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応用情報技術者リベンジ受験記 【午後の部】

前の記事の続きです。

午後試験

 試験時間はこちらも2時間30分。長文問題が各分野ごとに計11問、うち5問を選択して解答します。基本情報技術者と違い、長い問題文の読解力が必要なこと、日本語の記述式問題があるところで難易度がかなり上がっています。

作戦:午後が本番。問選択は事前に決め、その分野の理解を深める

 11問のうち、セキュリティは必須。プログラミング(アルゴリズム)/ストラテジ系(経営戦略、情報戦略、戦略立案・コンサルティング技法)はどちらか片方を選択、残り9問から4問の選択が必要です。
 選んでおけばそれ以外の分野の勉強は不要ともいえます。午後試験150分は1問あたりに掛けられる時間は20〜25分程度、とにかく時間との戦いになるので、その場のノリで適当に分野を決めたり取り掛かってから途中でやっぱり変えるのは得策とはいえません。最初にしばらく問題文を眺めて一旦選択したところで確定でしょう。
 プログラミングorストラテジ系のどちらかで行くかは事前に確定、9問から好みの4問も、4分野+保険に1-2分野程度、事前に決めておいた方がよいように思います。
(※注:2015年春までの制度です)

午後で使った参考書

午後は問題が長く文章問題もあるので、午前のように一問一答の細かい粒度で勉強する訳にいきません。ネット上で評価が高かった問題集を1冊買ってじっくりやることにしました。

2015 応用情報技術者午後問題の重点対策 (午後問題対策シリーズ)

2015 応用情報技術者午後問題の重点対策 (午後問題対策シリーズ)

2015 応用情報技術者午後問題の重点対策 (午後問題対策シリーズ)

 定番の1冊。各分野ごとに過去の出題問題を6〜8問採り上げ、解答とどのような経緯を経てその答えにたどり着くのかが丁寧に解説してあります。
 評判がよかったのがこの解説が丁寧なこと。答えのスペースが小さい参考書や、学校の勉強の教材なんかにもありがちですが、「教科書読んで理解してればこの答えになるの当然だろフフーン」的に解説が短くて不親切、これじゃあ解答が載ってるだけなのとあまり変わらないじゃんよ〜という本が、世の中には時々あります。
 この重点対策本はその辺が丁寧です。「〜は難しいと思うでしょうが解いていきましょう」「一見〜に見えるかもしれませんが、実は〜から〜という答えを導きだすことができてその理由は〜です」という具合に、午後問題に悩む読者の立場に立って懇切丁寧に解説してくれます。他にも午後試験対策の著名な本が幾つかありますが、自分的にはこの本は割とお勧めでした。

 ちなみにこの手の参考書は毎年新しいのが出ますが、再チャレンジの際などに必ずしも新しいのを買う必要はありません。僕は上の本を2014年版と2015年版両方買いましたが、ある時見比べたところ、プログラミング(アルゴリズム)分野の全7問は両者で内容はまったく同じで、ソースコード引用部分のフォントと体裁が若干違うだけでした。

出題分野

情報セキュリティ

 以前は選択分野でしたが後から必須になった分野。近年の世の中でのセキュリティの重要性の認識の高まりが実感されます。ネットでも話題となった某年金機構の情報流出問題も記憶に新しいところ。
 出題されるのは上のランクのレベル4『情報セキュリティスペシャリスト』の問題よりは難易度が低い文章題。2015年春期は旬の話題でもある電子メールのセキュリティに関わる問題が出ました。標的型攻撃メールの話も出てきます。

プログラミング(アルゴリズム

 苦手な人はとことん苦手だったり一般ピープルにはさっぱりだったり、IT業界の人でもできるとは限らないプログラミング。
 参考書を見ると過去題材によく出てくるのが、N*Nのマス目にチェスのクイーンの駒を自動配置する通称「Nクイーン問題」のロジック。
これがなかなか難しくて僕も初めて電車の中で眺めた時に「こんなめんどくさいロジックの難しい問題が出るのか!20分で解くのムリ!」と驚愕して前回はストラテジ系に逃げてしまったのですが、後で時間をかけてゆっくり読んだら意外と理解できてきてやっぱこっちもいいのかと思い直したりしました。
 この問で出題されるのはアルゴリズムであって、特定のプログラミング言語に特化したものではありません。何かを実現したいので使うメソッドや引数は何か、という問題ではなく、問題文に書かれた仕様をプログラム的に実現するには、疑似言語の虫食いコードのループのどこでどの処理をしてどの処理でどの変数に値が入ってiの値が1増えて……という具合の問題が出ます。あまり突飛な問題は出ないようです。
 2015年春の問題はデータ圧縮の前処理のBlock-sortingと一見難しそうな題材。文字のソートと変換の話です。しかし解答が求められている箇所は意外と基礎に忠実で、僕も最後の設問4のアルゴリズムとソートキーの文章問題以外はほぼ満点でした。
 普段からプログラミングができる人、実務であまり実装をやっていなくても論理的な思考ができる人は、過去問で題材の傾向を学んでおけば突破できるでしょう。実務経験があっても準備ゼロで挑むのは危険と思われます。
 一方、頭の適性として根本的にプログラミングが苦手という人も世の中にはいるので、その場合は最初から素直にストラテジ系を狙っていってよいと思います。

ストラテジ系

 企業の損得を集計したりする財務のキャッシュの問題、新製品でライバル企業に差をつけて今後の収益を伸ばすための経営戦略、住宅街にあるスーパーを周囲の状況を考慮に入れつつ売り上げを伸ばすにはどうしたらいいかのマーケティング、経営課題に対するコンサルティング……などの様々な問題が出ます。
 プログラミングに比べると範囲が広い代わりに、考え方や用語を暗記しておくと答えられたり、不十分でも部分点はもらえたりすることが多いです。
 僕は前回こちらを選択、いろんなパターンを学び、簿記がわからんので最後までよく分からなかった財務の問題以外はだいたいOKというところで本番を迎えましたが、2014年秋期本番では見事に一番分からなかった財務の問題が出て爆死しました。その後で2chの資格板を見たら同じように爆死した人がたくさんいてワロタ……(ρД`)ノ
 2015年春期は冷凍食品メーカーのブランディング戦略が題材にとられました。ある問の答えが「ブランディング」なのか「ブランドアイデンティティ」なのかで論争が起こったりしていました。

 過去問でも、お料理教室で都市ガスだったか何かを宣伝するにはどうすればいいかの問題など、時々公式解答でも「ほんとにそれが一番正しいの?」とちょい首を捻るような問題もありました。
 このようにストラテジ系では問題文も長く、文章で答える割合が多い分、国語力を試されたり解釈に幅がある問題が多いです。答えに自信がなくても部分点がもらえたり、逆に答えたけど公式回答と微妙に違って何点貰えるのか不明……ということも起こります。これで自己採点が58点だったりしたら合格発表まで悶々と過ごすことになる人もいると思います。
 ストラテジ系を選ぶなら、得られる実得点にゆらぎがあることを考慮に入れると良いでしょう。一方前述のプログラミング系は、合ってるか間違ってるかのどちらかで中間がないとも言えます。

システムアーキテクチャ
ネットワーク

 レベル4高度情報処理資格のシステムアーキテクトにも繋がるアーキテクチャは計算問題が多いのでパス。個人的に苦手なネットワークも超速でパスしました。次にネットワークスペシャリストを受ける人はこの辺を選ぶでしょうね。

データベース
情報システム開発

 僕的には普段の仕事に近く、それほど勉強しなくても高得点が狙える分野なのでまず選択。とかいって今回の情報システム開発はチケット販売システムの在庫調整機能の問題で、失敗して点数低かったです。
 データベースは今回、複数のテーブル群からなるアクセスログ監視システムの問題。だいたい過去問と似たような標準的な問題でした。SQL文の問題で、左辺と右辺が違うことを表す演算子は「<>」なのですが、プログラミングに慣れてたりするとうっかり「!=」と書いてしまった人も今回いたのではないでしょうか。(ソースは俺!)
 よくネットの記事のどの分野を選ぶか質問でも見かけるのですが、応用クラスの問題になってくるとデータベースは知識オンリーではなく実際に触っていないとそろそろきついと思います。SQL文の学習は実際に手を動かしてDBと対話するのが一番です。

プロジェクトマネジメント
システム監査

 将来は管理職やマネジメント方面、監査を目指している人、普段の仕事がシステム保守の人なんかはこのへんを選ぶかと思います。本文中のヒントから推理して国語力で答えられる問題もあり、得点は稼ぎやすいです。
 出題テーマも開発チームでのコミュニケーションや開発スケジュール管理、単体テストでの品質向上など、かなり実際の現場でも出てきそうな話なので過去問でテーマのパターンを一通り押さえておくと万全でしょう。
 今回はプロマネではテスト工程での人のアサインとコミュニケーション、サビマネでは情報資産の管理の話、監査は財務システムの監査の話と、どれも実務でありそうなテーマでした。

雑感

 午前の部で諦めて昼から帰ってしまう人もいるので、午後になるとまたさらに空席が目立つようになります。
 僕は前回2択分野はストラテジ系を選んで失敗、午後試験54点で爆死しているので今度こそ注意深く対応が必要です。最初に必須のセキュリティ分野を解き、今回は2択分野で選んだプログラミングは、理解に時間が掛かりそうなので後回し。選択分野でデータベース、情報システムを回答。プロマネ/サビマネ/システム監査から2つ選ぼうと思っていたのですが、ひとつめから順番にプロマネ/サビマネを解いて完了。
 落ち着いてプログラミングを解いたところゆっくり考えたら意外と分かり、その後は見直し、分からない記述式問題も適当に埋めて、今回はけっこう手ごたえアリで終了です。午後は150分最後までいましたね。同室で途中退出する人も午前よりは少な目でした。
 記述式の問題があるので鉛筆も持参しましたが、慣れないことをすると妙に力が入ってしまったりして手が疲れますね。世の中全体の傾向でもありますが、紙に字を書く機会が減ったなあと改めて思います。

配点と結果

 試験日の2か月後がIPA公式サイトでの合格発表と成績閲覧ですが、応用情報についてはその1週間前から公式の解答が掲載されて答え合わせ可能です。
 そして午後試験については、IPA公式では各問ごとの配点は非公開となっており流動的です。合格率を例年だいたい20%前後に合わせるため、合格者が少ない際は文章問題の採点を甘めにしたりボーナスを付けたり底上げして、50点〜60点ぎりぎりのエッジの上でゆらゆら悶々としている人たちを救済していると言われます。(といっても救済されずに数点差で落ちる人もいる訳ですが。ソースは前回の俺!)

 悶々としながら2ヶ月も待ってられるかぁ〜という人のために、早ければ受験のその当日、翌日あたりから、各社が解答速報を掲載しています。主に文章問題が2か月後の公式解答と微妙に違っていたりするのですが、解答全体として大きく間違っていることはまずないので、ここで答え合わせと推測が可能です。

 速報の予想配点にも特徴があり、アイテックの配点は選択問題が1-2点、文章での記述問題が3-4点と文章問題偏重になっています。一方TAC配点は選択問題と記述問題が均等に割り振られています。公式での配点はいつも非公開ですが、記述問題でボーナス点を与えて甘めの底上げをしたりするために、なんとなくアイテック寄りなんじゃないかなあと思います。

 僕は自分の回答を問題用紙にもメモっておいたので自己採点しました。
アイテックで採点。記述問題で「保存期間が満了した"すべての"XXを〜」の"すべての"が抜けていても大体合ってるだろうと正解扱いにしたり半分ぐらい部分点を上げたりして……78点。
アイテックで採点、少しでも違うところはばんばん0点にして厳しめに採点……62点。
資格のTACの解答と予想配点で採点、基準は甘めと厳しめの間の普通……75点。
IPA公式解答で厳しめに採点……65点。

そしてめでたく公式発表の日に成績照会……余裕の85点。

 部分点ありの自己採点より約10点、厳しく採点した時からは約20点も上ですね。実は今回、2chの資格板などで合格した人の喜びのカキコを見ると、自己採点よりずいぶん上だった……というのを多く見かけます。例年5〜10点見込めるというのが定説ですが、確かに2015年春の合格率は最低に近いし、救済のボーナス点数が特に今回多めだったのでしょう。
 という訳で、午後試験については白紙回答やまったく見当違いの答えならいざ知らず、記述問題でもだいたいあってるレベルの回答を書けた受験者は、部分点ありで自己採点後、さらに+5〜10点(あるいは合格率が低い年度ではさらに+数点?)ぐらいの点数が実際には見込めそうです。


2015年秋期試験からの変更点

 とここまで書いておいてなんですが、IPA公式から発表があり、2015年秋から午後試験は制度が一部変更になります。

 分野でセキュリティが必須だったのは同じ、プログラミングorストラテジ系が2択だったのがそれ以外でも可に。セキュリティ1問+必須2択から1問+選択4問の合計6問から、セキュリティ1問+選択4問の合計5問に分野数が減少。1問あたりの配点がプログラミングorストラテジ系2択の問は20点それ以外16点だったのが、オール20点に統一。
 第1種⇒ソフ開⇒応用情報と形を変えてきたこの資格の午後試験の難易度とハードルが高かった理由の一つが、必須でプログラミングがあり、未経験者や実務で触ってない人、苦手な人にとっては突破が難しかったこと。
 そこがストラテジ系を選んでも良いという救済策が与えられ、業務が運用保守やマネジメント系やマーケティング系の人、文系出身の人などでも取りやすくなりました。そこでさらに今回の見直しで、ストラテジ系すら選ばなくてもよいという選択肢が加わります。

★自分の仕事と関係する分野、得意な分野を優先して選べばいいので、受験者側にとっては楽になり、敷居が低くなる。受験者数も恐らく増えると予想される。

IPAとしては、応用情報の合格率20%前後のラインは保ちたいと予想される。それならば、午後試験1問あたりの内容は今までより難易度が上がるはずである。

★逆に難易度が変わらない可能性もある。そうすると応用情報全体の合格率が上がり、資格自体のグレードと価値が今までより下がってしまう。

★いずれにせよ分野を選択する問は配点が16点→20点に増えるので、1問あたりの問題数は増える。配点2点の選択問題が2つか、配点4点の日本語記述問題1つか、など。

 ……などなどの考察が成り立ちます。恐らく見直し後第1回目の2015年秋期試験は若干の混乱があるでしょう。合格率のぶれが例年より大きくて、みな点数が低くて甘め採点が顕著になったり、逆にみな点数が高くて厳しめ採点の調整が入ったりするかもしれません。
 ハードルが下がった今回がチャンスとチャレンジしてみるのも手ですし、逆に事態を静観するために1回休みで2016年春まで見送るのも手だと思います。試験対策の書籍類も一旦2015年秋期が終わってから新しいのが出そうですね。

という訳で

 受験当日は終了。落ちた前回に比べると手応えがあったので帰り道は割と安心して帰れました。
 あの日iPodで聴いてたのは……2015年春アニメ一番のダークホースだった『SHOW BY ROCK!!』の主人公組ガールズロックバンド・プラズマジカの曲でテンションを上げ、そうだ、BOOM BOOM SATELITESのNEWアルバムが出たのでこれもDLしてたのでした。

 いえーいブンブンだー。なんと忍殺のテーマにも使われたBack In Blackもかっこいー。
 ということで今回はうまくいきそうなアトモスフィアを感じた休日は終わり、そして2か月後の合格発表で実際バンザイヤッターとなったのであります。タツジンを目指す今後の挑戦者に幸運がありますように……


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