【Python】無料・有料でPythonが学べるオンライン学習サービスと体験集まとめ
◆進撃のパイソン
電気/電子工学・通信の標準化団体IEEEの2017年のランキングでも遂にトップに立ったPython言語。まあこの手のランキングはものによってかなり結果が違うので一概に鵜呑みにはできませんが、いま特にアツいのは確かです。大きい本屋に行くと解説書もいろいろ並んでいますね。
ぐぐれば出てくるじゃんという話ですが、オンライン形式で、現在Pythonが学べるサービスの主要なところを集めてみました。通学するスクール形式のものは省いています。また無料のもの中心に、実際にやってみたものは体験も載せてみます。
おっと念のため、筆者の僕は実務でプログラミングは各種やっている他言語経験者、Python経験は0年で本やネットで勉強中というステータスです。
◆無料/最初は無料、日本語で学べるサービス
paizaラーニング
御存知paizaラーニングに多数ある学習コンテンツの中ではPythonは現在1つだけ。「Python3入門編」の全4レッスンが完全無料で学べます。ブラウザ内を区切り、コンテナの仮想技術を使ってブラウザ内で実際にコードを書いたりコンソールでの実行結果が分かるタイプですね。環境構築がいらないので手軽です。
レッスン名 | チャプター数 |
---|---|
Python入門編1:プログラミングを学ぶ | 9 |
Python入門編2:条件分岐、比較演算子を学ぶ | 6 |
Python入門編3:ループ処理を学ぶ | 7 |
Python入門編4:リストの基礎 | 8 |
全部やっても1日で終わるレベルだし、(筆者の感触では)練習問題も割と簡単ですいすい行けるのですが、ほんとに基礎の基礎の部分を固めたりプログラミングの世界に初めて足を踏み入れるにはよいと思います。
例題の実行結果は標準出力で文字を出したり、おみくじで分岐してランダム文字列が出たり、西暦と和暦の変換、CSV処理やリスト処理など基本のレベルですが、ドラクエ風のRPGになぞらえたりしてゲーム世代にもイメージしやすくしていますね。
そしてPython編のおトクなところといえば……ボイスが女性です。声優さんのボイスを動画の最初に出てくる美少女キャラに脳内変換して一緒に学べますぞデュフフフ~ (´∀`)=3
う~んただで女の子と一緒(の、設定)でプログラミングの勉強ができるんだからよい時代になったものです。
よーく声を聞いていると、コードを打つ時一緒に喋っている想定での発音で変数名が「ほげ」なんだけど画面の実際のコードの変数名が違っていたり、ああやっぱり声を収録した後でも教材は微調整しているんだなあというのが分かります。
プログラムを動かしたり課題がうまくいった時の「えい!」とか「よっこらしょー」とか「いんてりじぇんと~!」とかはけっこう可愛くて和めるのでこういうのでモチベーションがアガる方とかはドウゾ。ヽ(´∀`)ノ
他言語の有料のレッスンも時々セールをやって期間限定で無料になったりすることがあるので、その時にやる手があります。(僕もRuby on Railsのをやりました)
サービス内のシミュレーションゲームの『もし次の常駐先が女子エンジニアばっかりだったら』で、レベルが上がるとキャラが水着になるとかだったかで一時期ネットでプチ炎上したりしていましたが、ここまで美少女満載のおたく向けな方向性をブレずに突き詰めつつ学習教材は真面目に作っているあたり、paizaのこういうノリも別にアリじゃないかなあと思います。気になる人はなるのでしょうが、まあゲームの方はたかがゲームですしね。
サービス内のゲームでは僕も『コードガールこれくしょん』はPHP言語でちょっとチャレンジしてみました。でも最初の方はecho
文で標準出力のような短いコードでクォーテーションが合ってない、とかそういうレベルのシンタックスを直す問題が延々と続き、だんだん飽きてくるんですよね。
そして最大の問題(?)はサウンドエフェクトやキャラの個別ボイスがまったく付いてないこと。これでは艦隊これくしょんや刀剣乱舞には遠く及ばないっぽいぽい……
ドットインストール
こちらもネットではお馴染みドットインストール。Pythonについては「Python 3入門」というレッスンがあり全31回の本格派。このうち触りの#01~#05だけは無料で学べます。残りは月980円のプレミアム会員が必要です。
ちなみにPython講座の動画の音声は男性です。上のpaizaラーニングの後にやると男子諸氏であれば「なんだ、今度は男の先生か……」と、新学期の時間割を見て当てが外れた男子中高生のようなキモチになれます。(←ならねーよ)
ドットインストールも実際の画面のコードや動きを見せながら丁寧に説明してくれるのですが、プログラミングについてはローカルに環境を構築し、動画の説明を見たら逐一止める→ローカルでも同じ操作を確かめる……のような作業がいるのがややネックですね。(一応、各言語共通で「ローカル開発環境の構築」というレッスンも別にあります。)
学生さんなど時間があるなら環境を作って、一ヶ月で全31回を制覇しきるような手もあるかと思います。
Progate (プロゲート)
URLがprog-8のプログエイトでプロゲートになるオサレなProgate。ここも東大生の人が在学中に創業した新進気鋭のベンチャー企業で、会社情報の写真に載ってる社員さんもみな若いですね。
会員登録はFBやTwitter連携で簡単にできます。各言語や技術、11コース55レッスンもある中でPythonコースについては3レッスンが学べます。こちらも仮想環境型でブラウザで完結して学習できます。
学習コース | 修了時間 | 章数 | 問題数 | コスト |
---|---|---|---|---|
Python I | 1h45m | 5 | 17 | すべて無料 |
Python II | 1h55m | 4 | 14 | 2章のリストの話の先から有料 |
Python III | 1h45m | 4 | 13 | 2章の関数の先から有料 |
完全無料のPython I は真偽値と条件分岐、買い物を題材にした代金計算..と一番の基本のところです。有料はプレミアム会員になる必要があり、ドットインストールと同じく月980円です。
Pythonについてはコース自体が短いので、どうせ払うなら他言語の学習コースも一緒にやった方がコスト的には見合うでしょうか。クレジットで払えない人向けには、法人や団体、中学・高校向けプランというのもあります。
Progateの特徴としては、サイトを見ての通りですが全体的にデザインがスッキリ綺麗、2010年代の今風でイケてます。言語ごとにオサレなアイコンも用意してあり、よしこれでオサレな気分でプログラミングも幾つかマスターして、この流れでスタバでドヤッてタターンしてみよう(嘘)とかそういう意欲が湧いてきます。
レッスンの章の最初に出てくる説明資料スライドの画像も綺麗でした。学習を進めるとレベルが順次アップしてお祝いしてくれたり、ユーザー・エクスペリエンスやゲーミフィケーション要素的なところも工夫されているなと思います。
あと時々出てくるNINJAな犬キャラの「にんじゃわんこ」たちが可愛いですね。講座の中で特に説明は出てこなかったと思いますが、Progateのメインキャラクターで、実は公式の他に@ninjawankoのTwitterアカウントもあったり、LINEスタンプにもなっているそうです。
Progateの紹介についてを見ると、公式キャラはにんじゃわんこ、ベイビーわんこ、ひつじ仙人、とりずきんと4人の仲間がいます。3人は忍者装束で基本和風だけどひつじだけ仙人で中国、そして服を着ていないという所に深淵な謎が隠されていそうです。
説明スライドにはちょくちょく出てくるんですが、kawaii路線で行くなら、これらのキャラももうちょっと前面に出てきてもいいんじゃないかなと思ったりします。(笑)
Progra! →サービス変更
前に僕がRuby入門をかじったときは無料で学べてPython入門もあったはずなのですが……現在は小中学生向けのプログラミング学習教材サービスに完全に内容が変わっていました。こういうこともあるんですね。
CODEPREP (コードプレップ)
codeprep.jp
こちらもFacebook/Twitter/GitHub連携で簡単にログインも会員登録できる学習サービス。学習コンテンツの単位を本のアイコン画像に見立てた「ブック」と呼ぶようにし、かなり多数の言語・技術のブックが用意されています。
運営のジブリー社は学生向けのプログラミングチャレンジサービスやスキルチェックサービスやスマホアプリなど、CODEPREP以外もいろいろ手がけている若い会社ですね。
内容はコーディングでなく穴埋め式なので難易度は低めです。他のサービスが問題集であれば、コードプレップはとにかく数をこなすドリルのような感じでしょうか。Pythonについては現在3ブックがあります。
分類 | ブック名 | チャプター数 | 想定時間 | コスト |
---|---|---|---|---|
入門編 | はじめてのPython | 8 | 25分 | 完全無料 |
基礎編 | Pythonでのデータ操作 | 6 | 20分 | チャプター1のみ無料 |
基礎編 | Pythonで学ぶオブジェクト指向 | 7 | 15分 | 最初の事前知識のみ無料 |
実践編 | (2017年夏時点でまだなし) | - | - | - |
無料の「はじめてのPython」はリスト、タプル、ハッシュ、クラスや関数の定義……と一番基本のところ。「Pythonでのデータ操作」の最初はリストの話、Pythonで学ぶオブジェクト指向」は事前知識だけやっても意味なし……と、無料でやれる範囲で意味があるのは事実上入門編のみ、限定的ですね。
こちらもプレミアム会員は月980円ですべてのブックが学習可能。うーんこちらもProgateと同じで、どうせ払うならたくさんある他の言語や技術のブックの勉強も込みでやるのがコスト的には見合うでしょうか。解説が多めのProgateをやった後で腕試しドリル的にCODEPREPをやるというコンボも良いと思います。
実際の学習は穴埋めで、(言語経験者であれば)入門編はぶっちゃけ簡単でした。今後追加予定の実践編などはまた違うのかもしれません。
ここもサイトのデザインが綺麗、そして正解してクリアした時の効果音が非常に小気味よいですね。子供向けでなくて大人向けコンテンツでも、こういう工夫は学習教材には大事なんだなと思います。
◆無料、英語で学べるサービス
CheckiO (チェック・アイオー)
こちらは完全無料の海外産。ゲーム形式でPython3とJavaScriptが学べる英語のサービスです。
登録すると最初の島のようなところから冒険が始まり、エディターが開いて問題を解いて行ってレベルが上がったり他の人の回答も見る事が出来たりいろいろ遊びながら学べます。僕はまだなんですが、ネットの感想を見るに面白そうなのでそのうちやってみようかと思いました。
ネックとしては、これもネットの感想からなんですが、コーディング環境のエディターが重い、数学の知識を要求されたりしてけっこう問題が難しい、そして当然ながらオールENGLISHというのがあります。無料ですし英語に抵抗がない方はどうぞ。
Codeacademy (コードアカデミー)
こちらも海外産、アメリカで人気を誇る無料の学習サービス。会員登録すると各種プログラム言語やマークアップ言語の各種講座が学べ、その中に「Learn Python」もあります。月額20ドルの有料会員にアップグレードすると、コースガイドが出たりクイズがあったり実践コースがあったり不明点をチャットでアドバイザーに聞けるとなっています。
こちらも他のサービスと同様にインタープリタ形式でローカルの環境構築は不要、ブラウザの中の大学でコードを書いて結果が確認できて全て完結するタイプです。バッジがもらえたりゲーミフィケーション要素も工夫されています。単なる言語だけではなくてAngularJSやGitやSQL、そして果てはIBMのWatsonのAPI操作なんて講座もあったり幅広く対応しているのがよさげですね。
日本人からすると唯一のネックはここもオールENGLISHということですが、試してみた人の評判もよいし英語に抵抗がないならここもよさそうです。
ニューヨークタイムズで紹介されたり有名らしいですね。新進のベンチャーやスタートアップ企業を目指すアメリカの大学生はこういう所で勉強してから飛び込むのかなーと思ったりします。
◆最初から有料、海外産で英語/日本語で学べるサービス
Udemy (ユーデミー)
海外産での動画学習サイトではUdemy(ユーデミー)も時折聞きます。ベネッセと提携して日本語対応も進み、コースは4万以上あって様々な分野をカバー。中にPythonや人工知能のコースもあります。
普段は万単位なんだけど謎の90-95%オフセールなどを頻繁にやるようで、だいたい1000円~数千円で買えるコースが多いようです。中には無料のコースもある模様。コースはどれも「購入」なので月決めの会員でなくコースごとに買い、学習期間の制限がない方式です。
www.udemy.com
ここは誰でも講師になることができ、PowerPointやYoutube、MP3動画をアップロードしてコースを開設し、買う人がいれば講師の収入にもなる形式です。コースがえらくたくさんあるのはそのためですね。何となく「XXの分野で有名なXXさんの講義がスマホでも学べる!」的な、授業や講演会を1つ丸ごと買うような感じにも見えます。
『実践 Python データサイエンス』『みんなのAI講座 ゼロからPythonで学ぶ人工知能と機械学習』のコースはブクマやQiitaで話題になったり割と好評のようです。言語が日本語、キーワードがPythonで検索するとこの2コースを含め全14コースがヒットしました。元の価格はばらばらですが、セール中だとすべて1200円になっています。
◆最初から有料、日本語で学べるサービス
PyQ (パイキュー)
上級者向けPython本の有名本『Pythonプロフェッショナルプログラング』の著者陣でもあるビープラウド社が打ち出したPython特化型のオンライン学習サービス。2017年4月に開始したばかりですね。『いちばんやさしいPythonの教本 ~人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで~』という最近の入門書とコラボしたりしています。
サイトの説明にあるようにこちらも仮想環境のコンテナを使い、ブラウザ内でコーディングして結果確認が完結するローカル環境不要型です。一番安いライトプランが月2,980円、メール問い合わせができるスタンダードプランが7,980円、さらにお金を掛けるとメンターが付いたり企業向けコースになったり豪華になったりしていきます。
実は僕も夏休みを利用して一番安いライトプランを申し込んで一気に「Python中級」までクリアした所なのですが、かなり良い感触です。日本語でPythonに限ってじっくりやるならここが一番オススメかと感じています。
もうしばらく学習を進めてからまた記事エントリに書きたいと思います。
- 作者:株式会社ビープラウド
- 発売日: 2015/05/21
- メディア: Kindle版
いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで (「いちばんやさしい教本」シリーズ)
- 作者:鈴木たかのり,杉谷弥月,株式会社ビープラウド
- 発売日: 2017/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
他、学習サービスでなく通常のWebコンテンツの形式でPythonチュートリアルが自力で学べるサイトも幾つかあるのですが、このエントリでは省きます。
◆まとめ
老舗のドットインストールは今も動画を見ながらローカル環境構築形式ですが、近年のトレンドとしては仮想環境内でコードが書けてブラウザ内で完結するローカル環境不要の形式が主流になっています。プログラミング初心者が一番つまづくのがコーディングする前の最初の環境構築だ、というのはよく言われるので、技術の進歩がそのへんをカバーする形ですね。チャレンジする敷居も下がってよい時代になったと思います。
また、誰でも講座の動画を投稿できるUdemyを除くと、主要なサービスで先生がいて動画内で説明する形式なのはpaizaとドットインストールのみです。仮想環境内で完結する形式がメインになっていくと、学習自体は人間が入らないコンテンツ、そして詰まった時のお助けサポートで人間が出てきてメールやチャットで返事……という形式の方が特定企業の運営する学習サービスでは多くなっていくのかなという気もします。
今回主に調べた中では、
- 基礎を無料で済ませたいならpaiza/ドットインストール/Progate/CODEPREPで触りを学び、必要ならその後有料分へ。
- 英語ができるならCheckiO/Codeacademyで無料で押し切る。
- 自分に投資してじっくり学ぶならPyQへ。
- 機械学習やデータサイエンス系はセール中を狙ってUdemyへ……
という感じでしょうか。