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杯作戦と関連した読書&映画日記 【その1】魔法と秘密と暗号編

 超☆不定期に現れる読書・映画日記が突然降臨! (っ´▽`)っ
 さて趣味の活動にどうせ時間を掛けるなら楽しくやったほうがいいものです。N◎VA-Dシナリオ『セレスタイトの杯』の執筆に当たっての調査、及び調査とあまり関係なく楽しみで読んだり観たりしたものも含め、様々な作品に触れてきました。
 最近でなくかなり前に特にシナリオの参考と関連なく見たもの、最近見たものなどなどいろいろ雑多に混じっていますが、記念に読書・映画日記としてまとめてみやうと思います。
 ジャンルとしてはオカルト・暗号・ファンタジー・第二次世界大戦時の戦争もののような感じになりました。リンク先はURLが長いamazon以外を主にしています。

 まずは夜の秘密の種族、ヴァンパイアの話から……


〜ヴァンパイア編〜

図解 吸血鬼

図解 吸血鬼 (F-Files)

図解 吸血鬼 (F-Files)

 TRPGというやつを遊んでいると、うんちくが必要になる場面がとかく出てくるもの。新紀元社の『Truth in Fantasy』シリーズを持っていたり古本屋で揃えたりした人も多いでしょう。僕も西洋/東洋の神名事典なんかは重宝しています。
 その新紀元社から出た新シリーズの『F-Files』。本作は吸血鬼に関して、特徴から世界の伝説、有名人物まで幅広く概説したもの。入門用にも役立つでしょう。どの項目も見開きページで左に文章の解説、右に図なので、項目によっては図が簡単すぎて文章をもっと入れて欲しいようなところもあります。
 また「吸血紳士・淑女録」の章や「杭打つ者達」の章には、古今東西の様々な作品に出てくる吸血鬼、ヴァンパイアハンターたちが名を連ねています。ナンシー・A・コリンズの『ミッドナイト・ブルー』シリーズから『吸血殲鬼ヴェドゴニア』からジョジョ月姫ヘルシングトリニティ・ブラッドまであるんですね。
 どうも「今時の吸血鬼はこんななんです」と、いかにも最近のTRPGゲーマーが読みそうなエンターテイメント作品に偏っている感があります。アルクェイドアーカードアベル・ナイトロードも別に出てきても悪くはないのですが、歴史に名を遺す偉大な吸血鬼たちと同列に並べていいものかなぁという気もしました。



〜魔法編〜

図解 近代魔術

図解 近代魔術 (F‐Files No.001)

図解 近代魔術 (F‐Files No.001)

 こちらも『F-Files』シリーズの一冊。魔術の概念として世界の様々な魔術を扱い、魔術師たちとして歴史に名を残す、あるいは伝説上の人物を紹介。魔術団体としてテンプル騎士団からナチスまで、魔術の道具としてお馴染みマジックアイテムの数々をまとめたものです。
第一章に若干東洋魔術や中国系の術も出てきますが、ほとんどは西洋魔術に関して述べられています。とはいえ内容は非常に充実。様々な系統、著名な魔術師、魔術品の数々に、図表も簡単ですが豊富で、入門には有用です。
 現実世界では科学の発展と共に魔術は日陰に追いやられましたが、現実がモデルの架空世界の数々では様々な魔術がその力を振るっているのでしょう。中学生ぐらいでも読める広く浅くが基本の本ですが、魔術師を演じるなら参考になります。


図解 錬金術

図解 錬金術 (F‐Files No.004)

図解 錬金術 (F‐Files No.004)

 こちらも同シリーズ。近代魔術と一部被っているのですが、ありそうであまりなかった錬金術を扱ったもの。その思想から著名人物、様々な知識に西洋以外の錬金術まで概説しています。
 同じく広く浅くの本ですが、読み物としても面白く楽しめます。錬金術の究極目標は単に金の精製だけではなく、人間と宇宙の完成と真理の探究を目指す真面目な学問なんですねー。中世の錬金術師たちはパトロン探しに苦労したり、煙を吸い込んで死んでしまったり、科学と理性の光が照らす時代になるとインチキが横行したり迫害されたり、様々に苦労していたようです。中国にも錬金術があり、こちらはもっと即物的で皇帝の不老不死が目的だったというのも面白い。
 まだ科学が世界の理を支配せず、地球の周りを太陽が回っていた時代。彼らはどんなことを考えながら大いなる作業を進めていたのか想いを馳せると、夢が膨らみます。
 そして忘れてはならないのは、当時は立派な学問だった錬金術が現代化学、科学の礎でもあることでしょう。物質の本質が原子や電子のレベルの話だと判明した現代から見ればとんでもない理論も、当時の人々の苦労と前進があってこそ後の化学へと繋がっていったのです。



 そして魔法の世界から、秘密と暗号の旅へ……


〜秘密と暗号の旅編〜

ダヴィンチ・コード

 もう誰でも知ってる有名になった話題作。映画のDVD版から観て小説の方も読みました。
 映画の方はいまいちという話も幾らか聞くのですが、あれだけ内容の詰まった作品を2時間ちょっとにまとめるのも大変でしょう。西洋文化スキーとしては十分に面白く視聴しました。DVD版だと映画公開版より長く、最後にルーヴル博物館に戻る場面が長いんですね。
 登場人物では場面ごとに違う顔を見せるイアン・マッケランが奥が深いなあと思ったのと。オプス・デイのシラスの狂信者ぶりがブレカナのグラディウシア騎士団ぽくて面白かったです。(グラディウシア騎士団自体、モデルがテンプル騎士団なのはファンには有名な話ですが。)
 開幕で死ぬソニエール美術館長も、自分で魔法陣を書いて服を脱いで暗号満載の謎掛けを書いて所定のポーズで横たわるまでを死ぬ前の15分間にやったのですから、大変な人ですね。w
 映画雑誌記事を見ると俳優のキャスティングは原作者の意向をかなり汲んだそうですが、映画から先に見たせいもありますが、自分的には小説と概ねイメージは合っていました。いかにもイギリス上流階級テイストなティービング卿なんかはイアン・マッケランでぴったりですね。
 やはり映像にすると絵で伝える必要があるからか、小説だと細部(特にラストのあたり)が少し異なっています。


 TRPGを遊んでいると組織設定やロゴやら様々に記号が出てきますし、僕も海外のフリーフォントで記号を集めたりするのが好きですが。作中にも象徴学や神話や言語学や歴史やらの様々な薀蓄が大量に出てきて参考になります。
 小説の方は事実に基づくと書いたために、西洋宗教界では大きな論争になったそうですが。我々は人間は猿から進化したことを知っていますし、クリスマスと正月を両方祝う宗教に寛大な日本の人間です。キリストの真実の真偽はともかくとして、秘密を巡る探索の旅は十分に面白く体験しました。うむ、謎めいた4行詩に導かれ、剣と杯の守る星々の元に眠る聖杯を探すなんて心が躍るではありませぬか。


 あまりヒットしませんでしたが、2004年のニコラス・ケイジ主演の『ナショナル・トレジャー』という映画も題材としては似たものを扱っていましたね。
(あちらはアメリカ作品らしく、合衆国建国にも深く関わるとされる秘密結社フリーメイソンの遺産を扱っています。2007年に公開される続編の『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記』はキャスティングもパワーアップして期待!)


聖なる暗号

聖なる暗号 (ハヤカワ文庫NV)

聖なる暗号 (ハヤカワ文庫NV)

 ビル・ネイピア著、2006年早川文庫の一冊。物語はイギリスから、古書屋の主人公ハリーが名士のクライアントから受け取った古文書の解読を始めるところから始まります。クライアントの死、徐々に迫る何者かの影。物語は名家の跡取り娘らと現実世界での聖遺物を巡る探索、古文書の中で16世紀の少年オーグルヴィーが体験する航海記録、ふたつが並行して進みます。
 大英帝国大航海時代、遥かな植民地目指して出航する帆船。故あって故郷の村を飛び出して船に乗り込んだ少年はその知性を買われ、やがてジェントルマンたちと行動を共にします。
 北極星の高度から緯度は測れるものの、まだ航海に耐えられる正確な時計もない時代。荒波に揉まれ危険な船旅を続ける女王陛下の船には陰謀が渦巻き、秘密が隠されていました。エリザベス一世の覚えもめでたいジョン・ディー博士が考案した、カトリックプロテスタントの争いを大きく変えるであろう秘密の暦。そしてもうひとつ、三連祭壇画の中に隠された十字架こそ、現実世界で主人公たちが追う、本物の……
 帯の煽りにある通り、いやがおうにも『ダヴィンチ・コード』と結びつけられる作品。確かにあとがきに書いてある通り、映画にしたらビジュアル的な見せ場や盛り上がりがダヴィンチ・コードには負けそうですし、題材もありがちといえばありがちなのですが。
 自分的にはふたつの時代に跨った冒険、わくわくしながら読みました。終盤、遂に謎を解いた主人公たちが満天の星空の元、正しい緯度と経度の場所に急ぐ場面が短いながら印象に残っています。うむ、星々に導かれた探索行なんて、まことに浪漫があるではありませぬか。


ダ・ヴィンチ 万物を知ろうとした男』『Secret of Mona Lisa』

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 レンタル屋に行くとダヴィンチ・コードの関連作品があれこれ並んでいるのですが、二番煎じを観てもしょうがないので英国BBCの製作した信頼できそうなドキュメンタリーを見ました。
 15-16世紀、ルネサンスの光が満ちるフィレンツェで生きた万能の天才の生涯。幼少時は満足な教育を受けられなかったことから、全てを観察から理解しようとした姿勢やその多芸ぶり。面白いことに、ダヴィンチが遺したメモから現実でBBCスタッフが人力飛行機や潜水服を当時でも入手可能な材料から実際に作ってみるのですが、これがちゃんと飛んだり動いたりするんですねー。(すごい!)
 有名なモナ・リザもモデルに有力な説があったり妊婦だったという説があったり、背景の自然界の描き込みが象徴しているものの話など、1枚の絵の中にも多くのドラマがあることが窺えます。
 そして死後に認められた不遇の天才が去っていった花の都市フィレンツェにも、当時の人々が生きて生活し、それぞれの物語があった。そう考えると何だか楽しくなってきます。


【以下、続く】