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『ドラゴン・タトゥーの女』

ザ・インタビューズに飛んできた映画質問に回答として投下したので、こちらにも載せておきます。

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「最近みた映画で面白かったのはなんですか?」

ジャンル:映画

じゃあ一番最近観た『ドラゴン・タトゥーの女』について語りましょう。

★原作はスウェーデンのベストセラー小説、女性の抑圧や社会問題を描いてきたジャーナリストの人が自分の経験をモデルに書いたフィクション。本が脚光を浴びるのと前後して作者の方は亡くなってしまったそうです。ぐぐると出てきますが一度シリーズもので映像化されています。

★まず曲のリズムに完全に合った予告編PVがかっこいい。別の映画を映画館で観たときの新作予告群でピカイチでした。あまりにかっこいいからダニエル・クレイグの007の新作遂にキタか!と思ってしまいました。w

★オープニングもPV風になっていてかっこいいです。油っぽい液体の中を主人公のリスベットのシルエットが踊ったりします。フィンチャー監督の『セブン』以来ですね。このPVもちょっと007のOPっぽい。

★青い目の新星ジェームズ・ボンドで一躍有名になった我らがダニエルたま。元から昏い目つきやちょっと辛気臭い役が似合う人なので今回の役もかなり似合ってますね。UKを代表する世界で最も有名なスパイ、ボンドとは打って変わって巨大な敵の告発に失敗した中年ジャーナリスト。結婚生活が破綻してバツイチ10代の娘あり、仕事で接している雑誌の女編集長ともずっと肉体関係アリ、という枯れたオサーンなんですが、長身でコート着て町を歩いたりスウェーデンの森を寒そうに歩いたりしてるだけでなんかかっこいい。調べものをしたりしている様子もいちいち様になります。事件記者ミカエルはかっこいいおぢさんです。そのおぢさんモテパワーちょっとください(笑)

★そして相棒、背中に広がるドラゴンのタトゥー、他者を拒絶する黒のパンクファッションに身を包んだ社会不適合者の頭脳明晰天才ハッカーのリスベット。演じてる女優さんは育ちのいい人らしいんですが眉毛をそってピアスしまくって髪型も変えて完全変身しています。記者会見の時の中の人の素の写真と比べると差が圧倒的ですね。かなりインパクトあります。入魂の役者魂で作中ではリスベットになりきっています。これはアカデミー賞候補になる訳ですね。

★粗筋は主人公のミカエルが敵の告発に失敗して冴えない中年ぶりを見せたところで奇妙な依頼が。スウェーデンの国家繁栄に寄与した同族経営の一大企業、今は零落して人里離れた村にひっそりと住む年老いた排他的な一族。数十年前に失踪した一人の少女。一族の誰もがそれを語らない裏に隠された秘密は……というスリラー。
 けっこうダークで『セブン』以上にクるものがありますが、やっぱり見せ方が上手いですね。お化けも宇宙人も出てこない、人間の心の闇や異常性が出てくるだけなんですが十分怖い。吹雪の中のスウェーデンの寒村の息苦しい情景にあわせて段々見てるほうの心も凍ってきます。

★撮影はオールロケで実際のスウェーデン、本格的な寒さが始まる前に終わったそうですがこれが寒い国だというのは十分伝わってきます。スウェーデンは携帯やネットゲームなどが盛んな国だそうですが、確かにこんなに寒かったら家の中に引きこもるしかないですね。
 作中でダニエルたまたちが住むのはコテージなんですが、暖房なしの暖炉だけで本当に過ごせるのか?と思うぐらい寒そうです。そして携帯も繋がらないぐらいド田舎。その割に調査シーンやハッキングシーンに出てくるノートPCはネットにスムーズに繋がっているのですが、WiFi? ケーブルも繋がってなさそう。とうかこの古いコテージ明らかに配線ないだろ!とチョット思ってしまいます。w

フィンチャー監督は完璧主義で知られていますが、シーンの構築も上手いですね。事件の容疑者の一族含め登場人物も20人近く出てくるのですが、序盤の顔見せのシーンの流れでもそれぞれがどんな人間で作中でどんな役割を果たすのか、見て分かるように映像が流れていきます。
 会議室のシーンや家の中の部屋の様子がすーっと映像が流れていくカメラワークなんかは、『ソーシャル・ネットワーク』の様々なシーンを彷彿とさせますね。
 リスベットが鮮やかに見せる住居不法侵入や調査、ハッキングの手際も、映画の中の世界なのでやってることは嘘ですがこの人物が頭がものすごく切れ、スーパーハカーなのだと一般人に分かるように魅せています。

★ITガジェット関連は、映画の世界なので記者ミカエル/リスベット両人とも、ハッキングも調査もパソコンはオールMac。スタイリッシュなMacBook Airのリンゴのマークがダークな映像に映えます。
 ダニエル演じるミカエルが使っている電話は未確認、普通の携帯かもしれません。寒い村の屋外で繋がるか試す場面で持ち方からするとスマホ、一瞬のホーム画面からしてiPhoneのような気も?
 そして時代設定はほぼ現代だし、リスベットほどの優秀なハカーならスマートフォンぐらいバリバリ活用するだろう……と見せかけて、彼女はソニーエリクソンの携帯なんですね。1回だけ出てくるミカエルが音楽を聴くシーンもiPodでなくソニーウォークマンの最近の型です。エンドクレジットを最後まで見るとソニーが映画を協賛してお金を出していますね。

★パソコン画面では、仕事の依頼が来たシーンでダニエルたまはすぐさまWikipediaで企業名と要人を検索。ハッキングのシーンではGoogleのロゴが輝くどれかのサービス画面風の横で、リスベットがデータベースのSQL文的に英単語を組み立てて極秘情報へのアクセスを表現しているうそハッキングシーンがあります。
映画専用マックの中ではメールソフトの中で文字がチャット風に一文字づつ流れたり、若干現実より進んでいます。
 物語の大きな謎を解く鍵が写真に隠されているので、主役二人がこつこつと調査を進めて証拠写真を集めてはプリンターでスキャンした電子ファイルが、マックの中にどんどん蓄積。画像管理アプリ(あれがiPhotoなのかな?)の映像がたびたび登場、その中で手掛かりが繋がりあって遂に謎が解けて行く絵の流れが印象的な重要なシーンになっています。こちらも最後の方は写真が動画のように動き出しちゃったりして若干現実より進んでいるようです。(笑)


★そんな感じでドラゴン・タトゥーの女と寒村に秘められた禁断の謎に挑む我らがバツイチ枯れ中年渋男のミカエル記者。腐ってもジェームズ・ボンドの中の人ダニエルたまです、イイところもけっこう見せてくれるでしょう……と思わせてあまり見せてくれません。寒そうに雪の中を歩いたり眼鏡を咥えて考えたり、撃たれて逃げ出したりすっころんだり、挙句の果ては騙されて捕まって酷い方法で殺されそうになったりします。命を救ってくれるのは20歳年下差カップルのリスベットたんです。 (;´Д`)ノ
 一方リスベットは鮮やかなスーパーハカーぶりは見せるは後見人には復讐するわバイクも乗り回すは銃も使えるわでもう大活躍。リスベットが主人公で、ミカエルはおぢさんヒロインだったのです。それもそのはず、原作からしてタイトルが『ドラゴン・タトゥーの女』なので女性が主人公なのでした。まる。

★とネタ的なところをピックアップしましたが、内容はかなりダークなスリラーです。安直なスプラッタ的な怖さはありませんが女性へのレイプシーン、ぼかし入りですが行為のシーンや同性愛のシーンも出てきてオトナ向けです。猟奇殺人も出てきます。R-15指定な訳ですね。あっ、スプラッタといえば猫好きな人はチョット要注意です。(`・ω・´;)ゞ
 約2.5時間と長いので体調の良い時に、気合を入れて深遠な世界を堪能しに旅立つことをオススメします。世界で一番恐ろしい闇は北欧の息苦しい夜でもなく、人間の心の奥の闇なのだ……とよく分かります。
 登場人物も多いので公式サイトで俳優さんの顔をチェックしておいた方がよいですね。ここまでの出来なら3部作の続編も期待できそうです。


 ほか、ダニエルたまの今後としてはいよいよボンドの新作『007/スカイフォール』の撮影も始まります。タイトルからしてもう既にカッコイイのでこれは絶対観にいきますね。 (*´ω`*)
関連作でリンクネタをこれでもかと張りまくっているマーベルのアメコミものも全部レンタルでチェックしたので、遂にヒーロー全員集結の『アヴェンジャーズ』も何気に期待しています。公開の頃が盛り上がりそうですね。(o´∀`o)

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iwasimanのインタビュー - http://theinterviews.jp/iwasiman