Rのつく財団入り口

最近の本や技術系の話などを書いてます。元はTRPG系サイトの入り口でした。

デモンパラサイトリプレイ『悪魔憑きの目覚め』

 ネットを巡るとアリアンロッド・ルージュの感想を書いているところが多いので新作のこちらから。
 という訳で、同時期に文庫リプレイが4冊出ましたが、6月末に発売を控えたグループSNEの新作『デモンパラサイト』の先行リプレイ『悪魔憑きの目覚め』を読みました。

でもんぱ!

 時は現代、所は日本。悪魔寄生体デモンパラサイトに寄生された人間たちは悪魔憑き(ディアボロス)と呼ばれていた。共生生物と共に生きる宿主になると食べる量が格段に増えてしまう代わり、治癒速度は格段に上がり健康体になり身体能力も驚異的に上がり、接近戦に長じていたり炎や電気を操ったり鎧をまとえたり様々な能力を発揮することができます。
 しかしよいことばかりではありません。自らの衝動のままに振舞っていると、やがては理性を失い欲望のままに破壊を撒き散らしたり他の悪魔憑きを食べてしまったりと本物の怪物、<ヴィシャス>と成り果ててしまいます。
 PCたちはそんなデモンパラサイトの能力に目覚め、通常の人間として生きる側(<マイト>と呼ぶ)に立ち、内なる衝動やヴィシャスと戦ってゆくのです‥‥。


 寄生虫といっても蟲っぽさやバイオテクノロジーな感触はどこにもなく、科学的な理屈はまったく気にしなくてよいゲーム的な発想となっています。
 ダークヒーローな変身ものと以前に紹介されていましたが、ダークな面はそれほどはなく、リプレイはむしろ明るいものになっています。
ふだんは学校なり仕事なり普通の顔を持ちながら事件に巻き込まれ、能力を隠したり焼肉やパフェを沢山食べて怪しまれたりしながら冒険が続き、最後は正体を現したラスボスの前にPC全員が悪魔化(デモニック・フォーム)に変身して各種特殊能力を駆使して戦闘、勝って万々歳で成長‥‥という、基本は勧善懲悪で等身大のかっこよすぎない主人公たちの活躍を描く、明るくお気楽ないつものSNEテイストのセッションが基本線のようです。
 二番手の宿命か『ダブルクロス』とよく比較され揶揄されていましたが、特に対抗馬を狙っているわけではなく題材が似たのは偶然のようで、リプレイからは類似点はあまり感じられません。むしろ現代ものアクションという点で、『ガープス・妖魔夜翔』や『ビーストバインド』なんかの方が通ずるものがあります。
 PC側のバックの組織にNGOセラフィムというのが存在するのもダロのUGNと似ていますが、こちらはあくまでボランティアの互助組織、金銭的にもかなり援助には限界のある、便利になりすぎない設定となっています。


 システムは基本2d6で使いすぎると危険な「衝動」がヒーローポイント的な役目を果たしており、ダイスの数を3d6やそれ以上に増やせますが同時にファンブルの確率も増します。変身すると3d6、共生生物の種類ごとに能力値のパワーアップ度合いや使える特殊能力に差があり、戦闘はいろいろと遊べます。
敵の宿主を倒した後は体内から共生生物を抜き取って駆除する必要があるのですが、グロい手段しかないのかのかと思ったらPCが持っている《魔種吸引》の能力を使えば大丈夫となっていました。パラサイトは色とりどりの結晶となって犠牲者の体外に除去され、これを経験値玉として成長に使ったり、経験点の足りない仲間に譲ったりできるという、非常にゲーム的に便利な設定になっています。
 成長はレベルを上げていく形式ですが方向性を進化経路図の中から選んで枝分かれしていくという、コンシューマーゲームを思わすなかなか工夫された形式になっています。
 またリプレイにも登場しますが、犬や猫など人間以外の動物をパラサイトに感染したPCにもできるので(当然変身するし人間の姿も一定時間取れる)、これも楽しみでしょう。

悪魔憑きの目覚め

 さてリプレイの方は。北沢慶氏監修の元、顔が怖いというSNEの新人の力造氏が初めてのリプレイ執筆に四苦八苦しながら挑む‥‥という書き手側の内情も明かしたもの。(他にゲームデザインは『ゲヘナ・アナスタシス』の田中公侍氏)
 SWのぺらぺら〜ずのシリーズと同じく、新人のステップアップ作として書き手と読み手の距離を縮める親近感も狙っている部分もあるようです。
 本文の方はいつものSNEスタイルで、FEAR諸作品のリプレイに見られるドラマチック重視や過度のテンションやギャグ重視のない、実際のアクトの空気を再現したものとなっています。
 キャラクターは5人、主人公兼ヒロインの天然元気系と美人系の女子高生コンビと同級生のカッコイイけどマザコンの不良少年、クール系メガネの探偵事務所の主人と、彼を慕っているらしき(?)子猫の少女。各自のキャラ立てには成功していますし普通に面白く安心して読めます。このへんはSNE伝統のお家芸でしょうか。
 作中でも詳しく触れられていますが、変身してデモンパラサイトの真の力を現すと共生生物によって変異の度合いが違い、服の破れる率が違うんですね。完全に変身して肉体で戦う白兵戦系だと完全に変身前の服が敗れてしまい、戦闘後に替えを用意しなくてはならなくなります。(キャッ)
 このリプレイでも白兵戦系の二人は見事に女子高生になっています。GMサイドの陰謀が完璧です。すごい陰謀ですねー。
 しかしこの脱衣設定は世の男性諸氏は嬉しいですが女性ゲーマーから見るとどうなんでしょうね。『ユエル・サーガ』のセクハラ発言と似たにほひを感じます。うーん。(笑)


 全体として普通に楽しく読むことができ、これから発売される新作ルールブック本体に続いて注目させるキャッチーな入り口としての役割は十分果たしているリプレイだと思います。
 本体の方は‥‥さすがに読んでみないと分かりませんが、GMの負担が少ないルール自体は軽めで初心者でも手軽に遊べるシステムのようです。新紀元社から予価¥1,100とSNEの作品にしては珍しくお手ごろ価格なので、続いて手に取るのもよいのではないでしょうか。変身ヒーローものが好きな方には特にお勧めです。


 センスが古いんじゃ?とは前から言われていたのですが、確かにその感はあります。変身ものだと変身後のビジュアルのイメージも重要ですが、イラストがいまいち合っていないような気はします。『Role&Roll』誌vol.21のリプレイの絵の方が確かに上ですね。なんとなく、僕が高校生や学生の頃の富士見のTRPG関連作品の雰囲気を連想しました。(いつのだよ)
 発売前から盛り上がっているネタが「焼肉」「脱ぐ」とゲームの本質と既に微妙にずれている気もする点もスゴイです。(笑) 発売後もまたいろいろと盛り上がりそうです。

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