こちらの続き、もはや杯作戦とだんだん関係なくなってきている超☆不定期の読書・映画日記です。集めたら戦争映画&冒険小説のドイツ特集になってしまいました。てへ。
『ヒトラー 最期の12日間』
ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD]
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2006/11/10
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総統に秘書として仕えることになった秘書の目から、帝都ベルリンやあの総司令部“狼の巣”、地下要塞、徐々に狂気に蝕まれていく総統や側近たちを描き、第三帝国の崩壊までを描いた作品です。
ヒトラーを人間として描いたといっても別に美化している訳でもなく、生々しく当時の人間たちを描いたドキュメンタリータッチ。ヒットしましたし当時のドイツを知りたいなら最近の作品の中ではお勧めです。当時のベルリンの様子もよく分かりますし、軍装もかなり気合が入っています。
(不謹慎ですが確かにドイツ軍の制服ってかっこいいんですよね。ミリタリースキーに第三帝国は根強い人気があるのも頷けます。)
連合軍の爆撃が地下要塞を揺るがす中でも自棄になって続く空虚なダンスパーティ、ゲッベルスの妻が子供たちに毒を飲ませて眠らせるシーン、士官が最後に家族に楽しい思いをさせようと一家団欒で食事をしながら、テーブルの下で手榴弾のピンを抜いて自決するシーン、髪を振り乱して1人徹底抗戦を叫び続ける孤独な総統、ヒトラー・ユーゲントで教化されたのでしょうか、銃を取って街路で最後まで戦い続けて死んでしまう少年少女(おさげの女の子が可愛いのが余計に怖い!)など、印象に残る場面が数多くあります。
『戦場のピアニスト』
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2003/08/22
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こちらはポーランドのワルシャワにいたユダヤ人ピアニストの目から描いた戦争。ナチスによる占領、ユダヤ人に対する迫害、家族を失いつつピアニストという肉体的には脆弱な体で必死に生き延びる主人公シュピルマン。人間だけが忽然と消えてしまったゲットーを呆然とさ迷い、瓦礫と化した街を奇跡的に生き延び、そして遂にドイツ軍将校に発見された後……ピアノの演奏を頼まれるエピソードから、単にユダヤが善でドイツが悪なのではない、戦争という大きな狂気のうねりの中に巻き込まれた、双方共に人間だったのだというメッセージが伝わってきます。終幕で静かに流れるショパンの曲が静かな感動を呼ぶことでしょう。
どうも上の『ヒトラー 最期の12日間』とスタッフが一部共通しているようで、戦時中の崩壊した町の背景セットなんかに似た感じがあります。
ちなみに当時の記録映像を見ると、この作品に出てくるユダヤ人居住区を隔てる橋などが、かなり史実通りに作られているのがわかります。
『シンドラーのリスト』
- 出版社/メーカー: ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
- 発売日: 2006/06/23
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描かれているシンドラー氏は決して模範的な善人ではなく、長身のプレイボーイで自信家、女好きで抜け目が無く、ナチスの懐柔に賄賂も贈り物もどんな手も使います。そこが却って説得力があります。そして戦時中を表すモノクロ映像の中で、スピルバーグお得意の人間を集団として淡々と描写するシーンの中で、いとも簡単に物のように殺されていく人々。
物語が終わってようやくカラー映像の現代に戻り、実際のシンドラーのリストの子孫たちが墓に次々と花を添えていくシーンが静かな感動を呼び起こします。
DVD版だと特典で当時の生存者の談話などが入っているのですが、この映画の中の小エピソードの数々が、かなり実話に基づいているのが分かります。
『エリート養成機関 ナポラ』
- 出版社/メーカー: TCエンタテインメント
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戦時中の思想統制は大人以外をも巻き込んでいきました。第三帝国にもヒトラー・ユーゲントや諸々、子供たちをナチ一色に育てる機関や制度があったといいます。
作中の舞台は1942年。労働者階級の息子でボクシングの才のあった主人公フリードリヒはその素質を見込まれ、親の反対を押し切ってナチスの養成機関学校 NAPOLA に入学します。
森の中、鉤十字の旗のはためく美しい城にある学園。約束される将来の親衛隊士官の道、無償で提供される、若者の心を捉える格好いい制服。厳しい鍛錬と徹底した思想教育、級友たちの友情。
高官の息子で期待されながらも体が弱く詩を愛する親友と出会う前半は学園ドラマ風なのですが、後半、仲間たちが死に、ロシア軍捕虜の少年兵たちの射殺を命じられる辺りから戦争の矛盾と残酷さが突きつけられます。最終的に主人公は反抗の道を選び、学校を追い出されて雪の中を去っていくところで物語は終わります。
大きな戦闘シーンがあるわけでもなく小品なのですが、心に残るものでした。青春の夢や理想に燃えて忠誠を誓う若者たちと、それに応えて演説する教師や軍人たちの格好いいこと。戦争に勝てばロンドンもパリも、ドイツ人が統治するのだと平気で子供たちに教えるんですね。戦時中の日本も同じようなことをやっていましたが、かくも戦争中とは異常な時代だったのです。
『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』
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主人公の内面をじっくり描いた感動の話なんですが、話としては冒頭で大学のビラ巻きから逮捕、後はずっと尋問のシーンで裁判でもナチを相手に堂々と抵抗、最期には処刑、という流れで、映画の脚本としてはあまり面白くないんですね。
当時の世情や街の様子、レジスタンス活動の背景なんかがもっと描いてあるとよりよかったなと思いました。
『オペレーション・ワルキューレ』
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ヒトラーは在任中に何十回も暗殺されかけたといいますがその大きなものの一つ。いよいよ敗戦の色が濃くなってきた1944年、大本営“狼の巣”において総統を爆殺し、ワルキューレ作戦(作戦名がかっこいい!)発動にて国内を一気に鎮圧、ドイツを救わんと密かに計画された反乱計画。
首謀者のクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐がアフリカ戦線で負傷、多くの同胞を失い、決意に至った経緯。疎開させる家族にも理解されず、それでも同志を集め、遂に決行。煙を上げる大本営を脱出し、駆け抜ける総統死亡のニュース。パリの武装解除に成功するも、ラジオから流れる生きた総統の声。粛清の嵐が吹き荒れ、関係者はほとんどが銃殺されてしまいます。1時間半の短い作品で小品なのですが、当時の様子も良く分かり考証もしっかりしているようです。
最後に親衛隊に連行され、壁の前に立たされた隻眼のシュタウフェンベルク大佐も、駆け寄ってくる忠実な部下と共に処刑されてしまいます。最期の瞬間、銃口の束に怯まずに叫ぶ最期の言葉は「ハイル・ハイリゲス・ドイチュラント!(神聖なるドイツ帝国万歳)」。
ああ、彼らも国を愛して立った志士だったのです。ベルリンの国防省跡には今も記念碑が立てられているといいます。
『我が闘争』『ヒトラーの生涯』
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ヒトラーの生涯 The Life of Adlof Hitler [DVD]
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白黒の傷だらけの映像、早足で歩くように見える当時の人々。本物の総統や側近の面々。ヒトラーは演説が上手かったとよく言われますが、ドイツ国民を前に弁舌を振るう様は確かに迫力があります。まさにカリスマですね。
ちょび髭を描いて背後に鉤十字を描けばすぐ分かるので、シンボル化された象徴としてヒトラーはよく漫画等にも出てきますが。映像には側近のゲッベルスやヒムラーなども出てきます。『ヒトラー 最期の12日間』などなどの作品で俳優が演じている彼らはけっこう本物に似ていますね。
よく単純化された悪の権化のように描かれますがその背景には、第一次世界大戦で敗北して失業や貧困がはびこり、民衆が新たな希望と指導者を求めていたドイツに救世主のように現れた経緯があるわけです。映像の中でも聴衆や子供に優しくする場面や、旗を振られて熱烈に歓迎を受ける場面もあります。
夜の親衛隊のパレードや全体主義に塗り替えられる国の中での壮大な建築、音楽、世界に覇を唱えんとした遠大な大望と妄想。そして全てが砕け散り、瓦礫に変わってしまうベルリン。全てが現実にあったことです。
そして映像の中で激動の時代を生き、あるいは死んでいった当時の人々の一人一人に、それぞれの人生、それぞれの物語、それぞれの想いがあった。そう考えると感慨深いものがあります。
【以下、続く】
- 杯作戦と関連した読書&映画日記 【その1】魔法と秘密と暗号編
- 杯作戦と関連した読書&映画日記 【その2】ファンタジー編
- 杯作戦と関連した読書&映画日記 【その3】独逸編
- 杯作戦と関連した読書&映画日記 【その4】独逸編ZWEI
- 杯作戦と関連した読書&映画日記 【その5】日本編