Rのつく財団入り口

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杯作戦と関連した読書&映画日記 【その2】ファンタジー編

こちらの続きの読書&映画日記です。


〜ファンタジー編〜

ブレイブ・ストーリー

[rakuten:book:11906523:detail]
 これは杯作戦と何の関係もないのですが、最近のファンタジー作品なので上げてみます。宮部みゆきファンタジー小説、2006年にアニメ映画になり、漫画にゲームにとかなりメディアミックス展開されました。ジツは話題になっていた頃完全にスルーしていたんですが、TVで放映された映画版が見たら面白かったので原作も一緒に読みました。
 中黒点のない映画『ブレイブ ストーリー』はかなり宣伝もされた話題の映画でしたね。小学5年生のワタルは両親の離婚という厳しい現実を前に、旅人の願いが叶うという異世界“ヴィジョン”(幻界)で見習い勇者として旅を決心する。ダルババ屋の水人族キ・キーマ、猫族の少女ミーナやハイランダーの剣士カッツと共に、RPGみたいな異世界で勇者の剣を携えた少年の冒険の旅が始まる……
 映画の方はミスチルっぽい曲をバックに少年が大冒険する夢いっぱいの、子供が見たら大喜びしそうな作品でした。確かにTRPGのキャンペーンをダイジェストで早回ししてるような展開の速さで、省略が多いのはネット上の感想でも言われていましたが。単行本3〜4冊の長編の映画化です、それこそ『LotR』3部作ぐらいの長さがないと原作通りにという要求は酷でしょう。かなりヒットしましたが、あの『ゲド戦記』はあれだけ物議を醸していた割に興行成績ではブレイブを遥かに上回っているんですね。


 そして映画版は悪くいうといかにもRPGっぽい世界のありがちな話に一見見えますが、ところがどっこい原作を読むと大違い。前半の1/3は緻密に現実世界を描いています。離婚してしまうお父さんも映画では身勝手な人物に描かれていますが結婚前から他に好きな人がいたことがわかったり、幻界のキ・キーマとどこか似ている頼りになるルゥおじさんが出てきたり、人間の心の中の汚い闇の部分まで小学5年生の視点からじっくり描いています。だからこそ中盤、舞台が異世界に移ってからが非常に新鮮な驚きを読者に与えます。
 映画ではあまり活躍しないヒロイン(?)の猫の女の子ミーナも小説ではかなり活躍しています。そしてこの幻界、神様や創世の歴史や人柱などなど、世界設定がそれこそ下手なTRPG顔負けに細かいんですね。そしておとぎの国の理想郷ではなく、この世界同様に差別や憎しみ、争いが現実世界を写す影として存在しているあたりに作者のメッセージが込められています。
 子供と一緒に観に来たおかさまの心を捉えて放さないワタルのライバルの美少年ミツルは、映画版では最後に救いが付け加えられていますが、原作では歩んできた道の誤りを後悔しつつやはり倒れてしまいます。その過程で主人公ワタルも多くのことを学び、現世へ帰還します。
 そして様々な出来事や驚異を体験するたび、ワタルは観たTVや好きなRPGを思い出したり、現実にいそうな小学5年生的な反応を示すんですね。当たり前と言えば当たり前ですが、子供から見た視点で物語が描ける小説家というのはすごいなぁと思いました。

 映画版を見た時から何となく「現代版の『はてしない物語』みたいな作品だなあ」と思っていたのですが、原作からかなり共通点を意識しているようです。確かに通ずるところが幾つもあります。主人公が優秀ではない少年で片親を喪失している、異世界の住人たちは絶対存在として女性を信仰し、その対象が高い塔に住んでいる、異世界からの旅人はその世界に影響を及ぼす、旅人にとっては元いた世界の鏡である……etc。ファンタージエン同様、ヴィジョンは今も若い旅人の到来を待っているのでしょう。


 本作はシナリオと直接関係はないのですが、『セレスタイトの杯』は現代版の童話のような物語にしようと構想時から考えていました。ワタルくんと同様、少年少女のキャラクターや勇者(笑)も何人か聖杯探索者の名簿に刻まれています。これからも星の導きの元、新たな勇者の名が刻まれる約定の日を待つことにいたしましょう。


はてしない物語

ネバーエンディング・ストーリー [DVD]

ネバーエンディング・ストーリー [DVD]

 これは原作はよく知らなくても映画の『ネバーエンディング・ストーリー』や、あのテーマ曲や犬みたいな可愛い顔の白い竜のファルコンを思い出す方は多いのではないでしょうか。やはりイメージの力というのは大きいですね。死去が惜しまれるドイツの児童文学作家ミヒャエル・エンデが世界に残した傑作です。
 何のとりえもない少年バスチアンが古本屋で見つけた不思議な本。学校をさぼって屋根裏部屋で読み始めると、本の中の国ファンタージエンは滅亡の危機に瀕していた。虚無から世界を救う方法を必死に探し旅を続ける緑の肌の少年アトレーユと幸いの竜フッフール。本の中の彼らと心を通じ合わせ、共に冒険しながら夢中になって読み進むバスチアンはやがて、彼らが現実世界の自分を呼んでいることに気付く……。
 映画の1作目はビジュアルは幻想的ながらも最後はバスチアンが竜のファルコン(原作ではフッフール)と現実世界に戻ってきていじめっ子をやっつけてめでたしめでたしという、いかにも映画的な安直な結末で原作ファンとエンデ先生の怒りを買ったものですが。
 原作ではバスチアンが女王幼ごころの君に“モンデンキント”(月の子、映画だと英語なのでムーンチャイルド)という新しい名をつけ、ファンタージェンの崩壊を救うのは前半の山場で続きがあります。
 英雄となったバスチアンはのろまででぶっちょの自分から王子の姿になり、何でも叶う力を手に入れて魔剣シカンダと共に、国を旅して様々な不思議な生き物たちと出会っていきます。やがて慢心が起こり、本当の自分を忘れ始め、遂には女王の塔にも歯向かい、元帝王たちの都で果ててしまうところを……最後の最後でアトレイユとフッフール、生命の水に救われるという、自分自身の喪失とそこからの回復という小さい子には難しいテーマが語られているのです。
(ちなみに2、3とどんどん駄作になっていく映画版の2にラスボスで出てくる魔女ザイード(だったかな)は、原作にも登場します。中に何もない黒い甲冑軍団を従えた異相の瞳の魔女サイーデは後半に登場し、バスチアンに取り入って反逆を吹き込みアトレーユとの友情を引き裂く役ですね。)


 ミヒャエル・エンデは日本とも関わりの深かったお人だそうですが、当初は映画の要望に幼ごころの君や竜のフッフールのデザインを東洋風にという要望もあったそうです。確かに映画版でも気持ちよさそうに空を飛んでいるファルコンは翼もなく魔法の力で浮遊し、体も長く明らかに東洋の竜なんですね。(原作のイラストでも同じ。どうも中国の龍がモデルらしい)
 海の向こうのドイツで生まれた、世界のどこにもない魔法の国の物語に東の果ての国々のイメージが入っているとは不思議なものです。
 岩波書店から分厚いハードカバーで出ている日本語版は、作中のはてししない物語と同じあかがね色の表紙に蛇のからまるアウリンの印。中も現実世界とファンタージエンの部分が2色刷りになっています。小さい頃、バスチアンと一緒になって取りつかれたように頁をめくり、夢中になって読み進んだ記憶が今も残っています。アルファベットに対応した26章の扉絵それぞれに奇妙な絵が描いてあるのも不思議な印象が残りました。
 まだファンタジージエン国の存在を信じられる心を持った年齢の頃、本当に感動した本の一つなので敬意と共にここに上げさせていただきましょう。


 杯作戦の本編とは。陰陽の印の如く2匹の蛇が絡まりあう神秘的なファンタージエンおしるし、アウリンのイメージは、「蛇の門」のイメージの元として使わせてもらいました。また過去の天青石の杯の探索者が分かる場面のひとつでは。本編に関係ないお遊びとして、この作品の一匹と関係する名を小竜のダンテ君が見つけて感動する台詞が入っています。
 そして……予言されし吟遊詩人の座を担ったキャストのエンディングシーンに流れるBGMは映画のサウンドトラックから1曲、Limahl の歌う「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」です。
 実際のアクトではこの吟遊詩人の座を担ったキャストがこのはてしない物語のような童話の本を出版して終わるエンディングになったことがあり、私的にもよい場面になったのが記憶に残っています。


ゲド戦記』 (映画)

ゲド戦記 [DVD]

ゲド戦記 [DVD]

 これは杯作戦と何の関係もないのですが、最近のファンタジー映画なので上げてみます。いろいろと物議を醸したスタジオジブリの映画版がDVDで手に入るようになったのでやっと見ました。特にネット上での評価は最初に一旦ネガティブに傾くとずっとそちらに走ってしまいがちなので先入観のないようにして観たのですが。それにいろいろ言われましたが結局、2006年の邦画の中では興行収入1位を達成しているんですよね。
 アメリカのSF/ファンタジー作家アーシュラ・K・ル=グウィンの歴史に残るファンタジー小説。映画は3巻を原作に、別の原作『シュナの旅』を元にかなり独自色を強めた、外伝のような話になっています。
 やはり映像作品としては、序盤から登場人物たちをもっと観客に共感できる人物に描くべきだったんでしょうね。王を殺すアレンは序盤はかなりヘタれてますし影に支配されると目つきも悪いです。初登場時の全力のツンぶりがかなり印象に残るヒロインのテルーは新人を起用したそうですが、素朴さは出ているし挿入歌のテルーの唄は良いんですが、やはり声の演技があまりうまくないですね。映画でない日本のアニメが得意そうな、こうなんというかツンだけど可愛い声の演技があるとだいぶヒロインぢからが違ってアレンくんもがむばったのではと邪推します。w
 話の方もアレンが父を殺す理由や影の話、クライマックスの展開や込められた意味などあちこちに説明が足りない部分があります。大人でも分からないのでたぶん小さい子供でも分からないでしょう。


 原作者のル=グウィン大先生が自分のサイトにコメントを載せたのは有名ですが、煽られているように激怒したわけではなく、むしろ非常に丁寧に長い文章で答えているんですね。今までもアメリカで映像化でトラブルがあったことから原作との剥離についてははっきりと述べている一方で、日本人の生の声やあの唄はあの唄が聞けたことは素敵だった、牧畜や自然のシーンは自分のアースシー世界だったとも触れています。
 確かに映画音楽はなかなかよくて、静かに描かれる何気ない素朴な自然のシーンなんかには、万物がまことの名を持つアースシーの雰囲気が出ていたように思います。ゲドと敵の魔法使いクモが、それぞれ自分の杖の明かりを頼りに夜の中で対峙するシーンも魔法使い同士の対決らしくてよかったです。
 あと本筋とあまり関係ないのですが。あの悪い警備隊長(だっけ)のキャラは、実は一番出番が多いような気がします。w


エラゴン 意志を継ぐ者

 これも杯作戦と何の関係もないのですが、ドラゴンが出てくる最近の映画なので上げてみます。ハリポタ以降ブームになったファンタジー小説、クリストファー・パオリーニ原作の『ドラゴンライダー』シリーズ1作目を映画化したものだそうです。
 出生に秘密を持ち、田舎の農家に暮らす少年エラゴンがドラゴンの卵と出会い、やがてドラゴンライダーとして巨大な悪と戦う運命に……という、ファンタジーに慣れた目から見るとよくある王道なストーリー。『ロード・オブ・ザ・リング』3部作ほど大スケールでもない、原作を割愛した小品ですが。
 邪悪な王にジョン・マルコヴィッチ、主人公を導く元ドラゴンライダーの師ブロムにアカデミー俳優のジェレミー・アイアンズなど、なかなか脇役も力が入っています。
 LotRのエルフほど耳が尖っていないのですが、ここにも勇敢なエルフ族の王女が出てきます。王を倒すために立ち上がる反乱軍のリーダーが黒人でアラブっぽい衣装なのも珍しくて面白かったです。この世界ではエルフからもたらされた古代語で物事のまことの名(炎が「ブリジンガー」)を唱えると魔法が使える設定になっています。使いすぎると消耗し限度がある辺りもなにやらTRPGっぽい設定です。w


 そして映画のもうひとりの主役は、ドラゴンライダーエラゴンと共に戦う青い雌竜のサフィラ。ドラゴンが出てくるファンタジー映画というとコネリー様が声を当てた『ドラゴンハート』やTRPGゲーマーには有名な迷作『ダンジョン&ドラゴン』など幾つかありますが。ここまで登場シーンが多く、一緒に空を駆け回ったりするシーンが多いのは本作が初めてでしょう。恐らく宝石のサファイアから名前を取っているのであろうサフィラはテレパシーで少年と結ばれ、表情豊かに、姉のように、親友のように、戦友のように共に戦います。なんとなく『パーンの竜騎士』とかモンスターメーカーの『ドラゴンライダー』を連想しますね。
 日本人のセンスからするとあまり可愛くないのですが、CGで創られたサフィラの顔は表情の変化を出すためか、普通の爬虫類よりも目が前に来て哺乳類や人類に近い顔になっています。旅の仲間で倒れるブロムの墓の前で決意を固める主人公と共に、翼を広げて別れを告げる様をぐるっとカメラが一周するシーンは美しいです。
 面白いのがこのサフィラの造形。4本足に翼の西洋の竜なのですが、飛行シーンにリアルさを出すためか、よくある竜のデザインよりも翼がかなり大きく作られています。そして体にはきれいな青い鱗があるのですが、翼の先は蝙蝠や悪魔のような皮膜のついた羽ではなく、羽毛のように細かく分かれているんですね。現実の地球にはありえない、爬虫類と鳥類の両方の特徴を備えた生物のデザインでした。(ドラゴン自体が空想の生物ですが……w)


 そして時代は下り、故あって20世紀前半の第三帝国の時代へ……


第三帝国編〜

ダブルクロス・リプレイ・トワイライト 東邦の快男児』『2 熱き夕陽の快男児

 TRPG界に一大旋風を巻き起こしたこの人気シリーズについては言うまでもないでしょう。ネット上での評判も総じて高いですね。
 超兵器や魔術や超能力など空想の要素を加え、敵役としてナチスドイツを配するのはもう様々なエンターテイメント作品で散々使い回された手なのですが。このウィアード・エイジでは敢えて王道を行っています。大戦前夜の混沌とした世界や荒唐無稽な活劇、ミリタリーやオカルトや諸々が好きな方にはかなり堪らないものがあるでしょう。まあ僕もその中に入る訳ですが。わっはっはっは。
 『東邦の快男児』はドイツに占領される前のパリが出てきたり、詳しい面々がPLに揃っているので随所に細かい軍事ネタなどが出てきますね。
 残念だったのは2話目が舞台がヴォルスング公国という小さい領域に完結してしまったところ。せっかく大列車砲やら飛行船や超人兵士やらネタ満載で出てきたのだから、ヨーロッパ中を所狭しと駆け巡って欲しかったなあと思いました。
 2作目『熱き夕陽の快男児』の方は最近ですね。ヒロインがツンデレなあたりは舞台は大戦前夜とはいえ、やはりきょうびのご時勢を反映しているのでしょうか。ところで、日本のTRPG系作品でヒロインがアラブ系というのは非常に珍しいですね。
 まあ何はともあれこの第2巻は「ダンディ」のひとことに尽きるでしょう。ダンディ!ダンディ! (;゚∀゚)=3


 故あって歴史を調べたりしたのですが、この作品にも出てくる実在の古代遺産協会アーネンエルベが親衛隊に統合されるのは戦時中の1939年以降。ということで現実の歴史では、このリプレイの時代の38年ではまだ親衛隊の制服は着ていないかもしれないんですね。調べるといろいろ分かって面白いです。1巻に登場した親衛隊のサビーネ少尉が2巻にもチョイ役でちゃんと出てきたので、完結の3巻でも出てくることを期待しようと思います。


 さて、架空のウィアード・エイジでは単純な図式で悪のナチスをやっつける善の日本人を安心して演じることができますし、我々にとっての第三帝国は『アルシャード』の帝国軍のモデルやガンダムジオン軍を初め様々なエンターテイメント作品に顔を見せる程度の遠い存在です。
 しかし現実の歴史ではそうも行きません。日独伊三国同盟を結んでいた大日本帝国は思いっきりナチスの同盟国ですからね。
 米英もロシアもどこも熱いですがドイツもかなり熱いということで、参考のため、楽しみのために見た作品を思い出して上げてみようと思います。

【以下、続く】