Rのつく財団入り口

ITエンジニア関連の様々な話題を書いているはずのブログです。

『Dual Side』で超ヒデ魔球

 最近のプレイ記録です。
なお2006年12月末に同人誌形態で出たばかりのシナリオ『Dual Side』について記してありますが、この記事はプレイする前に読んでも大丈夫です。



 さていきなり新年1/3。いろいろ片付けようと思っていたところをいきなりhideさんに頼まれて召集に加わり、新年初めてのセッションに実に相応しいゲーム初めとなりました。
 集結したのはぐらほぱの誇るスモールナンバーズのホグ山さん。hideさんのバディで僕とは初めてとなりましたなげやり人偏さん。という超異色豪華面子。総プレイ時間6.5hに及ぶ長編大作、出たばかりの究極必殺超魔球『Dual Side』。
 そして‥‥なんらかの形で記録がネット上に残ったり、アクト体験者の声が上がったのは、どうやら我々が一番のようなのです! 一番乗り達成、パフパフ〜♪
 新年で店があちこち閉まっていたのでカレー屋に行ったり。これから珍しいイスラム系人物を渋演技するところによくないインド風要素が混じってしまいそうになり、インド版リッキー・マーティンを頭から振り払っていざアクトとなりました。当日まで間がなかったのでPC1は前から構想していたハイランダーが出撃、PC2が新造、PC3が既存キャストという構成です。


   ◆   ◆   ◆


デュアルサイド通信』にも実物が載っていますが、hideさんは豪華『デュアルサイド−スペシャルパック−』を買ってくれたようなのでプレイヤーブック3冊の豪華構成となりました。(笑)
 これが凄い。まさに写真の通り。まさにアル○ャードのサンプルキャラか何かと間違うような、重要ゲスト全員に1ページづつの全身イラストつき紹介。
 我らが軍では悲しきヴァイオリニストの真琴クンが助けるために尽力したヒロインの(ピー)のほかにも、(ピー)もメインヒロインかと見間違えるぐらいスカートが短‥‥いやいやいや、そして前代未聞もしかして史上初のハンドアウトコミックがついています。可憐なほりのイラストとそねるSONEイラストで、大いなる物語の予兆を匂わせるビジュアルがついてくれば、これはもういやがうえにも期待が高まる! (*´▽`)
 プレイヤーブックはかなり頑張っていて出来はかなり良かったですね。そんなこんなでみんなギュンギュンしながらいざ挑むのでした。


   ◆   ◆   ◆

PC1:“悪魔の旋律(ベリアル)”真琴・サタイア

(カブキ◎, ハイランダー, マヤカシ● ハーフブラッド Male/17)


 新星帝都大付属高校に通う2年生の少年。天才的なヴァイオリン演奏の才能を持つが、悪魔の旋律は人の心を震わすことがなく、ただ空しく地上世界に響くのみ。一度だけ演奏会をしたことがあるがそれ以来ヴァイオリンケースを開くことも少なく、地味な学生生活を送っている。記憶喪失、細身でやや影のある、内向的な性格の少年。
 彼を吹奏楽部に招いたのは同じクラスの気になる少女、亜里沙だった。彼女もまたヴァイオリンの才能があり、真琴と一番仲が良い。そしてもう一人。夢の中で、真琴はいつも、同い年くらいの親友の姿を、たびたび幻視するのだった‥‥

Player: ホグ山 (ほぐざん) 【昼の梟、夜の狼

 昨年『宇宙の華 -ignited-』4thで再会したけどなかなか同卓のないじもぴー仲間のホグホグさんと久々に同卓になりました。真琴は新造ではなく前から構想しており、ロールアウトが本日となったハイランダーの少年です。確かにハイランダーSSSを始め、主人公が記憶喪失のハイランダーというシナリオには、かなり適合率の高そうなキャストですね。軌道人は芸術を好みますし、音楽と縁がある設定もこのシナリオにぴったりとなりました。闇に近しいのもポイントとなりました。
 <マヤカシ:ハーフブラッド>で人ならぬアヤカシの血が流れており、<忘却>で音色の良さを演奏を忘れさせてしまったという設定付けです。比較的低経験点ですが<消沈>能力などを備えています。


 力強く我が道を進むのではなく、悩んだり迷ったりしながら進む気弱なタイプの主人公。やはりこういうタイプの人物はスモォルナンバーズに任せるべきだなあと思いました。わっはっは。
 さあ、いざ暗闇の側の舞台へ! 震えながら銃を構えるようなほりのイラストの可憐な女の子を救うには、“ぐらほぱ”のホグぢからを宿した少年キャストこそ似合うというものでしょう! (っ´▽`)っ


   ◆   ◆   ◆

PC2:“二律背反(アンビバレンツ)”“剥奪された男”アブラヒーム

(カゲムシャ◎, マネキン, フェイト● Male/35)


 ジャムシード王国軍の軍閥に所属していた軍人で、偉大なるアッラーを信じるムスリムイスラム教徒)。手先を求める軌道のフェスラー家によって拉致されてから、すべてを剥奪された。信仰に基づいた日々から、めくるめく軌道の楽園の光と虚偽、秘密と大いなる堕落と自己喪失の日々へ。自在に姿を変えるカゲムシャとなりながら、いつか自由になる日を、アッラーの思し召しで地上世界に帰る日を夢見ている。元の姿は髭を生やしたイスラム系男性。
 仕える君主は時を凍りつかせた美貌を持つ天上界の君主、ローレシア・フェスラー。そして、星の世界でアブラヒームの数少ない友人は、ローレシアの影として創りだされたローラであった‥‥

Player: なげやり人偏 (なげやりにんべん) 【日々なげやる狒狒

 名前は前から知っていたけど同卓は初めてのなげやりさんです。(はは〜) hideさんのツレでよく遊んでいるようです。なんと芝居で俳優をやっているとのこと。本職ですよ! ミクシィを調べたところ「シン・シティが嫌いな人とは仲良くなれない」旨が書いてありました。洋画スキーの僕は観ているので大丈夫でした!www
 初めてやったTRPGがなんと『墜落世界』という非常に珍しい経歴の持ち主。こう言ってはナンですが、会って話をしてなんとなく納得してしまいまちた!www


 ‥‥さて。かつては偉大なSF作品群に敬意を表してキリスト教イスラム教に設定されていたニューロエイジの宗教設定、真教。いつの間にやらクロニクルの向こうに黒歴史、クリスマスと正月を一緒に祝う宗教に寛大な日本人とアニメやらラノベやらのFEARゲーユーザーの嗜好に合わせ、フィクションによく出てくる外面だけがキリスト教的な組織に変容しました。我々日本人に馴染みが薄いこともありますが、元から少なかったイスラム文化圏の人物はさらに皆無に。
 超人やネタキャストや厨房や萌えっ子で溢れるきょうびのN◎VAへ、なんとこのアブラヒーム、イスラム教徒です。たまりません。しかも目指すのは名作SF『重力が衰えるとき』の主人公マリードのようなハードボイルド系とのこと。『ニューロマンサー』と並びサイバーパンクを語るときによく名が挙がるG.A.エフィンジャーの When Gravity Falls ですよ! 小生のようなロートルのタマシイを惹きつけてやみません。軌道シナリオに相応しい濃いキャストがキター! (;゚∀゚)=3


 さすがに芝居畑だけあってハードボイルド口調が似合っていました。のっけから渋声で語られる「あんまりすたれちまったんで、そこを歩いてるのを見たとこさ」の語りにもうみんなメロメーロです。
 データの方はExp70程なのですが、1Lvあるだけでかなり戦局を左右する特技のひとつ、フェイトの奥義<ミスリード>がアクト内でもかなり威力を振るっていました。ハンドルが2つありますが、“二律背反”がよもや(ピー)の伏線になろうとは‥‥
 さあ、いざ暗闇の側の舞台へ! 剥奪された男の歩む先が光となるか闇となるかは、偉大なるアッラーのみぞ知るところなのです‥‥ (っ´▽`)っ


   ◆   ◆   ◆

PC3:“デス・ロード”アレックス・タウンゼント

(カブト=カブト◎●, バサラ ナイト Male/37)


 ブリテン連合王国出身、元軍人のフリーのボディガード。夜の力を操る魔法使いにして、黒銀の鞘に収められた古き魔剣“アズュラーンの威令”で約定にあらざる死を断ち切る死の卿。
 まだN◎VAに渡ってくるよりも昔、故郷を遠く離れた戦場。再会を約束して別れた男がいた。そして今、金の亡者のような男を警護することに‥‥

Player: 自分なので何も(ry

 中の人は年末がかなり忙しくて仕事納めの後に風邪に倒れて同人誌本編が買いに行けなかったのですが、思わぬ機会に遊べることになりました。
 おまけのアレクぽんです。『Dual Side』はキャスト3人用、導入の間口が狭いことがネックなのですが、hideさんは最初からキャスト布陣を想定していたようでここになりました。新造する時間がまったくなかったので助かりました。(PC1とPC2は新造になるパターンも多いでしょうね。)
 実はミクシィに半分冗談で書いた新年の抱負に「(シナリオ導入で)今年はスモォルなナンバーでも頑張る」と記したのですが、新年いきなり前言撤回のビッグなナンバーです。わっはっは。
 さあ! 我々カブト枠に相応しいものは。ほりのイラストの可憐な女の子ではなく、力強いタッチでそねりながら騎士然と仁王立ちしている(ピー)の濃いイラストや! 護衛相手の分類としては最悪の部類に入るであろう(ピー)の濃ゆいアップ顔でありましょうぞっ。護衛相手にオンナノコが多かった病も超☆完治状態続行、年初めからいいカンジでもうブイブイです。今年はいけるぞ! (っ´▽`)っ


   ◆   ◆   ◆

Ruler: hide (ひで) 【徒然なるままTRPG

 ハイドじゃなくてヒデ、NIRVANAの帽子とオサレなネクタイが目印のhideさんです。ジツは僕と意外な繋がりがあってゴニョゴニョが超じもぴーです。昨年も一緒に遊びたいですねえと互いに言っていたのでよい機会となりました。
 シナリオ入手からの時間が短かった割にはかなり頑張って読み込んだようで、渾身のhide的ゲストは演技にかなり熱が入っていました。途中から座りましたが途中まで立ってマスタリングするという気合の入れようです。
 キャストと重要ゲストのやりとりが大部分を占めるアクトなのですが、ゲストもかなり熱かった気がします。特に、若さゆえに、愛ゆえに、(ピー)を巡って(ピー)と争う(ピー)の厨房ぶりが実に‥‥いえ、なんでもありません!www


 かくして噂通りの凄い魔球どころか噂以上の酷い魔球、本当にトンでもないアクトが始まるのでした。




『デュアルサイド〜DarkSide〜』


   ★   ★   ★


 フェスラー家のカゲムシャとし、人々の影として活動するようになったアブラヒームは、同じ主人に仕える女性とバーにいた。
 自らの本質を失うようになっても、“剥奪された男”はムスリムであることをやめてはいなかった。宗派によって程度の差があるが、イスラム教の戒律には禁酒がある。


(ピー)「それも、あなたの神の決まりなの」
アブラヒーム「ああ、アッラーはみんな忘れちまった、古い古い神様さ。あんまりすたれちまったんで、そこを歩いてるのを見たとこさ」


 二人の男女は、自分たちが歩む影の道を語っていた。


(ピー)「私にとっては、(ピー)が輝く道。光の差す道なの‥‥」
アブラヒーム「インシャアッラー。なるようにしか、ならんさ‥‥」


   ★   ★   ★


 銃弾が飛び交い、死が大量生産されている何処かの戦場。そこには後に星騎士と呼ばれる男と、死の卿と呼ばれる男がいた。


(ピー)「(煙草を差し出して)吸いますか?」
アレックス「いや、やめておこう。赤外線に引っかかる」


 遮蔽の影で二人は語っていた。同じ匂い。護るべきものへの姿勢。(ピー)は真の騎士の道を目指していた。


アレックス「悪いが俺は、あまりそう思っていない。必要なときは攻撃に転じ、敵を根本から立つ方が速い時もある」


 やがて二人は別方向から、攻撃に転じていった。


(ピー)「やだなあ。それじゃあまるで、こうして私が話すのが最期みたいじゃないですか」
アレックス「ああ。俺の生まれた国の諺にはこう言う――危機に挑む者が勝利すると。俺たちは二人とも、生きて帰る。それでいいな」
(ピー)「ええ。無事生き残って、また会いましょう」


 そして、歳月が流れる‥‥


   ★   ★   ★


 誰の心も震わせることのできぬバイオリンの腕前を持った真琴・サタイアーは、新星帝都大付属高校の吹奏楽部に所属していた。入った経緯は同級生に勧められてだった。亜里砂・ナーディアス。同じくバイオリン奏者を目指している可憐な少女。
 だが、一番仲のよかった真琴にも最近は何故かよそよそしく、思いつめたような顔をしていたのだった。
 放課後、真琴は練習に付き合ってやろうと亜里砂の後を追った。
 だが‥‥彼女は空き地に空き缶を並べていた。少女がケースの中から取り出したのは名器のヴァイオリンではなく、新品の小型拳銃だったのだ。

真琴「亜里砂? こ、これは‥‥??」
亜里砂「違うの。これは違うの!」


   ★   ★   ★


 災厄の歪みと人の醜さに穢れ、それでもまだ青さを失っていない地球。美しく冷たい星々の世界から見下ろすその星は、まだ輝いていた。
 アブラヒームは自らの主の前に参上していた。玉座の如き豪華な椅子に腰掛ける、まだ幼い少女の姿をした天上人。


アブラヒーム「私のような外様に、こんな任務ですか。理由でもあるのかと」
(ピー)「貴方が知る必要はありません」


 地上世界の調査任務。だがホログラフの中に次々と浮かび上がる顔は、全てがアブラヒームの知っている顔だった。
 剥奪された男は、眼下の星を見下ろした。軌道人たちが汚いと蔑む地上。変わり果てた大地。あの中で、アブラヒームがすべてを剥奪される前に住んでいた小国ジャムシード王国は、あまりに小さい。


アブラヒーム「地上‥‥何年ぶりか‥‥」


   ★   ★   ★


 レッドエリアに不釣合いな大きな屋敷。豪勢に金をかけた屋敷内と、こちらも金を掛けた警備体制。警護相手が一癖も二癖もあるのはよくあることだが、今回の依頼人は特別だった。だからこそ、ナイト・ワーデン社員ではなくCEO社長の外部の知り合いに回ってきたのかもしれない。


(ピー)「なんだ。腹を探るのがお前の仕事か? 相場の2倍も払ってるんだ。それに相応しい働きをしてもらうぞ」
アレックス「ミスター・(ピー)。あなたは職業BGを誤解なさっているようだ。一番重要なのは、クライアントの協力なのですがね」


   ★   ★   ★


 美しき天上の世界に、声が響き渡る。

(ピー)「さあ、ネメシスを下しましょう‥‥」


   ★   ★   ★


 少年と少女は、ヴァイオリンケースの中身のことで言い争っていた。


真琴「亜里砂。僕は君に、そんなことしてほしくないよ!」
亜里砂「でも、これは‥‥」


通行人「あいたたた‥‥だ、誰か助けてくれないか‥‥」
二人「?!」


 高校生は道端で腹を押さえて倒れている人影に出くわして驚いた。N◎VAでは珍しいイスラム系の風貌の何の変哲もない男性。そばに落ちていたバッグの中の薬を飲ませると、ようやく落ち着く。


真琴「おじさん、大丈夫ですか?」
通行人「ああ、これでだいぶ落ち着いた。いやあすまん、お嬢さん方。アッラーのお恵みがありますように」


 去ってゆくエキストラ風の男。だがこれは作戦だった。薬はただのビタミン剤、軌道から来た男は接触して<一期一会>でコネを取得して去っていく手を使ったのだ!


アブラヒム「‥‥ふふ、あんな風に人を簡単に信用するもんじゃないよ」


 そして調子を狂わされた少年と少女は、いつもの二人の様子を取り戻していた。


真琴「さっきの目より、今の君の目の方が好きだよ」


   ★   ★   ★


 “剥奪された男”の回想は続く。死の虚空の中にしつらえられた、地上と同じ白い世界。男と女は、バーで語り合っていた。アブラヒームと同じ、影として生きることを余儀なくされた女。いったいどんな技術を使ったのか、彼女は主のカゲムシャとなるためだけに創られたのだった。天上の理は、もはや神の領域を凌駕している。


アブラヒーム「まったく、軌道ってのはろくでもないな。だがまあ、俺もあんたみたいなレディと飲めてよかったよ」
(ピー)「私も、貴方と会えてよかったと思ってるの、アブラヒーム。会えてよかった。もし会うことがなかったら‥‥私はぎこちないままの、本物の人形のような存在だったかもしれない‥‥」
アブラヒーム「偉大なるアッラーに感謝するさ。願わくば、この食卓が、永遠に続きますように――」


   ★   ★   ★


 遠距離からの狙撃を警戒し、アレックスが明かりのついた部屋に入ると、クライアントが安酒にまみれているところだった。自らの半生を語り、寝込んでしまったクライアントを後に廊下に出た後。
 十分な予算を掛けて警備体制が整った屋敷の中の、誰もいない廊下の暗闇に、一人の男が待っていた。


アレックス「(無線に)警備チーム。こちらB-2地点。不審者を発見した。巡回班は直ちに急行しろ!」


 重サイボーグの頭を撃ち抜ける大型拳銃を構え、影に詰め寄る。懐かしいその人物は、両手を上げた。


(ピー)「あの戦場以来ですね。安心してください。僕は丸腰です」
アレックス「‥‥君がここにいるということは‥‥警備スタッフは全滅か」
(ピー)「殺してはいませんよ。しばらく、眠ってもらいました」


 あるものに仕える騎士となった男はしばし語り、そして去ってゆく。


アレックス「ひとつだけ答えろ。君が(ピー)に仕えているというのは本当なのか!」


   ★   ★   ★


 このまま平凡に生きていれば、失われた記憶以外は平和な人生を歩めるはずだった真琴。だがその平和な学校生活は、ある人物の出現から綻び始め、ゆっくりと壊れ始めていった。


(ピー)「大丈夫さ。僕たちの絆は消えないよ」
真琴「‥‥ごめん。何も覚えていないんだ」
(ピー)「嘘だ! 嘘だろ、真琴?」
真琴「‥‥ごめん」
(ピー)「何を謝ってるんだ。どうして真琴が謝るんだよ!」


   ★   ★   ★


 邸宅で行われるコンサート前日。会場で少女がヴァイオリンを弾く客席に、客はほとんどいなかった。
 警備主任の前で、唯一の客は体の古傷を見せる。もう何年も前、ジャムジード王国軍のある軍閥と共同で行われた秘密作戦。


アレックス「まさか‥‥君なのか?」
アブラヒーム「ああ。人は変わるもんだ。今じゃあ俺も、十三歳の女の子に化ける変態になっちまったよ」


 自嘲気味に笑う二律背反の男。ああ、この台詞が、まさか(ピー)の伏線になろうとは、誰が予想しただろうか!


   ★   ★   ★


 死の宇宙に浮かぶ軌道の城から捨てられる、とある廃棄物。
 冷たい玉座から立ち上がる、天上人の君主‥‥


   ★   ★   ★


 そして、演奏会の当日がやってきた。


「うん。僕も亜里沙と一緒に、音楽を創っていきたいと思う」


 警備主任と握手する本番前の少女。


「少し、緊張しているようだね」
「はい。ええ‥‥」


 可憐な少女が差し出す花束。


「なんだ。こんな花束、頼んだ覚えはないぞ」


 過去を知る男と女。


「私は光の道を手に入れた。もう、(ピー)はいないの」
「それはお前の光じゃない! (ピー)の光の道だ。ネオンの電飾で飾られた偽りの光だ!」
「貴方にだけは、分かってもらえるでしょう」
「分かるわけないだろ、このバカ女!」


「命より大事なもの‥‥そんなものがあるのか?」


「ありがとう、真琴」
「本当に、亜里沙はすごいね」


「私はここにいる(ピー)様に仕えている」


「よせ。俺のガラじゃねぇよ」




『もし、貴方が私だったら‥‥』




 この先、光と闇の中で運命の天輪が如何に巡るのかは、負の王国の奥深くに秘匿されている。




   ★   ★   ★



〜これから『Dual Side』を遊ぶ方へのアドバイス
for Player:

  • 本来N◎VAのキャストは誰でも持っているべき話ですが、それぞれが貫いているスタイルが何なのかが、このアクトでは大いに問われます。スタイルを貫いているキャストで参加すべきであり、またそれをどう表現するか考えておくと役に立ちます。
  • 豪華なプレイヤーブックは1人1冊あると便利です。当たり前ですがよく読んでおきましょう。ゲストの名前を忘れるなんて失礼なことのないように!
  • アクト中に起こったキーとなる台詞や演出をきちんと記憶しておいたり、メモしておくと、とある時に役に立ちます。
  • 気をしっかり持ってアクトに臨みましょう。アクト中に何が起こっても、何が起こっても絶対に、絶対に挫けないで立ち向かいましょう! 貴方たちが真っ白になったり思考が停止すると、全てが崩壊に向かいます。

for Ruler:

  • 豪華にてんつくてんてんなダイジェスト版リプレイがついています。こちらも必読。
  • 事実上、キャストと対になるゲストとの会話がキーであり、アクトの大半を占めます。シナリオはだいぶ詳しく書いてあるようなので、よく読み込んでゲストの人物像を理解し、想定外の会話でもどう受け答えするのかシミュレートしておくとよいでしょう。
  • 例のギミックをハッシャする時は、言われる側の気持ちも考えて‥‥


   ◆   ◆   ◆


 アクトは実に濃ゆく、新年に相応しいものとなりました。実にマイナス王国のNATRONどのらしいシナリオでした。
 秘せられていますが、あるトンでもないギミックがこのシナリオには隠されています。タイトルからある程度予想はしていたのですが実にトンでもないギミックです。あとがきなどでも絶賛されていますが、「なっとろんは天才だ!」と手放しにべた誉めできるかというと‥‥本作戦参加メンバー陣は‥‥う〜ん、いまいちできなかったですね。ww
 よく覚えていますがその瞬間、hideさんはジツに嬉しそうに、やり遂げた漢の顔をしていました。しかしPLサイドはしばらく呆然とするしかありません。我々はそこで持ち直し、その後実にヒドい盛り上がり方をして最終的にはうまくまとまったのですが、そうならない場合、RLの意図通りにならない場合もあると思います。
 N◎VA方言でいわゆる「自家発電」という、RLサイドからの積極的なフォローがなくても自力で頑張れるプレイヤーがいれば何とかなるのですが、思考停止してしまうとそこで全てが崩壊してしまいます。かなり熟考してメンバーを選定する必要があると感じました。


 その後もhideさんと別の機会にこのアクトのことを語り合う機会があったのですが。振り返ってみると、我々の連合軍でのアクトはなんだかんだ言ってかなりうまく行った方だったのかなと思います。後半は、ジツにヒドい盛り上がり方でしたが!!!www


 この謎が気になる方は、誰かRLを捕まえてマスターしてもらうとよろしいでしょう。2/11にはなんとDual Sideオフという集まりも企画されています。
シナリオを入手できたら僕もいつか完全な読み込みと準備の後に走らせたいところなのですが、諸々の準備もあるしどうだろうなあというところです。
 そんな濃ゆい新年最初のセッションでした。




〜光と闇のリンク集〜








〜おまけ アクト中に笑いをとったところ〜

「その設定を今日は全てキャンセルします」
「(煙草を差し出し)吸うか?」
「僕には、君しかいないんだ」
「あの女‥‥あの女のせいだね」
「貴方は我が右腕です。貴方たちが刃なのですから」
「アレクの奴が、しっかりしないからだっ!」
「ここにあなたがいるということは‥‥」
「悪いな。全員に死んでもらった」
「さあ、あの女の子には退場願いましょうか‥‥」
「俺はすっかり変態になっちまった。なっちまったんだよ」


アッラーは寛大でいらっしゃる。次に会うこともあるさ」
「スタート地点は同じだからな。いいか真琴、あの子は、絶対にお前には渡さないぞっ!」
「真琴君。彼には少し教育が必要なようだが、しばらく君と一緒の学校に通ってもらうのはどうだ?」