Rのつく財団入り口

ITエンジニア界隈で本やイベント、技術系の話などを書いています。

ゲーマーズ・フィールド誌 11-1

 前回のGF誌10-6の『Neuro Beat!』第5回のメディア世界の設定について、記事を書こうと思いながら忙しくてそのままになっていたのですが。そんなことをしているうちに次のが出てしまいました。例によってレビューは以下が最速です。

 今回は巨大企業と工作員の設定が載っています。確かにDetonation時代はシナリオの定型化、善玉悪玉組織の固定化によって、事実上ほとんどのクグツは所属が千早重工査察部後方処理課(あるいは、地上千早という勢力の中の何処か)になりました。シナリオ内でも上司の命で調査に赴く、あるいは誰かを倒す、というPC番号の大きい、いわゆるビッグナンバー導入がほとんどです。取り上げられることが少なくなって影が薄くなり、勢力を減じたかに見えるイワサキに変わり、よくある標準的なシナリオでは敵はテラウェア、特にナンバーズのエージェントになることがほとんどです。企業間抗争を扱ったストレートなシナリオというのも俯瞰するとファンサイドでは減ったように見えます。
 また、課長が「とほほ」になったせいか、企業人なのにウェットなクグツ、多様化に伴いネタや受けを狙った非スタンダード系のクグツも増えましたね。
 ポイントは千早のクグツという枠の中でどう個性を発揮していくかになるでしょうか。

巨大企業群

 非日系のとしてはG.C.I.とルテチア、日系としては千早、イワサキ、CFC‥‥とお馴染みの名前が並んでいます。
 マイナーなところではチャマー社は、『シャドウラン』のチャマーや『サイバーパンク2.0.2.0』のチューマ(どちらも「よう相棒」、的なスラング)から取られたと思わしきところから外資系かと推測されていたのですが、実は日系だったと後になって判明したんですね。まあどちらにしろマイナー過ぎて出てこないから関係ないでしょうか。(酷)

変化の10年:日系企業群の勢力減退

 Detonation時代の幕明けである電脳聖母事件の頃から、やや陰りが出てきたとなっています。ここに記述のあるF.E.I.R.本社爆破事件は、Revolutionが始まる頃の話です。当時のTRPG雑誌『ログアウト』掲載中のリプレイや、Revolution発売記念のオフィシャルイベントのシナリオに使われました。このへんの話も次期サプリメントトーキョーN◎VAクロニクル』で出てくるとよいですね。
 いつまでも日系最強千早最強では世の中が硬直して変わりませんから、世界設定としては群雄割拠状態に近づくのは自然な流れでしょうか。
 面白いことに、翻訳が待たれる海の向こうの SHADOWRUN 4th Edition の世界情勢でも、同じことが起こっているんですね。2nd時代に巨大企業の雄であったフチ・インダストリアル・エレクトロニクス社が分裂消滅、Big 10 メガコーポからは日系企業の数が減って新たな勢力が幾つか出現、2070年代の日本帝国本拠のジャパナコープ群は太平洋繁栄連合や新欧州経済共同体の企業群から執拗に追撃を受けている設定になっています。

企業間抗争の舞台

 メインは多くのシナリオの舞台である、N◎VAのようなメガプレックス。サブで電脳空間、荒野部での戦争となっています。
 N◎VAはキャストを基点に思考があるのでキャストの設定やシナリオネタにもそれほど出てきませんが、各巨大企業は自前の企業軍を持っていて当然ですし、それらの戦力を使って第3の場所で代理戦争をすることもあって然るべきなんですね。
 アラシが活躍できるシナリオというと戦いそのものがメインで焦点が当てられることが多いのですが、こういう企業絡みのネタを入れるのも面白いかもしれません。(まあ、『アラシSSS』も一応そういうネタも入っていましたが。)

非合法工作員

 クグツにいわゆる企業人と、企業のバックアップと高い能力を備えた一般ユーザが思い浮かべるいわゆるエージェントの2種類があることが語られています。
 事件そのもの、関係者そのものが葬られる非合法の作戦というと、面白いことに『シャドウラン』では企業は自分の手を汚さず外部のシャドウランナーを雇うのですが、N◎VAだと自前でやるんですよね。アニメや漫画やライトノベルの色濃い、超人的な能力を持った個人の活躍にスポットを当てたN◎VAならではの光景でしょうか。

査察部後方処理課

 現在、ファンサイドのクグツのほとんどが所属している後方処理課の説明。1班が要人警護、2班が情報や電脳担当、3班がより危険な任務に就く個々人の能力が高い異能集団‥‥という種別はR以前からあったのですが、改めて説明されています。
 アストラルを担当する第13班の存在は『アヤカシSSS』にて導入で登場し、多くのユーザーは半分冗談で捉えていましたが、やはり公式設定ではあるのかないのかよく分からない位置づけになっているようです。
 また、天津征司キュンやクサナギ軍団でお馴染みの天津家。親日派の軌道千早は激化する地上千早との戦いでよく人材不足になり、天津家からよくエージェントを派遣してもらっているという位置づけになりました。

テラウェア・ナンバーズ

 D時代に登場、厨房度も高く、よく敵役に登場するナンバーズ。元ネタはジャンプ系コミックスの『BLACK CAT』という説が有力です。秘密結社クロノスの配下の戦闘集団、時の番人クロノ・ナンバーズが、個々が数字のコードネームを持つ、黒スーツ基調など幾つかあるコスチューム、個々が名前のある強い武器や能力を持つ、個人個人の戦闘能力が高い異能者が集まった集団‥‥という設定が、いかにもライト系N◎VAにすぐ転用できそうな感じが確かに似通っています。ナンバーズ上層部顔つきゲストの“02”メデューサもミラーシェードを外すと、ビジュアルがクロノ・ナンバーズのリーダーの美人のお姉さんのセフィリアになんとなく似通っています。
 そんなナンバーズの出所、孤島サーガSATANNにあるG.C.I.内企業A.R.K.S.の研究所を守っていた部隊だったという後付け設定が登場しました。
 このA.R.K.S.、Revolution時代の旧グランド・クロスに掲載されていたオーガニゼーションです。恐らく読者投稿だったのでしょうが、なにぶんぽつんと遠い孤島であるためにあまり脚光も浴びず、Revolution最後の『タタラSSS』で島ごと消滅してそのまま消えてしまいました。
 それでは確かにカワイソスなので、こういう形で過去設定で再利用するのは賢い使い方かもしれませんね。研究所の重武装の警備部隊であり、様々な強化を受けていた実験体も多かったそうです。
 ナンバーズというと超人技を振るう厨房軍団というイメージが非常に強いのですが、戦うためだけの強化実験の被験体だった‥‥などという悲しい過去を持つヒロイン的なナンバーズの敵ゲストもアリなのかもしれません。
 また、北米の警備企業ピンカートンや北米軍からの引き抜き、真教浄化派を始めとする反日テロ組織との繋がりもありだそうです。こういう背景のナンバーズのエージェントも作れますね。

イワサキ情報処理局

 テラウェアが台頭してきて影が薄くなったイワサキ。篁綾がいた頃の情報処理局はその名の通りの組織だったのですが、今は名前と反していますがここが工作員の総本山であると再定義されました。謎プロジェクトの力でアストラル関係も強いそうです。
 面白いことに、千早にサムライが多くてイワサキにはニンジャが多いそうなんですね。これはイメージ的な対比でも面白いことになりそうです。岩崎御庭番衆も健在。
 ここに記述のある“曼荼羅”は、R直前の2nd後期のオフィシャルのリプレイ(文庫ではログアウト冒険文庫の『猟犬たちの午後』)にちらっとだけ出てきてそのまま消えてしまったオーガニゼーション名です。人名の要幻三郎もむかーしどこかに出てきたような気も‥‥

その他の企業内の組織

 BIOS系ではM○●Nでヒルコぢからで頑張る九機水軍の名が出てきます。オフィシャル/ファンサイド双方で「九機水軍」「九鬼水軍」と記述が混乱しているのですが、正しくはどちらだったかな‥‥。史実上の九鬼水軍は、戦国時代に武将に仕えて天下統一を助けた、伊勢志摩の辺りで活躍した九鬼一族の水軍の名前です。
 また、有名ゲストの星詠みのアスタロテと72のAIが集結するルテチア特殊環境委員会が復活。ルテチアがテラウェア配下に下ってからは自然消滅かと思われたのですが、独自に動いているようです。さすがに大陸をまたぐ巨大企業になると一枚岩ではないようで、これはこれでよいのではないでしょうか。ちなみに、ルテチア(Lutetia)はフランスのパリの古名です。
 他、CFC、和光技研、豪州のACE、トライアンフの中の名前つき組織が定義されています。

追加アイテム

 既にネット上でもあちこちで話題になっていますが、追加アウトフィッツのボディアーマー“ダブルオー”があまりに性能が良くてこれからのデフォルトになりそうです。
 ネーミングはやはり009や009-1のさらに元の、12月の『カジノ・ロワイヤル』公開が待たれる007シリーズが元でしょうか。ちなみに、最近発売されたダブルクロスの『アウトランド』のウィアード・エイジの組織設定MI6にも同様のネタが。
英国秘密情報部MI6では優秀なエージェントにはダブルオーナンバーがつくという設定も、007シリーズからの拝借です。これは007映画版と原作小説シリーズだけの設定で、他の冒険小説や現実世界のMI6にはそんな役職はありません。
 アウトフィッツは他では“多生縁魔”が使い方を工夫するとものすごく強そうですね。

追加ゲスト

 萌えナサスの今回は孔明が出てきました。まあ、美少女や美女ばかりでなく美髭のおぢさまにも需要はある(はず)なのでこれはこれで。
 『Neuro Beat!』のこれまでの面々に比べると強さがマイルドなので、キャラ立ちからも敵ゲストの司令塔にちょうど良い感じですね。

新作サプリメントトーキョーN◎VAクロニクル』

 表紙絵が公開されていました。レンズとゼロ、レイとメモリと新旧コンビが一目で分かる絵でよさげだと思います。(『ストレイライト』のバックの絵は多聞社長と天津征司だとは聞いたのですが、ちょっと苦しいですからね。)

 ちなみに割と有名な話ですが、N◎VAのサプリメントのタイトルは天文学や宇宙、星関連の単語から取られています。

ムーン (Moon):

 オーサカM○●Nは、言わずと知れた月の都。

スター (Star):

 カムイST☆Rは、言わずと知れた星の都。

ドゥーム (Doom):

 運命や破滅、最後の審判という意味だが、バベルD♂♀Mは黒歴史

ブラックボックス (Black Box):

 たまにイエサブで売っていたりする伝説の2ndのシナリオ集。本来のブラックボックスは、装置や機構に関し外部からの機能や使い方のみに着目し、内部の構造や原理を無視して結果だけを利用すること。
 ここだけ宇宙と関係ないのだが、シナリオだから除外と考えれば辻褄は通る?(それを言うなら、『SSS』も宇宙とは関係ない。2ndのドラマCD/小説『ブレインハンター』もCDなので一応サプリメントに入りそうだが、これも宇宙とは関係ない。)

グランドクロス (Grand Cross):

 名詞としてあちこちで使われるが、地球を中心に太陽系の惑星が十字に並ぶ惑星直列のこと。西洋占星術では不吉の兆しとされる。ノストラダムスの終末の予言の年、1999年8月17-18日に発生したが、地球には何も起こらなかった。

ナイフ・エッジ (Knife Edge):

 天体写真の撮影法。カメラにつけたレールに沿ってフィルムを入れたナイフを動かし、ピントが合った所で撮るものらしい。
 紙飛行機の競技で翼の縁を尖らすこともナイフエッジという。

カウンターグロウ (Counterglow):

 対日照(ついにっしょう)。太陽系内のダストが太陽光を受けて散乱光を放ち、肉眼や写真で見えること。

ストレイライト (Straylight):

 言わずと知れたサイバーパンクSF古典名作『ニューロマンサー』より。作中で主人公たちが潜入を仕掛ける巨大財閥ティスエ=アシュプールの軌道コロニー、紡錘体の先端部分にある中核の迷宮が、ヴィラ・ストレイライト。N◎VAではストレイライト・ラン(Straylight Run)の日本語は「軌道仕掛け」とされたが、原典では「迷光仕掛け」。

 知ってのとおりクロニクル(Chronicle)は年代記の意ですから、遂に宇宙と離れてしまいますね。さすがにネタが尽きたのでしょうか?(笑)


 駆け足に以上のような感じでした。とりあえず旅に出た先の今度のアクトでクグツを使うので、ネタとしてダブルオーを試しに使ってみようかと思っています。