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アレックスの回想記:2周目『クリスマスサバイバルナイト』


 この記事は、キャラクター視点の日記の形を取った、セッションのプレイ記録です。2008年末に同人誌形態で頒布されたシナリオ『クリスマスサバイバルナイト』はランダムイベントがメインなので、未プレイで見ても大丈夫です。



2XXX年12月某日

 あれは、聖夜を控えたある日の夜のことだった。気がついた時には俺たちは妙な部屋の中で、アヒル声でゲームのルールを解説するDAKの前にいた。軌道から堕ちて来た男は空気の如く気配を立ち、女はレスリングの試合が明日であることをぼやき、女物の和服を着た少年は答えを待たずにDAKを蹴飛ばしていた。
 窓の外の世界は、東京新星市の夜景。だが、邪悪な魔法が夜に満ち満ちているようだった。どうやら俺たちは、運命の天輪に導かれ、この悪夢の夜に召喚されてしまったようだ。
 俺の名はアレックス。アレックス・タウンゼント。デス・ロードとも呼ばれている。故郷のブリテンを離れ、俺がこの災いの都でボディガード業を始め、死の卿の魔剣と銃が死の約定を退けるようになってから、何年かが経った。
 世は常に移り変わるものだ。今のこの街には最新式のサイバーに身を固め、ブランチという新しいパワーを前提にした連中が揃っている。その中でもとびきりの、世界の理の裏の裏をついた技を使う、悪夢の中から生まれてきたような化け物を相手に、俺たちはこの狂気の夜を戦い抜くことになったのさ。


☆     ☆     ☆     ☆     ☆


 邪悪な夜に偶然出合った3人のことを記しておこう。
 “九字切り”の美門 九(みかど・ここのつ)君は前から知っている。ある古き王国の少年を助けるため、宝石の瞳を持ったシスターを退けたときに共に戦った。クサナギシリーズと争い欠陥品とされた軌道のエージェント。あの美門一清と同じ顔をした、空気の如き完璧な隠密能力を持った男だ。
 空気のような男というとけなしているようだが、実際は非常に優秀な男だ。<※フェイク>でのアクション札入れ替え、<※死点撃ち>による完全アーマー無視の確実な致死火力。奥の手は先手を取った《不可知》からの<■分身>だ。分身した全員が<※空蝉>し、全員が<カゲ:スペシャルフォース>からさらにリアクションし、全員が“多生縁魔”からスタイル制限突破の特技を取り出す。Exp500レベルの強力なエージェントだ。
 世界の理の裏の裏の盲点をついているようだが、これぐらいしなければこの狂った夜を生き延びることはできないのだ。断言できるが、彼がいなければ我々は負けていただろう。


 “レッスルエンジェル”ことセラフィムレディは若い女プロレスラーだ。女子レスラーがハンドルに天使を使うのはよくある話だが、この女は本当に天使の種族だった。
 常に<※天使の一族>を使い、達成値4点の操作と引き換えに血反吐を吐いていた。ここは狂気の夜だ。達成値操作は常に必要だった。
 ちなみに同一エンゲージにいた場合は、彼女が肉体ダメージを受けた瞬間に俺も<※カバーリング>を失敗させて手札を交換したよ。
 ふふ、まことの騎士の末裔や英国紳士の端くれは、こんなことはしないさ。だがこれぐらいのことをしなければ、我々は生還できなかったのだ。


 “簒奪の暴君”こと七扇 色(ななおうぎ・しき)は少女のような顔をした少年だ。どうやらどこかの家元の跡取りと入れ替わって生きているカゲムシャの殺人者らしいな。イメージソースは災厄前の何とかいう日本の作品だ。中の人を考えれば納得できるところだろう。この狂った夜でない場所で出会っていれば、俺たちは殺し合っていたかもしれない。
 基本は日本刀による<■突き返し>反撃、<※紙一重>を入れて防御手段の少ない精神戦ダメージを与えるタイプだ。<※デコイ>や<※能面>など、普通の冒険ではついぞ見かけぬ防御手段も備えている。
 カゲムシャ装備の秘中の秘、“オブジェクト・イン・ミラー”も2つ懐に隠していた。これがなければ我々は負けていただろう。そしてその上さらに彼が経験点消費による成長をしたことで、我々は全滅を免れた。
 俺がリアクションもできるところをこの少年に譲った場面もあったが――このサバトの夜に彼が消費したのは計exp120だ。成長させたカゲムシャがいかに力を秘めているか、新しい境地が見えたよ。


 4人目の俺については特に記すことはないが……今は少なくなった受けカブトだよ。シーン/範囲攻撃を含めたほとんどの物理攻撃に対するリアクション能力と、元力を重ねた銃撃/剣による攻撃要員としての十分な火力、<■ク・フレ>による反撃能力を有している。
 俺の弱点はといえば、1カット目のAR不足だな。ポリシーから<※自動防御>を取らず、義体化もしていないからね。


☆     ☆     ☆     ☆     ☆


 3人ともそれぞれの生活から、突如この夜に連れてこられたらしい。ちなみに俺はと言えば、娘にプレゼントを買って家に帰る途中だったよ。とんだクリスマスイベントになったがね。


 沈黙したDAKを後に、俺たちは東京新星市へと踏み出した。一見いつもと変わらぬ夜。だが、中世の魔女たちのサバトの夜の如く、この夜は邪悪な霊気に満ちていた。何もかもが正気を失い、誰もが狂気に犯されていた。
 ハウンドの千早冴子課長は牙決定戦を観戦していたし、アルファ=オメガというAIの少女は迷惑な強制ハッキングを仕掛けてきた。あの偉大なる青の魔道師はホームレスのごとくやつれていた。「お困りのようじゃの」と俺たちに声を掛けてきたが、間違いなく困っているのは老師の方だったな。弾王はどこへ行ったのだろう。
 カーロス・マウリシオ・ダ・シルバが差し出したプレゼントは時限爆弾だったし、こんなところで偶然、殺戮企業マーダー・インクの筆頭にも出会ったよ。
 会ったのがこの狂った夜の公園でなければ、俺もすぐに銃を抜いていたよ。4人全員の即時応戦で速やかに抹殺すべき相手だった。クーゲルズ・チャンバーの撃ち手、魔弾のクーゲル。
 だがカーライルの男は、一枚の写真に見入っていた。写っていたのはプリンを美味しそうに食べている黒髪の娘だったよ。確かハウンド隊員の若い子ではなかったかな。娘の笑顔を見ながら、カーライルの男は何ともいえぬ表情を浮かべていた。まあ、その、なんだ……詳しく記すのはやめておこう。男の名誉というヤツのためにな。


 そして俺たちは刺客に出会った。不吉な墓場で、狂気の霧の中から襲ってきたのは二人の剣士……聖母殿の最精鋭と、あのふざけた円卓騎士団のにやけた悪魔だった。
 “槍”のカイルは狂っていた。自分がPC1だとでも思っていたのだろうか。機械の力を借りた高い反応速度で、炎の元力をまとった剣で最速の攻撃を仕掛けてきたのだ。あれはカイルの姿をした別の何かだったのだろう。
 キース・シュナイダーはさらに狂っていた。この街ではほぼ手に入らない悪夢のような完全義体でさらにアクションランクを押し上げ、あらゆる防御を捨て、触れれば即死レベルの死の旋風を帯び、剣を振り回してきたのだ。あれはキースではない。それどころか嘲笑う死神でもない。別の何かなのだろう。
 戦いが始まった。美門九君が分身して攻撃し、セラフィムレディは達成値操作を始め、七扇色は隙を付いて剣舞から精神戦攻撃に走る。俺は魔剣を手にリアクションから反撃の構えを取った。
 相手は鬼神めいた強さを持つ二剣士とはいえ……連携した我々のチームはほぼ予定通りに勝てた。チーム側の消費神業はたった1発、夜の剣の持ち手と狂える死神は本来の力を出し切ることなく、地に伏していた。
 君もニューロエイジで様々な戦いを経てきていれば、必中の《死の舞踏》にも限界があることを知っているだろう。そう、武器の射程範囲だ。
 我々は連中の懐には決して入らず、常に距離を保って戦ったのさ。銃は剣よりも強しということだな。


☆     ☆     ☆     ☆     ☆


 その後も青い鳥に導かれ、狂った世界でのゲームは続いた。機動捜査課のレイ――思い出した、あの男が見ていた写真はレイだ――は寒い夜にた天鵬院悠羽と寒稽古をしていたし、イワサキ・グループの軌道本社にいるはずの篁綾までお出ましになったよ。ダーク・スターのご登場と同時に七扇色が「パンツか!」と漏らしていた。きっとあれは、中の人が漏れ出たのだろうな。


 そして遠くで時計塔が再び12時を告げる頃、俺たちはこの狂ったゲームの主催者と遭遇した。
 トナカイの引く馬車に乗って現れたのは、まだ幼さの残る少女だった。雪のような銀髪をツインテールでリボンでまとめた、クリスマス衣装の少女。あれで言動がまともなら、アサクサの街角でプレゼントを配っている方が似合いそうな可愛らしい少女だ。
 だが、ここはサバトの悪魔の夜だ。目に見えるもの全てが偽りであり、別の意味を持つのだ。ほりのイラストに惑わされてはいけない。
 そして、この“聖夜のユメ”ことイブが連れてきた連中が問題だった。


 後で知ったのだが、このゲームの正式なルールでは、ここで現れるのは2名が正しいそうだ。だが俺たちは3名を相手にすることになった。きっと、あの時間管理局が介入したのだろう。
 サバトの邪悪な夜に出没する悪魔たちにも階級があるらしい。狂気の渦の最も深き淵から現れる、もっとも危険で、もっとも致死的で、もっともその名を忌み嫌われる、おぞましき最強の化け物たち――Sランクと呼ばれる3体が俺たちの敵だった。全員が若い女なのは、皮肉なものだな。


 妖月の都にいるはずのピジョン・ブラッドが、重度にサイバー化し過ぎた者特有の不自然な動きで歩いてくる。ほとんどサイバーサイコの一歩手前だ。
 そしてなぜか魔女のほうきに乗って飛んできた小娘は、指名手配中のシンジケートのモードレッド・カーライルだった。機械化した体の上に、ずいぶんと念入りなコスチュームを着ていたよ。あれは旧世界の日本の文化で言うと、魔女っ娘というのだろうか。写真を撮って送りつけたら、復讐の魔弾の男は間違いなく卒倒するだろうな。
 そしてメガステージのライブ会場にいるはずのトップスター、ブルーベリーがいた。正気を失ったレベルのアーチストの気を纏っていた。あの司政官殿が見たら腰を抜かすだろうな。そして厄介なことに、トレンチコートで身を固めた護衛らしき男がそばに控えている。


 狂気の底の最も深き深淵から現れた3体の怪物と、クリスマスの化身を相手に、絶望的な戦いが始まった。
 鋼のきしむ音と蒸気を吹き出し、ピジョン・ブラッドは正気を失ったアクションランクを溜めると格闘術の構えに入り、さらに正気を失ったコンバットドラッグを自身に注入する。君も、ある種の脳下垂体からのみ採れる違法ドラッグを知っているだろう。本物のピジョンは、あれを絶対飲んではいけないキャラクターのはずだ。
 魔女っ娘モードレッドはさらに絶望感を増す<※自動防御>の構えに入り、ブルーベリーまでもが正気を失ったドラッグを飲み干す。


 一計を案じた俺はブルーベリーのそばに影のように寄り添う無口な男――Mr.ハードボイルドに呼びかけた。
 我が魔剣“アズュラーンの威令”に夜の力が満ち、俺は言った。今宵、この狂った舞台はハードボイルドに相応しい夜ではない。ハードボイルドが似合う夜に帰るがいいと。
 驚いたことに男は頷き、帰っていった。《天変地異》による説得が効いたのだ。後で分かったのだが、カブトの能力をほぼ全て備えたあのハードボイルド氏は、護衛としてはかなり凄腕だったようだ。俺が同種の匂いを感じたのはそのせいだったのだろう。
 ハードボイルド氏に退場願ったのは正解だった。あのままだったら、ブルーベリーへの全ての物理攻撃が遮断されていたことだろう。


☆     ☆     ☆     ☆     ☆


 困難な闘いが始まった。美門九君が秘策たる《不可知》からの<■分身>で構えに入るが、運命の女神はカード運をいまひとつ呼び寄せてくれなかった。
 正気を失ったARからピジョン・ブラッドが正気を失った攻撃を繰り出してくる。あれはもはや秋留流古武術ではなく何か別のサムシングだ。俺がリアクションできないほどだった。
 やむなく七扇色は経験点消費まで持ち込んで攻撃をひきつける<※デコイ>や<※能面>でしのぐが、ブルーベリーが正気を失ったレベルの呪いの力を飛ばしてくる。東洋のチェスで言う“詰み”の一歩手前まで行った。対応手段は<■魔女の叫び>しかなく、我々のチームは備えていないのだ。仕方なく七扇色が予め<■スナッチ!>で宿主を変えておいた《神出鬼没》を使い果たす。
 機械化ピジョンへの反撃はなかなか好手がない。これ以上この化け物たちが動いたとき、我々は全滅する。
 そう察知した俺たちのチームは先手を取った。相殺覚悟の神業合戦。一瞬の攻防が全て終わった時、我々はまだ地面に立ち、ピジョン・ブラッドは倒れていた。これでいいだろう。あのピジョンの姿をしたサムシングは、明らかに正気を失っている。


 続く戦いも苛烈を極めた。セラフィムレディの達成値操作、美門君の致死火力の攻撃もなかなか厚過ぎる壁を崩せない。敵の残り神業数計算の上で美門君の取った奥の手は――《天罰》によるゲスト退場。これが通った時、戦いの趨勢はようやく我らに傾いた。
 ご退場を願ったのは、ライフルの代わりに正気を失ったガンナーズブルームを構えている機械化魔女っ娘だ。“本気狩るモード”で“まじかるモード”とは、北米人にしてはうまい駄洒落を思いついたものだな。マーダー・インクを見直したよ。
 親愛なるこのミス・モド子はもはやうざいというレベルではなく、完全に正気を失っている。南海岸に帰って鋼のハートの鼓動を冷やしていただこう。
 そういえば、正気を失った格好のミス・モド子の写真を撮っておけばよかったな。これを見せてカーライルの連中を何人か精神病院送りにしておけば、ストリートのゴミ掃除になったかもしれない。


 それでも激戦は続いた。だがハードボイルド氏が正しい世界に帰っていたのが幸いだった。ブリーベリーの姿をした怪物は正気を失ったレベルのアーチストの気をまとっていたが、彼女の歌に精神を破壊されるより前に物理戦が通った時、我々の勝機は見えた。
 スターのために多くのものを犠牲にしてきた怪物は、止めを刺されて倒れた。


 クリスマスの少女イブは、それでも正気を失った強さを保っていた。尋常でない威力の範囲攻撃を俺が空中に描いた魔法陣で防ぎ、俺の魔剣が一閃して夜の魔法を放った時……これで必中を感じたよ。さしてアーマーも着ていないあの姿なら、この<※元力:光学/負>の直接攻撃で殺れると。
 だがそれすらも、あのサバトの化身は防いだ。一体あの子は、夜の秘密の種族のうちのどの種類だったのだろうか。この狂った夜の主だ、複数の血脈の力を備えていたのかもしれない。
 とはいえ、そこまでだった。ソリに詰まれた大きな銃が破滅の光を発する前に、美門君とセラフィムレディたちの集中攻撃を浴びた少女は倒れた。これで終わりだ。


 少女がが抱えていた砂時計が割れた。深淵より来たるSランクの化け物たちは機械化ピジョンとブルーベリーが絶命し、魔女っ娘モードレッドは箒に乗って退散した。雪のような髪をした少女イブも動かない。
 我々は満身創痍だったが、4人とも立っていた。七扇色がアクト中にExp120点を消費。美門君も5〜10点ほど使っていたな。
 だが、俺たちは4人とも生きている。我々のチームは勝った。この夜を生き延びたのだ。俺の《難攻不落》はとうに使い果たしていたよ。


☆     ☆     ☆     ☆     ☆


 狂った世界はさらさらと砂のように崩れていき、俺たちは元の世界へ戻ることができた。

 今でも時々、あの激戦を思い出すことがある。美門君が<■分身>して必中の攻撃の構えにはいるとき、俺もオーバー特技で1Lv<※自動防御>を生やしていれば戦局は多少は変わったかもしれないな。あの状況でなら必ず達成値20以上でAR+3、物理戦にもう幾らか持ちこたえられたはずだ。
 もしかしたら、七扇色が戦闘中に消費したExp120もの経験点を、もう幾らか少なく抑えられたかもしれないね。まあいい。あの少年は自分から経験点を吐いてカゲムシャの完成形に近づきたがっていたからな。
 どちらにせよ過ぎたことだ。俺も防御専門に転身するのはやめておくよ。デス・ロードは死神の使いであり、俺がモデルにしているのは旧世界の紛争地帯で活動するPSDやシークレットサーヴィス、現役軍人やスペシャルフォース出身の要員たちだからね。


 あの狂った夜から帰還した先は、4人それぞれだ。日常への帰還というやつだよ。
 俺はといえば、特に書くこともないが――家で平和なクリスマスだよ。ぬいぐるみを貰った娘は大喜びだった。そういえば、あのクリスマスの少女イブがそりに積んでいたプレゼントにも、こんなぬいぐるみがあったな。彼女は一体何者だったのだろうか。
 まあいずれにせよ、あんなクリスマスのイベントはもう御免だね。そうそう、Mr.ハードボイルドにはいつか礼を言わねばならないな。



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 さて、この回想記を読んだ君もいつか、この正気を失ったサバトの夜にいつか迷い込むことがあるかもしれない。そしてことによると、邪悪な夜の怪物の中でもっとも危険な何体かの存在と遭遇するかもしれない。
 対サバト用に強化版のデータを別に作るのもいいだろう。未来の戦友のために、先人として幾つかアドバイスを残しておこう。

1カット目からのアクションランクの増加

 極端な作りでなければ、君たちの中にも敵味方ともAR2〜3同士で殴り合い、戦闘に決着が付く普通の戦い方をする戦士は多いだろう。
 だがここは狂気の夜だ。人気のあるオフィシャルゲストの外見をしたフルボーグのモンスターが、零式機械化歩兵にタケミカヅチにさらに違法ドラッグの“颶嵐”を飲んでくる化け物が、AR5〜6の怪物がうようよいる。
 敵の攻撃を耐え忍び、AR2まで待って反撃する戦術を取るなら、それまでの間に君たちのチームは全滅する。1カット目からのAR増加は極めて重要だ。各種義体や“レンのガラス球”、“SSSD”もいい。支援専門キャストからの<※アドレナライズ>、<※オーヴァーレヴ>や<※羅刹>もいい。いや、腕の立つ剣士たちに羅刹は勧めない。むしろ“色即是空”から<※羅刹>するんだ。

リアクション反撃

 達成値上限を25前後に抑えたキャラクター同士の戦いであれば、1カット目からのリアクション行動が有効なのは君も知っているだろう。
 サバトの狂気の夜でも同じだ。手札からのアクションや特別な手段がない限り、自分の手番まで待っているのは処刑を待つのと同じだ。1アクションが生死を分ける。敵に先手を取られたら、リアクションから反撃に繋げよう。君のターンというわけだ。
 <※空蝉>や<※ジャックナイフ>、<■突き返し>、<■ク・フレ>、<■合気>、<■ブービートラップ>、<■自動反撃>、<■口答え>や<※能面>などでそこから行動するのはよい考えだ。君自身に攻撃力がなくとも、そこから<※盾の乙女>や<※人使い>で仲間をそこで行動させたりするのもよい。チーム全員がリアクション技を持つぐらいの備えをするんだ。

極端な達成値操作

 同じく達成値上限が予想できる戦場では、達成値操作系特技が有効なのを君も知っているだろう。Detonation時代特有の現象だ。<※カース>や<■ミスリード>、<※シャッターチャンス>、<※アドバイス><※バックアップ>など。
 サバトの狂気の夜も同じだ。君が下げた1点が、気のふれた化け物共の即死神業級の攻撃を防ぐこともある。君がブーストした1点が、厚いアーマーと大量アウトフィッツで防御を固めた怪物たちを落とせることもある。
 敢えて「極端な」と書いておこう。君の<※カース>が普段は4Lvなら遠慮はいらない。8や10でも構わない。ブランチのLv点、あるいはLvの2倍操作できるブランチもあるだろう。これらの活用が生死を分ける。連中の気の狂ったコンボを遮断してやれ。

万能リアクション

 敵は、チャンバーに核兵器並みの銃弾を装填して撃ってくるような頭のおかしい連中だ。当たったら全員が死亡するレベルの範囲攻撃を放ってくる怪物も混じっている。エンゲージ防御、シーン全体の防御、リアクション不可攻撃へのリアクション、アクション自体のキャンセルなどの手段を持つのは重要だ。チームに1人、リアクション専門の要員を配置するのもいい。
 皇帝のカードの元に、その盾の誓いの元に戦ってきたカブトたる我が同志諸君には伝えておこう――残念だが、受けリアクションによる防御行動を取るカブトは、ある程度高経験点でないと役に立たない。便利なリアクション特技を持つD時代の連中に、この邪悪の夜の間だけは役目を譲ろう。
 アクション自体をキャンセルできる<※ポルターガイスト>や万能の<※消沈>、理想を言えばあらゆる行動に介入できる<■魔女の叫び>がベストだ。万能リアクション要員はARを増加させておくといい。“レンのガラス球”は定番だな。
 ここでカブトを入れて<※自動防御>と言うのは止めておくよ。同志諸君、この狂った夜には、“多生縁魔”や<■封印記憶>から<※自動防御>のコールだ。

先手を取れ

 古人曰く「攻撃は最大の防御なり」。これはどうやら災厄前の旧世界で、日本の将軍が創作した言葉らしいな。俺も故郷の軍にいた頃はよくこの手を使った。稲妻のように素早い奇襲作戦で、反撃を受ける前にテロリスト達を圧倒したものだよ。
 この邪悪な夜に現れる狂えるゲストたちには、向こうが1手行動するとこちらが全滅するほどの攻撃を繰り出せる化け物が何体か混じっている。戦いの趨勢は1カット目の前半で決まる。万能リアクション要員やリアクション反撃体勢が磐石でなく、危険な死の気配を感じたら、速やかに戦術決定だ――殺られる前に殺れ。
 最速必勝の<※ハヤブサ>攻撃もいい。『アルティメット・ランブル』でこの手を使って勝ったカタナたちも多いだろう。もっとも同じ事を相手も考えるので注意しろ。エセ外国人には特にな。
 何もかもが始まる前、セットアップで化け物共が動き始める前に、神業バッチで押し切るのもいい。綺麗な演出の伴う神業は普段のエレガントな冒険でやることにして、まず数発叩き込んで連中を沈黙させるんだ。抜き撃ちのダブルタップ速射で頭に2発撃ち込むのと同じように。
 味方の神業に損失が出たとしても、こうして神業の応酬の後に敵を1匹でも減らしておくことが、勝機に繋がることもある。

神業構成に注意

 当然だが、君たちのチームは即死系、防御系や復活系の神業を揃えるだろう。備えのない戦いに勝利はない。その一発が生死を分けることになる。攻防両方に使えたり、意外な使い方のできる万能系神業も普段の冒険に増して役に立つ。
 ちなみに《完全偽装》や《不可触》や《暴露》など、社会系の神業にはあまり出番がない。イベントで使えると思ったらさっさと使ってしまうことだ。

高い火力

 人気ゲストの外見をした鋼の悪魔たちを倒す、死の約定の運び手たらんとしているなら、君がいつもやっている通り、十分な火力を保持したまえ。
 差分、業物クラスの武器やサイバー、アウトフィッツによる極端なダメージ増加。<※元力:火炎>や<※死点撃ち>によるアーマー無効、各種特技によるダメージ軽減系特技無効、リアクション不可攻撃などの副次効果も重要になる。
 性能のいい火器でのフルオート掃射や軌道兵器、<※旋風撃>で、地獄の使者たちをまとめてなぎ払うのもいい。君が至近距離での攻撃に特化したカタナやチャクラやカゲでないなら――射程のある武器を用意しておくのも使える。
 俺たちがやったように、敵の射程外からの一方的攻撃が勝利に繋がることもあるのだ。騎士道はサバトの悪夢の門をくぐる時に今夜だけは置いてこよう。遠距離攻撃とは逆に、2段階以上移動して懐に飛び込み、即座に至近距離に接敵する手も役に立つこともある。
 また、俺たちのこの世界では一般的に、肉体戦に比べて精神戦は防御手段が少ない。サバトのねじれた世界でも同じだ。精神戦攻撃はこの化け物たちにも有効だ。思わぬ一撃で落とせることもある。

手数を揃えよ

 初心者向けの特技1コンボ専用の作りたてのキャストならともかく、君が幾つもの戦いを経てきた歴戦のキャストであるなら、ここは大丈夫だろう。戦闘でのさまざまな状況に柔軟に対応しうる手数の多さ、複数の特技コンボや様々なアウトフィッツ、サイバーも役に立つ。
 “スリーアクション”や義体の“フルアクション”、<※手妻使い>でマイナーアクションから複数行動するのもいい。リアクション反撃や本気の攻勢から<■二天一流>や<■禅銃>、<■マルチアクション>で複数回攻撃するのもいい。“コンバットアシスト”などのアウトフィッツや<※エイミング>、ダメージ発生やクリンナップフェイズで使える特技などを活用して手札/プロット札の交換手段もあると助けになる。

正気を失え

 同志たる君がニューロエイジに己の力でワン・アンド・オンリーたる存在として立っているなら、君と君の中の人は様々なものを有しているだろう。貫いているスタイル、信念、魂、N◎VAを遊ぶ上でのこだわり、良識、良心から来る制限、周囲を気遣った遠慮……etc。たまに、まったく欠落している奴もいるがね。
 君がそれらの要素から構成されているのは当然だ。ここはニューロエイジだ。スタイルがないなら運命の舞台に立つ意味がない。
 だが、このサバトの魔法の夜は狂気の夜だ。誰も彼もが正気を失っている。きっとこのクリスマスの冒険を思いついて狂ったオフィシャルゲストを考えた連中は、全員狂気に犯されていたのだろう。
 君も正気を失うぐらいの気持ちでいることだ。達成値の上限やダメージ最大値、特技やブランチのレベル、ルールの隙間をついた特技コンボ。
 普段は自制しているリミットがあるなら、この夜だけは正気を失って忘れてもいい。君の前に立ちはだかるのはそれらのリミットとは別次元の存在、有名ゲストの皮を被った異質の魔物、悪夢の底からやってきた悪鬼たちなのだ。
 正気は元の世界に置いてきて、この邪悪な夜を生き延びるべく頭を捻ってくれたまえ。限界の向こうに新たな世界が見えるかもしれない。我々のチームはカゲムシャの新たな可能性を見たよ。
 そして戦術を練り、全力をもって戦い、チーム全員に与えられた共通のPSを達成するのだ。サバトの夜から脱出するという作戦目的を。


 先人からのアドバイスはこんなところだ。幸運を祈ろう、同志戦友諸君。チーム全員が生きて時計塔の午前1時の鐘の音を聞けますように。
 君たちの戦いに、運命のタロットの加護のあらんことを。



――アレックス・タウンゼント


☆     ☆     ☆     ☆     ☆

トーキョーN◎VA The Detonation『クリスマスサバト』@セレブなツタヤ☆邸

  • シナリオ&RL:chihayaさん@時間管理局
  • ちなみに実プレイ時間:2時間15分