Rのつく財団入り口

元はTRPG系のWebサイトの入り口だったブログです。最近のIT本の感想など。

応用情報技術者リベンジ受験記 【午前の部】

 ここはゲームなどなどと関係ない記事です。情報処理推進機構が運営している国家資格、情報処理技術者試験の試験『応用情報技術者』を今さらながら受験してきたので、世の中のこれから受験する人がシェアできるように情報を残しておこうと思いまする。


受験者層

 IPA(情報処理推進機構)公式の2015年版の公式統計で、5100円払って応募してきた人の平均年齢は30.9才、実際に受験した人の平均が30.5才、合格者の平均がちょい下がって28.7才。
 だいたいレベル1エントリー資格の『ITパスポート』を受験するのが大学の就活生〜社会人数年目、あるいはITに近い世界に転職をする人、コンピュータ世界のキホンのお作法を学ぼうとする人。
 『基本情報技術者』は理系の情報系学科だと在学中にうまくいけば取れていて就職で有利になったり、文系/理系を問わず無事にIT系企業に就職できた人だと入社1〜2年目でとりあえずまずは取れと先輩や上司に指示されるレベル2資格。
 レベル3の応用情報技術者は上の平均年齢のようにアラサー30前後がメインターゲットなので、社会に出て数年、ある程度仕事もできるようになってきて本格的に情報技術の世界で仕事をしていこうと道が定まったあたりの層、中堅クラスのプログラマーやエンジニアが受ける資格になります。
 たまーに学生でも持ってる人がいるようですが、確かに応用まで学生で受かったらこれは大したものですね。ただ応用は基本情報と違って実技面ともかなり関わってくるので、実務経験なしでひたすら勉強して受かった人だと、実際に仕事をする上での役立ち方がいまいち低いかもしれません。
 僕も受験者平均年齢の頃に受ければよかったのですが、思い出すとあの頃はあの頃で仕事も趣味も他の資格取得も諸々もけっこう忙しかったからなぁ。国家資格でないベンダー資格も色々取ったりしましたが、応用だけは逃げ続けて今になってしまいました。 (´∀`;)

勉強時間

 ネットであちこち情報を見ると応用情報の合格に必要な勉強時間は様々です。まったく知識なしの人が400-500時間、基本情報技術者を持っていてて200-300時間という情報もあれば、100-200時間という話もあります。blogなどの記事を見ても1か月で受かる人、2週間で受かる人、1週間とか数日とか勉強しないで受かったという人までいて様々です。
 社会人の資格受験で障害になるのは、やはり日々普通に仕事をして成果を出しながら並行して勉強しないといけないこと。僕も平日はそんなに時間は取れないしほぼ行き帰りの通勤電車がメイン。週末も独身の頃の活発にTRPGセッションとかやってた頃に比べれば予定は減りましたが、結婚すると今度は家事やったり一緒に買い物行ったり出かけたりなんだりでやっぱりあまり時間が取れません。
 ということで準備期間は細く長くして3-4か月でスケジューリング、平日1日30分〜1時間弱で少しづつ確実に対策を進めていく作戦を採りました。勉強時間はだいたい80時間±誤差10時間位、さらに+前回の受験分だと思います。

合格率

 僕も特典のクリアファイル目当てに2013年に合格しましたが、レベル1資格のITパスポートの合格率が40-60%、確か最近は50%を切ることが多かったはず。レベル2の基本情報技術者が20-30%。そしてこのレベル3の応用情報は例年20%前後。5人に1人が受かることになります。
 しかし受験率が低いので当日ばっくれて来ない人もおり、来るのは申し込んだ人の中でちゃんと準備してきた人、仕事をかいくぐって受けにくるバリバリ実務経験のあるエンジニアやプログラマーが主になります。基本情報の時とは分母が違うのでこれを考慮に入れると合格率はさらに下がって15%前後になるという話もあり、なかなか侮りがたい資格になります。
 会社で僕の周りでも、応用情報は1回では受からなくてやっぱりリベンジした、2-3回受けたという話は割と聞きますね。かくいう僕も2014年秋に1回目の受験して午後試験6点差で落ちてます。 ヽ(゚∀。)ノ
 2015年(H27年)春期試験の合格率は19%、2013年(H25年)春の18.5%に次ぐワースト2の低さでした。

参考:IPA>情報処理技術者試験統計情報


午前試験

 試験時間は2時間30分。大まかにテクノロジ系/マネジメント系/ストラテジ系の3系統、大分類9中分類が23分野の広い範囲からまんべんなく80問4択。うち60%(48問)以上正解で合格になります。

作戦:とにかく過去問をやりまくって6割を突破する

 午前試験の障害になるのが、この出題範囲の広さ。2000年までは第1種情報処理技術者(略して1種)→ソフトウェア開発技術者(略してソフ開)→2009年から応用情報技術者 と名前も変わってきていますが、ややテクノロジ系偏重だったソフ開と比べると、応用情報はITをとりまく世界の現状を踏まえて出題範囲が中分類計23もあります。
 よく参考書をパラパラ見ると最初に載っているのが、だいたい1分野めの基礎理論。目にしたこともないような離散数学応用数学の難しい公式が載っていてその時点で「ダメだこりゃ」と学習を諦めるパティーンも多いと思います。(ソースは自分!)
 どんな分野の学問でもそうだと思いますが、理論と実践が違う、実務の勉強と試験の勉強が違うというのはソフトウェア工学や情報処理技術の世界でも当てはまるんですね。
 たとえば僕自身は高校までは文理両道、大学は情報系でない理系卒、就職してからはIT業界のほぼ一線に立ってきたといって差し支えない経験をしてきましたが、午前問題に出てくる基礎理論の浮動小数点計算や2進数計算、8進数や16進数との相互変換やらそのへんの計算系のめんどい問題は苦手でイヤンというか公式をまったく覚えてないし、実務にもほとんど出てこないし、仕事をする上で特に困ることもありません。
 ヒープソートマージソートなどなど数種類あって午前試験によく出るソート(データの整列)のアルゴリズムも、情報系の学科であれば教授から中身の難しい講義を受けたり実際のプログラムを手で組んでみる課題が出てうんうん唸ったりするのかもしれません。しかしこれも、僕は試験用の知識以上のものは持っていません。
(専門的な話をすると、平均的な業務寄りのシステムの開発なんかでは、高等言語なら言語側でソートの手段は用意されているし、大抵の場合データはデータベースの中に入っているのでSQL文を発行して読み出す時点でデータの並び順はソートし、後は変えないことが多いからです。)
 このように午前試験では、IT業界で働いている現役の人でも、人それぞれ普段の業務で携わってる領域によってはまったく出てこないような分野の問題もかなり出ます。
 分野を問わず48問以上取れればいいのですから、苦手な分野や勉強が面倒な分野は捨てるか後回しにして、とにかくコンスタントに6割取れるようにする勉強がオススメです。
 計算問題が面倒ならキーワードの暗記や考え方を理解しておけば答えられる即時回答問題を中心に、学習時は正解以外の選択肢が指すものも覚えつつ進めるとよいでしょう。実際の試験問題は半分以上が過去問もしくは過去問と類似した問題が出ています。

午前で使った参考書

 応用処理の参考書も色々あり、中には良書・悪書もあります。今の時代はスマートフォンアプリやネット上の資料もあります。
 今は昔と違ってネットの書評なども豊富にあるので、調べながら自分に合った勉強方法を採ると良いでしょう。
 参考のために僕が用意したのは以下です。

平成25年度【春期】【秋期】 応用情報技術者 合格教本 (情報処理技術者試験)

平成25年度【春期】【秋期】 応用情報技術者 合格教本 (情報処理技術者試験)

平成25年度【春期】【秋期】 応用情報技術者 合格教本 (情報処理技術者試験)

 3千円ちょっと、A5サイズ700頁を超える分厚い本。ほぼすべての出題範囲をカバー、合格に必要な知識が一通り書いてある教科書本です。歴史が長く評価が高い、教科書本といえば定番の一冊です。付属CD-ROMで過去問もついています。
 ただ分厚くて情報量も多いので、この本を頭から読んで逐一理解して暗記していくのは骨が折れます。未経験者でなければ、過去問中心の学習で理屈が分からなかった時にこの本を参照するというやり方で良いと思います。(僕も問題演習でだいたい済むようになってきたので、学習の後半はほとんどこの本を参照することがありませんでした。)
 試験が終わった後となっては、この教本は買わないか電子書籍版で済ませておいても良かったかなあとも思っています。

平成24-25年度 応用情報技術者 試験によくでる問題集 【午前】

平成24-25年度 応用情報技術者 試験によくでる問題集 【午前】

平成24-25年度 応用情報技術者 試験によくでる問題集 【午前】

 2千円ちょっと、A5サイズ400頁強の問題集。過去問とその解説がたくさん載っています。これさえあれば午前はOKと宣伝にあり、その通りです。この系統の本をしっかりやっておけば午前は突破できるでしょう。
 1回目の受験の時に一巡したのですが、2回目からは携帯性の課題から、僕の場合は後述のアプリとネットの過去問がメインとなりました。

iOSアプリ 応用情報処理技術者 午前 一問一答問題集 iTunesへ

 幾つかあるスマホアプリの中ではネット上の評価が高かったもの。840円、問題数が限られている無料版もあります。Androidアプリでも同様のアプリが幾つかあります。
 800円台という価格はスマートフォンアプリとしては高いですが、本を1冊買うことに比べたら物理サイズ含めコストパフォーマンスはかなり良いでしょう。
 評価が高かったのでこれ1つに絞って使ったのですが、確かに午前試験対策としてはほぼ申し分ないです。合計370問ぐらいだったかな、全13分野の問題が最初からでも好きな所からでもランダムモードでも挑戦可能。4択を選んでから画面が変わって解説が出るので、学習していけば着実に効果は出ます。
 このアプリ上の問題の分野でいうと、僕の場合は普段の仕事で関わっている「データベース」、「システム」、「ソフトウェア開発」、「システム戦略」あたりが勉強しなくても最初から良好。逆に「基礎理論」と「アルゴリズム」、「組込みシステム」、「ハードウェア」や「ネットワーク」あたりがかなりボロボロだったんですが(特に基礎理論がダメダーメだった)、繰り返すうちにだんだん改善していきました。
 アプリに今後の改善要望を出すとしたら、ランダムモードで直前の問題が出ないように過去n件の問題を記憶してほしいとか、分野ごとに今何番目にいるか正解数が幾つかとかのカウントを画面に出してほしいとかがありますが、まあなくても不自由はしません。
 一問一答で完結するので時間の制約も短く、電車で移動時などのすきま時間にどんどん進められます。便利な時代になったものですね。電車の中の中高生もスマホを持っている2010年代、スマホで資格対策学習するのはおすすめです。

Webサイト 応用情報技術者試験ドットコム>Webアプリ過去問道場

 一番お世話になったのがこちら。非公式でふつうの人が運営されている個人サイトですが、最初は平成17年から最新年度まで、すべての年度の完全な午前過去問にアタックできます。過去問のダウンロードや印刷も不要、開始するとセッション上に記録してくれるのでその1回受験分を後で得点集計もできてとても便利です。チャレンジするごとに日時、正解数、判定、掛かった時間などを手元でExcelなどにまとめておくと結果が一目で分かります。
 よくやったのは「開催回を指定して出題」モードでどれかを選択、オプションで「解答するまで解説文を非表示にする」「問1から順番に出題する」「選択肢をランダムに並び替える」を選んで出題開始するパターン。こうすると1回の試験の完全な模擬受験ができます。
 なお、平成20年(2008)秋期とそこから過去の問題は応用情報でなく『ソフトウェア開発技術者』のものになるので注意。システム戦略、経営戦略の分野が消えて分野ウェイトが変わるので突然難しくなったように感じられます。
 平成21年春以降だけにしても全12回。全ての回にチャレンジした後にさらに2巡目、3巡目とイテレーションを回していくと確実でしょう。姉妹サイトに基本情報技術者版、ITパスポート版もあるそうでお勧めです。

雑感

 実際の試験では某大学の大きな講堂で受けましたが、確かに20代後半〜30前後の人の層が多かったですね。申し込んで実際に受けにくる受験率は平均65%とけっこう低いので、空いた席も目立ちました。僕の席の横も空いていて余裕がありました。
 計算が不要で即座に回答できる問題から解いて行って、次に計算の問題。そして即座に回答できない問題を考えて解き、最後まで分からない問題は4択なので適当にマークシート埋め。必ず合ってるであろう問題には丸印をつけておいて、数え直して丸の合計が80問の6割を超えていることを確認し終了。見直しても試験時間の2時間30分は掛からず2時間程度で途中退出して脱出です。
 午前試験は開始後1時間程度から途中退出可能になりますが、諦めた人、十分に準備してきた人、早めの昼ごはんを狙う人らで途中退出組はけっこう多いですね。
 過去問になかった(ような気のする)問題としては、2010年代の現在の世の中に即したキーワードが出題されたのが面白かったですね。たとえば

コモディティ化
あるカテゴリーの製品が後発の製品が出るにつれ違いが不明瞭化・均質化し、だいたい皆同じになっていくこと。今のスマートフォンがまさにそう。

ディジタルサイネージの例を選べ:
 署名(Signatureでシグネチャー)と語感が似てるので間違いを指そう引っ掛け問題だが、正解は「ディスプレイに映像、文字などの情報を表示する電子看板」。大きい駅の通路の柱の広告なんかでもよく見かけるあれ。

拡張現実(AR: Augented Reality)の例を選べ:
 3D映像やアバターで仮想空間を動き回るのではなく、正解の選択肢は「実際には存在しない衣料品を仮想的に試着したり、過去の建築物を3次元CGで実際の画像上に再現したりする」。現実と仮想が重なるようなことが書いてある選択肢がポイント。
 そういえばGoogle Glassも開発が終了したし、スマートウォッチに比べるとAR系はあまり最近話題にならないですね。

プロセスイノベーション
意識高めにろくろを回しながらアツくイノベーションを語るのではなく、その生産工程のプロセスに凄いところがないといけない。例えば今度の新型スマホはSiri以上のAIのおにゃのこが萌えボイスで受け答えしてくれる! Cool Japan! (`・ω・´+) キリッ ではなくて(それは「プロダクト」イノベーション)、ネットの彼方の第三世界でゴーストが自己複製して生まれたAIの魂がアライズしちゃってデバイスに自動的に宿っていくので工場での生産時間がほとんどゼロに近い!とか。

などの単語が出ました。

結果

 上記のように過去問演習を繰り返しておけば、実際の試験でも同様のパフォーマンスが出せると思います。
僕は2014年の落ちた前回では【応用情報技術者試験ドットコム】の午前過去問正答率の平均が80%で、実際の受験で81.25点。
今回2015年春期のリベンジ受験では、午後対策をメインにしたので同じく午前過去問正答率が少し下がって平均76.3%、実際の受験では73.75点という、事前計算とほぼ同じ点数が出せました。


 さあ、早めの退出の後は近所のコンビニで買っておいたパンをベンチで食べてちょいとネットを確認したりして、本命の午後試験となりました。


つづくよ