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アリアンロッド上級ルール

 5月に発売、エラッタやFAQの対応も早くプレイ環境が整ってきた『アリアンロッド』の『アリアンロッド 上級ルール』が発売中です。基本ルールは入手しやすいもののやはりチャート類が小さくて厳しい文庫版でしたが、上級ルールはゲーム・フィールドからいつものB5版で登場。
 Googleでぐぐっと超☆検索するといつもながらTryarksさんの【三元の間】の『アリアンロッド 上級ルールレビュー』が最速を誇っています。



 キャラクターセクションではガンスリンガー、セージ、ニンジャ、ダンサーの4クラスが追加。既存4クラスが10Lvになるとクラスチェンジできる上級クラスが基本クラス4種にそれぞれ2つづつで計8つ追加。既存クラスのスキル、一般スキル、種族クラスにも追加。
 読み込んで実際に遊ぶのが一番ですが、強力なスキルも多数あり、エレンディルの冒険はさらに賑やかになりました。武器防具に通常アイテム、マジックアイテムも追加されています。


 ルールセクションでは最初にプレイヤーガイドと題しページを割いています。プレイヤーセクションではプレイヤーの仕事はGMとまったく同じであり、そしてGMとの違いは「最終決定権がない」ことだとしっかり定義。
 心構えやマナーのついては既に各所で話題になっている『TRPGの危険行動』コラムで論じています。僕も普段から気をつけていることもあり、改めて気をつけなければならないこともあり、非常に参考になります。

 選択ルールとしては「フェイズプロセッション形式」として、FEARゲーではお馴染みのハンドアウトを提示してキャスト間コネを取り、【幸運】判定で登場判定してこれまたお馴染みシーン制でセッションを進行させるルールがあります。みんなでわいわいダンジョン探索のパーティプレイが原則のアリアンでも、シーン制はあるんですねー。上級クラスレベルの英雄パーティでのプレイに向いているのでしょうか。

 他の選択ルールには「上級クラスルール」、上級クラスのナイトが強さを発揮する「騎乗戦闘ルール」、1ヘクスを5m×5mとして、部分遮蔽や魔法の効果範囲や弓の射線を考えながら、より時間が掛かるもののタクティカルな戦闘が楽しめる「スクウェア戦闘ルール」があります。追加スキルでも、魔法の効果範囲が縦横のマスに伸びたりするスクウェア戦闘用のスキルが幾つかあります。
 またシナリオに困ったときやお手軽プレイのお助けになる、トランプ1組とダイスでフロアと出現する敵、待ち受けるイベントなどを決めていくランダムダンジョン作成ルールがついています。


 ワールドセクションでは基本ルールではあまり触れていなかった物質界以外の世界、生命体の分類、七大神の設定が記述されています。アコライトの追加スキルで信仰する神様によって違う「フェイス:XX」(『ソード・ワールド』の宗派別呪文と同じ)がありますが、どうもこれは神様によって強さにばらつきがあるようです。
 ほか魔法の分類に関する定義、簡単な国家と都市設定、重要NPC18人、キャンペーン向け設定として、ダンジョンの舞台となる空中庭園とその近辺の居住区を記した空中庭園テニアの設定がついています。
 ネーミングでのケルト神話からの引用は運命の精霊の王アリアンロッドだけなのかと思いきや、月と予言の神ブリガンティア(=ブリジット)、大地母神ダナン(=ダナーン)、鍛治の神ゴヴァノン、嫉妬の女神モーリアン(=モリガン)、憎悪の神クロムクルー(=クロウ・クルーアッハ)がありました。世界設定でも魔剣クラウ・ソラスと赤枝の騎士団がちらりと出てきます。


 ゲームマスターセクションは追加のギルドスキル、エネミー特殊能力、ラブリーなイラストも健在の43種のエネミーデータ、ラスボスレベルの強力なネームドモンスターが13種、ダンジョン用のトラップとオブジェクトデータ。

 そして何より大事なゲームマスターガイドが、最初に多くのページを割いて述べられています。アリアンロッドでの成功とは「参加者全員が楽しかった、またやろうねと言ってくれること」。ゴールデンルールは「GMとプレイヤーが互いを信頼すること」だとしっかり定義されました。
 プレイヤーへの対処方法、プレイの分類とそれに応じた選択ルールの採用(ギルドも必須ではないのですね)、テーブルを囲んでの座り方や駒の使い方やマッピング、シナリオ作成のコツまで、充実の内容です。『アルシャード』の過去のサプリメントの記述と一部被るところがありますが、この辺はアリアンロッド内外を問わず他のTRPGのマスタリングでも役に立つでしょう。
 そして最後はシナリオの概要を書いたミッションデータがが39、シナリオが2編、チャート集にシナリオ集『ファーストクエスト』に出てきた敵データの再録、という万全の作り。


 新クラスや追加スキルの多数のデータなどもさることながら、一番注目したいのは危険行動コラムやマナーなどのプレイヤーガイド、GMテクニックなどがきちんと書かれたゲームマスターガイドの存在です。
 ゲーム内世界でのルール云々だけに留まらず現実世界でのプレイ環境まで言及されている点は大きいですね。最近のTRPGではこういう点まで触れたものが多くなってきました。
 ルール云々と違って唯一絶対の正解が出しにくいことではありますが、参加者全員が快適な時間を過ごすには一番大切なことではないでしょうか。このへん、TRPGを巡る環境、TRPGのルールブックの内容も成熟してきたと言えるのかなあと思います。


 話題の危険行動コラムはTRPGゲーマーがみな我が身を省みなければならないところですが。
 今まで様々な人を見てきましたが、『トーキョーN◎VA』のプレイヤーに当てはめると、ダントツで多いのは自分キャストの過度の『自慢話をする』だと思います。(笑) 戦闘中の神業の打ち消しあいでの他プレイヤーに対する『助言を越えた指示を出す』や『自説を譲らない』もけっこうあるような。