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シナリオや人名のネーミングのはなし 【その1】

 ここは超☆不定期に現れるTRPGのコラムのこーなーです。
 さて日本でも古来より「名は体を表す」ともいい、魔法の世界では森羅万象のまことの名を知ることは、相手を理解し支配することであるとかの偉大な魔法使いゲド様もおっしゃっています。
 ビジネスや科学の世界でも名づけは重要な意味を持つ場面がありますが、TRPGの世界に於いても然り。今宵はゆるりとネーミングの話でもしてみませう。

キャラクターのネーミング

 その人の持ちキャスト一覧を俯瞰すれば、その人の趣味や好み、理想とする人物など、世界がだいたい見えてくるものですが。名前からも分かることがかなりあります。
 ふつうの漢字4文字など、現代日本でもありそうなありふれた名前をつける人は、名前に拘っていない、あるいは比較的初心者であることが多いです。(その人物が生を受けたのが、コンベンション等でその場で適当に決めたというパターンもあります。)
 ここでより和風な雅やかな単語を使う人は、和の文化に親しんでいる、特定の日本人作家の作品が好き、日本刀や時代劇が好き、女の子は黒髪ロングで和服でないとダメ、とにかく巫女服、などなど、まあとにかく和に近しいわけです。
 英語圏の国のカタカナ名前のキャストでも分かることはあります。ニューロエイジにおけるヴィル・ヌーヴは公式設定がある一方で「日本人が考える漠然とした適当な西洋」でもあるんですね。
 ファンタジーRPGによく出てきそうな汎用ファンタジーっぽいカタカナを使うか、それとも人名事典に出てきそうな名前を使うかで、どれだけ外国の文化に親しんでいるかが分かります。中の人が特定の国が好き、外国産の小説や映画が好き、音楽が好き、国際色のあるスポーツ(たとえばサッカー)が好き、などのパターンがありますね。
 他にも中国語や広東語の名前に凝っていれば、香港映画や武侠映画やカンフーやノワールが好きな確率が高まります。非常に珍しいイスラム圏の名前が出てきたら、今はもう希少な由緒正しいサイバーパンクファンかもしれません。


 N◎VA以外のゲームでも、背景世界が特定の国をモデルにしている場合はあります。たとえばブレイド・オブ・アルカナエステルランド近辺はドイツをモデルにしているので、人名で汎用ファンタジー風を使うかドイツ語の名をつけるかで、どれぐらいブレカナ通かも推理できます。(調べると分かりますが、公式NPCの人名は人名事典や実在の名前からかなり取られています。)


 そしてルールブックにはどこにも出てこないハンドル。これもつけ方には個人差や、所属するプレイグループによる特徴が出ます。日本語のハンドルにルビをつける場合、ルビが本文の英訳である場合、まったく関係ないカタカナである場合、アルファベットを併記する場合、また併記する場合は半角ハイフン"-"を使う場合、全角の「〜」を使う場合……などいくつかパターンがあります。これらも観察していると面白いです。
 実際のアクト運用でのコツは、ハンドルは読み方と由来を聞いておくことでしょう。ハンドルにはなんとなくつけたハンドル、自己満足でつけただけのハンドル、そうではなくてゲーム内世界で他の存在から呼ばれることを想定したハンドルの2種類があるからです。呼ばれることを想定したハンドルなら、それはアクトの中で呼びましょう。相手の名とハンドルを呼ぶのはマスタリングの基本テクニックです。


 また名前とハンドルを問わず、アルファベットを使っているなら、綴りがどうかで、中の人が語学にどれぐらい通じているかも推理できてしまいます。(Detonation以前の時代に時々いたのですが、何でもかんでも「ニューロタングだからいいんだよ」を言い訳にするのは、クールではないんですね。)
 細かいところまで着目すると、アルファベットに全角と半角どちらを使うかでも分かることがあります。HTMLページ作成経験があったり、1バイトと2バイトの差を知っているコンピュータの世界に近しい人ほど、きちんと半角を使う傾向があります。


 かように魔法を使わずとも名前から分かることは多数あるのですが。実際のアクト運用の観点から言うと……
 外国語名で人名事典等からリアルっぽい名を採用するなら、日本人からしても発音し易いこと、過度に難しくないこと。人名全体に関して言えば読み易いこと、書き易いこと、発音し易いこと、印象に残りやすいことでしょうか。
 オフィシャルシナリオ類でも精読すると、たまにやけに難しい名前のチョイ役ゲストがいたりすることがありますね。
 また、オフィシャルゲスト、特定のプレイグループなど自分が会う可能性のあるファンサイドのキャストと同名を避けることも重要です。あまり発生しませんがシナリオに登場するゲストと同名のキャストを希望で出すのも避けるべきですね。
 例えばカタカナ女性名で「マリア」は、ストレイライトのオフィシャルゲストにもいますし、シナリオの登場ゲストで何回か見かけたことがあります。日本で言ったら佐藤さんや田中さんみたいなものですから、新規にキャストを作るなら避けたほうがよいでしょう。
 ファンサイドのキャスト同士で同名……というのも、たまにしか起こりませんが、昔よりは見かける頻度が増えたような気がします。Detonation時代の新規ユーザーの増加と比例していますね。僕のN◎VAライフを振り返ると、今まで同名の「リリィ」「リリー」「アレックス」は何人か目撃した記憶があります。w


 現実世界では人間は生まれた時に何かを意味する名をもらっても、成長の過程で様々なことが起こって名前が象徴するような人物には必ずしもならないものです。
 フィクションの世界ではこれが大丈夫です。映画や小説、ゲームに漫画やライトノベルでも、その人物の本質を象徴する名前を持ったキャラクターというのはよく登場します。長く使いたい愛用のキャストに命を吹き込むのなら、この辺に凝ってみるのも面白いでしょう。


シナリオのネーミング

 続いてシナリオのお話です。こちらも実際のアクト運用では、レコードシートやアクトシートに書ける範囲に収まっていること、収まらなかったら書ける範囲の別名があること、書くのが困難な文字を使っていないこと、発音できること、他の名詞と区別して印象に残りやすい名前があること、などがポイントでしょうか。
 オフィシャルでもSSSシリーズは、本題の他に本題と関係あったり全然関係なかったりどこかからの引用だったりするアルファベット綴りの副題をつけているので、それに習ったタイトルをつけているシナリオもよく見かけます。
 ふと見ると【らららオフ】のサイトがあったので、シナリオ名を眺めてみると。『たとえ真実が悪だとしても -Fate worse than Death-』『さまよえる魔弾 -Wondering Red Bullet- 』『月光夜想曲〜moonlight nocturne〜』などがこれに当てはまり、18卓中でも一番長い部類に入りますね。

 正式タイトルのほかに言いやすい略称や愛称をつけるパターンもあります。例えば、夏にさらに時間管理するらしい(謎)『テロリストは眠らない』が略して「テロねむ」になるのは親しみがあって言いやすい愛称ですね。
 かのかーらいル・シンジケートにも『囁き落とされた無垢の歌』のように「〜された〜の〜」の形の名前になる一連のシナリオ群が「落ちシリーズ」という名称で括られているといいます。これも聞けばすぐ連想できる好例でしょう。


 そしてシナリオ名は実際に声に出して言うことも多いので、読めること発音できることも大事になってきます。僕が最近身近に見てきたものでは……せっかく創ってもらったシナリオを例に出すのはあれなのですが、『淑女が奏でるは葬送の謳』とか『砕世の綺想曲 -vuide-』がジツは漢字が読めませんでした。(笑) 許してあおいちゃん。てへ。



 以前にプレイングTipsのコンテンツとして作成したRI財団N◎VAセクションのコンテンツにも、【プレイヤー編】でネーミングの話は取り上げています。ご興味の方はどうぞ。

RI財団デリリウムザ・ビブリオテーカ>『天輪の音が響くとき


 さて次は、ちょっと手前味噌ですが、僕が今まで走らせたことのあるシナリオのタイトルやネーミング回りのうらばなしでもしようと思います。


【以下、続く】

〜おやすいですよのリンク集〜