Rのつく財団入り口

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『秘神大作戦』紹介

 大正浪漫に邪神の嵐〜ということで5月23末日にエンターブレインからログインTRPGシリーズとして、『特命転攻生』で知られるエルスウェアから新作TRPG秘神大作戦』(ひしん、でなくひめがみだいさくせん、と読む)が発売されました。250Pほどで\3,000。まだプレイしてないのですがちょっとだけ紹介をば。


 昨年の JGC2002 で新作情報をちらっと伺った時はまだ詳細が決まっておらず、ストレートにクトゥルフin大正のような感じでどうなるのだろうと思っていたのですが、完成版はロゴのフォントもライトになって表紙も巫女さんで何やらそれ系の度合いが増しているようです。(どれ系だよ)


 舞台は1920〜30年代の史実どおりの大正時代、迫る世界大戦と暗黒の時代を前に繁栄を謳歌するモダンな帝都東京、副題にもなっているTokyo Noir City。激しい西欧化の中で科学技術も文化も進歩し続け、その一方で貧富や身分の差がまだまだ存在した時代です。
TVもまだ試験成功したばかり、携帯電話もネットもないあえて不便な時代での冒険というのは基本コンセプトにあげられています。


 この世界にはアトランティスやレムリアの他にマホロバ文明という第5(6)の知られざる超古代文明が環太平洋圏に存在していたことになっており、強大な力を持つ邪神と善き秘神を召喚できる古代人が争っていました。
 そして文明は滅び、強力過ぎた邪神は地に封印。そして万年単位で時は流れ人間の時代に。予言された復活の時は近付き、世界各地には私利私欲や無知から、あるいは自らがその末裔であることから邪神復活を企む魔人や秘密結社が暗躍しています。
 日本国内でも47団体。なぜならばマホロバ文明終焉の聖地はこの日本であり、数多くの邪神が封印されたままだったのだ‥‥ということで夜な夜な東京では生贄の少女がさらわれたり黒マントの怪人が暗躍したりと活劇が繰り広げられるというわけです。


 同時にファミ通文庫から発売された小説『歌う虚』でも、歌唱の得意な少女達がかどわかされ、人間には発音できない音の歌で邪神を呼ぶ様が描かれています。
 現首相はじめ日本政府の一部はこの件を知っており、既に手を打っています。帝都の地下には秘密の地下道が張り巡らされており、国家機関である帝國古代遺産管理局、マホロバ文明の遠い末裔の血を受け継ぐ秘神本家、遺産研究を日々続ける白銀技術研究所、メディアを隠れ蓑に活動を続ける猟奇通信社、発掘した古代遺産のロボット『操神』を実戦で使えるよう訓練を積んだ特機隊や諜報員からなる陸軍特務機関、明石機関。
 これらの勢力は互いに多少の牽制はし合いながらも、日本国を護る共通の目標のために動いています。
 PCはみな《末裔》と呼ばれる古代の秘神の遠い遠い末裔であり、東京で暮らすこの時代の人々であると同時に強力なアーツと呼ばれる特殊技能のような技を使えます。
軍人であれば前述の勢力の一員であったり近い位置にあったりしながら、帝都を揺るがす怪事件に立ち向かっていくわけです。


 能力値は活劇/浪漫/才知/社交の4つ、能力値/3のボーナス+技能Lv+3D6の上方ロールという、システムは割とオーソッドックスなもの。浪漫から導き出された神縁の値を消費してアーツを使ったり、場面に実はいたことにしたり、死を回避したりと、最近のゲームでは珍しくありませんがドラマ志向のルールが幾つか組み込まれています。
 技能や能力値は生まれや家族や子供時代のことなどライフパスをロールで振っていくと決まるようになっています。庶民と華族では差があったり兄弟姉妹の数が多かったり学校に行けない場合があったりするのがなんだかリアルですね。
 作成済みのテンプレートも19種用意してあり、書生や女学生や文士や革命家など、あまりお目にかかれないこの時代ならではの職業も用意されています。女給が「じよきやう」、特務将校が「とくむせうかう」などと振り仮名が振ってあるのがなんだかときめきますね(何が)。


 PCに力を貸してくれる守護神は秘神の中では低いランクにあって、特定のものから選ぶのではなく自分で性格などをロールから決めていくようになっています。憑神術という神を自分の中に降ろす術を使うと能力値が跳ね上がり、アーツの他にももっと強くて派手な神威という術を使えます。
 神の名も「びりびり様」「若彦さま」と勝手につけていくようですが、敵NPCのデータ等を見るに「金剛力士」「エギルの娘」等どうやら実在の神話関係から取るのもアリのようです。
 巨大ロボットを操るアーツは【操神術】、他のアーツは【万霊】【職守】【大母】【賢者】【英雄】【冥王】【道化】と系統分けられていて守護神の分類もここからおおまかに決まります。同時にこれが戦闘系、情報収集系などPCの役割分担の役目も果たしているようです。
 おおむねセッションの前半が東京を舞台にしたシティアドベンチャー、陰謀が判明するなりしてからクライマックスのアクションとなるようですが、システムもオーソドックスなので普通にしっかり遊べそうです。


 舞台設定に関しては巻頭のカラー地図を始め本文でも章を割いており、東京の名所案内や当時の生活、風俗、実在の有名人や物価など、なかなか丁寧に解説されています。このあたりは実際のプレイから離れても資料として役立つでしょう。現実世界の過去の一時代を舞台に史実+フィクションを取り入れた退魔伝奇冒険活劇という点では、偶然ながら最近出た『上海退魔行』と似通っていますね。上海は日本人には地名その他固有名詞が覚えきれなかったり発音できなかったりする弱点がありましたが、その点ではやりやすいかもしれません。(笑)


 と、大正桜に浪漫の嵐が吹き荒れているカンジなのですが、意外なのが純和風(あるいは、欧米化を受けた大正での和風)でもないことです。メガテンTRPGシリーズのように充実した日本剣術流派や陰陽道修験道などなどが紹介されるのかと思いきや、アーツとして使える技はどれも無国籍風。秘神にしても日本の八百万の神々とも世界の神話とも関係ありませんし、紹介されている最高神もまったくのオリジナルです。
(ちょっとインドっぽいかも。また、神やアーツの系統を前述の分類から選ぶあたりなど、『輪廻戦記ゼノスケープ』にイメージ的に似通ったところがあります)

 ダサかっこいい系の鉄神や超古代遺産は『鉄人28号』や手塚治虫の『三つ目がとおる』などががイメージソースとのことですが、このあたりも出てきた途端に『ブルーローズ』っぽい世界に突入しそうです。
 またクトゥルフ神話の神々のごとく数値が数桁シフトしている感じにデータ的にも激強の邪神も掲載されていますが、名前も「魔月」に「極冠のオーロラ」「夜の毛長像」といった感じでオリジナリティがあるというのかよくありそうというのか微妙なカンジです。(笑)

 邪神の眷属やいわゆる雑魚モンスター的に使う供奉(ぐぶ)・化生(けしょう)も、河童みたいなのはいましたがさして和風でもなく、かといって洋風という訳でもありません。プレイのフレーバーのために大正時代が丁寧に解説されているだけに、このへんが浮いた感じを受けました。
 ということはこのゲームの巫女さんはカタカナ名前の神様を呼んだりして巫女服は着ていても正しい巫女ではないんでしょうか。いやそんなことはどうでもいいですね。(´ー`;)


 もっとも、あまり史実に堅苦しくこだわらない、予備知識の必要ないエンターテイメントとしての大正浪漫を目指しているのは昨年時の発表と同じようです。

 あまり例のない大正時代を舞台にモダンで浪漫チック(浪漫は必ず漢字で書くのがポイントらしい)な冒険をするもよし、資料に使うもよし、前書きでなにやらわざわざ触れられていますが巫女好きの方にもお勧めの作品のようです。w と書くとなんだかその一人みたいでヤですね。はっはっは〜