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時代劇っていいよね!:『許せぬ悪をなんとする』天下繚乱漫遊記演義


 さて黄金週間の中のある日。生方公というナマモノのもののふが帝都にやってくることになりました。西方からは“巫女那岐の御方”とだけ知られるお方と、大阪城下より横嶋公というもののふもやって参ります。これも宿星の導く好機、何か迎撃の儀を執り行うことになりました。
 東京新星市演義だとそれぞれの既知/未知の兼ね合いなどがあり……選ばれたのは、出たばかりの最新作、超時代劇役割演義の『天下繚乱RPG』。本体に続いてリプレイも発売中、ネット上でも情報がちらちら出ていますね。
 決定時にルールブックを持っていないメンバーもいたので、準備済みのクイックスタートキャラ、まずは小さくまとまった付属シナリオ一本目を遊ぶことになりました。
 時空破断により時が交錯し、様々な時代の有名人たちが入り混じる架空の超時代劇トンデモお江戸・化政時代。江戸の文化が成熟したこの時代の日本に迫る妖異の影。世のどこかにあるという名剣村雨丸を追い求め、混乱の世を救わんとする英傑たちが、宿星に導かれていま集う……

天下繚乱RPG (Integral)

天下繚乱RPG (Integral)

英傑の壱:内藤 銀ノ進 (ないとう・ぎんのしん)

【くぃっくすたぁと:剣客 青龍/青龍/剣客 殿方/25歳】
 あだ名は銀の字、江戸をさすらう浪人剣士。元は御家人であったが仕事がなく、大江戸は吉原界隈をうろついている。ちんぴらをゆすっては小銭を稼ぎ、自身がちんぴらまがいの暮らしをしているお尋ね者。金がない割に金にうるさく、金になる仕事にはめざとく飛びつく。英傑の自覚のない男だが剣の腕は相当の手練、約束は必ず果たす律儀な面もある。
 銀の字が流れ流れてやってきた上州は間垣村。何の変哲もない村の入り口の茶屋で団子に茶と一服していた銀の字は、江戸でたかってきたちんぴらたちによく似た、懐の暖かそうな悪党たちの一団に出くわした。病弱な父を庇い必死に立ち向かおうとする茶屋の娘お民。果たして銀の字はどう出るか。
 百花繚乱綾錦、浪人の剣が上州に疾る――!

演者:横嶋 さん

 今はお江戸を離れて大阪城の方にいるよこしま公です。ヨコハマ勢一心不乱勢として思えばけっこう長い付き合いですね。この日に「東京にようこそ!」と言う予定だったのですが、その前の日も別のセッションで会いました。w
 選んだ『剣客』は天下繚乱のクイックスタートの先頭に載っている戦闘系キャラの筆頭。単体相手に十分な攻撃力を持ち、時代劇といえばまずは侍という約束のキャラですね。クイックスタートと本文の例に出てくる剣客のキャラはビジュアルは『銀魂』の人のような、ひねくれて半ばいやいやながら世のため人のためひろいんのため剣を振るうような人物のイメージになっています。
 さて銀の字はどうか。ちんぴらに出会えばジャンプさせてじゃらじゃら確認、倒して小金ゲットの繰り返し、どちらが悪党なのかよく分からないお尋ね者でした。w
 中の人が天下繚乱が完全初めてということもあり、この金ベースのスタンスが逆になかなか面白く作中で意外な展開もありました。時代劇っていいよね!
 同じく手練の赤◎の五◎◎らと激戦を繰り広げ、大妖異コンコンを退治した銀の字は、お民ちゃんに別れを告げて青空の下、またどこへとなく去ってゆくのです。大丈夫、巫女の久音さんからは補正が掛かって奴は立派な英傑に見えている……はずだよ!

英傑の弐:葵之上 定守 (あおいのうえ・さだもり)

【くぃっくすたぁと:天下のご老公 玄武/玄武/天下人 姫方/15歳】
 通称、葵姫(あおいひめ)。不幸な侍従の伊織を従えて各地を漫遊する旅の姫様。畏れ多くもかの将軍家に連なるやんごとなきご身分であり、すべての悪党がひれ伏す葵の紋所を懐に隠している。
 実は半神の身であり、妖異に堕ちた天草四郎と過去に戦いを繰り広げた。呪いを掛けられて当時の記憶を完全に失っている。善行を積むと過去の自分を取り戻すと教えられ、今は旅の途中にある。
 諸国漫遊の旅は上州へと葵姫を導いた。村へと続く道に倒れていた行き倒れは、間垣村の住人であった。領主が見つけた信玄公の隠し金山で、村人たちは働かされているのだという。この金山に付きまとう邪悪な妖気は……
 百花繚乱綾錦、葵姫の紋が上州に光る――!

演者:sigane

 しがーねさんです。結局手近でルールブックが手に入らずセッション時が初めてとなりました。まあアルシャードなどSRS系が分かれば問題ないし、こういう時に統一ルールは楽ですね。
 中の人が姫方ゆえ老公ではなく若い姫さんになりました。クイックスタートでもライフパスなどはPLが決定しますが、その場で適当にダイスを振って半神など大層な設定が加わりました。連れている部下は途中から名前などがポップアップ。(このへん、最初から決まっていれば周りの人がうまく演じたりもっとフォローできましたね。)
 『天下のご老公』は、イラストが似すぎていてヤバイんじゃないかというぐらいのご老公。ご老公です。将軍家のあの人です。クラス『天下人』は常時発動の自動取得特技《世を忍ぶ仮の姿》で、自分の正体を怪しまれないという面白いクラスです。(一通り読みましたが、これを打ち消す方法はルール上存在しないみたいですね。w)
 4つの基本クラスからは玄武を取り、ダイスロール操作、振りなおし、他者行動などの能力を備えた指揮官タイプのキャラクターです。
 セッション中も出てきました約束のシーン。並み居る悪人どもの前でばばんと出てくる紋どころ。全員平伏。しかし骨のある◎◎屋たちは、かような若い姫が将軍家のはずなしと奮起して襲ってくるのであります。うーんコテコテです。時代劇っていいよね!


英傑の参:天原 久音 (あまはら・くおん)

【くぃっくすたぁと:闇を払う者 朱雀/陰陽師/神職 姫方/20歳】
 江戸の外れにある月読神社に務める巫女のお姉さん。さる名のある家門の出で育ちがよいため近隣でも受けがよく、子供たちに読み書きや音楽を教えている。舞いを嗜む文化人で、遠く天竺より伝わる珍しい五弦琵琶の名手。琵琶の音で陰陽五行の力を操る。潔癖症で普段はおっとりしている。
 神仏を尊ぶ能力者たちの総本山、日本と江戸を守る結界を守護する天海僧正本能寺の変のあの日より名を変え、変わり果てた主君と今も戦い続ける大僧正は、初めて御前に参上した若い巫女に語った。
 妖異の長、五人の閻羅王が一騎、白面の君に復活の兆しありと。かつて白面金毛九尾の狐の呪いとなって各地に飛び散った殺生石のひとつが、今もなお妖気を放っているというのだ。
 往くは上州、間垣村。村の稲荷神社が取り壊されている様に、久音は仰天するのだが……
 百花繚乱綾錦、五弦琵琶の音が上州に響く――!

演者:拙者ゆえ(ry

 初めて遊ぶ新作しすてむ、使うのはくいっくすたぁとなれば希望順は“ふらっと”に平らに出して宿星の導きに従うのも常道。としたところ、はて面妖な、拙者が参枠の『闇を払う者』を担当する次第になってしまい申した。
 基本クラスの朱雀は、青龍とは逆に初回から範囲攻撃能力を備えた火力クラス。『闇を払う者』は、そこに回復能力や魔法攻撃能力を加えた魔術師系クラスになっています。他のゲームだと退魔組織に属する術師系のキャラですね。お坊さんや陰陽師などもできますが、クイックスタートのキャラは和風ものの伝統にならって巫女さんになっています。ということで設定やイメージ、イラストの代わりに3D絵も揃えて準備し、正統派の巫女さんにすることにしました。
 英傑の血を引く賢明なる読者の皆様には再度申し上げる必要もございませぬが、たまたまこの枠だったので宿星の導きに従い、たまたま巫女をやっただけに御座います。 ヽ(´ー`)ノ

英傑の四:外道丸 (げどうまる)

【くぃっくすたぁと:鬼神衆 白虎/白虎/鬼神衆 殿方/17歳】
 連綿と続く日出ずる国の歴史の影で、幕府統治の前から朝廷に仕え、妖と戦い続けてきた秘密集団、鬼神衆。その鬼神衆の隠れ里で育てられた少年。外道と闘うゆえに外道丸を名乗っている。刀による戦いと防御に優れる。普段は忍装束だが、面を付けて鬼の力を露にした時、その髪は真紅に染まる。
 敵に対しては好戦的で、本人は自分では大人のつもりだがまだ幼い。化政時代から200年ほど経った時代に流行る高二病を患っている。
 簾の奥で姿を見せぬ白髪の姫、御前様より命が下った。上州、間垣の地にて、妖異復活の兆しあり。外道丸は緑の野を走り、上州へと走る。いかなる妖異の影がかの地に現れようとしているのか。
 百花繚乱綾錦、紅の髪が闇に踊る――!

演者:“巫女那岐の御方”taka さん
 一部にはみこなぎの中の人として名を知られるtakaさんが静岡藩から大江戸にやってきました。今までも“ぼかろ”なるからくり仕掛けのためにお忍びで何度か大江戸にやってきているそうであります。
 じゃなかった、なにやら「みこなぎに飽きた」などとよく分からないことをみくしぃで一時述べておられました。あやしや、あやしや、これも大妖異白面金毛九尾の狐が人心を惑わしているに違いありませぬ。なんともはや面妖な……w
 というわけで鬼神衆の少年キャラが出てくることになりました。鬼神衆は朝廷と天皇に仕え日本を守り続けてきた秘密部隊の鬼一族、変身ヒーローものをやるクラス。仮面ライダー響鬼や、クイックスタートのイラストは怪傑ライオン丸などがモチーフのようです。鬼の本性を出して戦う能力は多岐に渡るのですが、クイックスタートのキャラは他者へのダメージを防ぐ防御系の作り方になっていますね。
 名前から高二病の外道丸、やはりこれも股旅ものには欠かせない少年系です。ならずものに後ろからドロップキックで登場したり赤い髪を翻して妖異と戦ったりとがむばりました。自らが傷つきながら仲間を守って範囲だめぇじを食い止めるこの様、きっと久音姉さんからは好感度が上がったことでしょう。w


 このゲームはSRS標準ルールに乗っ取り、PC間コネクションは番号上から下へ、取得する側が一緒に関係もダイスもしくはROCで選びます。(トーキョーN◎VAなんかと逆ですね。)
 本日の英傑たちの関係は以下になりました。

★銀の字→葵姫 【腐れ縁】
「あの姫さんとは旅の行く先々でなぜか会うんだ。まったく厄介だぜ」
★葵姫→久音 【興味】
「育ちの良い娘じゃ。騙されやすそうじゃが……」
★久音→外道丸 【幼子】
「外道丸くんは張り切っていてもまだ子供、本当は良い子。付いていてあげないと危なっかしいのです」
★外道丸→銀の字 【友情】だったかな
「剣の腕も立つ強いアニキだ!」


 う〜んコテコテですね。漫遊記物、股旅物の基本ですね。


\時代劇っていいよね!/

演義監督:生方

 げぇむますたぁは、南蛮渡来のばんだなを頭に巻いたナマモノの英傑、「なま」の生方公なのであります。横嶋公と同じく一心不乱なヨコハマ関係勢、思えば長い付き合いですね。僕も彼も実は互いに、初めて会ったセッションがなんだったかもう思い出せずにいます。w
 なま公も元から時代小説回りはかなり読んでいるのでこの天下繚乱はかなり似つかわしいシステムといえませう。今回予告のトレーラーは講談調にアレンジ、扇子まで持参となりました。よっ生方センセイ! (っ´▽`)っ


妖異暗躍譚1 白梅の鮮華 Replay:天下繚乱RPG (integral)

妖異暗躍譚1 白梅の鮮華 Replay:天下繚乱RPG (integral)

 迎撃の儀でこのシステムを遊ぶことに決まったのが約10日前。僕のほうはルールブックは買って積読状態だったのでこの作業の優先度を上げて準備しました。ルールブックを一通り読んで世界設定や流れを把握、クイックスタートのキャラに関係する特技や装備、奥義は特に見直し。データ全てはいちいち記憶しきれないのでそこはオミット。ネットで検索して天下繚乱RPG公式サイトWikipedia2ch、まだ少ないですが幾つか上がっているレビューや感想などをチェック。リプレイも発売されていたのでこちらも優先度を上げてセッション前に読んでおきました。
 関連してWikipediaで18世紀初頭の江戸時代やこのゲームに登場する当時の実在人物、固有名詞なども軽く調べておきました。一般教養としてのこういう関連した調査も勉強になりますね。
 公式サイトではエラッタ、FAQも既に出ているので一応手元のルールブックにも鉛筆書きで適用しておきました。遊ぶ際にちょっと致命度が高いところでは『剣客』の攻撃と防御が1点低かったり『蘭学者』の精神力が10点多かったり、クラス一覧表で忍者の能力値がかなり違ったりしているのでチェックしておくのがオススメです。
 シート類も全てPDFで公式サイトで公開されています。クイックスタートは全種類揃っているので、せっかくなので今回はここから使うことにしました。フリーソフトの『PDF-XChange Viewer』でテキスト上書きの形で、和風フォントを使ってデータ変更点や名前やライフパスなど各属性は記述。最近2Dイラスト3D化計画で遊んでいるので、記念に作った3Dイメージをイラスト欄にも貼り付けて、最後にさくっと印刷して終了。こうするとシステムの勉強にもなるし急いで手で書き写すより綺麗で良いですね。


 ゲームシステムの方は、SRS系の経験があれば導入難易度はかなり低いでしょう。《奇跡》がそのまま漢字4文字の《奥義》ですし、FFチックなMPが減らなくなるブレイクが覚悟状態。アルシャードの奈落に相当する世界の敵の勢力はみな「妖異」でまとめられ、クイックスタートのわっちたちが属する日本古来の妖怪系統は「妖怪」で別系統になっています。
 アイテムデータや特技は必要なところを覚えればよいですし、クイックスタートのキャラはデータ的にもかなり使える強い作り方になっています。よ〜く見て行くとアルシャードの奇跡とまったく同じに見えて実は微妙に違う奥義もあったりするようですが、実プレイにはさほど影響しません。
 背景世界の方もあくまで架空の江戸時代の化政時代、時空波断という時間の混乱で、史実上生きている年代が合わない実在人物も登場させやすく、歴史考証を気にせず遊べるようになっています。
 総じて、ちょっと遊ぶには敷居はかなり低いと感じました。


天下繚乱漫遊記演舞『許せぬ悪をなんとする』

 付属シナリオ1本目なのでここは、いんたぁねっとなど公共の場では情報開示に注意……となるところですが、これがまた何もかもが時代劇テンプレートの嵐。短くよくまとまっているのですが、なんというかネタバレとかそういう要素がもはやないんじゃないかというぐらいの超時代劇なのでござる。w
 とゆわけで英傑に関係するところをピックアップして候。


★ぺぺんぺんぺん、さあお立会い、扇子つき、講談調あれんじの今回予告。
 中の人一同「よっ生方センセイ! (っ´▽`)っ」


★日本を守る霊能力者たちの総本山の一番偉い人、天海大僧正にお目通りする巫女の久音。リプレイ『白梅の鮮華』によるとすだれの向こうで姿は見えない描写がありましたが、今日の天海様は直にお目どおり叶うことに。なま天海でござる。w


★そして幕府を遠く離れた隠れ里、鬼神衆の本拠。白髪の少女御前様から下命を受ける若き外道丸。ちなみにこちらはすだれで姿は見えず。w


★流浪の旅を続けるるろうに銀の字は、ある茶屋で娘と出会うことに。
 そして部下と旅を続ける葵姫は行き倒れを発見する……


★喧嘩が好きな銀の字の前に度々現れるごろつき一団。きっと中の俳優さんは同じ人に違いない。
 2回目からは1回目で蹴られた腹をガード、1回目で小銭を奪われた用心から2回目は金銭を持たずに登場。
 そして数を武器にたびたび登場する彼らに、英傑たちは妖異の影以外にもあることを感じる。


中の人たち「(´-`).。oO(45人……村の人口より多くないか?)」


★そしてそんなごろつきたちを蹴散らす外道丸。歴史の影で妖異と戦い続けてきた鬼神衆の武術は、刀剣にはこだわらぬ。
 登場は背後からのどろっぷきっく!


★村についてみれば稲荷神社は材木を抜かれて土台だけになり、しかも火の手が上がっている。
 驚いた巫女の久音は村人と共に火消しに奔走した。ここで陰陽術の《水行の術》を使うと格好が付くのだが……くいっくすたぁとだと持っていない!w


★南蛮渡来の言葉で表すと「ひろいん」、病弱なお父っつぁんを助ける健気な娘お民。
 やがて銀の字は彼らを助けることを決意する。その理由は……茶屋で世話になった代金のためであった。
 あな口惜しや、世に言う「男つんでれ」なる言葉はあと200年ほど経たないと生まれないのでござる……w


★情報収集はSRS的に理知判定や意志判定。現実時間で13時15分、せっしょん開始から約1時間15分。この頃もう全て「りさぁち」が終わっていた。何というすぴぃど展開……!


★せっしょん開始から2時間前後か。1時間物時代劇で言うところの45分あたりに相当する頃合になった。
 苦しむ村人たちの影で、悪事を企むモニョモニョと◎◎屋。くつくつと笑う二人は、障子の向こうの庭先に英傑の影を感じる。「なにやつ!」


講談師なま先生「これ全部書いてあるんですよ」
中の人たち「テンプレどおりだ!ヽ(´▽`)ノ」


★そして葵姫がどどどんとかざす紋所にもめげず、姫を偽者と断じて斬れと命ずる骨のある悪人たち。
 並み居る敵を斬り伏せ、徐々に近付く銀の字。慌てた◎◎屋はあわやしながら箪笥にすがりつくと、隠してあった秘蔵の武器を取り出した。なんとここから、南蛮渡来の(ピーーーー)でいきなり唐人もびっくりの横っ飛びアクション!

中の人たち「テンプレどおりじゃない!( ´∀`)σ)Д`)」


★ちなみにコマを使った配置図での戦闘の流れから、剣客たる銀の字の攻撃は、ことごとくが敵の背中を斬る形であった。英傑らしくない!(ノ∀`)


★そして村の暗雲の元凶、諸悪の根源モニョモニョモニョとの大激戦。葵姫のダイスロール振りなおしと仲間の再行動、傷に耐えて攻撃を受けきって好感度を上げる外道丸、実は一番火力のある久音の陰陽術が立て続けに決まり、覚悟状態の戦いの果て、ようやくモニョモニョモニョは退けられたのである……


★今日の空は日本晴れ。間垣村は平和を取り戻し、お父さん用の薬を久音から貰ったお民は、英傑たちに丁寧に礼を言った。
 青い空の下、英傑たちはそれぞれの旅路に戻る……


★鬼神衆の隠れ里に戻った外道丸は、すだれの向こうの御前様に事の次第を報告した。
 鬼の血は戦いの血、鬼神衆の歴史は妖異との戦いの歴史。外道丸は次の敵を求めるのであった……


★村を後にした葵姫と侍従は、諸国漫遊の旅を続けていた。ご老公ぢからを持つ葵姫には知り合いも多い。


葵姫「さてはて、あの村には領主が欠けてしまったが、誰か代わりに適任はおらぬものか……」


★ところ変わってお江戸の北、月読神社の境内。ツクヨミの照らす静かな月光の元、集まった動物たちは、巫女の奏でる五弦琵琶の音色に耳を傾けていた。
 久音の弾く琵琶は、残った《広大無辺》のちからで辺りに響き渡っていたのである。
 琵琶を聴いていた白犬の一匹が、八犬伝えふぇくとの後光を纏って犬耳の少女へ姿を変じた。史実の江戸時代でもこの頃に世に出回り始めた、滝沢馬琴によるかの大作、『南総里見八犬伝』にも登場する玉梓(たまづさ)である。


久音「まあ、これは玉梓様」

 英傑の使命を教えてくれた少女を認めると、久音は旅の顛末を語った。


久音「天海様はこう仰いました。宿星の導きに従い、友となる英傑を探すがよいと。きっとあの村であの方たちと出会ったのも運命だったのでしょう。
 葵姫様は今もどこかを旅しているでしょうし、外道丸くんも本当は良い子です。あの銀様も、きっと本当は、お優しい方なのでしょう」


 月読の巫女は微笑むと、少女と共に夜空を見上げた。

久音「八つの宝珠に導かれた八犬士たちは長きに渡る探索の果てに、それぞれの宿星を果たしたと聞きます。
 たとえ道は長く険しくとも、わたくしたち英傑もいつか、あの伝説に語られる村雨丸を――」



★その銀様は何をしていたか。久音の願いどおりこっそり村に戻ってお民ちゃんを助けていた……わけではなく、旅の空の途上にあった。用心深く辺りを見渡す。


銀之進「あの姫さん、いねえな」

 銀の字はもう一度あたりを見渡した。

銀之進「あの小僧、いねえな」

 銀の字は最後にもう一度もう一度あたりを見渡した。

銀之進「巫女の姉さん、いねえな。……よし」


 なんと銀の字はくるりと向きを変えると、上州間垣村への道をまっすぐ戻り始めたではないか。何やら良からぬ考えに、笑みを浮かべている。


銀之進「へっへっへ、あの村の黄金はまやかしだったが、あの◎◎屋たちは例のお菓子を贈りあってたからな。ありゃあ本物だ。あの山吹色のお菓子だけは俺が頂いていくぜ (´∀`)b 」


 そう、由緒正しい悪人である領主モニョモニョに◎◎屋は、時代劇特有のあの謎のお菓子を贈っていたのである。手のひらに乗る大きさ、きらきらとよく光り、匂いはせず。食用とは思えぬほど硬く、ずっしりと重く、しかし非常に価値があり、賄賂によく効く、あの謎の山吹色のお菓子である。


 意気揚々と道を急ぐ銀の字は、旅人とすれ違った。旅人はすれ違った後に懐から似姿を取り出すと、手配書に描かれている銀の字によく似た悪人面と、鼻歌混じりに先を急ごうとする浪人を見比べた。


旅の人「もし、そこのお方 (`-´)」
銀之進「……っ! お、おめぇは?! Σ(゚д゚;) 」


 お尋ね者を追っていたこの旅の人は、今から200年ほど後の世界の戯画における「るぱん」の三代目に対する「とっつぁん」のようなものである。
 澄み切った空に、脱兎の如く逃げ出そうとする銀の字の悲鳴が響き渡った。
 ああ、今日もお空は日本晴れ――



天下繚乱漫遊記演舞『許せぬ悪をなんとする』

これにて完


 中の人一同「よっ生方センセイ! (っ´▽`)っ」


漫遊記演舞を終えるのこと

 計測していましたが実セッションは3時間ほど。元から短いシナリオですがかなりのすぴぃどで、短い時間で遊べました。うーん何もかもが約束。何もかもがテンプレの嵐に、そこにTRPGならではの意外性とセッションのもたらすおりじなりてぃ。


\時代劇っていいよね!/


 スタンダードRPGシステム系の作品は基本は同じなので、あとはクラス特技のデータなり背景世界の魅力などで差別化を図っていく形になりますが、やはりどれも似たようなものに見える、というのはあります。
筆者もだいたい目を通していますが、中にはあまり食指をそそられなかった作品もあります。(最近だと例外はモノトーン・ミュージアムですね。かなり背景世界に独特のものを感じました)
 そのSRS系の中ではこの天下繚乱、他のシステムでもやろうと思えばできることもありますが、SRS系の中ではなかなか独自色を出せていると思いました。確かに『天羅万象』『天羅WAR』シリーズとも一見似ていますが世界の雰囲気はけっこう違うんですよね。あれはもっと戦国で砂塵が吹いていて荒々しくてメカも別動力で動いていて、イラストレーターも違ってオリエンタルだけど和風じゃないというか何というか。


 キャラクターの個性として和風の味付けをしたり、背景世界の一部に組み込まれている和風の要素を使ったりすることは様々なシステムで可能ですが、日本のTRPG界でゲーム自体が和風や時代劇ベースというと、探すとあるけれどもメジャー級がいまいちないものです。
 古くはSNEの『大活劇 江戸の始末人』、マニアックなところで『戦国霊異伝』やスピンオフの『幕末霊異伝 MI・BU・RO』、忍者ものだと『夜桜忍法帖〜卓上血風録〜』、ファンタジーだけど空気がオリエンタルなら『ブルーフォレスト』。
 舞台が大正だと『秘神大作戦』、この天下繚乱からのリスペクトが窺える19世紀末期の『上海退魔行 新撰組異聞』。
 比較的最近だと『大江戸RPG アヤカシ』、クトゥルフの日本版サプリメントの『比叡山炎上』、現代で霊能力者たちの戦いに焦点を当てれば『異能使い』、現代で忍者にフォーカスすれば『シノビガミ』……などなどなど。
 というように探せばいろいろあるのですが、時代劇はありそうで少ないんですね。我々日本人のほぼ全てが何らかの形で時代劇は知っていますし、お約束イメージの共有もしやすい。なかなか上手い隙間をついたと思います。
 筆者の周りでも遊んだりシナリオを考えてみたという声がちらほら聞こえます。せっかくシステムを把握したことだし、今後ももう少し遊んでいきたいところですね。



 その後は夕食の時にセッション時は駆け足だったアフタープレイを行い、天下繚乱の四方山話をする運びとなりました。流石に生方公ともなるとお江戸の時代小説に妖怪話と、かなりの書物を読んでいるようであります。w
 この天下繚乱RPG、『異界戦記カオスフレア』と同様にあちこちにエンターテイメント作品再現の元ネタが仕込まれていたり、史実の人物やフィクションの人物などが時代を無視してごった煮の如く詰め込んであります。何の意図があってそのネタがそこにあるのか、設定が変えられているかなど、制作サイドの意図を裏読みしながら考えるといろいろと面白いですね。


 しかし酒の席で、さてもまた面妖なことが。“巫女那岐の御方”が「今日はヒロイン分は巫女さんに一手にお願いしました!」と申しておるのです。講談監督の生方公も「(たとえ俺がGMでなくても)闇を払う者枠は絶対いわしさんに回した」、果ては横嶋公までもが「いわしさんは絶対巫女をやりたそうにしていた」と、なんともはや面妖なことを言うておりまする。w
 宿星の導きによって偶然たまたま参枠を拝命した故、ことを為しただけですのに、この御仁らは一体何を言っているのでしょうか。
 あやしや、あやしや。各地の英傑らの働きによって封じられたはずの殺生石のもたらす硫黄の毒気、この21世紀の東京においてもまだ人心を惑わしていると見えます。これも天下の大妖異たる白面金毛九尾の狐のもたらす強大な呪いか。それとも由井正雪公の深遠なる策謀の一部か。はたまた裏安土城に棲まう第六天魔王信長公の仕業か。各々方、くれぐれも閻羅王の影にはご注意めされい……


おわり