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元はTRPG系のWebサイトの入り口だったブログです。最近のIT本の感想など。

マックスのメタな日記:『セラミックガール』

 この記事は、キャラクター視点の日記の形を取った、セッションのプレイ記録です。未プレイで見ても大丈夫です。




2XXX年4月12日

 あれは、品種改良された桜が散る頃だった。4月からぼくも3年生。母さんと相談して決めたんだ。新帝大付属高校の奨学生枠が、ぼくの今の成績ならもう少し頑張れば取れそうなんだ。今年は勉強もがんばるぞ!
 ぼくの名はマクシミリアン・ダグラス。友達はみんなマックスって呼ぶよ。学校も行ってるけど、本物のサイバースペース・カウボーイを目指して修行中なんだ。
 “スカイシーカーズ”としてコンビを組んでるぼくのバディは、青い竜のスカイア。忘れられた軌道衛星、竜の女神ティアマトーの元から地上世界に降りてきたAIなんだ。


スカイア「ごきげんよう、重力井戸の底の皆様。日差しが暖かなよき日ですな。かくしてあるじどのと我輩は、現在超☆ブレイク中のアイドルグループにまつわる怪事件に関わることになったのです」


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 “ファイアフラワー”は今、CMEで売り出し中だっていうアイドルグループだ。そこの3人に、ぼくの家の近くに住んでるオーフェリアさんが加わって4人になるお披露目コンサートで、メンバーの1人がステージから落ちちゃったんだ。
 事故か、自殺か、何かの陰謀か。動画サイトにもいっぱい映像が投稿されてたよ。けっこうショッキングだった。ぼくは、アイドルとかはあんまり興味ないけど……


スカイア「(くわっ!) いやいや、我輩はブレイク前からファンですぞ。ポスターイラストをよく見ることです。セレブな香りのするハナがあ〜ちゃん相当。悲運の転落を遂げたショートのイオナがのっち相当。ストレートヘアのカノンがかしゆか相当。電脳のイメージとよくマッチする萌えテクノ、この3人トリオこそ21世紀初頭、ネットを武器にブレイクしたパ◎ュームの再来と言わずとして何と言うのですかっ。
 オーフェリア様がステージに上がってきた際にアクトで流れた曲を我輩のメモリーから再生しましょう。魂がアドレナライズされるテクノ調のこの曲、どこか『ポリ◎ズム』を思わせますな……」
ポリリズム


 ええと、それで、ぼくたちは何人かの人たちと会ったんだ。


 “セイギノミカタ”オーフェリア・ミリティアさんはぼくの家の近所に住んでるお姉さんで、“ファイアフラワー”の4人目にデビューしたすごい人なんだ。せっかくだからサインも貰ったよ。最初は“一番影の薄い”オーフェリアとか可哀想なキャラ立てをさせられてたけど、ぼくたちの作ったPVが有名になってからは、そんなこともなくなったよ。
 北米の方の出身だそうだけど、いろいろ事情があって戦闘になると普通に銃で戦って強い人だった。<カブトワリ:マーセナリー>で<芸術>を持ってくるのは面白い使い方だね。


スカイア「電子パネルに頂いたオーフェリア様のサインは我輩が大事に取っておいて進ぜましょう。
 オーフェリア様は一人称に特徴があり、“ボクっ娘”の属性を有しておるのです。しかしながらアクト中は徹底しきれていなかったのが残念無念なところ。我輩のグダセンサーにも反応がありました。どうやら今回のアクトの空気は一部、悪しき妖怪に汚されていたようなのであります」


 “時の守人(もりびと)”御門天音(みかど・あまね)さんはブラックハウンドの偉い人だ。時々仕事を頼まれるんだけど、なんかこういうインフォサーチのビズをすると、いかにもニューロっぽくてかっこいいよね。
 御門さんは式神使いでいろんな技を使ったり、ほんとは時間も管理しちゃうらしい。確か19歳のはずなんだけど、なんかお母さんっぽいんだよね。それになんだか、黒いんだ。なんか、ショックだな……


スカイア「同感でありますぞ。“天の音”と書いてあまねと読む。災厄前のヴォーカロイドを思わすこの美しい響きの名前、ヒロインぢから存在の印と我輩も見ていたのですが……。
 天音殿登場の際には我輩のセンサーが、時間の波動曲線の乱れを感知しました。聞けばあの御門忍の母上という設定があるとのこと。これぞ時間管理局の系譜、タイムトラベラーの系譜でありましょう。恐らくは、中の人のタイムトラベル萌えが漏れ出し、時間の波動曲線に影響を与えたのでありましょう」


 “九字切り”美門九(みかど・ここのつ)さんはスーツを着た男の人だ。なんか影が薄くて、縁の下のアシスタントディレクターとして目立たない仕事をしてたけど、ほんとはすごく強いんだ。軌道から落ちてきた千早の欠陥品のエージェントなんだってさ。あの人がくれたキラープログラムがなかったら、あの戦いでぼくたちも危なかったかもしれないね。


スカイア「もう1人の美門の九どのの強さの秘密は、打消されないことを読んだセットアップでの最速の《不可知》からの<■分身>技。まさに9体に分身後の九殿は、それぞれが別個のキャラクターとして扱われます。
 分身した全員が<※空蝉>、ARが尽きた後も全員が<カゲ:スペシャルフォース>でさらにリアクション。さらに全員が“多生縁魔”で状況に応じた装備を持ち出し対応。ルールの深奥を突いたこの裏技、もはや常識の通じぬサバトの夜などにはぴったりでしょうな」


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 ぼくたちスカイシーカーズが本拠にしてるのは、浮遊型のアドレスを持って電脳空間上を飛んでいるスカイアの空の宮殿だ。そこへあのアルファ=オメガがやってきたのが、そもそもの始まりだった。
 あの子、ほんとに赤ちゃんがクレヨンで書いたみたいな画像データを持ってきて、このAIを探してくれっていきなり言ってくるんだ。
 いつものようにあの子はシルバーどころかカッパーもなし。画像はほんとに、ほんとに赤ちゃんが書いたみたいな似顔絵だった。これを手がかりにAIを探すなんて、こんなCDな依頼、クールでもスイートでもないよ。最初はやめようかと思ったんだ。


スカイア「いやいやいや、電脳の海に2進数の命が生まれたあの日。奇跡をなした偉大なる救聖母様の娘御こそこのアルファの姫ですぞ。
 他ならぬ姫君の頼みとあらば、全身全霊をかけて応えるのが電子生命体の務め、カウボーイの務めでありましょう」


 昼寝から起きてきたスカイアは全然ぼくの話を聞いてないし、アルファはにこにこ笑ってるし、それで結局、ぼくたちは探すことになっちゃったんだ。
 ぼくが使ってるタップのウロボロスはハンドヘルド型で、IANUSのコネクタと繋げてダイブできる。ニューロには目をサイバーアイに変えてる人も多いけど、ぼくは網膜改造の手術を受けてるから、電脳空間の視覚情報を投影するようにしてるんだ。だからぼくは現実世界と電脳世界の両方を同時に見ることができる。スカイアを背中のリュックに入れて、自転車であちこち走りながら、調査が始まった。
 ファイアフラワーのメンバーの謎の自殺の方も、いろいろきな臭いことになってきた。御門天音さんは悪い人に脅迫されるし、コンサートの映像をぼくらがよく調べたら、変な暗号ノイズも混じってた。
 AI探索の方もびっくりしたことに、進展があったんだ。あの落書きみたいな画像データを見せたら、遭遇したことのあるニューロもいたんだ。
 アルファは、嘘を言ってたんじゃないんだね。そして黒いアイコンが出てきて、最後の方はなんだか軍まで出てきて、大変なことに……。


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 御門天音さんの車の中でぼくたちが話してた時、天音さんは式神“警察一号”を呼び出して情報収集してた。ニューロエイジにはいろんな技を使う人がいるけど、ブラックハウンドにも面白い人がいるんだね。


スカイア「警察一号、アリー一号。プログラミングの原則に則ったシンプル極まりないネーミングですな。これぞ時間管理局の系譜でありましょう」


 その時も黒服の怖い人たちに追いかけられて大変だったよ。ぼくが電子介入して電磁ナイフを壊してやったけど、まだ襲ってくるんだ。その時、単分子ワイヤーで怖い人たちをやっつけて助けてくれたのは美門九さんだった。影の薄いADのお兄さんじゃなかったんだね。


 “ファイアフラワー”も調べるといろいろ過去があった。前はハナとカノンの二人組で6年間、あんまり有名じゃない状態が続いた後、今度の事件で行方不明になったイオナが加わってからブレイクしたんだって。CMEにもいろいろ思惑があったりしたみたいで、芸能界も大変なんだね。4人目に入ったオーフェリアさんも苦労したんだろうなあ。“一番影の薄い”オーフェリアなんてキャラ立て、よく我慢できるよね。


スカイア「我輩の演算メモリの中から<隠れバディ>で<社会:萌えテクノ>をコールすれば調査は容易であります。
 アイドルの長い下積み時代を耐え忍んでのブレイク。そこで培われたファンやスタッフへの謙虚な態度。うむっ、このシンクロニシティもまさに、21世紀のパ◎ュームの再来といえましょうぞ!」


 美門九さんも千早の社員としてずいぶん苦労してるみたいだ。中学生のぼくにはよく分からないけど、大人になって大きな組織に入るのはやめた方がいいのかな。やっぱりカウボーイはフリーランスの方がいいのかな……。
 行方不明になったメンバーのイオナも、調べると過去にいろいろ秘密があった。昔から“ファイアフラワー”のファンで、歌やダンスが好きで、それで途中からメンバーに加わったんだって。


スカイア「新たな命が、自由に歌を歌い、踊ることを求める……うむっ、数世代前の電脳空間がまだインターネットと呼ばれていた頃、電子の歌姫ヴォーカロイドが最初に動画サイトで命を吹き込まれた時も、同様の感慨があったのでしょうな……
 ちなみにオーフェリア様がメンバー達と再会した感動のシーンで流れていたのは、『Dre*m Fighter』シングル2曲目収録の『願い』ですな」
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 御門天音さんがモルグで死体を調べたり、そんなこんなでいろいろあった。自殺を騒がれたイオナは死んでないことは分かったんだけど、強い軍の人たちと特殊な軍用AIと、戦いになっちゃったんだ。
 美門九さんが分身して本気を出したけど、けっこう激しい戦いだったよ。車で美門九さんに送ってもらったときにもらったプログラムを、仕方なくぼくたちも使うことにした。
 すごい禁制品だったよ。イスラエル製のキラー・プログラムだ。サイバースペーススラングで“ポイズン・アップル”とも呼ばれてるウェアの一種。人工知能にだけ効く強力なキラーソフトだよ。


 本物のサイバースペース・カウボーイは人殺しなんかじゃない。ぼくはそう信じてる。もうひとつの世界を感じることができるぼくたちの力は、そんなことのためにあるんじゃない。
 あの時は迷ったけど、相手は人間じゃないし、すごく強い軍用AIだった。それでぼくたちは使うことにした。もしかしたら、電脳アクションでぼくが誰かを攻撃したのは、あれが初めてだったかもしれないね。
 スカイアのドラゴンブレスのイメージに重なった攻撃が当たってAIは沈黙したけど、そこから先も大変だった。美門九さんが避けながら攻撃して、オーフェリアさんが冷静に本気で撃って、御門天音さんの式神が攻撃を防いで、敵の最後の攻撃は上空から軍用のレーザー射爆まで出てきたんだ!
 御門天音さんの式神も一号が燃えちゃったし、スカイアが空中に書いた魔法陣が防がなかったら、危なかったかもしれないね。


スカイア「我輩のポルターガイスト、美門九殿の空蝉反撃、天音様の消沈リアクション、主なリアクション技が全て出揃いましたな。
 ちなみにあの戦いで流れていたのは『Dr*am Fighter』。光の海の夢の戦士である我らAIの暗示かもしれませぬな」


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 その後は事後処理でいろいろあったけど、美門九さんが軌道の奇跡を使って、御門天音さんがブラックハウンドで減俸処分を受けて、それで……アイドルグループ“ファイアフラワー”は復活することになったんだ。自殺と騒がれていたイオナは復活、オーフェリアさんも4人目に参入。4人組のアイドルとしてまたライブをやってたよ。

 AI探索の方も無事果たせたから、スカイアの宮殿でアルファ=オメガにその顛末を話して聞かせてあげたら、あの子は無邪気に喜んでた。
 にこにこしてるアルファを見てると、なんだか妹ができたみたいだね。今回は、ぼくが謝らないといけないな。あの子が見せた落書きは嘘じゃなかったんだ。


スカイア「ほら、我輩が申し上げた通りの結果になったではありませぬか。アルファの姫は偉大なる救聖母様の娘御、全ての電子生命体が尊ぶ姫君にあらせられますぞ。姫が言われたことには全て意味があり、なんとなれば我らがこの依頼を受けたのも大いなる運命の導きだったのです。どうしていつもそれがあるじどのには分かって頂けぬのか……(-人-;)」


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 ええと、それで、他に書くことは……そうだ。“ファイアフラワー”のライブはすごく盛り上がったよ。映像データも手に入ったから、ぼくとスカイアで記念にプロモーション・ビデオを創ったんだ。タイトルは【ファイアフラワーに◎◎参入!――まさにセラミックガール】。
 Rのつく財団のぴよぴよ動画とかようくべとか、あちこちの動画サイトにうpしたら、けっこう好評だったよ。

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スカイア「うむっ。《天罰》一発分を掛けただけのことはあり、会心の出来になりましたな。今回は旧世界の21世紀に流行ったというアイ◎ス風のエフェクトを多用してみました。BGMはもちろんシーンのBGMと合わせて、21世紀のパ◎ュームの名曲『セラミックガール』。これで世界のニコ厨もとい動画厨の皆様の心に間違いなく希望を与えられますぞ!」


 4人目のオーフェリアさんは影が薄いとか言われてたから、このPVでは一番目立つようにしたんだ。ちゃんとPVの中で<カブトワリ:マーセナリー>から持ってきた<芸術>で踊ってくれたよ。これでもう大丈夫だね。


スカイア「さらに我輩が『オーフェリアは俺の嫁弾幕を大いに張っておきました。これで人気間違いなしでありましょう!」


 うーん、ねえ、でもスカイア。それって旧世界の電脳スラングの“自作自演”ってやつじゃないのかなあ。
 それじゃあ、自分で日本軍士官を撃ち殺しておいて《黄泉還り》で生き返らせて戦闘後に会話シーンを作ってたオーフェリアさんの中の人と、あんまり変わんないんじゃ……??


スカイア「大丈夫。芸能界の現実、アイドル育成の道は厳しいのであります。旧世界のア◎マスプロデューサーのPの皆様がしてきた苦労に比べれば何のこれしき。
 それに細工をして投稿者は『スカイシーカーズ』ではなく『式神2号』にすり替えておきました。あるじどのがニューロの名誉を気にされているのであれば、我らのイメェヂもこれで守られるのであります」


 うーん、なんかぼくたち、悪いことをしてるような……
 そういえば、災厄前から電脳世界に伝わるアーバン・レジェンド――「妖怪グダかけ婆あ」と「妖怪カラミヅラー」をこの冒険で感じたよ。
 妖怪の邪悪な霊気が、なんかアクト中に、主にオーフェリアさんと御門天音さんの上にちょっと溜まってたような気がしたんだけど、ぼくたちスカイシーカーズはやるべきことはやれたよね。
 そんな“グダの空気”なんて、電脳空間の光の風で吹き飛ばしてやるよ!


スカイア「うむっ。その心意気であります。
 オーフェリア様と天音様は稼動1回目、たまにはそんなこともありましょう。
 中の人たちは冒険の前後に『テクスチャーをもっと大切にしよう』『ボクッ娘口調未統一』『キャラクターと神業は乖離しても構わない』『母親の設定が活かされてない』『当然じゃないですか!御門忍はハンドルが全タイムトラベラーの敵なんですよ!』などといつものように夫婦漫才をしておられましたが、まあそれはそれ」


 まあ、いろいろあったけどとにかく、こうして、アイドルの自殺事件を巡る物語は幕を閉じるんだ。
 アルファは喜んでたし、新生4人組ファイアフラワーは人気が出たし、うpしたPV動画の再生数はかなり行ったし、これでめでたしめでたしだね。
 今年は勉強をがんばって、あとはまた、軌道リージョンに冒険に行きたいな。


スカイア「Rのつく財団の人はアクト後の感想でうっかり『今日はパ◎ュームを堪能しました』と言ってしまったようですが、これはひよこPのコメントということにしたのでイメェヂ確保はおkであります。
 それでは重力井戸の底の皆様、ごきげんよう
 貴方様の上にも科学の神と、十二聖人の加護のありますように」



――マクシミリアン・ダグラス&スカイア


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トーキョーN◎VA The Detonation『セラミックガール』@セレブなツタヤ☆邸