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ゲスト作成時に工夫していること

 ここは超☆不定期に現れるTRPG記事のこーなーです。
 さてシナリオを作れば必ず出てくるゲストの作成。ここではゲストを作る際、あるいは既存シナリオに手を加えてゲストを調整する際などに、注意している点を列挙してみようと思います。
 システムとしてはN◎VA-Dが対象になりますが、他のシステムでNPCを作る際にも、基本の部分は多くが通じると思います。


 ゲスト作成時に考えを凝らす点は大まかに分類すると、以下の2つの側面があるでしょう。

1つめの側面:データを工夫する

 これはほぼ全てのシナリオデザイナーが考えますね。演技が苦手だったり、マスタリングのテクニックはまだまだ修行中なんですという場合でも、とにかく強い敵を出せばそれだけでインパクトが増します。見せ場がなかったキャストも戦って満足するでしょう。とんでもない強さを見せ付けて一同を驚愕させたり、悲鳴を上げさせたり経験点のストックを数えさせたり、それだけで卓は笑いに包まれます。
 あるいは、強いかどうかはさておき、キャストでは使えないような面白い特技コンボや装備やブランチや神業のコンビネーションで攻めることもできます。こうした工夫もPLを感心させ、ゲストの存在感を強めます。
 これからGM修行に踏み出すというなら、まあまずは「プレイヤーが共感しうるかっこいい人物だけどでも敵」などの高等テクニックよりは、安直でも「とにかく悪くて強い敵」あたりから始めると楽です。データを工夫した強い敵との戦いをメインに据えたりすれば、失敗が少ないでしょう。

 気をつけるべきなのはまず当然ですがデータそのもの。例えば最新サプリ『マーダーインク』に載っている『Bone to Kill』のゲストデータは、単体で複数キャストや1アクトのキャスト全員を相手に渡り合えるよう、シナリオの敵役の中核として使えるようデザインされています。
 御覧になれば分かる通りかなり強力、平たく言えばかなり酷い作り方、キャストでは使わないほうがいいような作り方になっています。
 エセ外国人口調のギャグキャラをやめて本気で斬ってくるキース・シュナイダーとの戦いでシナリオを1本書くならまだしも、他にも戦闘用ゲストが何人もいてシナリオ中の核も他にあるのに、その上でマーダーインクの有名キャラが顔見せでなく本気で襲ってくると「え、あいつチョイ役じゃなかったの?」という話にもなるでしょう。


 もうひとつ、気をつけるべきなのはシナリオ全体とのバランス。
 ファンタジーRPGであれば「そこの裏山のダンジョンに潜って悪のドラゴンを倒します」的な、「短い話でメインは強い敵との戦闘」であれば、敵が強くても問題はありませんし、むしろ弱かったら欲求不満になるでしょう。
 しかし、「軌道千早と地上千早の10年に渡る怨恨のバックグラウンドストーリーが超複雑、情報項目も満載で30突破、ゲスト人数も10人突破、イベントシーンでタロットが26枚一回り。ぶっちゃけ過積載で吟遊詩人GMなオレだけどでも退かない。そんでもって敵は死ぬほど強いお」なんてことになると、戦闘に至る前に既にPL陣が疲労して集中力が減退します。
 また戦闘自体はなんとか切り抜けられても、その直後で頭が真っ白になって「あれ、そういえば美門コロニーから降りてきた記憶喪失のヒロインをなんとか救うプランを戦闘前に考えてたはずだけど、何だっけ」「経験点100点切るのに忙しくてもう忘れちゃったよ!」なんてことも起こります。
 まあこの例は極端ですが、ゲストの強さ、戦闘がシナリオ全体の中でどれだけのウェイトを持つのかは、シナリオ構築段階で考えておくべきでしょう。


2つめの側面:データ以外の造形面にも工夫する

 データに比べると、こちらに注力している人は比較的多くないように思います。
 実は、僕自身はこちらのほうにも力を入れています。平たい言い方で「茶番」という言葉がありますが、トランプの有限乱数を使うN◎VAの戦闘は茶番度が高いんですね。ルール上もPLは手札交換の機会が多く、少し慣れてくれば必ず戦闘前に絵札やエースを揃えてきます。その上切り札ルールがオフィシャルに採用された現在は、カット進行中に全キャストが最大達成値でフリー1行動をしてくる可能性があります。戦闘中もルール上は成長ができますし、何はともあれ結局の所、戦うのであればゲストは負けるからです。
 自慢話になりますが確証があります。今まで自作、他作、市販、様々なシナリオをRLしてきましたが、「ゲストがとても印象に残りました!」という声を頂いたことが、過去何回もあるからです。


 という訳でこのコラムでは、この2つめの側面、データ以外の造形面について、項目ごとに列挙し述べていこうと思います。


 なお、この記事で述べている内容は、友人と遊ぶ・シナリオを公開する・本を出す・オフ会などでGMする・複数回走らせる・などなど理由があって、ある程度「ちゃんとした」シナリオを作る場合を想定しています。
 ひとつのシナリオへの時間の掛け方は人それぞれです。たとえば毎週レベルで新しいものを創って遊んでいるとしたら、もちろんここまでは細かく凝らないでしょう。



互いに似通った名前にしない

 全体の文字数が同じ、切れるところや発音する際のリズムが同じ、最初や最後の1-2音が同じ、「さ行」や「ら行」など特定の行に頭文字が集中する、などは避けた方が無難です。
 TRPGゲーマーに人気がありそうで2008年に完結した作品ですと、漫画/アニメの『ARIA』は、「アリシア」「晃」「アテナ」「灯里」「藍華」「アリス」のように登場人物の多くが「あ」で始まる名前になっています。TRPGのシナリオでは、何か特定の狙いがない限り、こういうのはやめた方が無難です。
 幸い、ニューロエイジは現実の延長にある架空未来です。「現実の日本人の名前」「現実の外国にあってもおかしくないカタカナの外国語名」「現実的にはおかしいカタカナ名前」「汎用ファンタジー名前」「脳内に浮かんだ造語の名前」「その他諸々」全てが可能です。
(多くのファンタジーRPGは漢字名前が使えないように、もっと幅が限定されているTRPGもありますからね。)
 この長所を利用して、なるべくばらけた名前にしましょう。

例:
「アレリア」と「クレリア」という女の子が2人出てきて、RLが演技での印象付けに頑張ったりしない場合、PLが間違える可能性があります。
「本名はロシア語で偽名、実はツヴィトークで訓練を受けた双子の殺し屋でラスボスでした」であれば納得がいきますが、これで「前者は聖ミシェル学園に通う清純派のヒロイン、後者はストリートの花屋の優しいお姉さんで全然関係ありませんでした」となるとPL一同が「え〜」ということになるでしょう。
 それよりは例えば「西園寺舞雪」と「ローラ・キャンベル」の方がはるかに区別しやすいでしょう。
 名前のイメージで印象付けることもできます。西園寺はアルシャード・ガイアのリプレイに出てくるPCの苗字でしたが、歴史的には公家の名前なので、なんとなくお嬢様っぽい雰囲気に似合うんですね。

 人の作ったシナリオを遊ばせてもらう時も、こういうところを観察していると面白いです。性差では、女性ゲーマーの方がネーミングへのこだわりは大きいような気がします。


発音しやすい名前にする

 オンラインセッションでないなら、実際のアクトで口に出して使う名詞ですから、アクト中に使っているところをイメージしましょう。誰もいない所でこっそりと繰り返し口に出して言ってみたり、脳内でこっそりと呟いてみるのです。過度に言いにくい名前は避けるべきです。

例:
 ネット上の人名辞典をちょっと探して見ましたが、たとえば、ヨーロッパ圏の女性の名でも「アレグザンドラ」「イドゥベルガ」「グラツィエッラ」「コンスウェイラ」「ツェツィーリヤ」などは、その国の方には馴染みがあるのでしょうが、日本人からすると発音しづらいですね。日本人作家が日本人向けに書いた外国人が出てくるストーリーの登場人物でも、こういう言いづらい名前は注意深く避けられているはずです。


 例えば、最近(でもないか)筆者が読んだラノベで例を挙げると、冲方丁の『オイレンシュピーゲル』『スプライトシュピーゲル』の登場人物たちの多くは、ビジュアルはラノベ調でも作中ではオーストリア人や欧州人です。日本の漢字名を名乗れば社会保障が優遇されるという作中設定を活かして漢字名をつけ、ラノベ層の日本人読者にも馴染みやすいようにしていますね。

 時には、「うーん、ちょっと言いにくいけどカッコイイ名前だし、このゲストにぴったりなんだよな〜」という場合も出てくるでしょう。その場合は、どちらを優先するかトレードオフになります。


自分が演じられるゲストにする

 自分が作ったオリジナルシナリオのオリジナルゲストであれば、「ボク、一方的に愛するPC1以外を全員殺しに来るヤンデレのヒロイン演じるの苦手なんですよ〜」といくら弁解しても、無慈悲なPLから見たら「じゃあ出すなよ」の冷たい一言で終わってしまいます。w
 結果、オリジナルゲストにはRLの好みや趣向がある程度反映されることになるでしょう。これは当然ですし、オリジナルシナリオを遊ぶ際の楽しみの一つは、そうして作品に反映されるRLの内的世界を見ることです。なるべく無理のない範囲で、自分が演じられる人物にしておきましょう。
 不特定多数が遊ぶのを想定した同人シナリオ、オフィシャルシナリオでは、「誰でもRLできること」という目的がありますから、ゲストもある程度万人向けにするために、割と色が薄い人物になることもあります。
 オフィシャルシナリオでも探すと、「このゲスト、いまいち影が薄い」「ヒロインが空気」なんてパターンも中にはあります。これは止むを得ないところではあるでしょう。


外見特徴を決める

 TRPGのセッションは小説と違い、外見描写に常に地の文を半ページ費やせる訳ではありません。できるだけ短い言葉で、「おっ、この描写はヤツだ!」とPLに思わせる要素があった方が印象が強まります。
 身長や人種、髪や瞳の色、髪型や髪の長さ、いつも着る服、銃なり杖なり持っているアイテム、喋り方、身振り手振りで表現できる特定の仕草や癖、そのゲストを象徴する言葉やイメージと合ったハンドル、いろいろあります。
 どうもキャラの魅力やキャラ萌えへの配慮というのは日本の方が強いらしく、海外の小説では「この人物はきっと美少女なんだろうけど丹念な描写の積み重ねから描いていて直接的な描写が少ない」とか「あれだけ登場しておいてかなりあっさり登場人物が死ぬ」なんてことが割とあります。(TRPGを題材にした小説でも、洋ゲーの小説は国産とやっぱり違いがあるんですね。)
 「キャラの強烈な個性が売り」「とにかくキャラが魅力的」というのは日本のライトノベルやアニメの方が得意にしているように思います。皆さんもご自分が好きな作品に、印象深いキャラクターというのは何人もいるでしょう。というわけで、好きな作品などを参考にするとよいでしょう。


シナリオのストーリーラインの中での役割、行動原理や目的を決める

 そのゲストがシナリオの中で何を担当しているのか。これも難しく考えることはありません。
「ボクの好みの可愛いヒロイン」とか「シナリオ中核の強い敵」「ビッグナンバーのPC4のモチベーション確保用のサブの敵」「厨房分担当」「話がシリアスなのでお笑い担当」「一服の清涼剤」などでも構いません。
 何をよりどころに動いているのかという行動原理、そもそも何のために動いているのかという目的も、様々なパターンがあります。
「N◎VAを滅ぼそうとしている由緒正しい浄化派」「育ての親の復讐のために動いている」「金で雇われた傭兵なので、キャストが上手くやれば寝返る」「別のゲストに心酔していて、死ぬまでその人のために戦う」「死に場所を探している戦士でPC3と戦って散ることを望んでいる」などなどいろいろあるでしょう。
 これらは、きちんとシナリオを構築していれば大体決まってくる事でしょう。決まっていないゲストがいたら決めておきましょう。どうしても思いつかないのなら、そもそもそのゲストはそのシナリオに必要ないのかもしれません。

 実際のTRPGセッションは、シナリオに書いてある通りの上から下へは進んでくれません。FEARゲーで情報項目形式が当たり前になった現在、シナリオに書いてない事態が起こった際の対応が苦手な、アドリブが苦手なGM/RLも増えてきました。
 上の役割や原理、目的を決めて実セッション時にも把握しておけば、キャストがたとえ予想外の台詞を言ってきたり予想外の行動を取っても、多くの場合、そのゲストに相応しい反応を返すことができます。


ゲスト同士の関係も決める

 重要ゲストが複数登場する場合、はっきりさせておくとよいのがこちら。主にハンドアウトで示されるキャストとゲスト間の関係の他に、シナリオのストーリーライン上ではゲスト間でも繋がりがあるかもしれません。
 「騙して利用している」「フリーのテロリストで金で雇われただけ」「上司や上官でその命には従う」「目的が一緒なので一時的に協力」「実は愛している」「密かに萌えている」まで、何でもありえます。
 1シナリオの登場ゲスト数はそれほどは多くないので、大抵は頭で考えたり文章にしたりするだけで間に合います。混乱してきたら、相関図を絵に描いて視覚化すると分かりやすいでしょう。


一人称、二人称を決めておく

 改めてここに書かなくても、多くのシナリオで既に実現されていることです。キャスト作成時にもほぼ全てのPLが決めることです。
 一人称では、日本語には自分を言い表す言葉は多数あり、それぞれ印象が違います。「ボク」「僕」「私」「わたし」「わたくし」「あたくし」「あたし」「あたい」「うち」「オレ」「俺」「ワシ」「儂」「わい」「おいら」「オラ」「おいどん」「小職」「本官」「自分」「小生」「我輩」「拙者」「それがし」「わらわ」「余」「朕」「麻呂」「我」……。


一人称、二人称をなるべくばらけさせる

 複数のゲストが登場する場合、互いにばらけた方が区別しやすくなります。ここがポイントですね。
 なるべく避けた方がよいのは、「普段は私だが親しい相手にだけ俺」など使い分けるパターン。これは、明確な基準があって使い分けているつもりでも相手には伝わらないことが多いです。(ゲストでなくキャストの一人称についても同じです。)
 平たい言い方をすると、「PLはRLが期待するほど賢くない」「どーせN◎VAのPLなんて自分のキャストがカッコイイかしか考えてない」となります。w

例:
「この大地から光を奪ったN◎VAに、俺は復讐する。お前たち、ついてきてくれるか?」「俺もやる」「俺もだ」「俺も行くぜ」「俺もやる!」


よりは、


「この大地を血で染め、無念のうちに散った同胞たちの為に、私は立つ。これは私の戦いだ。選択は君たちに任せる。自分の意志で選んでほしい」
「わたくしもお供します。聖母様は、世界の滅びを望んでおられますから……」
「我輩も助太刀いたそう。この『PC3』とは少々宿縁がございましてな」
「僕も行くよ。こんな汚れた世界、なくなった方がいいんだ……」
「自分も、兄貴について行くッス!」


の方が、誰が誰だか圧倒的に分かりやすいでしょう。きっとこのシーンは、テロ事件に東京新星市が震撼するクライマックス突入直前のRLシーンなんでしょうね。

口調を決める

 これも多くのシナリオでは既に考慮されているところです。「ですます調」か「だ、である調」かから初めてもよいですし、公式の顔つきパーソナリティについている1行台詞も参考になるでしょう。
 口癖や、よく言う台詞を考えておくのもキャラ立てに役立ちます。

例:
とある作品で、
「私がどの勢力に属しているかは重要ではない。“世界の平和と安定を願う勢力”、とでも言っておきましょうか。そう――世界の――平和と安定を」


と、語尾で名詞を2回繰り返す口癖がある嫌味で超☆カッコイイゲスト(オデの中で)を出したところ、多くのPLがその存在を強く認知しました。
 中にはその喋り方を真似して笑いを取ったり、その口調を突っついてきた関西弁ヒロインカブトのキャストなんかもいました。これをもって我がひよこ帝国軍の勝利としましょう。いえーいヽ(´▽`)ノ

できるだけゲストの口調を互いに変える

 これも、まだ適用していない方にはオススメのポイントです。RLシーンで敵陣営を描写したり、複数のゲストが同一シーンに登場する際も、PLに別々の人物として印象付けることができます。台詞以外に声の調子で変えることもできます。

例1:
「(女性の静かな声で)チーフ、侵入成功です。この街の特務警察のデータベースをハッキングしました。本件の阻害となる問題のハウンド隊員の顔が割れました」
「(横から野太い声で) ああ◎◎◎、任せてくれ。このイヌ野郎は俺が殺るッ」


例2:
「(豪快な戦士っぽい口調で)なんでいなんでい、聖母殿異端改宗局とか言ってやがったが、大したこたァなかったな。これで全員返り討ちだぜ。なぁ◎◎◎◎の旦那!(サムズアップ!)」
「(物静かな口調で)……然り。かつてのような使い手は、もはや少なくなったようだ」


 このようになるべく対比のある人物を描写すると、会話だけでもPLは「ウホッこれはいいがつ!(´ω`*)」と区別して認知します。

ゲストが他のゲストを呼ぶときの呼び方を決める

 これはゲスト人数が比較的多かったり、複数の勢力が入り乱れたり、ゲストが複数人同時に登場する場合には、決めておくといざという時に役に立ちます。
 敵同士や同輩なら呼び捨ての場合も、同一勢力の目上の命令者の場合は「〜様」のように敬称を使う場合もあるでしょう。

例1:
「あれからもうずいぶん経つ。◎◎、お前たちには悪いことをしたな」
「いえ、そんな! わたくしと◎◎どのが助かったのは、◎◎さまのお陰です」
「私も、ずっと考えているところだ。影に潜む古き道はもう捨てるべきなのかもしれない。我々は新しい道を、探すべきかもしれないとな……」
「(心配そうに)◎◎さま……」


 このやりとりで2人の関係が判りますし、


例2:
「ククク、拙者に背後を取られるとは殺人企業マーダーインク筆頭が聞いて呆れましたな(ニンニン)」
「で、クーゲルさんよゥ。金の方はちゃんと払ってもらえるンだろうなァ〜?(クッチャクッチャ)」
「貴様たち、クーゲル様に向かってなんという口の利き方だ! 申し訳ありませんクーゲル様、クーゲルズ・チャンバーの同志たちを例に使う訳にも行かず、彼らを雇うことに……。もう、モードレッド様はこんな時に海岸に遊びに行ってしまうし、どうしたらいいのやら」


 てな感じの会話でも人物たちの関係は分かります。たぶん3人目は女性でクーゲルたま命です。ちなみにこの例2は今思いついて書いたので、こんなオフィシャルゲストはいません。w

イメージソースの人物があるなら決めておく

 相手にするPLがその作品を知っているかどうかという制限がありますが、「モデルはこの作品のこのキャラをここだけこんなに変えた感じです」というのも、イメージが一瞬で伝わりやすい例です。イラストを依頼する際にも役立つでしょう。
 モデルを映画の俳優などにしておいて、プレアクトテキストにURLを併記するなど事前に教えておくのもよいですね。意欲のあるPLや準備のよいPLなら見ておいてくれるでしょう。
 また、作中の特定の人物がゲストのモデルでなくとも、「シナリオ全体のイメージソースがこの作品」「この曲がトレーラーのイメージ」などと伝えておくのもよいでしょう。そのイメージの物語の中に存在しているゲストとして、伝わるところはあるはずです。
 テキストと画像以外にも音楽に動画にと、ネットはどんどん便利になり、URLを教えておくだけでも伝えられる情報は増えています。工夫してみましょう。


ゲストが全員集合した一枚絵をイメージする

 コンシューマRPGの必勝本類の設定セクションや、アニメや映画の設定資料集やイラストレーターの絵コンテ集などを思い浮かべて、主要キャラ身長対比図のような、ゲストが一堂に会した絵を思い浮かべてみましょう。幸いにして絵心があるなら実際に書くのもよいでしょう。
 ここで「全員が美少女」などというのも一部のコアな層には受けそうではありますが、このイメージした一枚絵でそれぞれのゲストが、諸々の要素がなるべくばらけ、対比のある面々にした方がPLに印象付けやすくなります。性別、年齢、背丈、服装、持っているアイテム、スタイル、雰囲気、果ては種族、その他諸々。

 これはプレプレアクトのキャスト選択でも同じです。僕の今までの経験だと一番被りやすいのは「20代の男性キャスト」でした。男女、大人と子供、血気盛んな若者に大人、善人に悪人、正統派とネタキャラ、真面目な人物とおちゃらけた人物、一般人と超人。キャスト陣の場合もなるべく対比が出るようにした方が、バランス的にうまく収まります。
 可能なら、ゲストの一枚絵に今回のアクトのキャストたちも加わった様、あるいは相対している様子を思い浮かべてみるとよいでしょう。


RLが演じて楽しいゲストにする

 最後のポイントはこれにしましょう。よく「GMの仕事はプレイヤーを楽しませることだ」と言われ、エンターテイナーの資質はGM/RLに必要なものではありますが。
 RLは一方的な奉仕活動をしている訳ではありませんし、プロでもなければほとんどの場合、お金を貰ってマスターする訳でもありません。あなたにはPLと同等以上の楽しむ権利があるのです。だいたいRLが嫌そうにゲストを演じていたら、誰もハッピーになりません。w
 特に同一シナリオでこれから複数回マスターしていこうと思っているなら、演じて楽しいゲストが一番です。RLが楽しそうにしているアクトは、自然とみんな楽しくなるものです。




 さてコラムはここでおしまいなのですが、最後におまけで、ゲストのイラストを人に頼む際に僕が気をつけていることを上げておきます。

ゲストの色使いも考えておく

 モノクロのイラストであれば同じになってしまいますが、色が決まっていた方が書き手も描きやすいでしょう。人種とそこから来る肌の色、眼の色や髪の色、服装。これもなるべくカラフルに、ゲストごとに違う彩りがあった方が描く側も楽しいでしょうし、絵的にも映えます。
 アニメやアニメ絵の中では現実にはありえない髪の色のキャラクターなども多いですが、これらもひとつの作品の中でなるべく被らず区別しやすいように指定してあるはずです。
 ここでも、ゲストが集合した一枚絵をイメージしておくと役立ちます。


描いてくれる人が、描いていて楽しいであろう人物にする

 よく漫画やライトノベルの後書きのおまけページなどで、絵描きさんがデフォルメされたキャラ絵で本編にはないシーンを書いたり、おまけ4コマを書いたり、スケッチに「このキャラは書いてて楽しかったです!」などと自分のコメントを添えたりしている一幕があるでしょう。TRPG系でも文庫リプレイなどで割とある気がします。
 なるべく描いて頂く側がそんな気持ちになるようにしています。では具体的に、描いていて楽しい人物とはどんななのか? というと、当方絵心がまったくないので想像でしかありません。今度絵が書ける人に聞いてみましょうか。w
 美男美女にするのもいいしイケメンや可愛い女の子もいいし、個性的な装備や格好、特徴的な髪型、モデル人物を決めたり描きやすいように詳細に指定をするのもよいでしょう。


 不定期コラムは以上です。それでは楽しいゲストとよい冒険を! ヾ(´ー`)ノ