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TRPGシーンにおけるデジタルデータ閲覧方法 【3:スマートフォン編】

スマートフォンの世界:iPhoneを使う

iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!(デジタル仕事術シリーズ)

iPhone情報整理術 ~あなたを情報’’強者’’に変える57の活用法!(デジタル仕事術シリーズ)

 日本では携帯電話自体の独自の高機能化が進み、「スマートフォン」という言葉はあまり浸透していませんが、海外では日本よりは一般的です。じゃあ携帯とスマートフォンの絶対的な線引きは一体どこなんじゃいというとこれまた曖昧なんですが、これから本格的な進化が始まるでしょう。
 筆者も2009年秋からiPhone 3GSに乗り換えて活用しています。最初に使ったときはほんとうに感動しました。もはや近未来物RPGに出てくる夢の高性能携帯ガジェットの機能が、立体映像以外もうほとんど実現されている感がありますからね。w
 iPhoneはデフォルトでブラウザSafariを用いたインターネットアクセスが可能、付属のアプリケーション以外に、有料/無料のiPhoneアプリを自由にインストールしてかなりの機能拡張が可能です。Googleの提供する各種Webサービスとの親和性もかなり高いです。Web2.0に代わり今の世の中でもよく名前が上がりつつある「クラウド」な時代のデバイスとして、ビジネス雑誌などでも注目されています。
 テキストデータを送ったりしてTRPGシーンに活かす方法は幾つかあります。以下、ちょっと用語も専門的になってきますが、順に見ていきましょう。

基本:メール添付でテキストファイルを送る

 各種文字コードで作ったファイルを筆者のGmail宛に添付で送り、iPhoneで見たら化けてました。 (´▽`)ハハハハ
 ZIPファイル添付で送る手もありますが、iPhone側でZIP解凍は初期ではサポートされていませんね。
 iPhoneが日本上陸した初期の頃も、auに携帯メールを送ると化けて受けが悪かったことがあったそうです。元から世界をターゲットにして様々な言語で使われることを想定したiPhoneUnicode系のUTF-8を使っているのに対し、日本の携帯は文字コードが違ったのが原因とのこと。
 シンプルなアルファベットを使う国で作られた技術やデバイスでは、こういう問題はありえることです。これはアメリカが悪い訳ではなくて日本が特殊なだけですね。こんなに沢山の漢字を使う国は少ないし、日本の携帯は日本で閉じた進化を続けてきたからです。携帯の絵文字も日本独特の文化ですからね。

Google Docsでネット上に置いたテキストを見る

 表まで作れるようになったGoogle Docs。パソコンでブラウザからアクセスしてログイン、Google Docs上で新規ファイルを作り、既存テキストファイルの中身をコピペするひと手間がありますが、すぐ作れます。これでテキストがマシン上でなく、クラウドの向こう側に保存されました。内容の1行目がデフォルトのファイル名になるみたいですね。テキスト1ファイルの上限は500KBとなっています。
 これをiPhone側で見ると……ブラウザのSafariで普通に閲覧できました。シナリオもセッション情報メモも、iPhone側でもなくクラウドの向こう側にあるデータを見ている訳です。
 スクロールも普通にフリック(指で弾く動作)して可能ですが、操作はブラウザの機能に制限されるので、フォントサイズの変更などはできません。コピーもコツがいてどうも全選択ができません。(それともできるのかも?)
 テキストエディタ類でもうちょっと使いやすく閲覧したいですね。という訳で、他の方法も試してみます。

iPhoneアプリEvernoteを使う

 Evernoteとは、テキストや各種画像などのファイルをスクラップブックのように保存しておける無料のWebサービスです。自分専用のアカウントを作り、パソコン側のクライアントでは専用アプリケーションを使って保存する方法と、ブラウザからログインして同じように保存する方法があります。(筆者の環境では専用アプリは固まってしまってうまく動きませんでした。)
 パソコン側ではGoogle Docsと同様で、Evernote内で新規ファイルを作り、既存テキストの中身をコピペすると作れます。
 iPhone側でもグリーンな象さんが目印の無料アプリが用意されています。これで……パソコン側で作った各種ファイルが参照でき、iPhone側で更新でき、互いに同期もされます。1月40MBまでで無料。すごい。
 このEvernoteiPhoneアプリの中ではかなり有名で、ビジネス雑誌などのiPhone紹介記事でもよく見かけます。足りない点といえば……テキストファイルは普通に閲覧できるのですが、Google Docs上のファイルをブラウザから見るのと同じで機能的にはシンプルなんですね。フォントサイズの変更などもできません。ということで、他の方法も見てみます。

iPhoneアプリDropboxを使う

 Dropboxとは、テキストや画像など様々な種類のファイルの置き場を用意して、パソコンからも他のデバイスからも参照できるオンラインストレージサービスです。しかも2Gバイトまで無料。すごい。
 パソコン側ではアカウントを作り、専用クライアントのアプリをインストールすると、特定のフォルダ(WindowsだとデフォルトはMy Documentsの下のMy Dropbox)がDropbox用のフォルダになります。ここから下にファイルを置くとDropbox用ですよ、というチェックマークの印がフォルダやファイル名アイコンにつきます。Subversionのような版管理の仕組みを使ったことのある方なら御馴染みでしょう。
 パソコン側ではドラッグ&ドロップでファイルを置くだけで、ファイルが認識されてしばらくするとDropbox側への登録が始まります。ファイルを放り込んで置くだけでよいのがEvernoteより楽ですね。
 iPhone側では同名のiPhoneアプリ Dropbox が用意されています。これを起動すると回線に繋ぎに行って……置いたファイル一覧がパソコン上と同じように見られ、中身も閲覧できます。画像はPNG以外はOK、各種Officeや各種音声、動画ファイル、PDFもOK。
 しかし、ネット上の資料にも書いてあったのですが……現在のバージョンではプレーンテキストの中身に日本語が入っていると、化けたり開けなかったりして全滅のようです。各種文字コードで試しましたが、筆者の環境ではまったく開けませんでした。

 試しにテキストをWordファイルにして登録したところ、こちらは問題なし。中身がバイナリだからですね。わざわざWordファイル化してDropboxに登録→iPhoneDropboxから閲覧→コピペしてiPhoneのメモ帳やテキストエディタへ の流れを経ればテキストもOKでした。恐らく事前にPDF化した場合も同じ結果になるでしょう。

iPhoneアプリのZumoDriveを使う

 ヘッドフォンを付けた可愛い青いキャラクターがマークのズーモドライブも、上のDropboxと同じオンラインストレージサービスで、できることもよく似ています。無料で1Gまで。すごい。
 パソコン上ではやはり専用クライアントのアプリをインストールすると、ハードディスク上のフォルダでなく、Z: などの別ドライブがZumoDrive用に割り当てられます。そこにファイルを放り込むとOK。ローカルパソコン上にでっかいファイルを置く必要がないわけですね。
 iPhone側の動きも同じで、ZumoDrive用のアプリSupersize Me (\600、今は無料期間中の模様)を入れてiPhone上で見ると、放り込んだOfficeファイルやPDFや画像が閲覧できます。ネット上の記事に書いてあったのでmp3の曲のファイルも試しに放り込んでみたのですが、ふつうに再生できました。
 そして……こちらもDropboxと同様に、中身が日本語のテキストファイルは各種文字コードでもやっぱり開けませんでした。Wordなどに埋め込むと大丈夫なのも同じです。
 画像をタッチしてもズームされないのが残念ですが、容量の大きいファイルを沢山置くにはこれらのオンラインストレージ系が便利です。他にもSugarSnycやServersManやMobileMeなどストレージ系アプリは幾つかあり、雑誌などの記事を見ても、ここで紹介したDropboxとZumoDriveが代表格のようです。
 iPhoneは最新型で容量が16G/32Gバイトですが、この2つのアプリで無料で2G+1G=3Gも容量が増えてしまうわけです。お金を払えば100Gまで。もはやパソコン並みですね。
 20世紀のTRPGでは夢想されなかったことですが、近未来世界のTRPGに出てくるコンピュータや携帯デバイスでは、もうこういう仕組みが一般化してデバイス自体の容量はもうほとんど問題にならなくなっているのかもしれませんね。まあゲームデータとして、実際には重量や入れられるプログラム数などは上限が設定されるものですが……w

Google Docsを同期→iPhoneアプリの MiGhtyDocs で見る

 オンラインストレージ系ではテキストファイルが全滅だったので、Google Docs上のテキストをビューワーとして使えるテキストエディタ系アプリをさらに探してみます。この MiGhtyDocs は無料、設定をしたらふつうにGoogle DocsからインポートしてiPhone上で見ることができました。
 しかしGoogle Docsとの同期を売りにしているアプリは他にも沢山あります。このアプリは最低限の機能しかなく、また元々のGoogle Docs上のテキストのフォントサイズがデフォルトの10ptだとどうもiPhoneの画面で見ると小さいですね。iPhone側でフォントサイズの変更も出来ません。ということで、もっと高機能のアプリを探してみます。

Google Docsを同期→iPhoneアプリの iNote で見る

 iPhoneムーブメント初期から出ている有名アプリのテキストエディタ、\450。横向けにしても使用可能です。バージョンアップ後、フォントサイズも変えられたりフォルダで分類できたり、Google Docsとも同期できるようになりました。
 これも定番アプリです。AppStoreで見ると、Google Doc側の仕様変更で動かなくなったりすることがある旨が書いてありましたが、筆者の環境ではある時から動かなくなってしまいました。

Google Docsを同期→iPhoneアプリの RainbowNote で見る

 これは神アプリのひとつとして評価が高いテキストエディタです。\450。Google Docsとの同期はもちろん、各ファイルごとにフォントサイズを変えたり用紙を設定したり、カラフルでレインボーな気分になれる高機能アプリです。試しに長いテキストのシナリオをこのアプリで見たら、かなりいい感じでした。筆者がいろいろ試した限りではこれがベストでした。
 きれいなテキストエディタというと、他にはその名も Awesome Note(\450)が有名ですね。

PDFファイルをiPhoneアプリ Good Readerで見る

 こっそりリンクさせて頂きますが下記に詳しい記事があります。

 USBで母艦PCからPDFを送りまくってiPhone側で見ることもできるんですね。近い将来、オフラインのTRPGセッションでもルールブックはスマートフォンから閲覧……なんて時代が来るのかもしれません。サプリメントが多いシステムや海外産システムには役に立ちそうですね。


 という訳でまとめると以下になります。筆者が2009年秋の段階で試した範囲なので、人の好みや目的によって差もあるでしょう。他にももっとスマートなやり方があるかもしれませんし、今後も新しい方法が生まれてくるでしょう。

  • 日々のメモなどサイズが少なく数や更新頻度が多いテキストを見る:Evernote
  • シナリオなど、更新頻度が低くまとまったテキストを見る:Google Docsで同期→Rainbow NoteかAwesome Noteが最強
  • 画像や各種Officeファイルなど、サイズが大きい各種ファイルを見る:Dropbox、ZumoDriveなど、各種ストレージ系
  • PDFでルールブックなどを読む:Good Reader


 ここではiPhoneについて触れましたが、他にもスマートフォン、たとえばW-ZERO3などでもいろいろ方法はあるかと思います。ここは詳しい方の情報発信を待ちましょう。

Advanced/W-ZERO3[es]マスターズガイド

Advanced/W-ZERO3[es]マスターズガイド


 iPhoneは2008年の日本上陸時は話題になり世界的にもヒットしたものの、日本独自の携帯が幅を利かせる日本市場では苦戦するのではないか……という見方もありました。
 しかし今年2009年夏には、キャリアの売り上げTOP10の首位を保つまでに好調な売れ行きを見せ、逆に日本の携帯の方が苦戦しつつあります。電車の中でも見かけることが多くなりましたね。iPhoneアプリAppleのAppStoreでの独占販売ですが、世界でなんとアプリの種類が10万種、20億ダウンロードを超えるまでになったそうです。
 スマートフォン界全体では、PDAメーカーのPalmが2010年以降に計画しているPalm Preや、MicrosoftWindows Phoneはまだそれほど話題にならず。


 しかしiPhone独り勝ち状態の牙城を崩すべく、いよいよGoogleの送りこんだAndroid端末が攻勢を始めようとしています。海外ではモトローラーが既にDROIDという端末を出し、日本のメーカーも幾つかAndroid端末を予定しています。Google本社まで何か端末(gPhone)を出すという噂もありました。

 iPhoneは極めて多機能ですが、いろんなアプリを同時に起動できないという宿命があり、必ずホームボタンで戻ってから別アプリを動かさないといけません。(まあ実際にはメールやブラウザ、音楽のiPodは常時動いているようですが。) Androidにはこの弱点がなく、複数アプリが連携しての動作に優れています。

Google Androidプログラミング入門

Google Androidプログラミング入門

 開発についても、OSはMac OS X でプログラム言語はObjectivity-Cを使って専用の開発環境でないとアプリが作れない...とiPhoneは敷居がやや高し。一方AndroidはふつうのWindowsが使え、もっと一般的なプログラム言語Javaでアプリが作れ、そしてどうもアプリ世の中に公開するときの審査がiPhoneよりかなり緩くなる模様...ということで、開発者にとっては敷居が低くなっています。
 アプリを売る場はやはりiPhoneにおけるAppStoreのような場を作るそうですが、1万種類ぐらいは既に用意されているそうですね。
 ではAndroidの方が絶対的に上なのか……というとそうでもなく、iPhoneには指の動きに極めて敏感に反応するよくできた静電容量方式のタッチパネル、慣れると使いやすい独特のインターフェース、Apple製品ラインに共通するハードウェア/ソフトウェア両面にわたるデザインの良さ、現在まで培ってきた蓄積など強みもあります。実際、Android端末の画面やアプリ画面をネットの記事で見ると、現状やっぱりiPhoneの方が数段かっこいいですね。
 Android連合は打倒iPhoneに向けてかなりの戦力を入れてくるでしょうし、iPhone側も黙って負ける訳もないでしょう。スマートフォン業界は2010年から激しい戦いになるようです。これはもうどちらがいいとか悪いとかの問題ではなく、世の動静を注意深く見守っていくべきでしょう。