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ITエンジニア関連の様々な話題を書いているはずのブログです。

TRPGシーンにおけるデジタルデータ閲覧方法 【2:様々なデバイス編】

PDAを使う

 Personal Digital Assistant、携帯情報端末。電子手帳などよりも高度なデバイスを指します。国によって普及率が違いますが、90年代後半〜2000年代前半にはビジネス世代によく使われていました。日本ではシャープの Zaurus などが代表格ですね。

 筆者もPalm OSで動くPalm Visorを遊びで使っていました。キーボード類のない、スタイラスというタッチペンで画面をなぞって各種操作を行う形式です。けっこう初期の製品だったのでデバイス周囲がプラスチックで割とチープでカジュアルめ、こういうデバイスと縁のない当時の学生層と遊ぶときによく「それゲームボーイの親戚か何かですか?」などと聞かれたものです。w


 その後、SONYが出している同じくPalm OSで動くCLIEのシリーズも使ってみました。こちらも基本的には同じです。
 PDA類は元からパソコンを母艦とした構成になっているので、テキスト類の共有は容易です。USBなどで母艦PCと繋いで専用アプリ起動、転送するテキストを選んだり変換ツールのようなものを使った後、用意されている共有...などの機能を使えば、カレンダーのデータなどと一緒に転送されてPDA側でも読めます。最初はまだ白黒でしたが、TRPGの情報も普通に活用できます。
 当時のWindowsCEなどを搭載した、単独で使えるよりパソコンに近いPocket PC系のPDAでも、Windows同士ですからファイル転送は普通にできるでしょう。
 PDAは公開されているソフトウェアをインストールして拡張でき、当時の技術なりにいろいろ面白いサードパーティ製のソフトが公開されていて、自分なりの拡張を楽しむことができました。今にして思うと、iPhoneiPhoneアプリの楽しみの源流はこのあたりにあったのかなと思います。
 当時PDAを扱った雑誌のムックなども読んだのですが、やはり消費者のターゲットとしているのは、当時携帯が普及しつつあった学生〜若者層ではなく、もっと上のビジネスマン世代向けでした。家に帰ると奥さんと小さい子供がいる、ガジェットが好きな技術系の仕事をしているお父さんの休日の密かな楽しみ……的な読者を想定している節がありました。
 その後、日本では携帯の方が普及したこと、世界的には純粋なPDAより携帯のスマートフォン化の流れで技術や市場が進んだことからPDA市場は縮小。上のCLIEも2004-2005年頃に終息しています。


 このように日本では携帯が独自進化し急激に普及しましたが、米国や欧州だとまた話が違ってくるんですね。
 例えば、筆者が前に読んだ冒険小説では、英国秘密諜報部MI6のイリーガルな密命を受けた主人公が強力な暗号装置付きの特製のPDAから情報を入手するシーンがありました。アメリカのSF作家ジョン・スコルジーのSF『老人と宇宙』シリーズを読むと、人類コロニーの場面では作中を通してたびたびPDAが登場します。映画作品でも海外の映画だと、PDAらしきデバイスがちらっと出てきたりする場面が日本の作品より多くあります。

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)

老人と宇宙(そら) (ハヤカワ文庫SF)

 一方日本では、エンターテイメント作品の中でもやはり携帯ベースのものが多し。2009年のアニメ作品だと劇場版にもなった『東のエデン』は数年先のかなり現実に近い世界が舞台ですが、正義の天秤のマークがかっこいいノブレス携帯が作中のメインガジェットとして活躍します。現実の携帯をノブレス携帯っぽくする商品計画もあるそうですね。

小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)

小説 東のエデン (ダ・ヴィンチブックス)

 こちらも劇場版にもなった『マクロスF』は、人類が銀河に乗り出した2059年頃が舞台ですが、マクロス級超長距離移民船団マクロス・フロンティアで人々が生活している普段の光景では、小さい生き物のようなバージョンもある携帯ベースのデバイスがよく出てきます。作中でもよく出てきますが、届いたメッセージの内容や撮った写真一覧が、デバイス周囲にホログラム風に浮かび上がるまで技術が進んでいます。

ユニバーサル・バニー

ユニバーサル・バニー

 こういうのを見ると、やはり国によって普及率やイメージが違うんだなあと思います。

ノートPCを使う

 このあたりも実に様々なデバイスがあり、詳しい方が語ればかなりディープなところまで行くでしょう。ネットに繋げる安価なノートPCは現在は「ネットブック」と言いますし、携帯/スマートフォンみたいなパソコン、もはやパソコンに近い携帯/スマートフォン、もあります。

日本ではあまり使いませんがネットブックスマートフォンの中間層は「スマートブック」や「MID」という呼び方があるそうですね。
 筆者が使っていたのは一般的なB5サイズの薄型ノートパソコンでした。デザインがかっこいいのでVAIOシリーズが好きでした。

 セッション中の用途としては前に述べたセッション情報テキストの表示、及び音楽を流すのに使っていました。SONY製品ならウォークマンの母艦用ソフトのSonicStageが入っているので、CDから沢山インポートした曲の山から使えます。当時はプレイリスト機能がなかったので、曲を変える度に手でアルバム一覧に戻り→アルバム名→曲名と移動が必要なのが唯一の難点でした。
 他にもセッション中にパソコンの機能は一通り使えますし、USBなどを通して他のマシンと接続したファイル転送も容易です。設定すればネット接続もできます。プレイ環境によりますが、ノートパソコンの立てた画面部分をマスタースクリーン代わりのついたてにもできるかもしれません。


 欠点は……これはあくまで筆者の使用方法の範囲でですが、セッション中の主な用途はテキストファイル(+αでExcelなど)の表示と音楽再生だけだったので、Windows一式が揃ったマシンをわざわざ使う必要がジツはないということです。
 また、マシンスペックや物理的な大きさによりますが、机の上のゲームマスターの聖域があまり大きく確保できない場合、ノートPCサイズだと手狭になることもあります。
 またこちらもマシンスペックによりますが、バッテリーがセッションの間持つかという問題があります。筆者は音楽を流したり電源を使う使い方だったので、いつも電源コードは持参していました。白状するとカラオケボックスのコンセントを勝手に拝借したことも何度もありますが、これも環境によっては問題ですね。 (´▽`;)ハハハハ
 またこちらもマシンスペックによりますが、スピーカーもマシンによります。筆者が使っていたのは古いものなのでスピーカーの出力が低く、音が割れたりしました。また当然ですが主に音が出るのはノートPCの使用者側なので、ゲームマスターをしているとプレイヤー陣と逆方向の自分側になってしまいます。電池で動く小型の外付けスピーカーをよく使っていました。
 そして……こうして電源コードを付けたり外付け機器を使ったり展開していくと、やはりだんだん持ち運び/セットアップ/後片付けが不便になってきます。19時リミットのカラオケボックスで公式シナリオを2本回して時間ギリギリ、待っているプレイヤー陣を尻目に「先行ってていいよ!」と言いながらノートPCはまだ電源が切れない、時間がないのでコードをぐるぐる巻きのままかばんに突っ込んでカオス状態のままなんとか現地脱出、2次会へ……なんてシーンは自分的にはよくありました。


 海外産RPGなどを遊んでいる方には、ノートPCレベルのデバイスをもっと活用している方もおられるのではないでしょうか。TRPG界では海外の方がPDFでのルールブック配布なども進んでいますしね。
 このように、ノートPC類はマシンの性能に左右される部分があるようです。2009年現在はより小さい大きさのデバイススマートフォンレベルからの進化が著しいので、今後また状況は変わっていくでしょう。

PSPを使う

 今やいつでもどこでも狩りに出かけたり諸々ゲームもできる。電車の中でもよく見かけるようになったPlay Station Portable。
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昔の携帯ゲーム機よりかなり高機能になってきましたが、セッション中に参照するには手頃な大きさです。青空文庫の小説などのテキストをJPG画像に変換して表示するフリーソフトは公開されていますが、違法改造もせず、なるべく手間をかけないでテキスト類を見る方法はないでしょうか……実は、超☆簡単にできます。

  1. テキストファイルはURLのように半角英数字+.txtで作成
  2. . 母艦PCとPSPをUSBケーブルで繋ぐ
  3. . 1.のテキストファイルをハードディスクとして認識されたPSP側の直下か、フォルダを作ってそこにコピー(既存フォルダの中はPSP自体の仕組みが入っているので、触っては駄目)
  4. PSP側で付属のインターネットブラウザを立ち上げる
  5. アドレス欄に「file:/foldername/filename.txt」のように入力

 これだけです。インターネット上のテキストファイルをブラウザで見るのとまったく同じ要領で見られます。スクロールもできるしフォントサイズも変えられるので、プレーンテキストなら何の不自由もありません。
 この方法で移したセッション情報メモは、幾つかのセッションで役立ってくれました。いや〜買ってよかった。べっべつに、765プロでアイドル育てちゃうゲームとか初音ミクが踊るゲームのために買ったわけじゃないんだからねっ! ( ´∀`)σ)Д`)


 ニンテンドーDSシリーズはソフトを入れたりファームウェアMoonShellを入れないと、テキストを見るのは基本的に無理のようですね。今度ラブでプラスな彼女を作った人に聞いてみましょうか。w

ニンテンドーDSi ホワイト【メーカー生産終了】

ニンテンドーDSi ホワイト【メーカー生産終了】

iPod nanoを使う

Apple iPod nano 第5世代 16GB ブルー MC066J/A

Apple iPod nano 第5世代 16GB ブルー MC066J/A

 Microsoftとの戦いに敗れたかに見えて復活を果たし、デジタルオーディオプレイヤーの世界を制したApple。筆者も第2世代、そして今は第4世代のiPod nanoを愛用しています。SONYネットワークウォークマンもむかし使っていましたが、MP3に対応せず独自フォーマット路線に固執して人気が下落した頃に乗り換えました。
 iPodの象徴とも言えるあのホイールは、なぞってボリューム調整をするのが多少慣れが入りますが、機能は十分です。今は世代と共に進化して液晶画面が大きくなってアルバムジャケットも見えます。
「曲はアルバムに属する」という概念を捨てて「1曲1曲を組み合わせて使う」という思想があるので、TRPGセッションに使うならBGM集をプレイリストで作っておくと便利です。現在の筆者のセッション環境では、iPod nano+3W*2の外付け電池式スピーカーで、音周りはいい感じに完成しています。


 iPodファミリーは第3世代から、PDAまでは行かないレベルでPDAっぽい機能が一応付いています。付属のゲームも幾つかついているし、第5世代からはカメラも付きました。テキストを読む機能ぐらいデフォルトで付いていそうですが……これが意外に付いてないんですね。iPod側のハードディスクの中の Notes フォルダにテキストファイルを手動で置くと、iPodのメニューから選んで進んで読めるようになりますが、ソフト側でフォローはされていません。
 しかぁも。このテキストファイルは上限が約4KBまでという不可解な制限が付いています。Appleの技術力をもってすればできないはずがないんですが、やはりデータストレージの用途はメインは音楽と画像という思想なんでしょうか。
 この約4KB制限に沿う形でパソコン側からテキスト分割→iPodへの転送ができるユーティリティとしてのフリーソフトは、何種類か出回っています。WindowsよりMac用の方が多いようです。
 筆者はそのひとつ、iPod活用ツール「Pod野郎」を使って転送を試行してみました。

2009年春のらららオフ用の『星屑狂詩曲−Garden of Elves−』のテストプレイに参加した時のセッション情報メモ

pre_090228StarDustTP.txt (46KB) →12分割

2008年末の迎撃作戦で『プロメテウスは火を運ぶ』を遊んだときのセッション情報メモ

pre_081229PrinceGeigeki.txt (62KB) →17分割

試しにシナリオも。拙作和風シナリオ『月下残影』のシナリオ本体

sce_Gekka.txt (170KB) →44分割!


 ツールが自動でファイルを分割し、分割ファイルの最後には次のファイルへのリンクを自動で付けてくれるのですが、うーんこれは使いにくい。
共に舞台に立つキャラクターの情報やBBSの過去ログを追っていくと17ファイルですよ。シナリオに至っては44分割という面妖なことになっています。ありえないでござる。w
 ホイールを回すとスクロールはしますが、当然ながらフォントサイズも変えられず、本当に最低限のブラウズ機能しか備えていません。やはりiPod nanoでは厳しいですね。

Apple iPod touch 第3世代 64GB MC011J/A

Apple iPod touch 第3世代 64GB MC011J/A

 未試行ですが、デバイス自体のサイズが大きくなって多機能化した iPod touch でも同様だと思います。しかし iPod Touchはブラウザでのインターネットアクセスが可能、iPhoneアプリの一部を共通して使えるのでiPhoneと同じ方法が取れるでしょう。そちらについては次項目で触れます。


 上で触れた「Pod野郎」のような、裏技的な領域に入る方法でiPodをより有効活用する方法は存在はします。パソコン雑誌だと「ネットランナー」とかそれ系の世界ですね。しかし本格的にやるなら、最初から iPod touchiPhone、あるいは他のスマートフォン系での正規の方法を取った方が早いでしょうね。


次はスマートフォン編に続きます