッカーだった僕のキャストのアウローラが唯一生還しています。
 これでランブルものは実は2連勝となるわけですが……いやーランブル脳を活性化させるのはたまにでいいですねー。
もう眠らせてふだんのエレガント脳のほうを活性化させまつ。 (´w`)


おまけ:2次会の顛末

 この日の夕食会はさる焼肉屋をを貸切であった。
 さる卓を初期配置で囲んだのはチハヤブル第一陣、MIチームのミスターピッグを演じた闇司という漢、そしてMIチームの続く二陣を任されていながら負けてしまって反省会確実のステラたんの中の人つねひら。西方より来たるほりの皇子、そして勝利したサロンチームのブランディーヌの中の人であった。
 周囲の話題は、あるアクトにおいて「そね」という人のキリコ・キュービーロールがいかにすごかったかの話と、やはり激闘チハヤブルの話が主であった。

【延々とキリコロールとチハヤブルの話題が周囲で続く】



財団の人「で、さっき何のお話でしたっけ」
皇子の人「今度新シナリオを構想中ということで、宇宙と聞いて……(☆▽☆」
財団の人「(くわっ!)そうですよそうですよその話ですよ! ゲストイメージは1人除いて固まっているのもいるので、ジツはイラストを5人分ほど……(-人-)」



【しばらくシナリオの話が続く】
【しばらくするとチハヤブルに話題が戻る】



財団の人「で、さっき何のお話でしたっけ」
皇子の人「takaさんともお話ししたんですけど、オンセをまた復活させないかという話になって……」
総帥の人「そうだオンセの話だ。やりましょうやりましょう (っ´▽`)っ」



【しばらくオンセの話が続く】
【しばらくするとチハヤブルに(ry】


おわり