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Skypeオンセ2連発:音声チャット形式の気付き


 ひとつ前のSkypeオンセのプレイ記録の続きです。
 さて今回は僕はヘッドセットを付けてSkypeアプリのグループにログインして「おおーっ。声が聞こえる! すごい!」「え、そこから?(,,゚Д゚)」というSkypeボイスチャット初体験(キャッ)から始まった訳ですが。ツール類の使用で特に手間取るところはなかったですね。まあこれは僕は一般的な人よりITリテラシー全般は高いから普通でしょう。
ほか、オフラインのTRPGセッション、テキストチャットを用いたオンラインのTRPGセッションと比較して気付いたところを列挙してみます。

★時々音が割れたり聞こえづらくなったり変動するので、通話を切って入りなおすアクションは時折発生。しかし操作は簡単です。

★アプリ側設定のマイクの音量の自動調整は切って、大きめにしておいたほうが良い模様。
 セッション中も誰かの声が遠くなることがよくありました。

★マイクの位置によって音が変わることはよくあるので、ハンズフリーの手段は絶対あった方がよいです。(僕もマイクの位置が変えられるヘッドセットを使いました。)

Skypeはよく無料だけに音の質は期待できないと聞きますが、音楽でなく人間の音声情報を伝えるTRPGセッションではまったく支障はありませんでした。

★特に、時折断線して諸々が中段することがあった昔のIRCによるテキストチャットに比べると、活動中の障害はほとんど起こりません。これはSkypeの優秀さ云々ではなく、インターネット全体の帯域幅の向上に起因すると考えられます。

★関連して、相手の状態異常を感知する手段がIRCテキストチャットでは「もしかして落ちてる?」と打ち込んで聞いたり定期的に人力で反応を示したりするしかなく、感知するまで時間が掛かります。音声チャットでは互いの「もしもし?」で済むのでこれが短い。

★タイムラグの遅延はほとんどありませんでした。

★考えてからキャラクターの台詞を打ち込むテキストに比べると、思考して発話なので情報伝達は格段に早い。
 オフラインセッションとほとんど差がありません。

★実時間で計測しても、オフラインセッションと進行速度は特に変わらない。
 トーキョーN◎VA、この『Artificial Romance』前後編を例に取ります。アクト(セッション)中のすべてのシーンで記録をメモに採っておきました。
 オープニングが1人5分。リサーチが10〜15分、長いイベントシーンや計画を考えたりして20分。舞台裏も4〜5分。同じ面子5人でオフラインで遊んだとしても差がないレベルです。

★テキストチャットならではの、かっこいい台詞や恥ずかしい台詞を予め貯めておいて使う手法は使えない。
 これは音声なので仕方ないですね。テキストチャットでは表舞台と裏舞台と2つチャンネルを使う手がありました。表をテキストチャット、裏を音声チャットでやって恥ずいセリフに笑いながら頒布リプレイ用のかっこいいセッションをやったりする手はあるかもしれません。また裏の音声チャットの方でサイコロの振り方やルールなどサポートを行い、表はテキストというスタイルで遊んでいる方法も聞きます。

★テキストチャットならではの、セッション内容のテキスト情報がそのままリプレイになるというインプットには使えない。
 【RI財団】のセッションレポートに掲載した一連のN◎VAオンセリプレイも、IRCのログをインプット情報とし、加工して読みやすくしてWebコンテンツに仕上げています。この手法は音声の場合は使えないですね。
 人間の音声情報をテキストにする音声解析の技術は世界各国で様々な企業や組織が研究を進めて精度の向上に努めており、ソフトもあるにはあります。日本dめお企業向け議事録作成ソリューションのソフトウェアも高いけどあることはあります。モバイルではiPhoneに電子秘書Siriがあり、Androidにも対抗馬のEvi始め幾つかアプリはあります。今はもうスマホならGoogleも音声検索できるし音声からメモを取るアプリもあります。
 一般の人が廉価で買えてTRPGリプレイ作成等の用途に使えるようなベストなソリューションが現在あるかというと……これはいましばらく技術の発展を待つ感じですかね。

★誰かの発話を遮らないよう、いわゆる会話で場の空気を読む能力は相手の顔や身振りが見えず視覚情報がないぶん下がるかな……と思いましたが、今回それほどでもありませんでした。ふつうにコミュニケーションができる人ならたぶん大丈夫でしょう。
 今回はオフラインでも知人のメンバーが集まったので良好でした。この、「参加メンバーがオフラインでも知っている知人同士かどうか」もかなり影響すると思います。シーンプレイヤー制のTRPGシステムかどうか、卓を盛り上げるコミュニケーション技術があるかどうかも影響するでしょう。

Skypeでメインで全員に伝わる音声は同時には1人から全員への一方向いわば1チャンネル。みなGMの発言や他人の発言には集中するし各自が価値のある発言をしようとするので、これが良い方向へ働きます。
 オフラインではセッションと関係ない話やどうでもいい反応、害しか及ぼさないツッコミを延々とする人、雑談がノイズとして働くことがよくあります。卓が複数並ぶなら他の卓の音も騒音として働きます。
 音声チャットではこれらがなく、音声情報の発信源は完全にGM+PLの人数のみで互いが互いに集中する。音声情報の伝達効率はむしろオフラインより良好なのでは?と感じました。

Skypeアプリのインスタントメッセージ(IM)で、並行してテキスト情報を発信する方法が非常に有効です。トレーラーにハンドアウト、情報項目や必要目標値、情報の内容、敵の配置など。全員がセッションに集中しディスプレイを注視しているので、音声のみの情報より伝達効率が非常に良いです。瞬時に、同時に全員に伝わります。
 ルールブック付属など紙のシナリオなら事前にテキスト化しておく必要がありますが、最近は元から電子データのシナリオをやり取りすることや、最初からオンセ用のシナリオなども見られるようになりました。有効活用できると思います。
 特にFEAR系の舞台裏判定があるシステムで定型書式で書いてあるなら、舞台裏の判定が確実にスピードアップします。今回も計測していましたが毎シーン4-5分以内で済んでいます。オフラインセッションより速いです。
 オフラインで紙片で用意する人もいます。僕も名刺サイズのフルカラーの綺麗な情報カードを用意したり色々工夫をしてきました。オンラインではこのへんが進化できますね。

★IMにテキストをそのまま貼り付ける方法だと、情報の説明時にそこから取捨選択したり特定の一部を強調したり膨らませたりアレンジしたりするGMテクニックは基本的に使えない。
 PowerPoint等によるプレゼンテーションを学ぶと出てくる「資料の方を向いて文字をそのまま読み上げるだけではプレゼンにならない。重要なところを抜き出したり強調したり膨らませたり資料にないことを加えたりしながら、相手に向かって喋れ」というやつです。
 僕はシナリオを作る時に雰囲気を出すために情報のテキスト記述内容を多めにし、実際のアクト時は相手が全部メモすることは想定せず適宜アレンジして説明したりすることがあります。これらは貼り付け方式では使えないですね。
 まあIMに貼りながら口頭でも並行して説明する手はあると思います。速度やスムーズな進行を優先するなら、オンセでは情報量は少なめ、そのまま貼り付け、GMサイドからあと調べてないのはこれだよ〜と伝えるぐらいのスタイルの方が良好なスピードで進むでしょう。今回のような定型書式のある公式シナリオには特に有効だと思いました。
 突き詰めるとこのスタイルは本当にシナリオに書いてあることをそっくりそのままなぞるだけになるので、ゲームマスターのテクニック向上にはならないのですが……それはまた別の話ということで。

★並行してIMに様々な情報へのリンクを貼る手法も有効。
 今回は監督が予めシナリオ付属のイラストを画像ファイルでWebサイト上に用意。セッション進行と共にNPCの絵を随時URLで示す手法を取りました。オフラインで予めページをコピーして切り抜いてPL陣の前に置いておくのと同じ手法です。
 これがクリックして絵を見る瞬間がなかなか楽しいんですね。「ヒロインのアップ絵キター!」とか「目が死んでルー!」とか「なんかキモヲタちゃんがキター!」とか「戦闘にしか出てこなさそうなゲストがキター!」とかそんな感じで。参加者全員の反応も「おお〜絵が来た!」などとダイレクトに返ってきます。セッション中に参加者がシーンのイメージに想起した曲の動画へのリンクを張ったこともありました。
 参加者各自のマシンでブラウザが落ちたりしない程度に性能が良好なのが条件になりますが、こうしたインターネット上の情報を随時提示する方法も面白そうです。自分のWebサイトでコンテンツとして予め仕込んでおく、YouTubeニコニコ動画を指す、ニュースサイトやWikipediaを指す、pixivに掲載したイラストを指す、mixiのフォトアルバムやfacebookGoogle+の同様のアルバムの絵を見せるなど。
 僕もiPadを始めとするタブレット端末の活用をいろいろ考えましたが、究極のカタチというのは参加者全員の手元に端末があり、マスターが何かぴぴっとアクションすると全員の手元にその情報がぱっと出たりするようなイメージになります。
 Skype音声チャット+IMの形式はこの理想像に一歩近いんですね。うーん未来的でニューロです。

★戦闘にはテキストオンセと同じく時間が掛かる。
 これは仕方ないですね。今回も公式シナリオで前編1H、後編で1.5H掛かりました。戦闘自体の難易度を下げる、ユニット数を減らす、彼我の距離が込み入るような状況を避ける、N◎VAだったら1アクション複数回行動や多数のマイナーアクションや長い組み合わせの呪文など、オフラインでも時間が掛かる物事を抑える必要があります。
 世の中には『どどんとふ』などの幾つかあるフリーツールを活用し、戦闘中のユニット配置などを別ツールで管理して遊んでいるケースもよく見られます。TRPGシステムによって大きく差が出ますが、このへんの活用を考えるのも楽しそうです。
 N◎VAは根本思想的にはコマがなくても遊べる抽象距離ルールなので、ユニット管理の仕組みはD&Dアリアンロッド、SWなどに比べると最重要ではない位置付けでしょうか。


★マイクやヘッドセットによっては手元でマイクをオフにできる機能もあるので、必要な音声情報以外の他の生活ノイズ(物を食べる、飲む、本をめくるなど)はそれほど気にならなかった。
 今回のアクトではキーボードの音もそれほどは聞こえてきませんでしたね。背後にわずかに聞こえる程度でした。
ちなみに僕はアクト中ずっと、秀丸で開いたテキストファイルにメモを取っていました。標準的なWindows7デスクトップパソコン、ヘッドセット付属のマイクは指向性です。打鍵速度は一般人よりは速いでしょうね。キーを強く叩くかは平均か少し強いか。キーボードタッチ音は聞こえたでしょうか?>参加諸氏

★家に他に住んでいる人がいたりするなら、その時間は部屋から出られないことなど事情を事前に告げておいた方が良い。ドアも閉めておいたほうがよい。
 マイクに向かって独り言&演技とか、端から見ると相当恥ずかしいよね!

★音声チャットと並行してのビデオは……まだ試していないので不明。
 相手の顔が見えるとまた違いますね。プレゼンを学ぶとよく出てきますが、人間は対面で相手から情報を得る際に音声発話情報が占める割合はせいぜい30%程度、後はボディランゲージだといいます。オフラインのコミュニケーションで人が自然に行っている相手の表情や動作状態、機微から情報を得る動作がオンラインでも行えるようになるでしょう。
 ただインターネットでは文字よりは音声の方が情報量(言葉の長さじゃなくてキロバイトやメガバイトの方)が莫大に大きく、音声よりは映像の方がさらに莫大に情報量が増えます。Skypeボイスチャットでは音声が良好に伝わる帯域環境でも、映像は乱れたりタイムラグが起こったりするかもしれません。
 それにTRPGはイマヂネイションのゲームなので没入度の問題がありますね。セッションの中では魔法の鎧に身を固めて深いダンジョンにもぐったり、スタイリッシュな格好で摩天楼の谷間で中二ポーズを決めていても、中の人がもしも寝る前のパジャマ姿でぼさぼさ頭でいたりするのがダイレクトに見えたりしたら……うわアァアァアァ(´д`) 笑


そんな感じでした。Skypeによる音声チャットのTRPGセッションは、並行したツールの活用など様々に工夫の余地がありそうです。いろいろ考えるのも楽しそうですね。