Rのつく財団入り口

元はTRPG系のWebサイトの入り口だったブログです。最近のIT本の感想など。

TRPGシーンにおけるiPadの活用【ダイス編】

 連載3回目といいつつずいぶん間が空いてしまいました(ギャー 本業の方が激しく忙しかったためです。すいません。

 さて、デジタルデバイスTRPGに何か使えないかと考えて、まず思いつくのはダイス、サイコロ。iPhone系には既に海外を中心に、TRPGに特化したダイス系のアプリが色々あります。
 本稿はiPadの活用と題しましたが、このエントリはiPadに拘らず、iPhone/iPad両方について述べます。アプリ名で2つ並んで名前の最後に「HD」が付いているのは、iPhone向けに既にアプリがあり、iPad向けに最適化した別アプリとして売られているものです。
 TRPGと特に関係なく、サイコロを振るアプリも含めるとさらに色々あるのですが、その中から機能が十分で使えそうなもの、面白いものをご紹介していきましょう。現時点の情報なので、値段などは変動の可能性があります。
 ちなみにやはり同じことを考える先人はいるものでして、はてな系では下のまりおんさんの記事でもダイス系が取り上げられています。(2009年3月頃時点)


 僕のiPhoneに入ってるのはこんな感じです。


RPG Calc / RPG Calc HD


 まさにCalculator、電卓と間違うばかりの質実剛健のデザイン。しかしよく見ると上の方にd4〜d20までボタンで並んでいて、電卓でなくダイスローラーであることが分かります。d4とd12がある辺りがD&Dくさい。いかにもアメリカっぽいです。w
 数字の後にダイスキー、四則演算付きで最後に「=」を押すと効果音と共にダイスロールしてくれる高機能アプリです。日本のTRPGでは複数種のダイス同時ロールのシステムはほとんど見ませんが、1d4+2d6+3d8といった複雑なロールもできます。コンピュータくんは律儀なので、100d20とか気の狂った命令を出してもちゃんと計算してくれます。日本だとFEARのSRS系の加護で発生する、10d6神ダメージなども簡単ですね。
 iPad版は画面が広く、左側に今までの計算履歴を表示してくれます。\230。

TRPG Dice

 赤いアイコンが目印のこちらは和製、日の丸ぢるしのダイスローラー。iPhone/iPad共用です。
上のRPG Calcはボタン式ですがこちらはホイール式を採用、XdY+ZのX、Y、Z部分を回して選び、ボタンを押してロールする手順になっています。
 ポイントはブックマーク機能があること。各種あるiPhoneアプリにはブックマークで色々な情報が保存できます。時刻表をブックマーク、電子書籍の読んでいるページをブックマーク、地図上の美味しかった店をブックマーク……etc。
 このアプリはブックマークでXdY+Zの値を保存し、後から呼び出せるんですね。これで「SW2.0で戦闘特技のあれとあれを入れて全力で攻撃した時の達成値」「天下繚乱で特技のあれとあれを入れた時のダメージ計算」などが保存してワンタッチで呼び出せます。自分のキャラ用に幾つかブックマークを用意しておくと有用でしょう。
 自分的には、ブックマーク以外で素で振る場合のオペレーションはホイールを回して選ぶより上のRPG Calcのようなボタン式の方が若干速いかな……とも感じましたが、これも便利なアプリです。\230。
 試しに『天下繚乱RPG』を遊んだ時サンプルの”闇を払う者”で作ったキャラが特技《五行呪:金行》+《祭神》で妖異に向かって全力攻撃した6d6だめぇじをいざろぉる!! してみました。


期待値通りの21が出ています。これぞ巫女の力、ではなくてこれで天下の大妖異、白面金毛九尾の狐とも戦えるので御座います。w

Mach Dice

 ダイス大量ロールに対応したマッハダイス。敷き紙やダイス造形、回る様子などは若干ぎこちなくて荒く、見た目のデザイン的にはいまいちですが、100個までの大量ダイスがマッハで振れます。設定画面でd6が丸か数字か、d10が0から始まるか1からかなども設定可能です。(ブックマークのような保存はできません)
 個数を大量に設定すると小さくなったダイスが画面下の「Roll」ボタンで一斉に転がります。Rollしてから結果が出るまでの時間が短いので小気味良いですね。画面全体がカジノなどにありそうな台のテーブルの大きさに見立てられているので、小さなiPhoneでこのアプリで大量のダイスを振ると、ひとつもこぼれずに合計値が数瞬で算出、なんだか幸せになれます。
 \115、iPhone/iPad共用。最近アップデートされていない古いアプリですが、大量ロールに向いたアプリです。往年の古強者ゲーマーの皆さんは何となく使い道を思いつくのではないでしょうか……そう、トンネルズ&トロールズもこれで戦えます。モンスターレート90のトロールが10匹出てきて(10d6+45)×10匹、100d6+450の数の暴力も余裕です。岩悪魔がいなくても闘えます。さァ、カザンの闘技場へれっつらGO!

カザンの闘技場 (現代教養文庫―T&Tソロ・アドベンチャー)

カザンの闘技場 (現代教養文庫―T&Tソロ・アドベンチャー)

MotionX-Dice / MotionX-Dice HD

 6面体ダイス専用の美しいアプリ。BGMも流れ、テーブルの敷き紙デザインも各種、音もテーブル毎に違い、6面体が転がるアニメーションもリアルです。TRPG専用ではないので合計値は出ずに振るだけです。
 面白いのはダイスの種類を選べることです。普通の白地に黒丸に加えて占星術、ESPダイス、などなど各種あります。TRPG的には数字がない種類のダイスは使えないのですが(笑)、人類の歴史上、様々な国と文化の中でダイスが使われてきたことを物語るといえましょう。ということにしましょう。w

 タロット模様やエジプト風ダイスなんかは情緒があってよいですね。冒険の果てにたどり着いた貿易が盛んな港町でふと入った、エキゾチックな商人の店で判定……なんてシーンに似合いそうです。
 iPhone版は最近のアップデートで、より手軽に、ダイスの種類が60余り、テーブルの種類が36ほどから選べるようになりました。無料だし人に見せる際のアピールには絶好なのでぜひどうぞ。

 さて用途をTRPGに絞った場合、このアプリには決定的な弱点があります。たぶんスクリーンショットでお分かりでしょう……1d6〜6d6までしか振れないんぢゃ〜〜!w

The Dicenomicon

 ザ・ダイスノミコン。狂えるアラブ人アブドゥル・アルハザードが書き記したかの怪奇なる魔道書、クトゥルフ神話に名高きネクロノミコンをはじめ、TRPG世界には〜コンと名のつく事典、魔道書の類のネーミングが見られます。
 起動すれば迷宮の奥深くのフロアタイルを思わせる敷き紙に、我々がD&Dに初めて触れた時に魅せられた、あの宝石のような輝きを放つ多面体クリスタル・ダイスの数々。来たぞ来たぞアメリカの匂いがする。訓練されたヘヴィなD&Dゲーマーの匂いがするぞォォォ!(;゚∀゚)=3
 ところがどっこいD&D専用ではなく、多面体ダイスを使う海外産TRPGを全部網羅してるんじゃないかと思うぐらいの多機能アプリ。\600と高めですが、恐らくこれが最強でしょう。
 画面下部に並んだダイスはスライドしていくとどんどん見られますが、d4、d6、d8...と始まってd20で終わらず、d14, d16, d18, d24, d30やd1とかd2、D%o/oo(1000通り)まであります。
 d1ってなんやねん!と思いますがアメリカ製のいろんなシステムに対応しているようですね。d7とかd15とか明らかに地球上の正多面体ではありえないダイスまであります。はっ……やはりこれは……ナイアーラトテップ様の力がこもった輝くトラペゾヘドロンと何か関係があるのでは……星の智慧派教団に気を付けるのぢゃ! (;´Д`)


 簡単に使う際にはダイスタッチをするとそのダイスがどんどん振られて合計値が加算されていきます。先ほど触れたように日本では複数種ダイス同時ロールのシステムはあまりない(あってもd6+d10)のですが、きらきらの多面体ダイスを全種類振って合計が出るのを見ているとなんだか幸せになれます。ダイスには影もついてかなりリアルです。
 左上の設定画面から、XdY+Z系の細かな設定も可能。ダイスが転がる際の物理演算や光の当たり具合までパラメータをいじれるというのだから恐れ入ります。
 設定画面を見ると、海外RPGの幾つかのシステムで見られる特有の振り方に対応しているようです。また例の画面にあるように、簡易なスクリプト系プログラム言語のようにIF文混じりのマクロを記述して、クリティカルなどの判定を自分で作ることもできます。日本でもやられた方はいて、ダブルクロスの判定ロールを実現していますね。すごいすごい。

 このようにかなりの高機能。多少高いですがそれでも文庫リプレイ1冊程度です。現状調べた限りでは、神アプリ認定はこのダイスノミコンに決まりのようです。

Androidのダイスロール系アプリ

 筆者はAndroid使いでないので最新の詳細な状況は押さえていませんが、Android系でもあるにはあるが、まだ高機能なもの、TRPG専用のものはそれほど出揃っていないようですね。ざっと調べて出てきたのは以下です。

 ユーザインターフェースもいかにもAndroid標準的で、ちょっとまだ垢抜けない感じがします。iPhoneアプリに比べると、やはりこれからというところでしょうか。
追伸:何か大事なことを忘れているような気がして思い出しました(笑) そう、Android端末ではiPhoneと違ってFLASHが動きます。オンセツールの有名どころ、どどんとふをブラウザ上で動かしてダイス機能を使えばロールもできそうです。

特定システムへの対応

 TRPGシステムで一番オーソドックスなのはダイスの出目を合計して使ったりd100したりですが、少ないですが中には違うものもあります。
 d10をたくさん振って一番高い目を使う(ダブルクロス)、d6をたくさん振って目標値以上が幾つ出たかの成功数を算出する(シャドウラン、SR4からは目標値が5固定)など。天羅万象エンゼルギアゲヘナ、古いですがワールド・オブ・ダークネスなどなどがありますね。
 こうした行為判定システムに対応するには、1つには上のThe Dicenomiconのような汎用高機能アプリの中でマクロ等の機能を使って実現する、2つめはそのシステム特有のアプリを使うという方法があります。2つめについては、探すと国産アプリでも実はあります。

 シャドウラン4版のテスト(ダイスロールでの行為判定の正式名称)の専用アプリです。しかもよく見たらこれ作った人は僕の昔の知り合いでしたね。ほかにもSW2.0の威力表、ゲヘナ、DX3の侵蝕率管理アプリなども公開されているのでどうぞ。

では、トランプは?

 乱数を生成する機能は多くのプログラム言語で最初から用意してあり、ダイス系アプリが出てくるのは自然です。
 では例えば、筆者近辺がよく遊ぶトーキョーN◎VAに出てくるトランプはアプリで実現できるでしょうか。トランプを使った各種ゲームや、タロット占いのアプリはiPhone系ではもう多数あります。
 ではTRPG専用にするとどうか……というと、ダイスより若干ハードルが上がります。
 しばらく考えればお分かりでしょう。トランプは山から引くので有限乱数であり、山にどの札が残っているかの情報が必要になるからです。もしもアプリで実現するとなると、誰かの端末、あるいはどこか別のサーバに、そのTRPGセッションを判別する情報と残り山札の情報を保存し、そのサーバと各端末が通信する必要がありますね。
 オンラインセッションでN◎VAを遊ぶ方も、トランプは各自の手元という場合も多いでしょう。デジタル乱数でのトランプ生成もこの方式にした場合、厳密に言うとバランスが若干変わります。
(たとえばトーキョーN◎VA The Detonationでは、誰かがJokerを出した瞬間に動ける凶悪ブランチ<カブキ:クラウン>の価値がより高まります。)



 これから本格化する日本市場のスマートフォン化の中で、Appleが勝つかAndroid陣営が勝つかはまだ分かりませんし、むしろ活性化が楽しみなところです。アプリの開発のしやすさでは、開発プラットフィームもMacオンリー、言語もObjective-CであるiPhoneよりも、より一般的なプログラム言語であるJavaを使っているAndroidの方に軍配が上がるでしょう。
 筆者も本業の方でAndroid開発の理屈は知っているので、仮に仕事を辞めて自宅警備を始めたら、1ヶ月ぐらいあったら特技検索アプリぐらい作れてしまいそうですが(笑)、継続的なバージョンアップやメンテナンスを考えた堅牢な設計や洗練されたインターフェースまで考えるとまた別ですからね。
 俯瞰すると余暇でこうしたアプリ系を開発している方も多いようです。日本のTRPG界隈でも今後、面白いアプリが登場することを楽しみに待ちましょう。
 ちょっとしか調べていませんが、海外産ツールは以下のようなものがあるようです。EN WORLDのフォーラムより。


 それでは貴方のデジタルな冒険が、よいダイスロールと共にありますように!ヾ(´ー`)ノ